異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
もう2月ですね。だから何だと言うんだ。
では本編をどうぞ。
―早朝 トルメス城
「うーん、眠いな」
「もう少しで交代だ、ほらコーヒー」
「お、助かる。ちゃんと入れたか?」
「ミルクも砂糖も入れてるよ、甘党」
「ブラックなんて飲めるか…ん?おい、レーダー見てくれ!」
「え?…この反応!」
「急いで松永班長に知らせるぞ!」
―同時刻 伊吹
「カップラーメンにカレーを注いで…饅頭をおかずに…」
杉田の寝言が聞こえ、その台詞にクスっと笑ってしまう。
伊吹はデスクに置かれたパソコンを見ながら、考え事をしていた。
「魔王の魔力が高すぎる。本当に生物なのか…?高度な知能も持っているらしいし、偶然生まれたとは思えない…人為的に生み出された?だが、この世界にそんな高度文明は…」
と、急に部屋が激しくノックされる。
「すいません、緊急事態です!」
「ふぇ、地震!?アノマリーの収容違反!?」
寝ぼけてベッドの上でドタバタしてる杉田を横目に扉を開ける。
扉の前には機動部隊の1人が立っていた。
「どうしましたか?」
「朝早くすみません。魔王が攻めてきました!」
「何ですって!?」
まさかこのタイミングとは…
「現在トーパ王国騎士団が迎撃しています。ですが、長くはもたないでしょう。装甲指揮車に案内します」
「分かりました、杉田行くぞ!」
―装甲指揮車
「なんて魔力量だ…レッドオーガ達の倍はあるぞ」
「このクラスが魔法を撃てば、財団の魔素攪乱システムでも防げるかどうか…」
「ゴーレムも凄いな。魔王ほどではないが、あれ自体が魔素で構成されてるようなものだぞ」
パソコンを見ながら横田と落合が話していると、扉が開き伊吹と横田が乗り込んできた。
「どうなってますか!?」
「魔王は巨大ゴーレムと多数のオーガら魔獣を引き連れ侵攻中です。トーパ王国騎士団が迎え撃っていますが数に差がありすぎますね」
「騎士団が撤退を始めました。ん?城壁の上に魔力反応!」
窓から覗くと黒いローブに金冠を頭に乗せている5人が見える。
「彼らは?」
「トーパ王国最後の切り札、王宮戦闘魔導隊です」
伊吹の質問に松永が答える。
「魔王を封じた勇者を超える魔導士たちと聞いています」
「なら少しは期待していいのかな?魔力カウンターは?」
「15前後といった感じですね。確かに人間基準なら高いですが、魔王にダメージを与えられるかどうか…」
杉田が装置を見ながら答える。
「魔素が彼らに集中しています。凄まじいエネルギーだ…」
「魔法の内訳は…風 60、土 25、水 10、火 5 か」
魔王の周辺に幾つもの竜巻が発生し、空は黒雲で覆われ雷が発生する。
その風景はハリケーンのようだった。
「あんな事が可能なのか…異世界だな」
「魔王に直撃しました。ですが…」
画面を見なくても分かる。
魔法が収まっても魔王とゴーレムは健在だった。
「やはりダメだったか」
「魔王から高エネルギー反応!魔法内訳…火 95、風5 です!」
「なに!?そんなに純粋な魔法を撃てるのか!」
この世界の魔法にはファイヤーボールやウィンドカッター等初級魔法という簡単なものから、これらを発展させた中級魔法、上級魔法がある。
だがどの魔法でも必ず1はどの属性も含まれるため、魔法は4大元素で必ず構成されるというのが通説だった。
更に魔素はお互い干渉しあうため、理論値より威力が劣ることが良くあった。
例えばファイヤーボールは2~3%ほど水の魔素が含まれるため、計算より威力が落ちるのである。
しかし魔王はどうか。
やつは4大元素のうち2種類だけで魔法を撃ってみせた。
その威力は凄まじいもので王宮戦闘魔導隊全員とその周辺の城壁を完全に融解させていた。
「やはり純粋な魔法の威力はすごいな。まさか敵に教えてもらえるとは思わなかったが」
「これは貴重なデータですよ!日本に帰れば学会に発表できる大発見です!」
「落合、ちゃんとデータ取れたよな!?」
「もちろんです!世紀のスクープを見逃すわけがありません!」
「なに感心してるんですか!」
魔王に感心している伊吹達に松永が叫ぶ。
後ろの4人に若干呆れながらも無線で指示を飛ばす。
「戦車長!あれは積んでるよな!」
「はい!使いますか?」
「使用を許可する!確実に仕留めろ」
―魔王視点
想像より人間どもが強くなっており、想定の数倍の軍勢がやられた。
だが、魔帝様が使っていたエンシャントカイザーゴーレムのレプリカの作成に成功した。
レプリカとはいえ、その性能はオリジナルに引けを取らない。
先ほどの魔法でも傷一つついていない。
この調子ならば簡単に制圧できるだろう、そう思っているときだった。
目の前の城壁が開くと、そこから見覚えのある
「な、何故、太陽神の使いが!?まさかあいつらがレッドオーガとブルーオーガをやったのか!」
大地を走り回る鉄竜、魔王にトラウマを植え付けたものに似ている。
だが、以前見たものより遥かに洗練されており、重厚感があった。
「だが、この力の前には無力!エンシャントカイザーゴーレム、あれを…」
踏み潰せ!、そう言うはずだった。
言い終わる前に鉄竜が爆裂魔法を発動させ、ゴーレムを一撃で木端微塵にしたのだ。
「なっ!?」
自身の力作が一撃で粉砕されたことに驚く魔王、だがすぐに体制を立て直す。
「こうなれば我が吹き飛ばしてくれる!魔界の王の名の下に命ず。魔界の獄炎の鳳凰…」
―伊吹視点
「魔王に先ほどと同じ高エネルギー反応!」
「城壁を吹っ飛ばしたあの魔法か!」
巨大ゴーレムを倒して一安心、とはならず魔王が再び魔法を撃つ準備を始める。
「いくらGOCの戦車でもあの魔法は耐えきれません!松永さん!」
伊吹が松永に叫ぶ。
「目標魔王、主砲弾装填。あの魔法ごと撃ちぬけ」
「松永さん!無茶です!」
「大丈夫ですよ。見ていてください」
ニヤッと笑う松永、その顔は自信で溢れていた。
―魔王視点
「鉄竜よ失せろ!ダークフェニックス!」
眼前で止まっている鉄竜に向け数千度を超える炎を撃ちだす。
これで終わりだ…そう思った瞬間だった。
魔法を真っ二つに割きながら高速で何かが飛翔してきた。
割けた魔法は形を保てず空中に霧散する。
「な、何だと!?」
まずいと本能的に感じ防御魔法を展開する。
これを貫けるわけがない、魔王はそう安堵した。
GOCの16号戦車が撃った砲弾はあっさりと防御魔法を貫通、魔王に直撃したのだった。
―伊吹視点
「砲弾は魔王に命中しました。反応消失」
「よくやった。では各員、魔獣掃討に入れ」
松永らがそう話している。
伊吹はつい話しかけてしまった。
「松永さん、さっき撃った砲弾は…」
「気付きましたか。あの砲弾は魔法を無力化、突破するために作られた魔法無効貫通弾です。この世界の魔法に防御魔法や高威力魔法があることを知った上が開発させた代物です」
「流石GOC、まさか魔法を迎え撃つとは…」
伊吹はその方法があったかと納得する。
開発自体は可能だろうが、異常存在を収容するにあたり魔法などは無力化しなければならないため、上は開発を渋るだろう。
というか、言われるまで気づかなかったことに自分も財団に毒されてると感じる伊吹だった。
その後、頭を失った魔獣たちはほとんどが撤退し、自衛隊とGOCはミナイサ地区の復旧作業を帰国する1日前まで手伝った。
ちなみに撤退したとはいえ、魔王軍はトーパ王国にとってかなり重荷になる数が残っていたが、偶然ほんとに
―帰国1日前
この日魔王討伐とミナイサ地区奪還、その復旧を手伝ってくれた感謝を込めて盛大にパーティーが行われていた。
わざわざトーパ王国の王都から重役が何人も出向いているあたり、よほど大事な会なのだろう。
「パーティーに出席しなくて良かったんですか、松永班長」
「そういうあなたは良かったんですか、伊吹先生」
「私は何もしていませんよ…ですが、あなた方は魔王を討伐した張本人なのに出席しないなんて。百田さんにお願いされませんでした?」
「もちろんされましたよ」
「では何故?」
「…野暮なことを聞くのですね。あなたと同じ理由ですよ」
「人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。…あなた方は封じ込めという手段は取りませんがね」
「そう言うことです。我々は表舞台に決して立ってはならない。それはずっと変わらないでしょう」
「我々が表舞台に立つ時は…人類の終焉の時だけですね」
「そうならないよう願うだけです。今回はいい経験をさせて頂きました。また機会がありましたらよろしくお願いします、伊吹さん」
「こちらこそありがとうございました。松永さん。これからの活躍、影ながら応援してますよ」
ここに魔王討伐作戦、いやオペレーションモモタロウは終了した。
実は魔王が死に際に言葉を残しており、要約すると「近いうちに魔帝が復活する」というものだった。
この事を知ったGOC極東部門も魔帝対策を始めたのだが、これはまた別のお話し。
魔王編終了です!
当初書かなくてもいいんじゃないか、って思ってたんですが、「GOCはどうなってるんですか?」というコメントをかなり頂いて、「そうだ、魔王はGOCに消し炭にしてもらおう!財団より適役やし丁度いい!」という流れで決まりました。
次回からグラバルカス編です。
財団の本気が見られるのか…?楽しみですねぇ
ではまた!
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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