『呪術廻戦』に、白面の者(の欠片)inしたら?ネタ   作:蜜柑ブタ

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『呪術廻戦』に、白面の者(の欠片)inネタ設定

の、試作短編です。





 『うしおととら』の最終決戦で砕けて落ちた白面の者の欠片が、何の因果か『呪術廻戦』の世界へ流れ着いた先で、生まれつきの障害で憎しみや憎悪や怒りなどの負の感情が薄い幼い精神のままの人間に出会うというネタです。


 時間軸は、原作開始前直後か、少し前ぐらい?

 オリキャラと白面の者(の欠片が再生復活した存在)が、どういう風に親子としてやっているかというざっくりした部分です。

 あと五条が少しだけ登場。








それでもOKって方だけどうぞ。




いいですね?





試作短編 仮題名『歪ながら叶った最後の願い』

 

 

 

 東京呪術高等専門学校には、校舎から少し離れた場所に隠れ家のような建造物がある。

 1階建てで日本家屋風のそこには、2つの気配が存在する。

 

『おぎゃああああ! おぎゃああ!』

 

「えん! お母さんミルク持って来たよ! 良い子良い子。抱っこ抱っこ。」

 

 そう言ってひとりの男性が哺乳瓶を持って、赤子のような鳴き声をあげる『えん』と呼ばれたソレに駆け寄り、軽々と抱き上げて赤ん坊のように腕の中に収める。

 人間の赤ん坊と同じぐらいの大きさのソレを抱えたまま、人をダメにするクッションと名高いクッションに腰を下ろして体勢を整えてから哺乳瓶の先をソレの口に入れてやると、鳴くのを止めてチュウチュウと懸命に哺乳瓶に吸い付いて中味を飲んでいく。

 ハッキリ言って中の粉ミルクはちゃんと作れていない。毎回毎回、分量が間違っていたり温度も適切じゃない。だから台所の方も零した粉とお湯と水で大変な状態だったが、『えん』のために懸命に頑張った証であった。

 体は大きいが、心が、頭の中が体の成長に釣り合っていない生まれつきの欠陥を抱えた男性は、自分が『えん』の実の母親として頑張っている。

 やがて哺乳瓶の中が空っぽになって、ミルクの時間が終わった。

 男性の腕の中で『えん』がクルル…っと甘えるように喉を鳴らして男性の胴体に顔を擦り付けるようにしてくる。

「よーしよし、よしよしよーし。良い子良い子…。えんは可愛いねー。温かくてふわふあしてて、尻尾いっぱいで、可愛い可愛い。えんは可愛い、睦紀(むつき)の赤ちゃんだよー。」

 『えん』の額辺りに自分の頬やおでこを擦りつけて愛おしさを伝える。その様は一生懸命母親であろうと頑張っている姿にしか見えない。

 見た目に反した幼い言葉遣いの中に、明らかにおかしい部分が見受けられるが、これは嘘ではないのだ。

 居館睦紀(いだてむつき)の腹には、薄ら残る大きく裂けたような大きな傷跡がある。

 睦紀という男性は、自分を『えん』の母親だと自負している。だが自分が男だということも分かっている。その矛盾を理解できない。

 それは知的障害による学習能力や認識能力の未発達と欠落が原因だったが、逆にそれが上手く作用したのが今の現状だった。

 

 

 無垢な赤子になることを最後に願って滅んだ、闇に、陰の化身として生まれ落ちた怪物の欠片。

 その欠片が何の因果か、呪いある別の世界へ流れ着いて、睦紀という人間に拾われてその体に受胎して復活した。

 腹の中で育つ異形に一切の恐怖も無く、睦紀は自分がこの子の母なんだと考えて、元気に育つこと、元気に生まれてくること、この子のために考えた名前も決めた。

 

 

 睦紀は丸い物が好きだった。丸い形が好きだった。

 12歳ぐらいの時までに自分に懸命に色んな事を教えてくれた実の母親から学んだ一部の言語と意味を採用した。

 名前を決めるときに自分が監禁された鉄格子のある部屋から見上げた空に浮かぶ、丸い形の虹もきっかけになった。

 

 

 大好きな丸い物。

 『えん』、と。

 

 

 睦紀が与えたそれらの全てが、かつて白面の者と呼ばれた陰の化身の怪物が渇望を満たして潤した。

 

 

 

「やあ、睦紀。そろそろ、お昼寝の時間だった?」

「さとるー!」

 怪しさ満点の黒い目隠しと黒い服を纏った白髪の男が急に戸を開けてきたが、睦紀は『えん』を抱きかかえたまま訪問を喜んだ。

 五条悟という男だが、ちょくちょく睦紀と『えん』のところにやってきてくれる。

 睦紀の腕の中の『えん』はうっすらと目を開けて、不服そうに五条を睨んでいたが五条は睦紀に悟られぬよう軽く受け流す。

「お仕事できた? ちゃんとできてないとえんのミルク代稼げないからね。」

「できてるよ!」

 そう言って指差した先には、いくつか詰まれた段ボール箱。

 五条は段ボール箱の方に行き、中味を検品する。

「オーケーオーケー! 上手にできたね。じゃ、これは納品先に持ってくから、ミルク代にしてくるね。」

「わーい! やったー!」

 五条から褒められて素直に喜ぶ睦紀。

 そんな睦紀を目隠しの下で少し哀れむように目を細めてしまう五条。

 本当は、粉ミルクなんて必要ない。

 『えん』は、そういう存在なんかじゃない。

 五条の目には…、いや睦紀以外の目には……。

 呪霊が存在するこの世界で、五条を含めた呪術師や、呪霊からも、『えん』はなんなのか分からない恐ろしい何かにしか見えていなかった。

 

 

 あらゆる呪いを滋養として吸収できるその性質は、呪いがある世界において無限に成長し、呪いを力とする呪術師では決して勝つことができない絶対的な存在として実体のある怪物として顕現した最悪のイレギュラー。

 小さな小石のぐらいの欠片から睦紀の腹で受胎…、受肉して復活を果たしたかつて白面の者と呼ばれた世界の始まりの陰と陽の、陰の化身として生まれ落ちた、陽を尊び美しいと考え、何よりも自分が汚れていて醜いと理解できたから陽に生きる者すべてを憎んで破壊することに固執した怪物。最後に陽の者達に滅ぼされた結末の記憶も持っている。

 睦紀は、『えん』が何者であるかということを知らない。理解できない。でも自分のお腹で育てたから自分がこの子を育てる母親なんだとしか思っていない。

 睦紀が『えん』の姿を絵に描いた時、下手くそな絵だがその姿はかつての白面の者の姿に近い物だった。

 しかし、この世界に白面の者を知る者は誰もおらず、なおかつ脳に欠陥がある睦紀が絵に描いた姿が正しいのかという強い疑問だけがあった。

 

 

 

 

 

 

 




時間軸は、原作開始少し前ぐらいを想定。

『えん』と名付けたかつて白面の者だった存在の欠片が自分の身を通して復活、実体化を果たした存在を自分の子供だと思って自分が母親だと自負して一生懸命母親としてお世話して慈しむ人間の男であるオリキャラ、睦紀くん。

知的障害の方がどのような言動をするか、どういう認識を持って何ができるのかとかを深く考えずにそういう設定として描いてしまいました。
決して実際の障害のある方への偏見や、差別を助長する意味は一切ございません。
体が大きく育っても、心が幼いままで負の感情が薄くて呪いを生まない人間はどういう人間になるだろうかと考えた結果でした。

『えん』(白面の者)に粉ミルクを与えていますが、本当は全然必要はありません。
でも睦紀が赤ちゃんを育てるにはミルクをあげなきゃという考えと認識から、『えん』がその通りに付き合っていて、それが睦紀からの愛情だと受け止めています。ハッキリ言って分量もメチャクチャだから飲めたものじゃないミルクです。
『愛』という呪いを哺乳瓶越しに摂取している?

内職は、母親としてやるべきことがあると勝手に動こうとする睦紀をとどめるために、彼でもできる内職を与えて粉ミルク代稼ぎという名の不必要な労働で母親としての役割を果たさせているんだと睦紀に思い込まさせている。
粉ミルクは、呪術界から支給されています。在庫が切れたときは、五条や監督補佐とかが補充してくれる。

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