異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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どうもM6A1 晴嵐です。

今回から1ヶ月ほどアンケートを取ろうと思います。
是非投票して頂ければ嬉しいです。

では本編をどうぞ。


監視

「どうしたものか…」

 

新藤が考えているのは、パーパルディア皇国についてだった。

外務省からの情報ではようやく外務局と接触できたようだ、だが本格的な話し合いはまだ出来ていないらしい。

 

「有田、現在パーパルディアはどう動いている?」

「現在、エストシラント港に大規模な艦隊が集まっているそうです。諜報部からはおそらくアルタラス王国に出撃する艦隊だと」

「アルタラス王国…どんな国だ?」

「アルタラス王国はフェン王国等と同じく文明圏外国家ですが、多くの魔石鉱山を国内に持っているこの世界でも有数の資源国家だそうです」

「ふむ、ということはパーパルディアは魔導兵器を作るために、アルタラス王国から魔石を輸入しているのでは?」

「ええ、輸入の半分以上を頼っているそうです」

「そんな国を攻撃するのか?関係を強化して優先的に魔石を輸出してもらったりした方が得策だと思うが…」

「どうもパーパルディアは文明圏外、第3文明圏の富を全て自国のものにし、ゆくゆくは世界統一を目論んでいるらしいので」

「世界統一?ムー等に戦いを挑むつもりか?戦列艦では三笠クラスの戦艦に勝てないと思うが…まあいい。管制室に艦隊を監視、戦闘データを取るように通達してくれ」

「分かりました」

 

数日後、アルタラス王国はパーパルディア皇国により滅ぼされた。

その2日前にアルタラス王女のルミアスが商船に偽装した輸送用の軍船に乗って国を脱出しており、数日後ロデニウス大陸沖合にて海保の巡視船「しきしま」に保護された。

これがパーパルディアを崩壊させるきっかけになるのだが、それはまた後で。

 

だが、パーパルディアはその魔の手を少しずつ日本にも伸ばしていた…そのことに誰もまだ気づいていなかった。

 

「…というわけでして、アルタラスの戦いのデータから最新鋭の150門級戦列艦の性能は予想と同等であると推測されます」

「諜報部が150門級戦列艦のデータを得る前に出航していたからな…だが、大砲の性能が低くて良かった」

「30門級も150門級も射程が変わりませんもんね、アウトレンジで叩けます」

 

新藤は総合管制室長の田島からアルタラスの戦いにて得られたデータについて、報告を聞いていた。

普段は報告書のみだが、パーパルディアのことが気にかかるため、口頭での説明を求めたのだった。

 

「アルタラスはどうなっている?」

「現在はパーパルディアの統治下に置かれたようです。衛星からの映像では、パーパルディアの陸軍が上陸しアルタラス軍と衝突。その際、パーパルディア軍に地竜と呼ばれるワイバーンの亜種が確認されました。姿は巨大なワニガメの様で翼は生えておらず、射程が短いものの火炎放射が可能、何体もの地竜を横に並べて攻撃することで、圧倒的な面制圧能力を発揮できます。また力も強いようで、魔導砲や荷物の運搬用も確認されました」

「地竜か…ワイバーンの亜種ということは、剣や弓矢も効かないのか?」

「そのようですね」

「生物ならば戦車砲などは耐えられないだろうが、確かに歩兵にはかなりの脅威だな」

「ええ、生きている火炎放射戦車ですね。そして…」

「し、失礼します!」

 

と急に有田が血相を変えて部屋に飛び込んできた。

 

「どうした?何かあったか?」

「諜報部より緊急入電!フェン王国へパーパルディアが艦隊を差し向けるそうです!」

「「なんだと!?」」

 

その情報に新藤と田島は衝撃を受ける。

 

「既に艦隊は出撃準備中であり、2日以内に出航。更に2、3日後にはフェン王国へ攻撃を開始するようです!」

「艦隊の数は!?」

「砲艦、竜母、輸送艦など合わせて400を超えるようです!」

「4、400!?」

 

あまりの物量に啞然とする。

 

「何故今まで気が付かなかった!」

「どうもアルタラスの準備と同時並行で行われていた為、気が付かなかったものかと」

「なんてことだ…田島管制室長!直ちに情報を収集。敵艦隊の構成、兵力など予想を立ててくれ!」

「分かりました!」

 

田島が部屋を飛び出していく。

新藤は各部門へ連絡する。

 

「外務部門!急いでフェン王国へ出発した日本国民を全員リストアップしろ!あと到着していない船はすぐに引き返すように連絡を!」

 

「軍事部門!いつでも部隊を動かせるように準備しておけ!」

 

他にも様々な部門へ連絡していると、官房長官から連絡が来た。

 

「一体何をしてるんです?フェン王国で何かあったんですか?」

「パーパルディア皇国がフェン王国へ艦隊を差し向けました。それも前回のような20隻の艦隊ではなく、400隻を超える大艦隊です!」

「な……」

 

電話の向こうで官房長官が言葉を失ったのが分かる。

 

「それは本当か…?」

「はい、間違いありません」

「…情報提供感謝する。急いで対策を取らねば!何か分かったら連絡を!」

 

かなり慌てた様子で官房長官は電話を切った。

新藤は電話を置き有田に伝える。

 

「有田秘書!各部門長を招集、今から緊急会議を行う!」

「了解しました!」

 

「…以上が現在、財団が把握している状態です」

「パーパルディアは最初にどこを攻撃する予定だ?」

「この動きから予測するにおそらくニシノミヤコではないかと思われます」

「400隻の大艦隊…出撃が明後日だとして攻撃開始は早くて4日後か…フェンはどうなる?」

「このままではニシノミヤコは半日ほどで落ち、フェン国民約8500人が戦果に巻き込まれます。また、日本の観光客にも被害が出ることが予測されます」

「他国の観光客、民間人を巻き込むのか!?そんなまさか…」

「パーパルディアはとても野蛮な国家です。あり得なくはないでしょう」

「ならば直ちに避難を促した方が良いのでは?」

「フェンまで電波を届けるには通信衛星を使う必要がありますが、公的には現在日本の周囲にGPS衛星を幾つか飛ばしているだけなので、フェン王国内の観光客に伝えることが出来ません。財団の偵察衛星は護衛艦や財団関係者にしか連絡が取れないように設定されているので、こちらも使えないです」

「ならばフェンに頼んで避難勧告を出してもらっては?」

「瓦版に張り出されるだけだ。観光客が気づくとはとても思えん」

「以前みたいに護衛艦を差し向けるのはどうだ」

「1番近い護衛隊でも到着に3日程かかりますし、フェンに向かうには急いで準備しても1日は必要です。つまり4日の猶予が無いといけません。更に艦隊を迎撃するとしてもフェンの領海に入られたら日本は宣戦布告をされていない以上、攻撃は出来ません」

「フェンの要請があれば可能では?」

「憲法9条で集団的自衛権の行使は認められていないだろう。財団の部隊でも無視できるものではない」

「一旦静かに」

 

新藤がそう言うと会議室がしん、と静まり返った。

 

「外務部門、現在把握できているフェンへ渡った日本人は?」

「現在約3500人と推測されます」

「そのうち侵攻が予想されるニシノミヤコには?」

「携帯の電波から300人ほどかと」

「300人…」

「運よく1、2割が逃げ切ったとしても250人は巻き込まれる可能性が」

 

250人の観光客が巻き込まれる…その事実に会議室にいた全員がゾッとする。

 

「外務省からパーパルディアに攻撃を中止するよう通達出来ないのか?」

「ようやくこの間1回目の会談が出来たばかりで、とてもではありませんが…」

「そうか…」

 

新藤は考え込む。

 

「最高管理官、財団の超越権限で艦隊を動かすのは?」

「あれは最終手段だ。そう簡単に使えん」

「それならば…」

 

議論が膠着し、何の解決策も政府も財団も思いつかないまま、とうとうパーパルディアの艦隊はフェン王国 ニシノミヤコへ到着してしまったのだった。

 

「…情報は?」

「まだ入ってきてないです…」

 

田島からニシノミヤコへの攻撃が始まったと聞いて半日、新藤は落ち着かない様子で座っていた。

会議は一旦中止し、管理室へと戻った。

だがすぐにでも対応出来るよう部屋には有田や軍事部門長などが待機していた。

と部屋がノックされ、外務部門長が入ってくる。

その顔は真っ青だった。

 

「…報告します。先ほど外務省から連絡がありました。現在パーパルディアに派遣されている外交官2名が第1外務局へ呼ばれ、そこでパーパルディアの皇族のレミールという女性と会談。その際紙を渡され、要約すると『皇国の植民地になれ』と書いてあったそうです。これを拒否したところ、パーパルディアはニシノミヤコにて捕縛していた日本人観光客計223名をスパイ容疑で全員殺害しました」

「「「…!!!」」

「更にフェンの首都 アマノキへ攻め入った際は、現地の日本人全員を殺害すると通告したそうです」

「…おのれパーパルディア…」

 

その言葉は部屋にいる全員が思っていた言葉であった。

 

「日本国政府はこの事を本日中に国民へ発表するそうです。そしてもう1つ、総合管制室からの伝言です。同時刻、フェンに渡った財団職員と関係者の腕に付けられたスマートウォッチから生命反応が消えたそうです。現在解析中ですがおそらく…」

「…分かった。引き続き情報を頼む」

 

報告を終えた外務部門長は一礼して出ていった。

ドンッッッ!

机を叩き珍しく怒りを隠そうともしない新藤、その姿に部屋の全員が驚く。

 

「軍事部門!」

「はい!」

「護衛艦16隻、空母2隻、潜水艦8隻をI5サイト群基地へ集めろ!並びにP-010哨戒機を用いてチャートを作成。もちろん海底の測定も忘れるな!」

「はっ!」

「対パーパルディア用に武器換装するのを忘れるなよ」

「心得ております」

「有田、政府と会談を行う準備をしろ」

「承知いたしました」

「全部門、用意をしておくように」

 

部門長や有田が慌ただしく部屋を出ていく。

 

「パーパルディア…絶対に許さんぞ…」

 




現在潜水艦の名前を募集中です。
詳細は活動報告をご覧ください。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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