装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。

また一か月かかってしまった……
皆様お久しぶりです。ギアマニア福岡、大盛り上がりだったようでうらやましい限りでした!!それはいいんです!!言いたいことは3つ!!東北にはいつ来るんですかあああああ!!!なんで今回は告知がないのおおおお!!キュアエクレールの正体は誰なのおおおおえ?それは関係ない?

というわけで第3話どうぞ!!



第3話 Anacrusis:開幕近く、影彼にあり

「これで搬送任務は完了となります。ご苦労様でした」

「ありがとうございます」

 ノイズの襲撃を退け、無事、岩国基地へ到達した響たち。

当基地の指揮官も含めた軍人たちに出迎えられ、友里が二課の印を書類に任務完了の証として押印する。ソロモンの杖は無事、届けられたのである。

響とクリス、そして深は安堵し、互いに目を合わせた。

するとそんな三人のもとへとウェル博士が親しげに近づき、賞賛を送ってきた。

「確かめさせていただきましたよ。皆さんがルナアタックの英雄と呼ばれることが伊達ではないとね」

「英雄!私たちが?いや~普段誰も褒めてくれないのでもっと遠慮なく褒めてください~むしろ褒めちぎってくださ~あいたっ!」

 英雄と褒められたことに響が見るからに浮かれると即座にその後頭部目掛けてクリスがチョップを繰り出した。

「この馬鹿、そういうところが褒められないんだよ」

「痛いよ~クリスちゃん~~」

 涙目になりながら響はチョップをもらった頭を押さえてクリスのほうを見る。そんな二人のやり取りに、深は思わずと言った様子で笑みをこぼした。

「ふふっ、よしよし。響ちゃんはちゃんと頑張っているよ」

「ふぇ!?」

 そして、痛がる響の頭を優しくなでて褒め始める。突然頭を撫でられた響は驚き、頬を赤くする。戸惑い半分、嬉しさ半分といった感情に支配された響はそのまま固まって撫でられ続ける。

「だから、そういうことは家でやれって……」

 自然とスキンシップを行う二人にクリスも恥ずかしさを覚えながら抗議する。

 数回撫でた後、深は抗議するクリスや名残惜しそうにする響には気が付かずにウェル博士のほうへと歩み寄り、握手を求める。

「ウェル博士、改めてお礼を言わせてください。ナスターシャ教授と貴方の助力が無ければ、このドライバーの完成には至らなかったでしょう」

「いえ、僕はたいした協力はしていませんよ」

 謙遜しながらウェル博士は深からの握手に応じて手を握り返した。

「そんなことはありません。お二人が共同研究を持ち掛けてくださったからこそ、type Aとtype Gの二機は完成したんです。お二人の知見には助けられてばかりでした。これなら、いずれ量産化も目標にできるかもしれない」

 フィーネによる月の落下が行われた後、日本政府はシンフォギア、並びに櫻井理論についての概要を全世界に向けて公開した。その中には開発途中だったCDについてのデータも含まれていた。

 聖遺物を利用しなければいけず、かつ開発者である櫻井了子が死亡したシンフォギアに対して、特性上、聖遺物を必要としない。かつ、深という開発責任者が存命であるCDに各国は目を付けこぞって開発に取り掛かった。しかし、蛙の子は蛙。未だブラックボックスとなっている櫻井理論をもとに作られたCDもまた、シンフォギア同様再現性に乏しく完成には至らなかった。

 深自身も開発は難航していたのだが、そんな時に共同開発を持ち掛けてきたのがこのウェル博士だったのだ。

「櫻井理論にシンフォギアシステムとは全く別のアプローチで取り組み、新たな戦う力を作り出したのは間違いなく君の成果です。まさしく英雄的な所業ですよ」

 穏やかに教え子を褒める教師のような口調でウェル博士は深のことを賞賛する。そのやり取りを聞いていた響もまた自分の事のように得意気に鼻を伸ばすのだった。

「ですよね、ですよね!深君はすごいんですよ~」

「なんでお前が得意気なんだよ」

 そんな響の様子にクリスは呆れ、ウェル博士も笑みを浮かべる。

「……よしてください。英雄、と呼ばれるには僕は身の丈不相応ですから」

しかし、肝心の深はというとどこか浮かない顔をしていた。そんな深に対してウェル博士はまくしたてるように、大仰な身振り手振り合わせて賞賛を続けた。 

「何を言っているんですか!世界がこんな状況だからこそ、僕たちは英雄を求めている。そう!誰からも信奉される偉大なる英雄の姿を!そして君たちにはその素養がある!」

 どこか、狂気すら孕んでいるような英雄へのこだわりを見せるウェル博士。深は諦めたように笑みを浮かべてその賛辞を受け入れた。

「……恐縮です。ウェル博士、それよりもソロモンの杖をお願いいたします」

 その話はもうしたくないというように深は話題を変える。するとウェル博士もそれ以上は深堀しようとはせずに、眼鏡をかけ直しソロモンの杖が入ったアタッシュケースへと視線を移す。

「えぇ、皆さんが守ってくれたものは僕が必ず役立ててみせますよ」

「ふつつかなソロモンの杖ですがよろしくお願いします!」

「……頼んだからな」

 頭を下げた深に続いて、響とクリスもまた、ウェル博士へ杖を託してその場は解散となった。

 その後、細々とした事後処理を友里が済ませるのを待って、4人は岩国基地を後にした。

「無事に任務も完了だ。そして——」

ようやく仕事が終わってひと段落と言った様子のクリスが声を出すと軽い足取りで歩いていた響は振り返る。

「うん!この時間なら翼さんのステージにも間に合いそうだ!ねぇ深君、翼さんの特別デュオ間に合うと思……」

 翼のライブを見られることに意気揚々としていた響が深へと話しかける。しかし、話しかけられた深はというと岩国基地を振り返って見つめており、話を聞いていない様子だった。

「どうかしたかよ?」

「え?ああ……ごめん、聞いてなかった」

 クリスに話しかけられてようやく、自分に話題が回ってきていたことに気づいた深は響たちの方へと顔を向ける。

「やっぱりソロモンの杖が心配?」

 響がそう尋ねると図星を突かれたという様子で深は困ったように苦笑する。

「まあね。ある意味あれは忘れ形見、だから」

「深君……」

 自分が家族を失う原因となった。だが、自分を導いてもくれた人が残していったもの。そんなソロモンの杖に対して想うことは、きっと自分が想像している以上に複雑なのだろう。そう考えると響は言葉に詰まってしまった。

 そんな二人の様子を見ていたクリスも、基地を振り返って物思いにふけるように目を細める。だが、すぐに自分の頭をガシガシと乱暴に搔きむしるとこれ見よがしに大きくため息をついた。

「たく、センチメンタルになったって仕方ねえだろ?やることはやったんだ。お前が、んな気にすることじゃねえ」

「……そうだね。それもそうか。よし!翼さんのライブ、超特急で向かおうか」

「うん!久しぶりのステージ楽しみだな~……ありがとうねクリスちゃん」

「……るっせぇ」

 クリスが不器用にもフォローをしてくれていることに気がついた深は、うんうんと自分を納得させるように頷くと頬を叩いて気持ちを切り替えた。

 響も、茶化すことはせずに小さくお礼を言う。クリスは少し頬を赤らめるとそっぽを向いて答えた。

 そのやり取りを見守っていたあおいは通信機を取り出して、三人のテンションが上がるであろうことを伝える。

「三人が頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ」

 思惑通り、響が興奮した様子で食いついてきた。

「マジすかッ!」

 と、響が言ったのと同時に後方の岩国基地で爆発が起きる。そして、4人が事態を把握するより先に超巨大なノイズが姿を現したのだった。

「……マジすか……」

あんぐりと口を開けて驚く響。それに対してクリスと深はすぐに切り替えて襲撃してきたノイズの方へと走り出していく。

「マジだな!」

「マジだね!」

 そんな二人に慌てて響もついていくのだった。

 

 

 

 

「~~♪~~~♪」

 QUEENS MUSICライブ会場は今晩の本番に向けて準備が進められていた。照明や演出機材、バミリの確認などを大人数のスタッフが尽力している。

 その様子を観客席に座りながら見ている女が一人。長い桃色の髪を猫耳のようにして花形のピンでまとめている。そしてその髪の奥に切れ長の瞳が見える美女。彼女は優し気な曲調の歌をハミングしているがその表情は硬い。今夜のステージに何か思う所があるといった様子だった。

 「——ッ」

 ポケットに入れていた携帯電話が鳴ったことに気がつくと鼻歌を止め通話に出る。電話からは枯れた女性の声が聞こえてくる。彼女がよく知る人物だった。

≪二人ともそこにいますか?≫

「席を外しているわ。巣を作りに行っている」

≪ならマリア、貴女から彼にも伝えてください。こちらの準備は完了。サクリストSが到着次第始められる手筈です≫

「……ぐずぐずしている時間はないわけね」

 尋ねられた質問に淡々と答えるとマリアと呼ばれた女は席から立ち上がる。

「OKマム。世界最後のステージの幕を上げましょう」

 再び、準備が進められているステージへとマリアは目を向ける。その眼はきつく細められる。しかし、その奥の瞳はわずかに揺れているのだった。

 

 

 

 

 数時間が経った後、岩国基地への襲撃はようやく終息した。基地内では周辺にばらまかれた灰の除去や被害状況の確認が進められている。そんな中で友里は二課本部にいる弦十郎へと報告の通信を入れていた。

≪すでに事態は収拾。ですが行方不明者の名前の中にウェル博士の名前があります。そして、ソロモンの杖もまた……≫

 襲撃時、多くの米国軍人がノイズにより炭化され亡くなった。遺体すら残さないノイズのせいで生死の判別すら難しくなっている。そしてウェル博士もまたソロモンの杖諸共に姿を消していたのだった。

「そうか、分かった。急ぎこちらに帰投してくれ」

≪分かりました≫

 芳しくない報告を聞いて弦十郎も眉間にしわを寄せる。

「今回の襲撃、やはり何者かによる手引きによるものなのでしょうか……」

「……」

 藤尭が危惧した可能性を否定することも、確証を得ることもできず弦十郎は何も言うことが出来なかった。

 

 

 

 

 舞台は再び翼たちがいるライブ会場へと移る。会場では今まさに米国の歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴによるパフォーマンスが行われており、全世界に配信されている映像の視聴者も含めた観客のボルテージは最高潮を迎えていた。

 その盛り上がりの中、緒川は舞台裏で岩国襲撃の報告を弦十郎から受けていた。

「状況は分かりました。それでは翼さんを——」

緒川が後ろを見れば、この後のマリアとのデュオを控えた翼は椅子に腰かけ目を閉じて瞑想している。そして、翼の後ろには流生も静かに立って控えている。

ライブに向けたコンディションは良好。正直、余計な心配をさせたくはない。だが、ノイズによる襲撃があったのでは伝えないわけにはいかない。

≪無用だ。ノイズの襲撃と聞けば今日のステージを放り出しかねない≫

 そう思っていたのだが、弦十郎は緒川の考えを先回りしたように不要だと言う。どうやら翼のライブを邪魔したくない気持ちは司令も同じようだ。

「——そうですね。では、そちらにお任せします」

 通信を終えるのを見計らい、翼は緒川へと話しかける。

「司令からは一体何を?」

「今日のステージを全うしてほしいと」

「はぁ……」

 眼鏡をはずして、何食わぬ顔でこちらを向いてきたマネージャーに翼はため息をついて椅子から立ち上がる。そして、緒川が懐にしまい込んだ伊達メガネを指差しながら嘘はバレているのだと詰め寄った。

「眼鏡を外したということはマネージャーモードの緒川さんではないということです。自分の癖くらい覚えておかないと敵に足元を掬われますよ?」

「手厳しいご指摘ですね……とはいえ、そろそろ本番ではないですか?」

 指摘したというのに緒川はライブ時間を出汁にして、あくまでも白を切るつもりの様だった。そのことにムッとした翼は後ろを振り返る。自分一人ではなく流生にも緒川を説得する協力をしてもらおうと思ったのだ。

「……ねえ、流生からも何か言ってもらえない?」

「…………」

 しかし、翼が声をかけても流生は返事をしなかった。彼の黎明の空のような瞳は虚空を見つめていて、どこか上の空だ。何かを考えこんでいるようにも見えた。

「流生?」

「……え?あぁ、すいませんお嬢。本番前だってのに、ぼんやりしてました」

 再び翼が声をかけると少し遅れてようやく反応が返ってきた。流生は慌てた様子で自分の頭をガシガシと乱雑に搔きまわす。

「気が抜けてんなぁ……ちょいと顔洗ってから客席の方に行きますわ。お嬢、米国の新米歌姫なんざに遅れをとらないでくださいよ?」

 翼がそんな流生に何かを話しかける前に、流生はまくし立ててそのままその場から離れ、観客席のほうへとすたすたと歩いて行ってしまった。

 翼と緒川はその後姿に声をかけられず見送ってしまう。

「……やはり先日のことを、まだ引きずっているんでしょうか」

「……」

 緒川がつぶやいた声を聞いて、再び翼は小さくため息をついた。そして遠ざかる流生の左手に装備されているCDを見つめるのだった。

 

 

 

 

「はぁ……お嬢の声を聞き逃すなんざ……不覚だな」

 翼たちから離れた後、歩くのを止めた流生は大きくため息をついていた。

「お前のせいだぜ、この……」

 そう言って左手に装着している新たな装備CDを掲げ、右手でデコピンを食らわせる。

「素直に適応させてくれりゃこんなことにはならなかったてのによ……」

 誰に聞かせるでもない愚痴を言いながら、流生は先日2課で行われたCDの起動実験のことを思い出していた。

 米国の研究者の協力もあってついに完成した新たな対ノイズ兵装≪カンビア・ドライバー≫通称CD。その完成品であるCD-01 type:AmenohabakiriとCD-02 type:Gungnirの被験者として栴檀流生と槙野深の二名が選ばれた。

弦十郎達2課の主要メンバーや、翼、響、クリスといったシンフォギア装者に見守られながら実験は開始された。

 結果、実験は半分成功し、半分失敗した。深が起動させたCD-02は安定した同調率を出し装甲を形成した。それに対して、流生が使ったCD-01は同調率が上がらず、装甲も妨害電波の影響を受けた映像のラグのように、輪郭がブレて、姿が明滅してしまい、まともにノイズと戦える状態ではなかった。なんならば、フィーネと対峙した時の試作品よりもひどかったのだ。

「……はぁ……」

思い出すと余計に気が重くなり、流生は何度目か分からないため息をついた。ようやく戦えると思っていた矢先だというのに、この様では肩透かしもいいところだった。

「たく……何が原因なんだよ……深の奴が言うにはCD自体には問題ねえってことだし。だとしたら……」

 ぶつぶつとつぶやき歩きながら、自分が適応できなかった原因を流生は考えていた。

「おっとっ!?」

そんな風に考え事をしていたために、曲がり角から出てきた人影に気が付くのが遅れ、ぶつかってしまった。

ぶつかった衝撃で流生も数歩よろける。見るとぶつかってしまった相手の方も、転んで倒れはしなかったもののよろけて置いてあった機材に手をついていた。

謝罪をしようと相手を見て、流生は少々面食らった。というのも、相手の風貌が普通のライブスタッフとは大きく離れていたからだ。

まず、ガタイが良い。弦十郎と並んでも見劣りしないのではないかと思うくらいの筋肉がライブのスタッフTシャツの下から盛り上がって見えている。

髪の毛は街路灯のようなオレンジ味がかかった茶髪をしている。短いながらも糸のようにしなやかに軽いウェーブがかかっており目にかからないように斜めに流れていた。

口元には整えられた髭が蓄えられていて全体的にワイルドな印象を感じさせる。

立ち方や肌を見るに年は思ったよりも行っておらず、自分よりも少し上20代前半くらいだろうか。

そして、なによりも強く目を引くのは首の後ろから背中の方へと深い火傷の痕が見て取れた。

(マリア・カデンツァヴナ・イブと一緒に来日した向こうのスタッフか?それにしても……)

 どう見ても只者ではない異邦人を前に流生はそう結論付けると英語で話しかけた。

「Sorry. I was lost in thought and wasn`t paying attention to my surroundings. Are you okay?(申し訳ない。考え事をしていて周りを見ていませんでした。ケガはないですか?)」

「Ah, io sto bene. E tu, ti sei fatto male?(あぁ、こちらは何ともないよ。そちらも怪我はないかい?)」

 すると、彼も機材から手を放して姿勢を正しながら涼やかに笑って答えてくる。しかし、返事が返ってきた言葉は英語ではなかった。

(イタリア語?アメリカ人じゃないのか……)

「Anche da questa parte va tutto bene. Comunque è stata una disattenzione da parte mia.dispiace.(こっちも大丈夫です。ともかく不注意でした。申し訳ない。)……Wait? you were able to understand English just a moment a go ?(って、ん?あんたさっき英語通じてたよな?)」

すぐにイタリア語で会話を続けた流生だったが、会話が続いていることに違和感を覚えて再び英語で問いかける。

「おやおや、バレたか。なんなら日本語も通じるよ~?」

 流生の質問を聞いた男は陽気な様子で両手を広げ肩をすくめ語尾が間延びした日本語で答えてきた。

「って日本語もしゃべれるのかよ?だったらなんでまたイタリア語なんざ」

「一番使っていたからっていうのもあるが~そうだな~。日本人は知らない言葉で話しかけられるとあたふたするって聞いたから、試してみたくてねぇ~。ちょっとした悪戯心さ?」

 流生の突っ込みに大げさなジェスチャーで少し考えましたとアピールした後、お茶目だろうというようにウインクをしてくる。流生は若干呆れた視線を男に向け少し皮肉を言い返す。

「人の悪い奴だな……。だが、だったら悪いな。ご期待に応えられるリアクションじゃなくてよ」

「おやおや、そんなことはないさ。むしろ、今日、夢のデュエットが控えるこの瞬間に君と巡り合えたんだ。これは女神テュケーが仕掛けた悪戯かもしれないねぇ~。彼女は、幸運も不運も、同じ微笑みで差し出してくる。……そう、いつだってね」

「そいつは……」

 随分と含みのある言い方だと思い流生が尋ねようとする。しかし、わざと被せるように男は思い出したというようにポンと拳で自分の手のひらを叩いた。そしてピンっと人差し指を立て指揮者のように揺らし始める。

「おやおや、そろそろ愛しのミューズたちが歌いだす時間だ。君ももう行った方がいいのではないかい?」

 指揮棒のように揺らしていた指を男は流生に向けてくる。

「あんたは見ないのかよ?」

「ご心配無用さ。特等席が用意されているからねぇ」

 只者ではない。流生が少し警戒して質問すると、またまた大仰なお辞儀をして男は答えた。

「そうかよ。んじゃ、お互い楽しもうぜ」

これ以上関わっても疲れるだけな気がした流生はひらひらと手を振ってその場を後にしようとする。そんな流生を男は思い出したように呼び止めた。

「ああっと、そうそう。余計なお世話だが——」

流生が振り返ると男はお辞儀をした態勢から顔だけを上げて流生を見つめる。その表情はどこか挑発めいたものが含んでいるように感じた。

「せっかくのライブなんだ。余計なことは考えずにマリアの歌に酔いしれた方がいいと思うぜ~?」

「ハッ!ご忠告痛み入るが、あいにくだな。弁財天なら別にいるんでね」

 マリアのファンとして、翼への挑戦状と受け取った流生は負けじと勝気な表情を浮かべ言い放つと今度こそ、その場を後にするのだった。

 




今回も最後までお読みいただきありがとうございました!!

ついにマリアと3人目の男が登場しましたね!!一体どんな男なのか!そもそもお前の名前はなんなんだ!!それはもう少しお待ちください!!!

感想、お気に入り登録、評価、心からお待ちしております!いやほんと感想ほしい……
いつもしおりを挟んで読んでくださっている方々本当に励みになっています!改めてお礼申し上げます!!ありがとうございます!

それではまた次回合いましょう!!

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