異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
先週は投稿できず申し訳ありません。
新生活に向けての引っ越しの準備で忙しく執筆することが出来ませんでした(言い訳)。
今後もいつも通り日曜日に投稿出来るよう善処します。
それでは本編をどうぞ。
―カルトアルパス 南方250km 調査艦 びせい
「総合管制室より連絡。オペレーション:オミクロン発動、とのことです」
通信士から連絡が入る。
「了解した。水上艦用電波探知妨害装置起動。対空、対潜監視を厳とせよ」
「報告、西方200km地点に航空戦力確認。数は250以上。カルトアルパスに向けて飛行中」
「了解。システム起動、調査艦 のべやまとの連携を開始せよ」
―グラ・バルカス東部方面艦隊 カルトアルパス攻撃隊
カルトアルパス湾内にいる神聖ミリシアル帝国以下各国の艦隊を叩き、港町カルトアルパスを爆撃することで、世界にグラ・バルカスの実力を知らしめる。
先進11ヵ国会議は世界の列強や強国が集う、そこを攻撃すれば彼らの、特に防衛を担っている神聖ミリシアル帝国の株はガタ落ち、戦わずして我が帝国に降伏する国も現れ、無駄な戦闘を回避できるというまさに一石二鳥の作戦である。
「この作戦で蛮族どもは我々の実力を知ることになるだろうな」
攻撃隊を率いる隊長はそう思っていた。
「あと何分で着く?」
操縦席にいる相棒に話しかける。
「そうですね、大体50分前後です」
「そうか」
答えを聞いた隊長は警戒も込めて周辺を見渡す。
眼下には青く綺麗な海、上にはどこまでも澄んだ青空が広がり、後方には雷撃機リゲルや爆撃機シリウス、前方や左右には護衛の戦闘機アンタレスが続く。
この世界にとっては
最強という神聖ミリシアル帝国ですらあのざまだ、この作戦楽勝だろう、そう全員が思っていた。
―1時間後
「…まだ着かないのか?もう1時間だぞ」
「まだですね。いい加減見えてきてもいいのですが…」
順調だと思われていたが、到着予定時刻になってもカルトアルパスへ到着しない。
周辺に島は見当たらず、今どこにいるかも皆目見当がつかない。
「計器に異常はないよな?」
「はい、全て正常に動いていますし、仮にこの機体だけおかしければ、すぐに友軍から報告が入るはずです」
この世界には無線という概念がないのが分かっている為、本来戦場で行われる無線封鎖は行われていない。
何かあればすぐに友軍から連絡が入るはずだ。
だが、何かおかしい。
「中隊ごとに散会、周辺を調査せよ」
隊長は現状把握のために指示を出した。
―グラ・バルカス東部方面艦隊 グレードアトラスター
「そろそろ見えてもいいはずなんですが…」
一方、カルトアルパスを封鎖するために動いていたグレードアトラスターもなかなか辿り着かないでいた。
「どうなっている?」
艦長ラクスタルは艦橋全体に尋ねた。状況を報告しろ、という意味だ。
「操舵手、計器、装置ともに異常なし」
「通信士、異常なし」
各部署から報告が入る、だが全く異常はないようだ。
帝国軍人、特にグレードアトラスターに乗っているのは精鋭揃いである、その彼らが揃いも揃って間違えるとは到底思えない。
「そうか、何か分かれば報告しろ」
ラクスタルはそう答えるしかなかった。
―カルトアルパス 巡視船 しきしま
「グラ・バルカスが攻めてくるとは…相手は
艦長 瀬戸の顔は険しい。
しきしまの防衛能力は35mmと20mmの機関銃があるだけであり、対艦能力はない。
グラ・バルカスが攻めてくると判明した際、直ぐに撤退したアンニュリール皇国以外の各国は迎撃すると会議で発言したらしいが、ムーとミリシアル以外はまともな対空を持っているようには見えない。
ミリシアルの巡洋艦は8隻、ムーは16隻、更にムーの直掩機として戦闘機マリンと周辺から防衛に飛んできたミリシアルの戦闘機が多数飛んでいるが、果たしてどれくらい役に立つだろうか。
自分の身は自分で守れ、と言うが…
「艦長、本国より連絡です!」
熟考していた瀬戸に副長が話しかける。
「どうした?」
「直ちに巡視船 しきしまは湾内を脱出、ムーのマイカル港へ避難せよ、とのことです」
「なに!それは本当か!」
瀬戸の顔が、いやその話が聞こえた全員の顔が明るくなる。
「よし、機関全速!マイカル港へ向かうぞ!」
「了解!」
しきしまは最大船速25ktまで増速する。
「だが、仮に鉢合わせたら終わりだぞ。それに他国からの心証はどうなる?まぁ、我々が気にすることではないが」
「それについては、邦人を守るためムーにいる海上自衛隊の護衛隊を代わりに派遣するとのことです」
「自衛隊が来るのか、なら安心だな」
海上保安庁の巡視船 しきしまはカルトアルパスを脱出しムーのマイカル港へ向かった。
―調査艦 びせい
「巡視船しきしまの脱出を確認。安全海域まで残り30分」
「よし、なんとか時間を稼げたな。管制室へ連絡、『シロウサギブジワタリキル』」
CICの空気が緊張から解かれる。
艦長の顔にもホッとした表情が浮かぶ。
「よし、現海域を離脱。しきしまをマイカル港まで送り届けるぞ」
―グラ・バルカス東部方面艦隊 カルトアルパス攻撃隊
「我、目標を発見せり!」
「ようやく見つけたか!全機集合せよ!」
探すこと1時間、遂にカルトアルパスを発見した攻撃隊は目標の南方50km空域に集合、作戦どおり攻撃を開始した。
戦列艦は機銃掃射で撃沈、ムーの戦艦やミリシアルの巡洋艦には爆弾の雨が降り注ぎ、更に投下された魚雷が襲い掛かる。
あらかた片付いた攻撃隊は燃料の問題で一時帰投、補給の後、ようやく辿り着いたグレードアトラスターと同時に第2次攻撃を開始、港町カルトアルパスに爆弾を降らせた。
カルトアルパスから脱出しようとした艦隊はグレードアトラスターの46cm砲の前に海の藻屑となった。
その結果は、ラ・カサミ以外の全艦が撃沈、ラ・カサミも機関が暴走し座礁、大破していた。
そして生存者は全員グラ・バルカスに捕虜として連行された。
―海上自衛隊 第17護衛隊
「これは…酷いな」
「そこら中に木材やら鉄板やら浮いてますね。もし『しきしま』がいればこうなってたでしょう」
(一方的な)戦闘が終わり、グラ・バルカスが捕虜を回収して撤退した数時間後、入れ替わるように護衛隊が入港する。
といっても半数だけであり、もう半分は安全な所に避難していた生活艦 いみずと調査艦 のべやまと合流しに行っている。
何故入港したのか、それは被害確認のためであった。
今更来て遅いんだよ!日本は腰抜けだ!…本来ならそう野次が飛んでもおかしくない。
だが、カルトアルパスは空襲でボロボロであり、一度も本国が攻撃されたことのない住民たちの心もボロボロだった。
仮に野次を飛ばす気力があっても、目の前で列強が、自国の艦隊がボコボコにされた姿を見た彼らには「日本が居ても同じ結果に違いない」と思うだろう。
そのため日本に対して恨みを持つ者は少なかった。
「データを取れました。目も当てられないほどですよ」
「そうだろうな…外務大臣たちを回収して撤退するぞ」
財団所属の第17護衛隊は安全圏へ移動していた外務大臣たちを回収、その後合流した生活艦 いみずへ移送し、一緒に本国へ帰投した。
余談だが、このカルトアルパスでの戦闘について、海上保安庁ではなく海上自衛隊を派遣した方が良かったのではないか、パーパルディアとの経験から派遣すべきだったのでは、と国会やネットで論争が巻き起こったのはまた別のお話し。
Q.オペレーション:オミクロンとは結局何ぞや?
A.調査艦 『びせい』と『のべやま』が磁場操作システム(当小説の架空システム)を用いることで、カルトアルパスへ向かっていた攻撃隊とグレードアトラスターの計器をいじることで到着を遅らせる作戦。コンパスに磁石を近づければ方位磁針が狂う、というのを超大掛かりで行った感じ。磁場操作システムは2機1対で働き、システムの間■■■kmを操作できる。
他の計器に異常が見られないように感じたのも、コンパスと一緒に上手く数値が変更されていたため。
『しきしま』が安全になったのを確認してから少しずつ本来の数値に戻していったため、グラ・バルカスは全く気付いていない。
意味不明なところもあると思いますが、まとめると『範囲内のコンパスと座標を導く計器を全て自由自在に操れる便利な機械』です。
え、そんなこと出来るわけがない?ヒューム値弄って現実改変すれば何とかなる(暴論)。
多分このシステム、今後2度と出てきません。
Q.なぜ財団はフォーク海峡海戦に参戦しなかったのか。
A.助けるのは軍人でない巡視船『しきしま』だけであり、他国を守る(助ける)義理はなかったから。
今後のパーパルディアは?
-
原作通りに敗北
-
更に大敗北を喫す
-
地図から消す