お金のない夜凪(偽)さん   作:貯金は大事

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 金欠になったので投稿します。


scene.4 予期せぬ出来事

 

 

 夏休みが始まった。世の中の学生にとって夏休みは天国であり、地獄でもある期間である。それは私も例外ではない。

 

「ああ、暇だ……」

 

 私は自室のベッドに横たわりながら呟いた。夏休みが始まってからもう一週間が経つというのに、私の生活は何一つ変わることはなかった。友達が少ない私にとって夏休みの予定など一つも入っていなかったのだ。初めは意気揚々とエキストラの募集のチラシを見てコレだ!と思い参加してみたのだが…気が付いたら主演俳優のお腹を殴っていた。ドロップキックはしまいと心に決めていたが、いかんせん拳の方が駄目だった。幸いの事にまだ中学生と言うこともあり、穏便に済ませてもらったが案の定叩き出されてしまった。

 

「ああ……退屈だわ……」

 

 夏休みが始まってからというもの、毎日がこんな調子である。せめてバイトでもできればいいのだが……私の家は貧乏で使えるお金など雀の涙ほどしかない。だからこそエキストラのアルバイトを受けたと言うのに……

 

「はぁ、私の夏休みはこのまま何もせずに終わるのね……」

 

 大きなため息が出てしまうが、この家には誰も居ないので気にすることはない。時々、某演劇漫画の彼女には姉弟がいた事を思い出す。私には居ないけれど、彼女にはいなかった寝たきりの母が私にはいる。あっちの方が良かったとかは思わないが、この家にいると気分が沈むのは確かだ。

 

「はぁ、気分転換に散歩でもしようかしら」

 

 私はベッドから起き上がり出かける準備をする。とは言っても財布とスマホを持つだけなのだが……

 

「あっそうだわ、今日はちょうどスーパーで卵の特売だったわね」

 

 私の家の冷蔵庫には卵しか入っていなかった事を思い出す。このままでは飢え死にしてしまうと思い立ち私は急いで支度を済ませる。そして玄関の扉を開けようとノブに手をかけた。外を見ればいつもの景色……のはずだった。この瞬間までは。

 

「おはよう。お姉ちゃん」

 

 ───お姉ちゃん?いや、てか誰?

 

「お、おはよう。えっと……」

 

 私の目の前には見知らぬ少女が立っていた。年齢は小学生くらいだろうか?髪は腰まで伸びた綺麗な白髪で、目はぱっちりとしており鼻筋が通っていてとても可愛らしい顔をしている。しかし、私はこの少女に見覚えはなかった。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

 

 少女は不思議そうに首を傾げると私を見つめる。その目には光がなくどこか虚ろだ……それでも綺麗に笑っている。まるで人形のように生気を感じない目で。

 

「あ、いやなんでもないわ」

 

 私は慌てて取り繕う。

 

「そっか、ならよかった」

 

 少女は嬉しそうに微笑むと私の手を取り歩き出した。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

 私は慌てて少女を引き留めようとするが彼女は止まらない。それどころかどんどんスピードを上げていく。まるで何かから逃げるかのように……そして、ついには走り出してしまった。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 結局、私は彼女に引っ張られる形で一緒に走る羽目になってしまった。幸いにも体力には自信があった為なんとかついていけたのだが……それにしてもこの子のこの速さは何なのだろうか?明らかに人間離れしている気がするのだが……

 

「はぁ、やっと追いついた……」

 

 私は息を整えると改めて少女を見る。相変わらず彼女は不気味な笑顔を貼り付けたまま私を見つめているだけだが、その瞳にはどこか悲しさを感じさせるものがあった。

 

「えっと……あなたは誰なの?」

 

 私は少女に目線を合わせ、意を決して尋ねることにした。このまま何も分からないままなのは正直言って気持ちが悪い。それにこの少女の事は何故だか他人のような気がしないのだ。だから知りたいと思ったのかもしれない。

 

「……ねぇ、お姉ちゃん。いや誰かさんの成り損ない」

 

「えっ?」

 

 私は思わず聞き返してしまった。今、この子はなんて言ったのだろうか?私の事を成り損ないと言ったのか?なぜ…なんでそれを……。私は……。

 

「まぁそんなことは今はどうでもいいさ。ただ……君が目的に一番近かっただけだから」

 

 少女はそう囁くように呟き私に近づくとそっと頬に触れてきた。その手はとても冷たくてまるで氷のようだと思った。でも何故か不思議と不快感はない。むしろ心地いいくらいだ……

 

「……どういう意味かしら」

 

「さぁ?どう言う意味だろうね?」

 

 少女はニヤリと笑うと私の頬から手を離す。そしてそのままどこかへと歩いて行ってしまった。

 

「待って!」

 

 私は慌てて追いかけようとしたが足が動かない。まるで金縛りにあったかのように硬直してしまっている。どうして……一体、なんで……?私は必死に身体を動かそうとするがビクともしない。その間にも彼女はどんどん離れていく。やがてその姿は見えなくなってしまった。

 

「……なんなのよ」

 

 私はその場に座り込むとその少女が消えた方向をじっと見つめることしかできなかった。結局、その日は一日中彼女を探し回ったのだが結局見つける事はできなかったのである……。ただ、カラス数が多く鳴き声がいつもより響いていたのが印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、卵買い忘れたわ……」

 

 

 

 

 

 

 





 たくさんのお気に入りや評価や感想ありがとうございます!あまり中身のない話かもしれませんが読んで下さり本当に感謝です。

 
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