異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

久しぶりに4000文字を超えてしまいました。
筆が乗る時と乗らない時の差が激しいですw

それでは本編をどうぞ。


訪日

―神聖ミリシアル帝国 帝都ルーンポリス

世界中のほぼ全ての国家が認める(自称)世界最強の国、神聖ミリシアル帝国。

他の国家と隔絶している高度文明をほこるため、人々は世界の中心という意味を込め、ミリシアルのある大陸を中央世界と呼んでいる。

 

ミリシアル帝国は世界で最も高い魔導技術を持ち、高度な政治システムと広大な国土、優秀な生産システムによる量産、そして優秀な学問体系が組み合わさった結果、この世界の文明圏国家や列強国と比べても国力の優位性は疑いようがない。

 

なぜこんな発展しているのか、その理由は古の魔法帝国にある。

ミリシアル帝国は国の各地に残る古の魔法帝国の遺跡を解析、そこから得た技術を発展させてきた、という経緯がある。

そのため地球の歴史を基準にすると、技術はいびつな発展をしている。

 

その帝都 ルーンポリスにある外務省、その建物の一室で2人の男が会談をしていた。

 

「しかし、まさか第3文明圏唯一の列強、パーパルディア皇国が敗北するとはな。しかも国土も狭い文明圏外国家に…信じられないよ。我が国の魔導艦隊をもってすればパーパルディア皇国の軍隊など何事もなく蹴散らせるだろう。しかし、それでも第3文明圏の技術水準からすれば皇国の軍事力は付近の国より隔絶していた。日本国、興味が湧くな…」

 

そう話すのは外務省統括官リアージュ、相手は情報局長アルネウスである。

 

「はい、ですので是非早期使節団の派遣を…」

「アルネウス君、情報局長の君が日本国の情報を集めたいのは分かるが、我が国は世界最強なのだよ?単に国交樹立を目的として我が国から打診し、使節団を派遣するなど…しかも相手は列強国ですらない文明圏外国家に」

「リアージュ様、日本国は今後第3文明圏の列強に代わり第3文明圏…いえ、東方大陸国家群の代表的存在であり、列強国の一員になると思われます。我が国が開催する先進11か国会議にパーパルディア皇国の代わりに日本を呼び、それらの準備すべき事柄の指導という形で、国交樹立も含め使節団を派遣する、という形は如何でしょうか?」

「ふむ、それならば議員の方々も納得するかもしれないな。検討と根回しをしてみよう」

 

後日、神聖ミリシアル帝国は日本国に使節団の派遣を決定した。

 

 

―サイト-8100

「ということで、1週間後神聖ミリシアル帝国から使節団が到着するそうです」

 

外務省から入った情報を有田が伝えてくれる。

 

「遂に自称世界最強の国がやってくるのか。政府は大変だろうな」

「かの国の機嫌を損ねたら最悪世界を敵に回しますもんね」

「そんな状態は避けたいな…まぁ仮に全戦力差し向けられても余裕なんだが」

「だからといって戦争はしたくないですよ」

「誰でもしたくないだろ」

 

新藤が苦笑しながら答える。

 

「そういえばレミールはどんな感じだ?」

「監視課エージェントの下、サイトやアノマリーの掃除を行っています。本人にはアノマリーがどれだけ危険なのか説明しているので、『牢獄の方がマシだ』って嘆いています」

「戦争を起こしたうえ、虐殺したのだから仕方がないだろう。外務省は何か言ってたか?」

「『そのままずっと雑用させていてくれ』と」

「…色々大変なんだろうな。刑期満了しても永久Dクラスで雇ってもいいかもな」

「いいんじゃないですか?裏を知った以上表には戻せませんし」

「それもそうだな。ま、満了までまだ時間あるしゆっくり考えるとしよう」

 

そう2人が話していると扉をノックし、軍事部門長の松本が入ってきた。

 

「管理官失礼します」

「松本か、どうした」

「政府、いえ防衛省から兵器開発の提案がありました。ですが、内容が内容だけに意見を聞きに来ました」

「ほう、内容は?」

「既存潜水艦へのVLSの設置、潜水艦発射型弾道弾と核兵器の配備です」

「……なかなかセンシティブな内容だな」

「VLSの件や潜水艦弾道弾はいいんですが、核兵器となると…」

「一概には決められんな。一度財団内の意見をまとめ、更にGOCとも協議せねばならん。配備の理由は魔帝か?」

「はい、魔王が魔帝の遺伝子操作により誕生した生物であることから相手が1960年代ほどの技術力を持ち、更に核弾道を容赦なく撃ちこんでいたという予想から配備するそうです。また、グラ・バルカス帝国の事もあると思われます」

「核兵器以外は賛成だと伝えておいてくれ。核兵器の代替え案は後で提示するとも」

「承知しました」

 

松本が退出する。

 

「核兵器とは…政府も思いきりましたね」

「だがあの兵器は戦略兵器、使えば80年前の大惨事をもたらしかねない。私としては反対だ。相手が核を持ちだすなら、こちらはそれ以上の代物で対抗するさ。幸い核以上の威力をほこり、だが後遺症が残らない兵器はあるからな」

 

新藤の表情は少し厳しい。

 

「…そうですね。もし魔帝が復活したら財団はどうします?」

「財団どころかこの世界の危機だ。防衛権を拡張しても怒られん」

 

(この人意外と好戦的なのかな)

フッと微笑しながら答える新藤に対しそう思った有田だった。

 

ピロン。

 

「ん?メールか」

 

新藤のパソコンから通知音が鳴る。

カタカタとパソコンを操作していた新藤の手が止まった。

 

「…すまん有田、週末の予定を全てキャンセルしてくれ」

「管理官?どうしました?」

「大事な用事が入った。最優先事項がな」

 

 

―サイト-????

「もうすぐ完成か…大変だったな」

「転移して魔帝の話を聞いてから急ピッチで建造開始しましたが…ようやくですね」

「これが財団の新たな切り札になるんだ。だが色々詰め込みすぎだろ」

「そうですか?SCPS*1に基本搭載のSRA*2とカント計数機*3、その他もろもろ…」

「いや、その他もろもろが多いだろ。新型機関に新兵器、地球だったら絶対ストップかけられてるな」

「それは間違いないな。だが試験航海が終わって問題がなければ、2番艦、3番艦の建造が待ってるぞ」

「うへー、休みは無いんですか…個人的には反ミームのレベルダウンで、ある程度自由に話せるようになったのが嬉しいですけど」

「反ミームシステムもLv.5からLv.3に格下げされたからな、自室でも普通に話せる。ネットとか電話じゃ無理だが。なら今日は俺の部屋で呑みながら大変だったことでも話さないか?」

「いいですね。つまみも忘れないでくださいよ」

「じゃあ俺、秘蔵のやつ持っていきますわ。楽しみにしといてください」

「それは楽しみだ。よし、最後の仕上げだ!お前ら気張るぞ!」

 

 

―九州 南西700km 上空

雲一つない晴れ渡った青い空、その中を白く塗られた機体が飛んでいた。

機体に2つ搭載されているエンジンの後方は青く光り、空気を噴射している。

第3文明圏の技術レベルでは決して作ることが出来ない―仮に設計図があっても真似できないだろう―魔導技術の結晶たる航空機、中央世界に位置する世界最強の国 神聖ミリシアル帝国の「天の浮舟35型」は使節団を乗せて時速 310kmで日本国へ向かっていた。

 

「こちら機長です。間もなく日本国領空に入ります。なお、日本国の戦闘機が2機、当機を先導する予定となっております。戦闘機が来ても先導目的ですのでご安心ください」

 

機内放送が終わる。

 

「長かったですね。あと2時間ちょっとでやっと着きます」

 

情報局員のライドルカは隣に座る外交官 フィアームに話しかける。

 

「しかし遠いですね。もう少しで東の果ての文明圏外国家を相手にしないといけないのかと思うと頭が痛いです。戦闘機2機が先導に来るとのことですが、ワイバーンではなく飛行機械を持っていること自体が驚きです。流石はムー国の恩恵を得ている国です。パーパルディアに勝った理由も何となく理解出来ますよ。どんな戦闘機で登場してくれるのか楽しみです」

 

フィアームの頭にはムーの複葉機が浮かぶ。

情報局は日本国についてある程度の情報は収集していたが、その内容が不確定であり、かつあまりにも突拍子もなかったため、パーパルディアに勝った国という事実のみを伝え、具体的にどのような国かは伝えていなかった。

 

「フィアームさん、日本に対しては文明圏外の蛮族といった先入観を捨てたほうがいいかと思います」

「そうですか」

「いやぁ、私も日本国がどのような航空機で来るのか非常に興味がありますね」

 

技官 ベルーノも会話に加わる。

窓の外は遠くまで海と空が続き、機内には魔光呪発式空気圧縮放射エンジンの発する甲高い音と、機体が空気を裂く音のみが聞こえる。

 

突如2機の航空機とすれ違い、遅れて轟音が響く。

2機の機体は遥か後方で向きを変えると、あっという間に天の浮舟に追いつく。

1機が機体の前へ、もう1機が横についた。

 

「な、なに!?早すぎる!」

「ムーの飛行機に使われているプロペラが無い!ん?機体前方に空気取り入れ口がある!まさか日本国も魔光呪発式空気圧縮放射エンジンを実用化しているのか!」

 

ベルーノは驚愕する。

 

「しかしなんて速度だ!制空型の天の浮舟の速度を凌駕している!」

 

武官 アルパナも話に入ってくる。

 

「あの翼型は…まさか後退翼!速度が音速を超えた場合に翼端が超音速流に当たらないように考えられた翼型!我が国ではまだ研究中、正確には理論段階だがまさか実物を見られるとは!アルパナさん、あの戦闘機は少なくとも音速を超えますよ!」

 

ベルーノは後退翼の特性を見抜き、興奮気味で話す。

その話を聞いたフィアームはワナワナと震える。

 

「ばかな!文明圏外国家が我が国の航空機を凌駕する航空機を持つはずがない!」

「しかしあの機体は明らかに音速越えを想定しています。無意味な形の航空機は作らないでしょう」

「我が国は先進的な学問体系もさることながら、古の魔法帝国の遺産を多数研究しているという、他国に比べ大きなアドバンテージがある。それにも関わらず、航空技術という最も重要な一分野において負けるとは!一体どういうことだ!」

 

フィアームらは困惑しながら航空自衛隊のF-15Jを眺めるのだった。

 

先導開始から2時間後、遂に天の浮舟35型は九州上空に達した。

眼下には大きな先進的都市が広がっている。

これほどの大都市が文明圏外にあり、かつこの都市が1地方都市にすぎないということに、全員が衝撃を受ける。

 

「日本国には魔法がないらしいが、魔法なしでこれほどの大都市が作れるのか?」

 

ベルーノが疑問を呈する。

やがて機はミリシアルのものより1、2回り大きい滑走路に着陸、駐機場に誘導された。

 

「!!!」

 

機を降りたフィアームは眼前の光景にプライドが破壊され、屈辱的な気分になる。

中央世界の、いやこの世界の誰もが認める世界最強の国、神聖ミリシアル帝国の技術の結晶ともいえる天の浮舟35型。

その美しい機体、高度に洗練された技術、行く国々で各国との技術の差、国力差を実感し見るたびに誇りに思ってきた。

だが、今横にある機体は何なのだ!

ボーイング777とボーイング787に挟まれ駐機している天の浮舟35型は、ひどく小さく見える。

初めて惨めな気持ちを感じたフィアームであった。

 

使節団は日本国の出迎えた外務省職員らと挨拶を交わし、日本の用意した車で福岡市内のホテルに移動した。

*1
財団所有の艦艇のこと

*2
Scranton Reality Anchor;スクラントン現実錨…周囲のヒューム値をを2hmに固定する機能を持つ装置。主に現実改変を行うアノマリーを封じたり、現実改変の影響を受けないために使われる。

*3
ヒューム値を測る際に用いられる




SCPSなんてあったのか!下調べ足らんかった…(某総統閣下風に)
以前投稿した「壊滅」の最後に書いた誤伝達部門の意味、分かりましたでしょうか。
一部答え合わせになります。

設定集にGOCを加えました。

ヒューム値、スクラントン現実錨などについてはこちらから
http://scp-jp.wikidot.com/and-this-one-explains-humes

「FAQ;~ヒュームって一体全体なんだ?」は``Jekeled``作「An FAQ; Or, What The Hell Is A Hume?」に基づきます。
原語版…http://scp-wiki.wikidot.com/and-this-one-explains-humes
JP版…http://scp-jp.wikidot.com/and-this-one-explains-humes(訳者:dr_toraya)
ライセンス:CC BY-SA 3.0

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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