ある魔法少女の物語   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

恭一とまり恵は魔法少女を探し、ジュウげむと出会う。
二人は墜落の魔女と戦う魔法少女カタリナを助け、魔女を倒す。
ジュウげむは魔女を倒す事で災いが消えると説明するが、恭一はジュウげむの方法に疑問を持つ。しかし、カタリナはジュウげむを信じ、恭一も奈穂子を守るために戦う事を決意するのだった。


第8話 戦う理由

 恭一達は新たな魔法少女、カタリナと出会った。

 彼女にジュウげむを疑わせようと恭一は話したが、

 カタリナはなかなか恭一の言う事を信じようとしなかった。

 見ず知らずの人間に何か言われても、説得力は全くと言っていいほどないからだ。

 

「それじゃ、私は魔女を探しますね」

「おい、待てよカタリナ」

「恭一君、失礼な事を言わないで! ごめんなさい、カタリナさん」

 カタリナを呼び捨てで呼んだ恭一を奈穂子は注意した後、カタリナに謝る。

「……あの、失礼ですが、カタリナさんが魔法少女になったきっかけは何ですか?」

「……父との不仲を解消するためです」

 どうやら、カタリナは魔法少女になる前、

 父と何か揉め事があったらしく、それを解決するために魔法少女になったらしい。

 最年長の魔法少女らしい、重めの願いだ。

「といっても、私が一方的に揉めただけですので、責任を取るために魔法少女になりました」

「……」

 カタリナの傍にいるルーナは、何も語らない。

「それが、お前が魔法少女になった理由か。カタリナ、本当に親孝行だな」

「ええ、そう言ってくださると嬉しいです。それで、あなたはこれからどうするのですか?」

「いつも通りに過ごすよ。

 でも、ジュウげむは事あるごとに奈穂子を魔法少女にしようとするから、

 俺が守らなきゃならねぇ」

「まぁ! あなた、魔法少女じゃないんでしょう?」

「俺だってびっくりしたよ。魔法少女以外にも町を守れる奴がいたなんて」

 魔法少女でないにも関わらず、恭一が魔女と戦える事に驚くカタリナ。

 彼も驚いて、ぽりぽりと頭を掻いている。

「ま、俺は奈穂子が魔法少女にならなければいいんだけどな」

 恭一が戦う理由は、幼馴染の奈穂子を魔法少女にしないためである。

 彼女こそが恭一にとっての存在意義であり、また、奈穂子も彼にとっての存在意義だ。

 魔法少女は確かに素晴らしい能力を持つが、危険な目に遭わせてしまうという事。

 そんな事は絶対にさせないと、恭一は魔女と戦っているのだ。

「ふふっ、あなたにも守りたいものがあるのですね。

 私、少しだけですがあなたを信じたくなりました」

「!」

 カタリナの心が少し開き、恭一は思わず胸に手を当てる。

 彼女は、口角を上げていた。

「そのひたむきな思いが、この世界を平和にするでしょう。それでは、私はこれで」

「じゃあな、カタリナ」

 そう言って、恭一とカタリナは別れを告げた。

 

「それじゃ、奈穂子もまた明日な」

「うん」

 そして、恭一と奈穂子も、それぞれの家に帰った。

 ちなみにまり恵は、既に自宅に帰っている。

「できれば明日は魔女が来ない方がいいんだが……」

 

 その日の夜。

 奈穂子は、何故か寝付けないでいた。

「うぅ~ん……なんだか眠れないなぁ。お父さんとお母さんはもう寝てるし相談はできないなぁ」

 奈穂子は目をしょぼしょぼさせながら、ベッドの上で目をこする。

 すると、ベッドの上で何かの音がした。

「だ、誰?」

 目を凝らしてよく見ると、ジュウげむがベッドの上に載っていた。

 まずい、と思った奈穂子は警戒するが、眠そうだったので思うように警戒できない。

「ジュウげむ……! まさか、私と契約する気なの……!?」

 奈穂子がそう言うとジュウげむは首を横に振った。

「今のキミのような健康じゃない人を魔法少女にしても意味はないよ。

 万全な体制じゃないと、魔女に勝つ、つまり災いを退ける事はできないからね」

「あなたは、どうしても私を魔法少女にしたいの?」

「キミが一番、魔法少女の素質が強いからね。でも、いつもいつも邪魔が入るんだ」

 ジュウげむ曰く、奈穂子が魔法少女になれば、ありとあらゆる災いを退けられるという。

 しかし、奈穂子の幼馴染の恭一は彼女を魔法少女にしたがらず、

 また彼女自身も恭一を信じているため一向に魔法少女になる気配はない。

 その事がジュウげむにとって不都合だとか。

「まぁ、キミが何と言おうと、キミは必ず魔法少女になる運命なんだ。

 運命に逆らおうなんて思わない方がいいよ」

「……それでも、私は運命に逆らってみせる。魔法少女になる運命なんて、打ち砕いてみせる」

 奈穂子は真剣な表情で、ジュウげむと向き合った。

 

「それじゃ、さよなら、奈穂子」

「……さようなら、ジュウげむ」

 奈穂子はジュウげむに手を振って、テレポートで姿を消す彼(?)を見送った。

 

「恭一君、私なら大丈夫。私、魔法少女にはならないからね」

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