お金のない夜凪(偽)さん   作:貯金は大事

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 皆様、本当にありがとうございます。

 今回も短いです。


scene.3 包み込む夜空

 

 日が経つのは早いもので、星野さんと出かける約束した日が来てしまった。初めて友人(?)と出かけるのだ。なんだかとても緊張する。

 

「おまたせ、夜凪さん」

 

「全然待ってないわ」

 

「じゃあ行こっか。今日はよろしくね」

 

 そう言って微笑む星野さんにドキッとする私であった。

 そして私たちは映画館に向かった。映画は私が気になっていた恋愛映画にしてみたのだ。原作が小説のやつで、ずっと気になっていたのだ。

 

「これ前から見たかったやつだ!」

 

そうはしゃぐ星野さんは何処か幼く見えた気がした。

 

「そうなの?」

 

「うん!」

 

「星野さんは恋愛映画で大丈夫だった?」

 

「大丈夫だよ。夜凪さんと一緒に見たかったし」

 

「そっか……」

 

 そう言って微笑む星野さんにまたドキッとする私であった。お互い同性であるのにこの破壊力…なんとも末恐ろしい。私のバカな考えは置いておいて私たちは席に着いた。上映が始まるまで少し時間がある。私は緊張しながらも、星野さんと話していた。話題は恋愛だ。

 

「星野さんは、好きな人とかいるの?」

 

 そう私が聞くと少し驚いた顔をしてから微笑んで言った。

 

「えー、夜凪さんこそいないの?」

 

「私はいないわ」

 

「そっかぁ……私はいるよ。ちょっとだけ歳が離れてるけど」

 

 そう言って彼女はまた微笑んだ。その微笑みがとても綺麗で思わず見惚れてしまった。

 彼女の中にはあるのだろう…“愛”と呼べるものが。この瞬間、無性にそれがなんなのか知りたくなった。小さい頃に壊れた私の“愛”に関する感情。

 

 それを知りたいと強く思った。

 

「星野さん、好きな人ってどんな人なの?」

 

 私がそう聞くと彼女は少し考えてから言った。

 

「んー……その人はね、すっごく優しいんだ」

 

 そう言った彼女の横顔は今まで見た中で1番美しかったと思う。

 

「そうなのね……」

 

「うん!あ、そろそろ始まるみたい」

 

 そう言って彼女は前を向いたので私もそれに倣った。映画が始まったが私は全く集中できなかった。彼女のあの表情が頭から離れないのだ。

 映画を見終わった私たちはカフェでお茶をしながら話していた。

 

「星野さんはその人と付き合いたいの?」

 

 そう私が聞くと彼女は少し驚いた顔をしてから言った。

 

「うん……付き合いたいよ。あわよくば結婚したい」

 

 そう言った彼女の顔はとても綺麗だった。その顔を見て私はまたドキッとした。どうも彼女は人たらしだ。ん?今結婚って言ったか?わー、おませさんだ。

 

「そっか……星野さんは凄いね」

 

 私がそう言うと彼女は不思議そうな顔をして言った。

 

「どうして?」

 

「……私、恋愛ってよく分からないの。だから人を好きになる気持ちも分からないし、人を好きになりたいとも思わないから……」

 

 私がそう言うと彼女は少し考えてから言った。

 

「夜凪さんにもいつかきっと分かるよ」

 

 そう言って微笑む彼女をみて私は思った。彼女は今を生きているんだなと。喜怒哀楽をその場で表現するその無邪気さが羨ましい。私が今を生きていたのはいつだっただろう……。もう忘れてしまったが、きっと今の私ではもう出来ないことだろう。

 

「星野さんありがとう」

 

 そう言って私は微笑んだ。彼女は少し驚いた顔をした後にまた微笑んで言った。

 

「こちらこそだよ!夜凪さん!」

 

 そう言った彼女の笑顔はとても綺麗で思わずまた見惚れてしまった。それから私たちはいろんな話をした。好きな食べ物や趣味など他愛もない話だったがとても楽しかった。そして別れ際に彼女が言った。

 

「ねぇ夜凪さん、良かったら連絡先交換しない?」

 

「……うん」

 

 私がそう答えると彼女は嬉しそうに微笑んでいた。そうして私たちは連絡を交換することになったのだ。

 

「じゃあ夜凪さん、またね!」

 

 そう言って手を振る彼女を見て私も手を振り返すのだった。彼女と別れた後、私は改めて思った。彼女は喰えると。私に感情()を教えてくれると───。

 

「星野ルビーか……」

 

私はそう呟いて帰路についたのだった。

 

 

 

---

 

 

───少女の独白───

 

 

 ある日曜日の昼下がり、星野ルビーはリビングで寛いでいた。今日は学校が休日ということもありゆっくりと過ごしていたのだ。ソファに寝転がりながら伝説のアイドル、星野アイが踊る動画をみながら。ここ数日で新たに友達になった子のことを頭の片隅で考えていた。名は夜凪景。美人でスタイルよし頭良しの運動神経抜群の側から見たら完璧超人の女の子。周りからはいつも無表情で絡みにくくて、そのくせやけに美人だから孤高の美少女と化していると言われる彼女だが、それを吹き飛ばす程の魅力が彼女にはあった。

 

 初めてみた時に不思議と思ってしまった。ママに似ているって。雰囲気だって顔だって別人だ。それでも溢れ出るオーラが似ていた。ただそれだけなのに私はその時そう思ってしまった。でも勇気を出して夜凪さんと話してみて分かった。彼女はママと違うようで似ている。ママが一番星なら、夜凪さんはその一番星を包み込む夜空だと。そんなことをいつの間にか考えていた。





 日常パートその2 みたいな感じですけど少しだけ夜凪(偽)が動き始めました。これから彼女は何を得て何を思うのか。そしてお金は貯まるのか。

 余談ですが、この話の夜凪(偽)は1円も払っていません。以上です。
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