装者の男女恋愛が見たいッ!戦姫絶唱シンフォギア SLS   作:ふみー999

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どうもふみー999です。
なんとか今回はいつも通りに投稿できました。
UAがどんどん伸びて行っていてありがたさでいっぱいです!
今回もよろしくお願いします!


第8話 motif:決断

響が2課で検査を受けてから数日後の放課後、響は教室で帰り支度をしていると、クラスメイトの創世、詩織、弓美の三人が話しかけてきた。その後ろに未来も一緒にいる。

「ビッキー、これからフラワーに行ってみない?」

「フラワーってお好み屋さんの?ごめん、今日は別の用事が入っているんだ」

「また呼び出し?それとも噂の彼氏?」

「か、彼氏じゃないってば!?もう、未来さてはみんなに話したでしょ!」

不意の質問に響は慌てて否定する。そして未来の方を見ると手を合わせて謝る未来の姿があった。

「ごめん。つい口が滑っちゃった」

「その話、詳しく聞きたいです~なんでも昨晩一年ぶりに再会して熱い夜を過ごしたとか~」

「ちょっと!?その言い方だととても誤解を招くような気がするよ!?夕飯を一緒に食べただけだよ!」

「それで鍋持って帰ってきたんでしょ?どういう状況よ」

「あはは、それはその、いろいろあったと言いますか」

痛いところを突かれて苦笑いでごまかすしかなかった。あの時は脱げと言われて気が動転していたのですと頭の中で誰に聞かせるでもない言い訳をする。

「あんたってばアニメみたいな生き様しているわね」

「それで、今日はどっちなのよ」

「まあ、呼び出しの方」

ばつの悪そうに響が言うと創世は納得したように答える。

「あ~そっちか、まあ仕方ない。じゃあまた今度誘ってあげるね」

「うん、ありがとう」

「今度きちんと彼氏のこと紹介しなさいよ~」

「だから彼氏じゃないんだって~」

響の言い分を聞き流しながら三人は先に教室を後にした。未来だけがその場に残った。

「響、私にもちゃんと今度紹介してよ?1年前のお礼もできてなかったんだから」

「う、うん。もちろんだよ未来。」

「後、この間の件についてもちょっと文句も言いたいし。浮かれていたとはいえ連絡くらいはしてよね。心配したんだから。」

「う、ごめんなさい。反省しています。」

肩を落として響は謝罪を口にする。深からの不意打ちでノックアウトしていた後、冷静になった響は未来にどうして遅れたのかと問われた。ノイズに襲われたこと、そして深と再会したこと、一緒にご飯を食べてきていたことを響は未来に説明した。事前に深から問われたとき用に言い訳を伝えられていたのである。それならばすぐに連絡するよう未来にこってり叱られてしまった響なのであった。

「大いに反省してください。それじゃあ私は安藤さんたちと行ってくるね」

「うん、行ってらっしゃい」

未来が教室を出ていくのを見送り響はため息をつく。嘘をついて隠し事をするのはやっぱり心苦しい。

「私、やっぱり呪われてるかも…」

そうつぶやいてため息をもう一度つく。そして立ち上がり出口に向かおうとしてそこに人影が立っていることに気が付いた。そこに立っていたのは、こちらに決して目を合わせようとしない風鳴翼だった。

「重要参考人として再度本部まで同行してもらいます。」

淡々とそう告げると響の腕にいかつい手錠をかけてくる。

「な、なんで~」

響は泣きそうになりながらそうつぶやくのだった。

 

 

 

 

リディアンの地下、特機部二の基地内部。響は翼や深、弦十郎や了子など数名の職員に囲まれながらソファーに腰掛けていた。

「それでは~先日のメディカルチェックの結果発表~初体験の負荷は若干残っているものの、体に異常はほぼみられませんでした~」

「ほぼですか」

了子が楽しそうな雰囲気でディスプレイに表示されている心電図等の様々なグラフを指示棒で刺しながら話をする。そのグラフを響は拘束具が外された手をさすりながら見た。そんな様子を見て了子が落ち着き声をかける。

「そうね、貴女が知りたいのはこんなことじゃないわよね」

「シンフォギア…については深君に聞きました。」

「ちょっと深、貴方勝手に話したの?」

了子は深の方を見ると、深は了子からばつが悪そうに目をそらした。

「…まあ、周りに誰もいませんでしたし、教えないまま過ごすのも目覚めが悪いと思いまして」

「最重要機密なんだからその辺の意識はしっかり持ちなさい」

そんな深に了子はピンと指を立てて注意する。

「は~い、すみません」

「ちゃんと分かっているのこの子は~」

「わ、ちょ先生、髪をぐちゃぐちゃにするの止めてくださいよ。分かりました、分かりました反省しましたから」

軽い返事をする深の頭を了子は両手でわしゃわしゃとかき回す。さすがに堪えたのか深も素直に謝罪する。しかし、

(…あれ?なんだか嬉しそう?)

頭をかき回されている深の様子がどことなく楽しんでいるように響は感じた。乙女の勘が危機を告げている。むすっと了子と深を見ているとその様子に気が付いたのか了子が深に絡むのを止めた。

「さて、とりあえずこの子が説明したのならシンフォギアについての説明は省くわね。この子に聞いたこと以外で何か聞きたいことはある?」

響も本題から脱線していたことに気が付き、気を取り直して質問をする。

「シンフォギアが聖遺物?というのを軸にしているのは教えてもらったのですけど、私はそんなものを持っていません。それなのに何故なんですか?」

「それについてはこれを見てくれ」

響の疑問に対して深が答える。そのまま持っている端末を操作すると先ほどまで心電図が映し出されていた画面にレントゲン写真が現れる。

「これが何なのか君には分かるはずだ」

「はい、二年前の怪我です。私もあそこにいたんです。」

「…やはりか」

弦十郎が問いかけると響は少し驚いたように答える。翼は視線だけで反応し、流生は独り言のようにつぶやいた。了子が続いて説明を続ける。

「心臓付近に複雑に食い込んでいるため手術でも摘出不可能な無数の破片。調査の結果この影はかつて奏ちゃんが身に纏っていた第三号聖遺物、ガングニールの砕けた破片であることが判明しました。」

「…!」

「奏ちゃんの…置き土産ね」

「っ!お嬢っ」

了子の言葉に翼は目を見開き動揺を露わにする。手足は震え倒れそうになるところを流生が肩に手を置き支える。流生は弦十郎を見て頷くとそのまま翼を連れて部屋の外に出ていった。

「あの…」

「ん?どうした?」

出ていく翼たちを弦十郎たちが見送っていると響が立ち上がり質問を投げかける。

「この力のこと、やっぱり誰かに話しちゃいけないのでしょうか」

「君がシンフォギアの力を持っていることを何者かに知られた場合、君の家族や友人、周りの人間に危害が及びかねない。命に関わる危険性がある」

「命に関わる…」

弦十郎はしっかりと響を見据え、状況を淡々と説明する。周りの人間に危害が加わる可能性を提示され響の脳内には親友の顔が浮かんだ。

「俺たちが守りたいのは機密などではない。人の命だ。そのためにもこの力のことは隠し通してもらえないだろうか」

「貴女に秘められた力はそれだけ大きなものだということを分かってほしい」

「人類ではノイズに打ち勝てない。人の身でノイズに触れることはすなわち、炭となって崩れることを意味する。そしてまた、ダメージを与えることも不可能だ。」

弦十郎も了子も諭すように優しい口調で話を続けていく。響の目には動揺が見て取れた。

それでも弦十郎は穏やかに、しかし、強い意志の籠った言葉を響に投げかける。

「たったひとつの例外があるとすればそれはシンフォギアを身に纏った戦姫だけ。日本政府特異災害対策機動部2課として改めて協力を要請したい。立花響君、君が宿したシンフォギアの力、対ノイズ戦のために役立ててはくれないか」

弦十郎の話を聞き響は少しうつむいてしまう。すると今まで口を閉ざしていた深が弦十郎を見据える。

「強制は、しないですよね?指令」

「もちろんだ。あくまでも協力要請。どうするかは彼女が決めることだ。」

その言葉を聞いた深が今度は響の方を見る。響も顔を上げると深の目を見た。その瞳には響の身を案じる深の心情が映っていた。

「響ちゃん、無理に君が戦う必要はない。例えシンフォギアを纏うことが出来たとしても君が行かなければならないのは戦場だ。当然命を落とす可能性だってある。それをよく考えてから返事をしてくれ。」

響に逃げ道を用意しようとする言葉、君が戦わなくていいと言外に伝えてくれていると響は理解できた。その言葉を聞き、響は一度目を閉じるともう一度深を見つめる。開いた瞳にはもう迷いは映っていなかった。

「心配してくれてありがとう深君。でも、私の力で誰かを助けられるんだよね?」

「それは……その通りだけど」

「それなら、分かりました。私、戦います。」

こうして響は戦う決意を表明した。その言葉に弦十郎と了子は満足げに頷く。

深だけは目を伏せていた。

 

 

 

 

廊下の休憩スペースに翼と流生はいた。流生は自販機からカップのお茶を購入すると翼に渡す。受け取った翼は口を付けずうつむいたままだ。

「……受け入れがたいですね」

「あのギアは、奏のものだ」

見かねた流生が声をかけると翼は吐き捨てるように言う。翼の手にある紙コップが力を入れられ少し凹んだ。瞳は悲しみに揺れていた。

流生は自分の飲み物を飲んで天井を見る。

(くそ、かける言葉が見つからねぇ……)

比翼は片翼となり、己が半身の影を探して、嘆きを歌って戦場を飛ぶ。

ずっと近くで見てきた流生だから知っている。翼が奏をどれほど慕っていたのかを。

翼はまだ奏の影を引きずっている。前に踏み出せていない。

流生は先ほどまでいた部屋の扉を見る。どうやらまだ話は続いているらしい。今頃は弦十郎があの少女に協力要請をしているのだろう。

(あの時助けた二人が、揃いも揃ってこうして巻き込まれちまうなんてな)

立花響と槙野深。あの時、奏を犠牲にしてまで流生が助けた二人がこうして二課と関わりを持ってしまった。

流生は考えてしまう。きっと奏はこんな状況を望んでなどいなかった。目の前で倒れている二人が平穏に暮らしていけるように、それを願って最期の歌を歌ったはずだ。

(……土産を置いていくなら俺に残していってくれよ、姐さん)

もし、あの時ガングニールの欠片を受けていたのが自分であったのならば、あるいは翼の悲しみも少しは癒えたのだろうか…

「なんて運命だ」

流生は吐き捨てるようにつぶやくとゴミ箱に紙コップを捨てた。

すると弦十郎たちがいる部屋の扉が開き中から響と深が出てくる。響は溌剌とした笑顔をしており、深はどこか浮かない顔だった。

「私戦います!」

翼の前にやってくると気負うことなくそう響は言い放つ。

その姿に翼は絶句する。

「慣れない身ではありますが、頑張ります。一緒に戦えればと思います!」

そして翼に向けて手を差し出し握手を求めた。

「……」

翼はその手から目をそらしてしまう。

「……あ、あの一緒に戦えればと……」

「遊びじゃないんだぞ?」

流生が横から割って入る。すると響は流生の方を見た。

「え、えっと分かっています。私の力で誰かを助けられるなら助けたいんです。」

流生は響の後ろの深をにらむ。ちゃんと説明したのかと、この子は理解しているのかと。

すると深は静かにうなずいた。

「あ、あの栴檀流生さんですよね?」

響から名前を呼ばれて流生はもう一度響を見る。

「弦十郎さんから聞きました。2年前怪我をした私を避難させてくれたのが流生さんだって。先日の件も合わせてありがとうございます。」

そういって響は頭を下げお礼を言う。

「……礼なら姐さんに言ってくれ」

不意の礼に面食らってしまった流生はぶっきらぼうに言い放つ。

すると突然廊下の照明が暗くなり、警報音が鳴り響いた。

 

 

 

響たちが発令所に戻るとすでにオペレーター達が慌ただしく端末を操作していた。

「ノイズの出現を確認!」

藤尭がコンソールパネルを操作しながら報告を行う。

「本件を我々2課で預かることを1課に通達」

報告を聞いた弦十郎が冷静に指示を出す。すると今度は友里からの報告が来る。

「出現位置特定、座標出ます!…ッ!?リディアンより距離200」

「近いッ…周辺の生体反応は?」

響と一緒に発令所にやってきた深は自分の席に飛び込み端末を操作し始める。数秒も立たないうちに結果が算出された。

「半径一㎞……生体反応ゼロです」

「…了解だ」

深も、弦十郎も悲痛な顔をする。弦十郎の方はすぐに気持ちを入れ替え冷静な顔つきになった。リディアンから200と近い距離、周辺には民家や雑居ビルなども多く存在する。それにも関わらず生体反応がないということはそういうことである。

「迎え撃ちます」

話を聞いていた翼が扉に向かい駆けだす。それを見た響も一瞬逡巡したが翼の後に続こうとした。

「待つんだ!君はまだ」

弦十郎はそんな響を引き留めようとする。しかし、響は振り返ると決意の籠った眼をして言う。

「私の力が誰かの力になるんですよね?シンフォギアの力でないとノイズと戦うことはできないんですよね?だから行きます!」

響はそのまま外へと飛び出していった。

「危険を承知で誰かのためになんて、あの子いい子ですね」

「果たしてそうなのだろうか。」

飛び出していった響を見て藤尭が感心した様子で告げる。その一方で弦十郎はその姿に疑問を抱いた。

「翼や流生のように幼い頃から戦士としての鍛錬を積んできたわけではない。ついこの間まで日常の中に身を置いていた少女が誰かの助けになるというだけで命を懸けた戦いに赴けるというのは、それは歪なことではないだろうか」

「そういう子なんです。」

弦十郎の疑問に答えたのは深だった。深はコンソールを凝視したまま拳を強く握る。

「自分の身が危険でも、誰かのためになら命を懸けてしまう。あの子はそういう子なんです。だから……」

絞り出すような声でそういうと意図を汲み取った了子が言葉を続ける。

「だから戦いに巻き込みたくなかった。」

深は目線を変えず静かに頷く。そんな教え子から目を離し中央モニターに目を移す。

「あの子もまた。私たちと同じこっち側ということね。」

了子の言葉を聞いて深もモニターを見る。すると深の隣に流生がやってきていた。

「行かなくていいんですか?」

「……お前が言ったんだろう?周辺に避難する人間がいない以上俺が行く名分がない。それに……」

「それに?」

流生は少し言いよどんだ後言葉を続けた。

「……お嬢に二人も、お守させるわけにはいかねえだろう」

歯ぎしりをしてモニターを流生もにらみつける。

「悔しいですね」

「ああ、まったくだ。歯がゆいよ。」

モニターには数多のノイズに囲まれている翼の姿が映し出されていた。

 

 

 

 

夜の幹線道路の上に翼はノイズに囲まれて相対していた。

ノイズはドロドロに溶けあうと一つに混ざり合い、やがて巨大ノイズとして再形成されると邪悪な咆哮をあげる。

 

Imyuteus amenohabakiri tron(羽撃きは鋭く、風切る如く)

 

戦場に戦姫の歌が響く。そして翼の全身にシンフォギアが形成装着された。

 

颯を射る如き刃 麗しきは千の花

宵に煌めいた残月 哀しみよ浄土に還りなさい

 

ギアの着装が終わると翼は巨大ノイズに向かって突貫する。ノイズはそれを向かい撃つため背中についている複数の突起をブーメランのようにして射出する。

翼は足のブレードを展開するとそれらすべてを切り落とし自身の剣を大剣へと変化させた。

「やああ!!」

「っ!?」

翼が反撃を仕掛けようとした瞬間、空中から響が飛び蹴りをノイズに食らわせひるませる。

「翼さん!」

今だと言わんばかりに響が翼を呼ぶ。翼は苛立ちを露わにしながら、落下する響には目もくれずノイズを見据え高く飛び上がる。

「はあああああ!!」

 

蒼ノ一閃

 

裂ぱくの気合と共に大剣から青い斬撃は放つ。ノイズは一閃にて真っ二つに裂けて爆発した。翼は着地するとただ無言でその火を見つめ続けた。

「翼さ~ん」

響が嬉しそうにそんな翼の下へと駆け寄ってくる。翼は微動だにしない。

「私、今は足手まといかもしれないけれど一生懸命頑張ります!だから私と一緒に戦ってください!」

憧れの人と一緒に戦える。その喜びに響の声は上ずる。

「……そうね」

「!」

少ししてから翼は答えた。受け入れてもらえたと思った響は嬉しさを隠さず口角が上がってしまう。しかし、返ってきた言葉は響が予想していたものとは異なっていた。

「貴女と私、戦いましょうか」

「へ?」

翼は不敵な笑みを浮かべて、響の眼前に切っ先を向けたのだった。

「え、えぇ?」

響はただただ困惑するしかなかった。

 




今回でようやく2話が終わりました!設定の解説が多くて大変でした~
いやはや、執筆速度上げたいな~

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