異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

前回短かったので、今回結構長くなりました。
来週、再来週あたり、設定集を出そうと思います。

それでは本編をどうぞ。


防げない絶望

―エストシラント沖合南方250km 護衛艦隊旗艦空母じゅんよう

「敵上空はどうなってる?」

「皇都と敵基地、その周辺の上空に合わせて40騎飛んでますね」

「そうか。対空部隊攻撃を開始せよ」

 

早期警戒機とリンクし空対空誘導弾を割り振ったF-056は、ワイバーンオーバーロードに向けて攻撃を開始した。

 

 

―皇都エストシラント上空

第18騎士団第3中隊のワイバーンオーバーロード25騎は、エストシラント上空を警戒飛行していた。

中隊長デリウスは、中隊1のベテランである竜騎士プカレートに魔信で話しかける。

 

「もう少し南側も警戒しましょう」

「そうですね、向かいましょう」

 

ワイバーンオーバーロードの編隊は、一糸乱れぬ動きを見せ、その練度の高さが伺える。

 

「中隊長、敵についてですが…少し気になることが」

「ふむ、何が気になるんです?」

「数日前の通達文の通りなら、日本はムーの飛行機械を使って戦いを仕掛けてくるでしょう。しかしそれにしては、先の2回の戦いで我が方の被害が大きすぎる様な気がするのです。軍の上層部にこの疑問を呈しても、歯切れが悪くなった後、通達文の通りとしか言わない…中隊長はどうお考えですか?」

「確かに今回の戦いについて上層部は何を聞いても歯切れが悪い。何かを隠しているようにも見える。もしかしたら何か凄い情報があるのかもしれません」

 

数日前、パーパルディア皇国はアルタラス王国が独立した際に飛行機械で皇軍が攻撃を受けたこと、またムー国が観戦武官を日本国に送ったこと、更にムー国がパーパルディア皇国から自国民に避難指示を出したことをうけ、ムー国が日本国に飛行機械を輸出した、少なくとも戦闘に絡んでいると断定。

ムー国大使を召喚し問いただした。

その結果、ムー国から日本国の本当の姿を聞き、自分たちが神聖ミリシアル帝国を超える超列強を侮り、挑発、更にその民を殺し、宣戦布告…喧嘩を売ったことに(今更)気づいたのだった。

そしてその実力を知りながらも、士気の低下を避けるため軍の上層部を除き、情報を遮断していた。

 

「中隊長、ムー以上の敵って何か思いつきますか?」

「古の魔法帝国か神聖ミリシアル帝国…まあ、あり得ませんな」

「ところで…ん?何かm」

 

ふと前方に違和感を持った直後、何も考える間もなく彼らは全員爆発した。

F-056から放たれたマッハ8を超える12式空対空誘導弾により、皇都上空並びに基地上空とその周辺を飛んでいた40騎は全て撃墜された。

爆音が皇都に響き渡り、普段の日常を打ち破る。

その音に驚き上空を見上げた皇国国民は信じられない光景を目の当たりにした。

列強であるパーパルディア皇国、その皇都を守る最強の皇都防衛隊のワイバーンが雨のように降ってくる。

ワイバーンの首、翼、胴体などがバラバラとなり、一部は人の姿だったものまで降ってくる。

 

「キャーーーーー!」

「うわーーーーー!」

 

皇都の様々な場所から悲鳴が上がり、様々な建物の窓や扉が開き、全員が上空を見上げる。

その時上空を矢のような形をした何かが10機、目で追えないほどの超高速で通過した。

一体何が…と考える間もなく、轟音と衝撃波が皇都を襲い、建物の窓ガラスが割れる。

 

「な、何だ!?何が起こってるんだ!?」

 

皇都全体に恐怖と不安がこだまする。

 

 

―エストシラント陸軍基地

装飾の施された豪華な石造りの庁舎の一室で、軍でも珍しい女性魔信技術者のパイは魔力探知レーダーを確認していた。

ワイバーン等、空を飛ぶことの出来る高魔力生物は、人間と比較できないほどの魔力が溢れ出ている。

他国からのワイバーンの奇襲等を防ぐために、その魔力を探知するために作られたのが魔力探知レーダーである。

ちなみに、対空用だけでなく対地用としても有効に機能する。

基地と皇都周辺の上空には友軍の騎影しか写っておらず、高魔力生物は確認できない。

 

「ん?え!?」

 

急に皇都上空を飛んでいた友軍のワイバーンオーバーロード25騎が大きく光り画面から消える。

更にその周辺を飛んでいた15騎も一瞬の後、大きく光り消えた。

非常事態を告げるためにパイが魔信に向かって叫ぼうとした瞬間、基地に爆音が響き渡る。

パイが告げるより前に、基地内にいた全員が非常事態を認識した。

 

「一体何が起こった!」

 

パイの上司が血相を変えて部屋に飛び込んでくる。

 

「短時間に次々と40騎全てが連続して反応が消失しました!」

「何故攻撃に気づけないんだ!」

「魔力探知レーダーに反応が無かったことから、おそらく飛行機械による攻撃だと思われます」

「40騎…それも全て世界最強のワイバーンオーバーロードだぞ!こんな短期間でやられてたまるか!」

「しかし事実です!5秒も掛からず消えました!」

「我々は一体何と戦っているんだ…くそ、魔信で指示を出さなければ!」

 

上司が魔信に近づき指示を出そうとするが…

 

「ん?魔信が流れんぞ?」

 

電源が入っており喋っているにも関わらず魔信が聞こえない。

 

「故障ですかね?」

「くそっ、こんな大事な時に…作戦本部に情報を伝えてこい!」

「分かりました」

 

パイは走り出した。

 

 

パーパルディア皇国皇都防衛隊陸将メイガは、爆音が鳴り響いた後、窓から基地の様子を見ていた。

下では皆慌ただしく動いており、練度の高さを再認識させられる。

と、部下がノックもせず部屋に転がり込んできた。

 

「メイガ様!レーダー室から報告です。第18竜騎士団第2中隊の反応が消えました!また、周辺を飛んでいたワイバーンオーバーロードも同じく反応が消えました!至急作戦室までお願いします」

「分かった」

 

メイガは小走りで隣の作戦室へ移動し、部下から報告を受ける。

 

「先ほどエストシラント上空とその周辺を警戒飛行していた40騎全てがレーダーから消えました。同レーダーでは反応が消える直前にレーダー上の光点が大きく光っており、撃墜された可能性が高いとして、現在第3中隊を緊急発進させるよう指示しております。それと現在基地内全ての魔信が通信不可能となっており、情報が錯綜しております」

「魔信が使えない?故障か?」

「現在目下調査中です」

 

魔信のジャミング自体この世界ではどの国でも不可能であり、財団がジャミングシステムを使用しているとは想像も出来なかった。

 

窓の外を見るとワイバーンオーバーロードが竜舎から出てくるところだった。

 

「敵はどの程度の強さが…」

 

そう言い終わる前に、滑走路や竜舎に閃光が走る。

次の瞬間、爆音が轟いた。

と同時に上空を凄まじい速度で何かが通り過ぎていった。

衝撃波が基地内を襲い、窓ガラスが全て割れる。

 

「ぐあああああ!目がああああああ!」

 

メイガは目を押さえ、激痛からその場を転げまわる。

痛みのあまり1度我を失ったが、気力をもって我に返る。

 

「状況はどうなっている!?」

 

目から血が流れ、視力を失っているのが分かるが、彼は指揮能力を失ってはいなかった。

 

「何か高速の飛行物体が通り過ぎていきました。おそらくそれが爆弾を投下していったものかと推測されます。滑走路は現在爆炎に包まれており、被害状況を視認できません」

「空から爆弾を投下だと!?信じられん…」

 

パーパルディアにも爆弾はあるが、ワイバーンに搭載できるほど小型化は出来ておらず、搭載出来たとしても威力が弱すぎて実戦ではとても使えない。

そよ風が吹き、煙が晴れていく。

 

「煙が晴れます…なっ、こ、これは!!」

「どうした!何が見えている!」

「滑走路をやられました!これではワイバーンは離陸出来ません!」

「そ、それでは皇都上空はどうなる!何か方法は!」

「方法はありません。ワイバーンオーバーロードの数は揃っていますが、離陸できなければ意味がありません。現時点で我々は皇都上空の制空権を失いました」

 

陸将メイガを含めた幹部全員の心を絶望が支配した。

 

 

―皇都エストシラント

「おい見ろ!」

 

興奮した臣民が北の基地方向を指差す。

基地からは猛烈な爆発音とともに、見たこともない程の大きな爆炎が陸軍基地から上がっている。

列強となってから一度も本土が攻撃された事のないパーパルディア皇国、目前の信じられない光景に泣き出す者もいる。

しかし、更なる恐怖が近づいてくる。

何処からともなく重低音が多数響いてくる。

 

「一体何の音だ!」

「あっちから聞こえるぞ!」

 

音の聞こえる方向を指差す。その先には…

 

「なっ!」

「いやああああああああ!」

 

先ほどは速すぎて何も分からなかったが、今度はとてもゆっくりに見える。

数える事も出来ないほどの機数、黒く大きな機体が上空を覆うように侵入してくる。

ゆっくりとした行軍、飛行機械の大きさ、その量が皇国臣民に恐怖をもたらす。

 

「あれは!まさか鉄竜か!」

 

F-056の護衛を伴い、B-029の爆撃編隊は皇都上空を通過する。

112機のB-029は臣民に恐怖と絶望を植え付けながら進む。

パーパルディア皇国にこれを防ぐ手段はなく、皇国を破滅に導く行軍をなすすべなく見つめるしかなかった。

 

 

―エストシラント陸軍基地 上空

「間もなく爆撃目標地点に到着します」

 

眼下には異世界でも有数の栄えた都市が見える。

覇権主義を掲げ、驕り高ぶった国家。

日本、そして財団に対し、民間人を含む全員を皆殺し…殲滅すると宣戦布告してきた国に容赦などする必要がなかった。

 

「3,2,1,全爆弾倉開け!投下!投下!」

 

財団の誇る超爆撃機 B-029は投下地点まで無事に到着、殲滅目標である皇都北側にあるエストシラント陸軍基地に、50tの無誘導爆弾の雨を降らした。

 

 

―エストシラント陸軍基地

「敵が侵入してくるぞ!」

 

皇都防衛隊の幹部が叫ぶ。

滑走路が破壊され、全てのワイバーンオーバーロードは地上にいる。

敵の高度まで届く対空兵器はなく、現時点出来ることはない。

 

「でかい飛行機械を送り込んできやがった!しかも数が多いぞ!」

「奴ら、一体何をするつもりだ!」

「ん!?あれは何だ!何か黒い物を落として来たぞ!」

 

空を見上げていた者が気づく。

ヒュ―――――――――ヒュ――――――――――

甲高い音が聞こえ始める。

その黒い物が地面に落ちた瞬間、その地点がえぐられる程の大爆発が起こる。

 

「なんて高威力な爆弾だ!」

「爆弾の雨が降ってくるぞ!」

「退避!退避!」

「くそっ、量が多すぎる!どこに逃げろと…」

 

基地内はパニックに包まれ退避しようとするが、爆弾は彼らが避難するのを待ってくれなかった。

連続し炸裂音、猛烈な光が発生し、建物の数十倍の高さにまで爆炎が吹き荒れる。

基地全体が爆炎に包まれるが、容赦なく繰り返し爆炎が発生する。

全ての爆弾を投下し終えたB-029爆撃編隊は、上空で旋回し南方へ飛び去った。

 

―エストシラント陸軍基地 上空

空母じゅんようから発艦した艦載機使用のP-010(対地レーダー搭載型)が、攻撃の効果測定のため陸軍基地上空を飛ぶ。

陸軍基地の破壊が不十分だと判断された場合、第2次攻撃を要請する予定である。

レーダーにより映し出されたスクリーンには、構造物など全くなく、多数のクレーターのみが存在していた。

 

「敵基地殲滅を確認。第2次攻撃の必要なし」

 

P-010はそう報告すると、じゅんように向けて飛行した。

 

ここにエストシラント陸軍基地はB-029の総合計5600tの爆弾により更地となり、この世から姿を消した。

 

 

―空母じゅんよう

「敵基地殲滅を確認。第2次攻撃の必要なし、とのことです」

「そうか。ただいまから作戦は第2段階へ移行する。目標エストシラント港!」

 

陸軍基地殲滅を確認した護衛艦隊はエストシラント港へ向かう。

 

「闇に光を、罪に罰を、か。この状況にちょうどいいな」

 

作戦司令の石井はそう呟いた。

 

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
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