異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

最近の日本は秋という季節が無くなってきているといいますが、転移した先は四季あるんですかね?

それでは本編をどうぞ。


エストシラント攻防戦-1

―エストシラント港 海軍基地

皇都防衛の要の一つであるエストシラント南方にある海軍基地、同基地には戦列艦がひしめき合い、皇国主力といっても過言ではない。

多数の戦列艦が停泊するその姿は圧倒的の一言であり、見る者にある種の感動を与える。

基地の中には海軍本部も設置されており、戦列艦と並ぶその姿はどこか荘厳な雰囲気が漂っている。

 

海将バルスは海軍本部の自室から外を眺める。

港では日本が攻撃してきた際に備えて出撃準備をしていた。

列強本土まで攻撃に来る可能性は低いとされてはいるが、日本国はムー国の武器を使っていると予想されており、ラ・デルタ級(装甲巡洋艦)やラ・グリスタ級(巡洋艦)が相手でもかなり脅威であり、仮にラ・カサミ級まで持っていた場合、戦列艦ではかなり厳しいだろう。

 

また不安なことが幾つかあり、一つ目は魔信が全く機能しないのである。

皇都との連絡はおろか、基地内という短距離でも連絡を取り合うことが出来ず、有事の際は後手に回りかねない。

もう一つ不安なことは、皇都方面に飛行機械が飛んで行ったという一般市民からの通報だった。

何人も目撃したとの情報が入っており、現在皇都に伝令を向かわせている。

日本の攻撃である可能性を考慮し、第3艦隊は周辺海域を哨戒中、第1、2艦隊はいつでも出現出来るよう準備中、更に上空からワイバーンを用いて索敵しており、まさに厳戒態勢だと言っても過言ではないだろう。

 

同基地作戦室では、皇国の頭脳と言われるマータルが作戦を練っていた。

相手はムーの軍艦を使っていると思われる。

艦艇性能は明らかに向こうの方が上であり、いつもの戦い方では勝ち目はないだろう。

ただ、質では勝っていても数では皇国の方が上だろう。

艦艇同士を広く展開、更に莫大な物量をもって戦うことで、長射程砲の対策を行う。

マータル達幹部はこの作戦に光を見出すのだった。

 

 

―エストシラント南方沖合

パーパルディア皇国海軍第3艦隊は各艦の距離をいつもより広く取りながら、周辺海域を哨戒航行していた。

敵艦を発見しだい各艦の距離を1kmに広げ、とてつもない範囲の「面」に展開する計画だ。

同面内に敵が入ってきた場合、複数の艦が集中砲火を行う。

同質同数の敵であれば各個撃破される布陣であり、普段ならば決して行わない。

この布陣は敵より被害を受ける事を前提とし、それでも数で圧倒、長射程砲を敵が持っていても確実にダメージを与えるものだ。

 

第3文明圏において、質も量も他国を圧倒的に凌駕してきたパーパルディア皇国にとって、今回の布陣ほど屈辱的なものはなかった。

しかし敵は強い、間違いなく侮ってはならない。

 

第3艦隊提督アルカオンは、皇国海軍に3隻しか存在しない150門級戦列艦ディオスに乗っていた。

敵の狙いはおそらく、海軍本部のあるエストシラント港だろう。

 

「まだ魔信は直らないのか?」

「はい、残念ながら…」

「これでは日本が攻撃してきても対応が難しくなるな…」

 

魔信が使えない以上、各艦と連絡を取りあうどころか、海軍本部とも連絡が出来ない。

各艦とは旗信号を使い連絡を取り合っているが、このままでは後手に回りかねない…アルカオンはそう考える。

 

財団の開発した魔信ジャミングシステムはパーパルディア皇国を大いに混乱させていた。

 

 

―皇国海軍第3艦隊 南方200km

財団護衛艦隊はエストシラント港へ北進していた。

敵の大船団はすでにレーダーで捉えており、早期警戒機による3次元レーダーで竜母か戦列艦かも判断出来る。

人工衛星による偵察で海軍本部の位置も把握しており、事前に攻撃の割り振りは完了している。

 

「すごい量と布陣だな。これほど近代艦の大艦隊を相手にした海戦は、日本の歴史上初めてになるかもしれんな」

 

艦隊司令の石井はそう言った。

 

「目の前の艦隊だけでも250隻はいます。呆れるほどの量ですね」

 

空母じゅんようの艦長がそう答える。

 

「全くだな。対艦誘導弾発射用意!目標、敵竜母!」

「目標捕捉、数30、発射準備完了!」

「攻撃を開始せよ!」

 

各護衛艦に設置された発射筒の中で固体燃料に火が灯り、煙を上げながら轟音と共に飛翔飛翔していく。

計30発の対艦誘導弾は時速3060kmという超高速で竜母に向かって飛翔していった。

 

 

―皇国海軍第3艦隊所属竜母艦隊 南方50km上空

ワイバーンロードに騎乗する竜騎士ラカミは哨戒飛行中、ふと違和感を覚えた。

 

「何だ今のは!」

 

彼は低空を超高速で矢のような物が飛行していったのを見た。

攻撃だと理解した時には、既に視界の外に飛んで行ってしまっていた。

 

「こちら索敵隊!竜母艦隊応答せよ!」

 

財団の妨害により魔信は機能せず、竜母艦隊へ攻撃を知らせることが出来ない。

 

「くそっ、どうしたらいいんだ!」

 

ラカミは絶望する。

 

 

―第3艦隊 竜母艦隊

魔信が使えないため乗せているワイバーンロードを半分直掩と哨戒にあげ、残りは甲板で待機していた。

 

「これほどの竜が居れば、そうやすやすと攻撃は受けまい」

 

竜母艦隊司令バーンは周りを見ながらそう言った。

 

「そうですね、我が軍は圧倒的です!例え敵がムーやミリシアルでも十分な戦力でしょう!」

 

竜母艦隊軍師アモルがそう司令に答える。

と、海上に何かが見えた気がした。

 

ド―――ン!

 

猛烈な閃光と共に、竜母艦隊旗艦の隣を航行していた竜母アビスが爆炎に包まれる。

少し遅れて海上に轟音が木霊した。

 

「ひぃぃぃぃぃ!」

 

軍師アモルは突然の恐怖に情けない声を出し、尻餅をつく。

竜母アビスは跡形もなく木端微塵となり、海上から姿を消す。

たった一撃で竜母を轟沈させる攻撃を彼らは知らなかった。

だが、破壊は終わらなかった。

 

次の瞬間、他の竜母と護衛に付いていた戦列艦、計29隻は直掩のワイバーンロードを残し、爆炎と轟音と共に姿を消した。

 

 

―第3艦隊旗艦 戦列艦ディオス

艦橋で第3艦隊提督アルカオンは、日本軍と戦うという確信的予感を持ち、前方の海を見ていた。

と、艦橋に一人整備兵が飛び込んできた。

 

「報告します。先ほど竜騎士の一人が甲板に降りてきました。彼が言うには、第3艦隊所属竜母艦隊が正体不明の攻撃を受け全滅したとのこと。直掩に当たっていたワイバーンロード155騎は、物体が飛翔してきた南方方面に向かい敵を捜索、発見時は攻撃を行うとのことです」

「な、なに!?」

「そんな馬鹿な!竜母艦隊は我ら主力戦列艦よりも遥かに後方だぞ!攻撃が届くわけがない!」

 

艦橋がざわつき、幹部はそれぞれ驚愕の声を上げる。

提督アルカオンが手を挙げると場が静まった。

 

「敵には長射程かつ正確に攻撃を出来る兵器があるのだろう。しかし、一気に全ての戦列艦をたたかずに海戦において最も重要な核となる竜母艦隊のみを狙った。敵の長射程攻撃の数に余裕のない証拠だ。うろたえるな」

 

悲壮感に溢れていた艦橋は、アルカオンの冷静な分析により落ち着く。

 

「戦列艦アディスより報告!前方約40km地点に艦影を確認!隻数不明!」

「ほう見つけたか!全艦隊、第1種戦闘配置!艦隊の隊列を乱すな。最大船速で敵に向かえ!」

「はっ!」

 

命令は旗信号により正確に伝達され各艦に伝わる。

 

「竜騎士と連携が取れないのはかなり厳しいが、空に上がっていたのは幸いだったな。彼らもすぐに見つけるだろう。海と空の波状攻撃、歴史上今回のような大規模攻撃を受けたものはいない。日本よ、お前は耐えられるか?」

 

アルカオンは前方を睨め付ける。

 

 

―財団護衛艦隊

艦隊は既に戦闘態勢に移行しており、1列で敵の大艦隊へ向かう。

艦隊後方には空母じゅんよう、ひようが展開し、上空援護を行う。

最前線の護衛艦はつづきと戦列艦の距離が25kmになった時、旗艦から一斉司令が繰り返され、はっきりと大きな声で指示が流れる。

 

「攻撃開始!各艦、砲の射程に入り次第攻撃を開始せよ!」

 

はつづきの艦前方に設置された127mm単装速射砲が動き出す。

敵艦と時間の相対速度が計算され、FCSにより制御された砲が斜め上空を向く。

 

「主砲撃ちぃ方始め!」

 

轟音と共に砲弾が撃ちだされ、パーパルディア皇国海軍第3艦隊へ飛んで行く。

 

後に世界に日本という国を強烈に印象付け、歴史書にエストシラント沖大海戦と記される海戦が始まった。

 




追記)新たに10話を追加しました。宜しければご覧ください。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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