装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
休日出勤やら友達のお見舞いやらで少し遅くなってしまいました。
今回あまり物語が動かないのは反省点…
よろしくお願いいたします!


第6話 bruyant:警戒?歓迎?

「なんで、学院に?」

拘束された響が連れてこられたのはリディアン音楽院だった。

普段、生徒が入ることが許されていない中央棟。その廊下を緒川と翼が先行し続いて響、その後ろを流生と深がついていくようにして歩いている。モチも深の足元についてきていた。

不安げに周りを見渡しながら響が歩いているとやがてエレベーターへとたどり着く。

5人と1匹が乗り込むのを見て緒川が自分の端末を機械にかざす。

認識が完了すると扉に隔壁が降り、四方に手すりが出現した。

翼と流生は無言でその手すりを掴む。

「あ、あの。これは…」

「響ちゃん、危ないから摑まって」

響が困惑していると、手すりに摑まった深が手を伸ばしてくる。

「え?危ないって…」

差し出された手を見て響はさっきとは別の意味で困惑した。

(手を握れってことかな!?)

今まで手をつないだことはなかった。

(あの夜ぶりに再開していきなり手を繋げというのか。ちょっと大胆すぎじゃないかな深君!ん?あの夜…っ)

混乱する頭が思い出したのはあの夜に抱きしめられた時の記憶だった。

響は顔から火が出るのではないかというくらい真っ赤になりながらおろおろと硬直していた。

すると突然、エレベーターが急速に落下を始めた。

「ぎゃああああああ!?」

「おっと」

女の子らしからぬ悲鳴を上げて響は前に倒れこむ。それを深はなんなく体でキャッチした。

手を繋ぐどころか二度目の抱擁になってしまい響の頭はショートしかけた。

深からは柑橘系の香水の匂いが少しした。コーヒーの匂いじゃなくなったんだと現実逃避気味に考えてしまう。

「大丈夫?」

「うぇ!?だ、大丈夫、大丈夫!」

赤面しながら響はぶんぶんと手を振って答える。ふとあることに気が付いてその手も固まる。

(そういえば私、全力で走った後だった!?汗の匂いとか大丈夫かな!?!?)

「ひ、響ちゃん?」

響は自分の服の匂いをすこし嗅ぐ。気づくと両手を掲げた変なポーズをとっていた。

「ナーウ」

深の足元でなにやってるのさと言わんばかりにモチが鳴いた。そしてそのまま飛び上がると響の肩に乗りそのまま落ち着いた。落下するエレベーターの中でなんとも器用なことだと響は思った。

「珍しいですね。モチちゃんが深君以外に懐くなんて」

やり取りを見ていた緒川が驚いたように声をかける。

「響ちゃんはモチの命の恩人ですから。すました顔してますけど相当喜んでいますよ」

深が説明すると、モチはなんともないといったように大きなあくびをする。しかしよく見ると根元しか残っていない尻尾が小刻みに横に振られていた。

手錠をかけられたままの手で響が指先をモチの顔の前にもっていくと頬を摺り寄せてくる。その姿を見て響は少し落ち着きを取り戻した。

するとさっきまでとは違い冷静に周りを見渡すことが出来た。そして冷たい目線でこちらを見つめてくる翼と目が合った。

「えっと、えへへ」

響は先ほどから自分の奇行を見られていたと理解しとりあえず愛想笑いでごまかそうとする。

「愛想は無用よ」

そんな響を翼は一刀に切り伏せた。突き放すような態度に少し響はしょんぼりとしてしまう。

「お嬢、なにもそんな言い方は」

「事実でしょう」

あまりにもあんまりな言いように流生がたしなめる。しかし、それすら翼は意に介さず冷たい態度を崩さない。

やがてエレベーターがシャフトを抜ける。そこには照明によって照らされた広い空間があった。どのような仕組みなのか、エレベーターはその中を落下し続けている。

壁面には極彩色の壁画が描かれている。そこには手や目、月や砂時計のようなレリーフが刻まれており、さながら何かの文字のようにも見えた。古代文明の遺跡を思わせるような風貌だ。

「これから向かう所に微笑みなど必要ないから」

荘厳な雰囲気の中、翼の言葉が空洞の中に鳴り渡りやけにはっきりと聞こえるのだった。

 

 

 

 

「ようこそ!人類守護の砦、特異災害対策機動部2課へ!」

響たちを迎え入れたのはファンファーレとクラッカー、そして赤い男の溌剌とした微笑みだった。

でかでかと飾られた横断幕には「ようこそ2課へ立花響様」と書かれており、熱烈歓迎といった雰囲気だ。そんな様子に響は口を開けて呆然とし、翼は頭を抱える。緒川と深は苦笑し、流生は肩をすくめるといった様にそれぞれ反応する。

「何が必要ないんでしたっけ?」

「…うるさい」

流生がからかうように翼に問いかける。翼は流生をにらんだ後そっぽを向いた。

すると白衣を着た女性が響の下へやってきて手に持つスマホを使って自撮りを取ろうとする。

「さあ、さあ、笑って笑って~♪お近づきの印にツーショット写真~」

「い、嫌ですよ。手錠を付けたままの写真だなんてきっと悲しい思い出として残っちゃいます!それにどうして初めて会う皆さんが私の名前を知っているんですか?」

響は、ちらりとは深の方を見る。深が響のことを話しているのならば一応の納得はできるというものだった。

その視線に気づいた深は首を横にふるう。この人たちが響のことを知っていることとは無関係だと主張していた。

すると、赤いシャツの男性が手品のステッキを振るいながら得意げに答えた。

「我々二課の前身は大戦時に設立された特務機関なのでね。調査はお手の物なのさ」

器用にステッキを花束に変えている。

傍らにいた女性が響のカバンを取り出してくる。

男性のそんな姿に流生が呑気に小さく拍手を送っている。

「のあ~私のカバン!何が調査はお手の物ですかカバンの中身、勝手に調べたりなんかして!!」

響の方は呑気とはいかなかった。自分のカバンを勝手に調べられたのだ。プライバシーの保証もあったものではない。カバンを取り返すべく二人に近づきながら抗議の叫びをあげる。

「はぁ…緒川さんお願いします。」

「はい」

そんな姿に翼はため息をつき、隣にいる緒川に声をかけた。緒川は笑みを崩さずにそれに答えた。

 

 

 

 

それから数分後、緒川が響の手に付けられた高速具を外しテーブルの上に置いた。

「あ~ありがとうございます」

手が軽くなった響が腕をこすりながら緒川にお礼を言う。

「いえ、こちらこそ失礼しました」

緒川は朗らかに響に答えた。すると赤いスーツの男と白衣の女性が響に近づいてくる。

「では、改めて自己紹介だ。俺は風鳴弦十郎。ここの責任者をしている。」

「そして私はできる女と評判の櫻井了子、よろしくね♪ほら貴方たちも自己紹介しなさい。まあ、深の方は知り合いみたいだけど。」

櫻井了子と名乗った女性は響の後ろにいる男子二人に声をかける。

「まあ、うんそうだね。改めて僕は槙野深。今はこちらの櫻井了子先生の助手をしているよ。」

よろしくと深は朗らかに笑う。そして、流生と呼ばれていた少年の方を見る。すると少年は一歩前に出て挨拶をしてくれた。

栴檀流生(せんだん るい)だ。お嬢…風鳴翼の世話役兼避難誘導など戦闘の補助をしている。」

よろしくと流生は素っ気なく答える。まだ響への警戒心が解けていない様子だった。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

4人に響はぺこりと頭を下げる。そんな響に弦十郎は話を続けた。

「君をここに呼んだのはほかでもない。協力を要請したいことがあるのだ」

「協力って…あ」

ここまでの怒涛の流れで忘れてしまっていたことを響は思い出した。深たちと合流する前響は突如、謎のパワードスーツを着て、ノイズを撃破していた。その理由を一切説明されていなかった。

「教えてください。あれはいったい何なんですか」

ノイズを殲滅する力。そんなものが存在し、そして自分が持っているのは何故なのか。響は答えを求めて懇願する。

弦十郎と了子は目を合わせると頷きあった。そして了子が前に出て響に指を二本差しだす。

「貴女の質問に答えるためにも、二つばかりお願いがあるの。最初の一つは、今日のことは誰にも内緒。そしてもう一つは…」

了子は響の腰に腕を回す。そして頬を赤らめながら耳元で囁いた。

「とりあえず、脱いでもらいましょうか」

響は言われた言葉を理解するまで数秒かかった。理解すると頬を赤らめ半分泣きながら叫んだ。

「だから、なんでぇぇぇぇ!!!」

「先生、そんな誤解を招く言い方をしないでください。響ちゃんが怖がってますよ」

見かねた深が二人に近づき了子の両肩を掴んで引きはがす。

「大丈夫よ~、メディカルチェックをするだけだから♪まぁ体の隅々までじっくりねっとりするんだけどね」

「だからそういう言い方が…響ちゃん、言い方はあれだけど先生は変なことをする人じゃないから…たぶん…」

「たぶんっ!?」

自信なさげにつぶやかれた言葉に響はさらに悲鳴を上げる。一体これから何をされてしまうのかと不安が募ってしまう。

冷静でいられなくなった様子が伝わったのか深が慌てた様子でフォローを入れた。

「だ、大丈夫!僕も補助するから変なことはさせないから!」

「え゛っ゛!?」

「え?」

しかし、そのフォローは逆効果だった。本日何度目かは分からないが響は女の子が出しちゃいけない野太い悲鳴を上げてしまう。釣られて深も驚きの声を上げてしまった。

「い、いや~深君には手伝ってもらうわけには…」

その後、徐々に声音を小さくしながら響は深から目をそらして拒否を伝える。

「?心配しないで。これでももう1年は先生の助手をしてきているからメディカルチェックくらいならなんてことはないよ」

曇りなき眼で深が響を見つめてくる。響はいたたまれなさを感じながらも目を合わせられないでいた。

「…え、い、いやそうじゃなくて。だって、脱ぐって…」

先ほど了子は脱ぐように言ってきていたのである。ただでさえ同性であっても知らない人の前で脱ぐことは恥ずかしい。それだというのに深までいるとなっては耐えられるわけがなかった。最近は食欲も増してご飯をモリモリ食べていたのである。ファットなお腹だね、なんて言われた日には響はきっと立ち直れないだろう。へいきへっちゃらなんて言える自信がなかった。

「はは~ん」

そんな二人の様子を見ていた了子は眼鏡をくいっとかけ直した。流生と翼にはその眼鏡がなんだか怪しく光ったように見えた。了子はわざとらしく顎に指を置いて考えるポーズと取る。その後今思いつきましたよと言わんばかりに手を叩いた。

「そういえば響ちゃん、ここに連れてこられるまで何も食べてないんじゃない?」

「へ?」

突然話しかけられ響は困惑する。それは確かに夕食を食べ損ねていた。しかし、地下にはパーティーのような準備がなされており軽食も用意されていた。それに度重なるイベントを前にして正直そこまでお腹はすいていなかった。

響が首を振り断ろうとするとそれ動きを制するように了子が割って入る。

「夜も遅くなるし、何かご飯を食べたほうがいいわよね~」

「?いや先生それなら準備されてる軽食を」

「食べ盛りだもの。何か食べないと辛いわよね~」

深はまだピンと来ていない様子だったが、響はここで了子の真意に気づいた。助け舟を出されているのである。

「は、はい!私、立花響。実はお腹がすいて倒れそうです!」

響はこれ幸いと了子の出した助け船にトムクルーズもかくやというほどの食いつきで乗っかった。

「あぁそれはよくないわ~。ということで深、これで何か買ってきてあげて」

了子は財布から1万円札を取り出すとそのまま深に手渡しする。

「え、いや僕も先生の補助を」

「い・い・か・ら」

受け取った深が困惑するがそんなことはお構いなしに封殺した。

深は納得できないようだったが渋々といった様子で財布に一万円を入れる。

「はあ、それじゃあ響ちゃん。何か食べたいもののリクエストとかある?」

「うぇ!?ええっとう~んと…」

作業は手伝わせてもらえないだろうと観念した深が響にリクエストを尋ねる。しかし、とっさのことで響は何を頼んでいいか悩んでしまう。

(と、とりあえず時間のかかりそうなもの…ハンバーガーいや、天丼でも…)

乙女回路を全力で回し、自分の恥ずかしい検査が終了するまでに必要な時間を予測で概算する。そしてその時間以上に準備に時間がかかる料理は何かを響は脳の全細胞を使って導く。

「あ!鍋!!」

「分かった鍋ね…な、鍋?」

結果、算出された回答が鍋であった。あまりに予想外な答えに深は思わず聞き返してしまう。

「鍋っ!!」

「なぜそこで鍋っ!?」

あまりの困惑に深は語気を強めてしまう。

響は何故だろう、その台詞はもっと後な気がすると変なことを考えてしまった。深く考えようとするといけない気がしてそれ以上は考えることをやめた。閑話休題。

響も鍋はないだろうと言ってから思ったがそこで変えても不審がられるだけと判断し、力押しで解決することに決めたのだった。

「ちょ・・え?え?る、流生さん助けてください」

響のあまりの勢いにどうしたらよいのか分からなくなった深は流生へと助けを求めた。

流生はそのやり取りを見て額に汗をにじませ苦笑いをしている。この子まじかとでも言いたげな表情だった。

流生が隣にいる翼の方を見ると、私は関係ないとでも言いたげに翼は流生に視線を合わせようとしなかった。

「…しょうがねぇな。〆は…お歳暮でもらったうどんがあったな。嬢ちゃん、それでいいかい?」

めんどくさそうに頭をかきながら響の方に〆の確認をした。

「え!あ、はい!お構いなくっ!」

「だそうだ。家にあるから取りに行ってきます。深、行くぞ」

「えぇ…?」

流生は翼に報告をいれる。翼は無言のまま頷いた。とりあえず主の了承は得られた。そして呆けている深の腕を引っ張ってこの場を後にしたのだった。

「さて、これでいいわね♪」

「は、はい。ありがとうございます。」

二人がいなくなったのを確認すると了子は手を合わせて響に確認を取る。響も安心したように力を抜き了子にお礼を言った。そして二人も検査のため部屋から出ていくのであった。

廊下を歩き、しばらくすると了子の方から響へ話しかけてきた。それもかなりニヤついた様子だった。

「やっぱり好きな男の子に体を調べられたくはないものね~」

「うぇ!?あ、あのし、し、深君とはそんな仲じゃなくてですね」

「なるほど~やっぱりそういう時期か。いいわねぇ~初々しくてお姉さんドキドキしちゃう~」

両手を頬に当て了子は体をくねらせている。そんな了子に響は意を決して聞きたかったことを尋ねた。

「…あの、深君は了子さんの助手をしているんですよね?」

「ん~そうよ~優秀なのよ彼。私の櫻井理論を8割程度はもう理解しているじゃないかしら~」

「えっと、どうして深君は了子さんの助手をしているんですか?」

それは響が気になっていたことだった。少なくとも一年半前まで深は成績の良いただの普通の中学生だった。それが今はよくわからないが政府の特殊施設で博士のような人の助手をしているというのだから気にするなという方が無理である。

その質問をされ、体をくねらせていた了子の動きがぴたりと止まる。表情も笑顔から困った顔に変わった。

「それは…」

「それは?」

「…まあ、最初に私の口から伝えるべきことじゃないわね。多分、本人に聞いてもなかなか教えないと思うけど…」

「そんな…」

煙に巻く了子の言葉に響はもやもやしてしまう。

「私から言えることはそうね…まあなんとなく、昔の自分に似ていたから拾った、ってことだけかしら」

「了子さんの昔ですか?」

詳しく尋ねようとするが着いたと了子に言われる。そこには検査室と書かれた扉があった。

「まあ、積もる話は後で鍋でも食べながらしなさいな」

そうして話は無理やり終わらされ、部屋の中に通される。

それから数分後

「いやああああああああ!!!」

響は了子の言葉通り、ねっとりじっくりと隅々まで調べられるのであった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます!
そういえばようやく流生の名字を出すことが出来ました。
せんだんです、せんだん
読みにくいですねごめんなさい!
感想待ってます!!!!
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