『呪術廻戦』に、白面の者(の欠片)inしたら?ネタ   作:蜜柑ブタ

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連載は未定ですが、書きたいところをリハビリがてら書いてみました。


書いたのは、睦紀とえんが、五条と夏油に初めて出会った場面。


血の表現と、グロ描写があります。
苦手な方はご注意を。


また呪専時代の五条と夏油のキャラも上手く掴めていないので別人みたいになっているかもしれません。
もし問題がありましたら、メッセージか活動報告の方にお願いします。






それでもOKって方だけどうぞ。




いいですね?


試作短編その2 『陰の化身を産み落とした男と最強の二人の出会い』

 

 夏油傑という優れた呪術師の男がいた。

 その男は、一般の出自であるが優れた呪術の才能を持っていた。だからこそ呪術の専門学校に行くこととなり、そこで才能を磨くこととなる。

 だがそれは同時に、彼の人生を奈落よりも深い闇に落とす結末への道を切り開いてしまった。

 繊細で優しい男だったのだろう。

 嘔吐物を雑巾で拭いたような味と例えるほど酷い不味さである呪霊を口から摂取して、自分の手駒とする呪霊操術という優れた術式を持つ身であることも原因になっただろうが、彼を追い詰めたのは呪術師以外の呪術と関わりを持たない、呪術の才能が無いただの一般人との落差と呪いを恐れるあまりに見せる人間の醜さだった。

 呪術師は、呪いを持って呪いを払う。それは一般社会に知られることのない、わざわざ人の目に入らないよう仕掛けを施してからじゃないとできないほど隠れてコソコソやらないといけないことが義務づけられている。それは本能的に呪いを恐れる人間の性による迫害を恐れてのことだろうか。

 歴史を見れば異端が恐れられて謂れのない罪を着せられて惨い仕打ちをされた、無関係な人間も冤罪で無駄に命を奪われ続けた残酷な人間の性を象徴する事件は世界各地で行われている。それはもちろん日本も例外ではない。

 魔女狩りのように呪術師、あるいはその才能があると知られたらどうなるか。科学が発達してもなお廃れない見えぬ、触れぬ得体の知れないモノを恐れる本能的恐怖は同族であるはずの人間に簡単に牙を剥く。

 それが生贄となる宿命を背負わされた天涯孤独の少女であろうと、呪術の才能があるだけの無垢な幼子であろうとも。

 いつからか夏油は、呪術の才能を持たない人間を、非呪術師である者達を総じて猿と呼ぶようになった。

 いつしか非呪術師を排除した、呪術師の才能のある人間だけの理想の世界を求める思想を持つようになった。

 報われない、賞賛されない、だが害となる呪いだけは生むことはできるただの人間を守るために強くなることへの空しさ。力として蓄えなければならない呪霊を手に入れるために味わい続ける最悪の味。

 すべてがすべて、夏油を蝕んだ。

 

 しかし夏油傑は、より自分を追い込むことになる存在に出会うことになる。

 

 

 色んな要因で蝕まれながらも、同じ学年で、悪友であり親友となり切磋琢磨する対象となる男、五条悟と共に呪術界で最強の道を進んでいたある日のことだった。

 ある地域の一帯から呪いが消失し、ある場所で大量殺戮が行われたという知らせ。

 大量殺戮現場を中心に、小さな呪いも残らず吸い取られていまだかつてない清浄な状態になった区間に原因究明のために出動させられた五条と夏油。

 古い建物を軽く改装した程度の2階建てのその場所は、未承認の孤児院であることと、そこの運営者である職員達が孤児院とは名ばかりに人身売買や臓器や血液の売買ではした金で置いてかれていく子供達を劣悪な環境で管理していたことも事前の調査で判明していた。

 出入り口に入れば、鼻をつくのは時間が経って劣化した血と内容物の汚臭がお出迎え。

 だがこういう現場には慣れている二人は憶することなく中に入っていった。

 だがほどなく、二人は予想外の存在に遭遇することとなった。

 気配は二つあったが、その片方が問題だった。

 近づく二人を追い返そうとするように、姿を見せずに殺意だけを飛ばしてくる。

 いまだかつてない巨大な殺意。特級レベルの呪霊でもこんな殺意は出せないほどのものだった。

 それだけで足が止まり、二人はすぐにいつでも戦えるよう臨戦態勢を取って、相手の出方を伺った。

 だが、予想に反して、相手はもう片方の方によって運ばれてこちら来たのだった。

 

「だ~れ?」

 

 年頃は五条達と同じぐらいの青年なのに、妙に舌足らずな言葉遣いとキョトンとした顔。悪く言えば頭が悪そうな表情だ。

 格好も腹部の衣類が酷く破れており、大量の出血の跡である渇いた血が上半身下半身を汚しているのに傷は一切無い。

 そして二人の目を釘付けにしたのは、彼が両腕で大事に抱え込んだ、その存在だった。

 ソレは、目、らしき部分で五条と夏油を睨んでいる。先ほどの殺意はコイツが放ったものだとすぐに分かった。

 動けない二人に、首を傾げる血塗れの青年は、腕の中にいるソレが不意に『グルル…』と小さく唸ったのを聞くとハッ我に返ったように表情を変えて抱えているソレに顔を向けて機嫌を悪くした赤ん坊をあやすように抱っこし直して、体を揺らしながらソレに優しく声をかけ始めた。

「えん? どうしたの? 眠い? お腹空いた? だいじょうぶ、だいじょうぶ。だいじょうぶだよ。睦紀が一緒にいるよ。だいじょうぶだいじょうぶ…。」

 体をゆっくりと揺らしながら、まるで本当の母親のように自分の赤ん坊に語りかけるように、男なのに本当に優しく母性を感じさせる。

 『えん』と呼ばれたソレは、青年に縋り付くように身を寄せて顔らしき部分を擦りつける。それでいて猫のようにゴロゴロ…と喉を鳴らすような声まで出して。

「良い子良い子。えんは良い子だね~。よ~しよし。だいじょうぶ。睦紀がいるよ。睦紀、お母さんだから、えんのこと大事。えんは睦紀の赤ちゃんだからね。」

 優しく優しく語りかける睦紀というらしい青年の言葉の内容は、おかしい部分だらけだ。

 どう見ても彼は男性で…、母親であるはずがないのだ。そもそも男は赤ん坊を生めるようにできていない。

 自分を女だと認識しているのか、それとも抱えているソレに錯覚させられているのか、『えん』と呼ばれているソレとのやり取りは母子のそれと変わりないように見える。

 だが舌足らずで見た目不相応の幼い表情をした彼が正常な人間ではないことはすぐに分かったこと、そして大量殺戮現場で母子ごっこのやり取りをしている異常な姿。

 原因究明のためにここへ来た五条と夏油が放っておくわけがない。

「あのさ……。」

 先に口を開いたのは五条だった。

 ぶっきらぼうだが、警戒を解かずに声を掛けると、睦紀が五条の方を見た。

「お前……、ってか、……ソイツ……なんだ?」

 ずばり聞いてしまうのは、六眼という稀少な呪術師の才能となる特殊な目を持つ五条がどうしても聞かずにいられなかった心情からだ。

 キョトンした睦紀は、五条と『えん』を交互に見てからニッコリと純粋な笑顔を浮かべて五条に答える。

「睦紀の赤ちゃん! 名前は『えん』っていうんだよ! 睦紀が決めた名前!」

 『えん』の頭部らしき部分に頬を擦りつけるようにして愛おしい気持ちを示すようにしながら、睦紀は無邪気にそう答えた。

「フアフワしてて、尻尾いっぱいで、真っ白で、可愛いでしょ? えん、すっごく可愛い!」

 そう答える睦紀だが、五条と夏油には睦紀の言葉通りに見えていなかった。

 なんなのか分からない。少なくともこの世のものじゃない。だが呪霊でもない何かに。

 六眼をもたない夏油にもそう見えなかった。睦紀が言う白くてフワフワした尻尾がたくさんある可愛いものには全然見えなかった。

「えっと……、わりぃけど一緒に来いよ。ソイツも…一緒に。」

「えっ? なんでぇ?」

「ああ~と…、もうここにいても意味がないからだよ。もう君達以外に誰もいないんだ。分かるかな?」

 夏油も会話に加わって一緒に来るよう話しかけた。

「先生達も他の子もいないから変だな~って思ってた。そっか…、でもなんでいないんだろ?」

 本当にこの場所で何が起こっていたのか、自分の今の状態も理解できていない様子だ。

 単純にショックのあまりに狂っているとかじゃない。これは生まれつきの欠陥だと、才ある二人は言葉に出さずとも睦紀の問題をすぐに見抜いた。

『……オイ…。』

 不気味極まりない声が五条と夏油の頭に直接流れ込むように聞こえて、思わず体が跳ねた。

 『えん』の目線に気がつき、声の主がコイツだとすぐに理解して睦紀に悟られぬよう対応することにする。

『ナニを……、もとめ、る…?』

「とりあえず…、大人しくしてくれりゃなんもしねーよ。」

「ただし…。」

『………分かった。』

 意外なことに『えん』はすぐに承諾した。

 驚く二人に付け足すように『えん』が言葉を二人に流し込む。

『ただし…、睦紀に害を…成すならば…、許さぬ。』

「………………期待に添えるように努力する。」

「オーケーオーケー、何が何でもそれだけは守るから、頼むわ。」

「?」

 睦紀には五条と夏油が独り言を言っているようにしか見えていなかった。『えん』の声が聞こえていなかったからだ。

 

 

 こうして、居館睦紀と『えん』は呪術界で保護されることになった。

 

 

 

 これが夏油傑と、『えん』の初対面だった。

 

 ここから夏油傑の運命は、本来辿る道筋をより悪い方向へと歪ませることになる。

 

 『えん』があらゆる呪いを滋養にし、呪いになる前の負の感情さえも力の源に出来る性質を持つ世界を構成する対極の陰の側の化身だと知れたとき、夏油はある意味で『えん』に魅せられたのかもしれない。

 世界を構成する対極の闇の側面から生まれ落ちた者。呪いの神と言っても過言ではない者。だからこそどんな呪いも負の感情も滋養にできる性質を持つこと。

 呪術師では絶対に倒せない、戦っても逆効果にしかならない圧倒的な存在。

 人間はあまりに恐ろしい物に出会うと、逆にあがめ奉ってしまうという本能があるという。

 実際荒神や邪神を奉るための社が存在するのだ。怒りを買わないために。鎮めて大人しくしていてもらうために。

 夏油の心に芽生えた非呪術師を否定する思想は、今の体勢を壊すことに他ならない危険なものでしかなかった。

 だからこそ、夏油は求めずにいなれなかったのだ。

 呪いの神に、『えん』に自分が欲しい言葉を貰いたいと。

 それがそもそもの大間違いだったことを、夏油は恐らく死ぬ時まで理解できなかっただろう。

 少なくとも親友だった五条はそう考えていた。

 

 

 




未承認の劣悪な孤児院で、睦紀の腹を突き破って大量殺戮ついでに周辺の呪いを残らず吸ってパワーアップして睦紀を助けた後の時系列。
そこに五条と夏油が原因究明のために出動させられて、そこで睦紀とえんに出会い呪専に保護。

この時点で睦紀はえんが言葉を喋れることを知りません。
五条と夏油には、テレパシーみたいに一方的に脳みそに声を流し込んで会話を成立させているので、睦紀は五条と夏油が独り言とをそれぞれ言っているようにしか見えていませんし、二人の言葉の内容も理解していません。

えんと出会い、えんの性質を知ってからが原作以上の夏油の破滅に繋がっていきます。
えんは別に夏油を自滅させたわけではありませんが、えんとの関わりを結果的にそう言う結末になるきっかけになっただけ。

私が夏油傑というキャラをいまいち理解しきれていないのかもしれませんが、このネタでは夏油が一方的にえんに自分にとって都合の良いことを求めているばかりで、えんのことを全然理解しようとしなかったことが夏油の最悪の破滅の原因になったということにしています。

夏油をアンチしたいわけでは決してありません!!
でも精神面で弱っていると、無意識だったとしても自分に都合が良さげなものに縋ってしまいたくなるんじゃないかと思って……。
それでいて自分の都合ばかり押しつけてしまうことも……。
相手の気持ちも考えずに……。


このネタでは、人間のそんな弱い部分によって取り返しが付かない大失敗したキャラクターとして夏油のことを描こうと考えています。


なので夏油ファンの方は、読むのをオススメはしません。
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