異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
財団が関わったことで、史実(原作)とかなり変わった部分だと思います、是非原作と比べて読んでみて下さい。
あ、でも私の文章力の無さがバレるのでやっぱりやめてください…
それでは本編をどうぞ。
―サイト-8100
「…以上がカルトアルパス攻防戦、ならびにフォーク海峡海戦の報告となります」
グラ・バルカスによる襲撃から3日後、新藤は総合管制室長 田島から報告を受けていた。
「ものの見事にボコボコにされたようだな。まぁ大和型…グレードアトラスター相手ならそうだろうな。世界の反応は?」
「全体的にはグラ・バルカスは野蛮な国家である、との認識が広がっているようです。ミリシアルは
「奇襲ね…グレードアトラスターが目視できる距離まで接近してきていたのに、本当にレーダーで探知出来なかったのか?」
「それについてですが、ミリシアルはレーダーといっても、魔素を探知する魔導探知レーダーしか保有していないようです」
「魔導探知レーダー?あのパーパルディアが使っていた?」
「はい、その魔導探知レーダーです」
新藤が信じられない、という顔をしながら頭を左右に振る。
「パーパルディアのものより性能は良いんだろうが、機械動力には全く無効じゃないか…この世界にもムーという魔素を使わない国家もあるのにな」
「おそらく機械をなめているのでしょう。彼らは魔法を過信しているようですから」
「ま、いいさ。今回の戦闘は彼らにとっていい薬になるだろう。それで松本の方は?」
新藤は田島と一緒に報告に来た軍事部門長 松本を見る。
「はい、新型空母とその艦載機について報告に参りました」
松本が姿勢を正す。
「2番艦以降については新型機関を搭載せず、その代わりこれまで通りの核融合炉と次世代の新型イージスシステムを搭載することに決まりました。現在建造中の2、3番艦は既に核融合炉と新型イージスシステムへの換装を完了しています」
「1番艦は?」
「試験航海の結果、問題ないとのことですので、このまま換装せず使用します」
「分かった。艦載機は?」
「基本性能は問題ないのですが、カタパルトから発艦するとなると排熱が高すぎてコーティングに影響が出てしまうようです」
「まだ問題は山積みか…」
「排熱問題さえクリア出来れば、正式に採用できます。半年以内にはいけるかと」
「1つ聞きたいんだが、新型戦闘機の進捗は?」
「順調とは言えませんね。そちらは更に半年~1年ほど掛かると思われます」
「1年か…グラ・バルカスと本格的な衝突をするまでに間に合うか微妙なラインだな」
少し考え込む新藤、真剣な面持ちで顔を上げた。
「グラ・バルカスの件もある。財団は、この国は我々が守るぞ」
「はっ!」
―グラ・バルカス帝国領 レイフォリア
(なぜ私まで一緒に参加しなければいけないんだ…)
レイフォリアに向かう船の中でそう考えていたのは、先進11ヵ国会議にも参加していた日本国外務省職員 朝田だった。
「朝田さん、あれがレイフォリアです…以前来たことがあるのですが、雰囲気が全く違いますね。前は戦列艦が並び、かなり栄えていたのですが」
甲板にいた朝田にアガルタ法国 外務卿 リピンが話しかけてくる。
ちなみに他には、
・神聖ミリシアル帝国 西部担当外交部長 シワルフ
・ムー国 外交官 ヌーカウル
が乗っている。
彼らがレイフォリアに向かっている理由、それは先のフォーク海峡海戦における捕虜返還交渉と各国の意思を伝えるためである。
日本は捕虜を捕られていないためわざわざミリシアルよりも遠い西の果てまで来て参加する必要はないのだが、列強として参加してほしいと他国から、特にミリシアルとムーからの外交圧力により参加することになった。
結局、朝田はどの世界でも不憫な外交官である。
レイフォリアは建物がある程度建ち並び復興はしているものの、グレードアトラスターの艦砲射撃を受け灰燼に帰した様子は色濃く残っており、空襲後の写真を彷彿とさせる。
「外交官の方々ですね。レイフォリア出張所までご案内します」
港には一台の車が止まっており、彼らを丁寧に出迎えた。
これは相手が誰だろうとちゃんと出迎えるべき、とグラ・バルカスの外交官 シエリアが指示したためである。
車からの景色はとてもいいものとは言えなかった。
街の至る所に軍人がおり、住人たちの目に生気はなく、服も質素であり、厳しい生活を強いられているのが容易に想像がついた。
上空では零戦に似たアンタレス型戦闘機が編隊を組み飛び回っていた。
(あれが噂の戦闘機…確かに似ている)
「到着しました」
その声にふと我に返る。
車を降りると目の前に石造りの大きな建物のが立っていた。
入口では目つきが険しい軍人が警備をしている。
(なんでまた俺が扱いの難しい案件につかないといけないんだ…)
ため息をつく朝田だった。
会議室に案内され待つこと10分、ドアを開け人相の悪い男が1人入ってきた。
「ほう、この世界の
グラ・バルカス帝国の外交官 ダラスの非礼極まりない発言に、全員の顔がこわばる。
ミリシアルのシワルフが手を挙げ発言する。
「神聖ミリシアル帝国西部担当外交部長のシワルフです。我が国はあなた方、グラ・バルカス帝国が港街カルトアルパスで行った奇襲、そして蛮行を痛烈に批難し、直ちに謝罪と賠償、今回の蛮行の責任者の引き渡し、そして捕虜の返還とレイフォル国からの撤退を行うよう通告に参りました。我が国、神聖ミリシアル帝国は他国と違って交渉に来たのではない、命令、通告だ。従わない場合、敵に回すのは我が国のみではない。先進11ヵ国のみでもない。これは中央世界の総意だ」
怒りを込めてシワルフは発言する。
ダラスが返答しようと口を開いた、その時。
「ダラス、ここから先は私が責任をもって交渉する。お前は下がっていなさい」
扉を開けて入ってきたのはつり目の美しい女性、先進11ヵ国会議にも参加していたシエリアだった。
「シエリア様、ですがこの場合の担当は…」
「これは命令よ。相手はこの世界の連合と言っても差し支えない。お前の手には余る」
「か、かしこまりました」
ダラスはシエリアに席を譲ると、隣の席へ座った。
「話は聞いていた。帝国の考えは先進11ヵ国会議で説明したとおりだ。変更はない」
さて先進11ヵ国会議でグラ・バルカス帝国は何を説明したのか。
会議の場にてグラ・バルカス帝国は、「我らに従え。我が国に忠誠を誓ったものは、永遠の繁栄が約束される。ただし従わぬものには容赦しない」と発言した。
つまり「属国になれ、さもなくば滅する」ということだ。
話を戻す。
「グラ・バルカス帝国は何を望む?」
シワルフが尋ねる。
「我が軍門に降ること、それだけだ。当然国家主権は認められないがな」
「具体的には?」
「植民地…といえば、わかりやすいか?」
「そのような通告を中央世界が呑むと思っているのか?」
「いいや、今は呑むと思っていない。ただ、敗退を重ねればいずれお前たちは我が国の案を呑むことになるだろう。安心しろ、どれだけお前たちの国が悲惨なことになっても、外交窓口だけは開けておく。自らの国民のためを思うなら、早めの決断をおすすめする」
シワルフの表情が一段と険しくなる。
「ふざけおって…捕虜の返還は応じないのか?」
「戦争が終わるまで捕虜の返還は認められない。我が軍門に降れば返還してやろう」
「捕虜の人権は当然認められるのだろうな?」
「それは…それは我が国が決める事だ。お前たちに答える義務はない」
一瞬シエリアは答えに窮した様で目が泳ぐ、その様子を朝田は見逃さなかった。
(何だ?何か迷っているのか?)
「ムー国外交官のヌーカウルです。さっきの会話からあなた方が捕虜の返還交渉に応じる気がないのは分かりました。ですが、どうしても発言としての事実が欲しいので質問します。あなた方は現在我が国を含めた第2文明圏に宣戦布告をしています。今回の先進11ヵ国会議で中央世界、並びに第3文明圏や
「ああ、間違いない」
ヌーカウルに対し「こいつはバカか?」という目をしながらシエリアは答える。
この回答がグラ・バルカス帝国の未来に重大な影響を与えることになるとはシエリア達はまだ知らない。
そしてこの回答を聞いたヌーカウルは僅かな笑みをこぼし朝田を見た。
(これは一本取られたな…)
その笑みを見て朝田は察した。
「分かりました。ありがとうございます」
ヌーカウルはポケットに入れていた予備のICレコーダーの電源を切った。
ムー国ではグラ・バルカス帝国に勝てない、そう考える者はまだ少なく、一部の技術者や軍事関係者しか本当の危険性に気づいていなかった。
だが、ムー国の外務省は今回の交渉に当たり、今後起こるであろう戦争に日本を巻き込めるよう、グラ・バルカスの明確な意思を伝える者からの公式発言を引き出す必要があった。
「日本国は何か言わなくても宜しいのですか?」
シワルフが朝田に尋ねる。
「そうですね…日本国としては今回の宣戦布告、並びに襲撃について、第2文明圏だけでなく、中央世界や第3文明圏の平和を脅かす大変非難すべき行為であると捉えます。我々は何の罪もなく生きている人々の生活を脅かす貴国の行為に対し、遺憾の意を表明します」
その言葉にシエリアやダラス、更にシワルフやリピンの顔が「ん?」となる。
「遺憾の意を表明する、それだけか?」
シエリアが朝田に対し問う。
「ええ、遺憾であります」
「ふん、それだけか。弱小国は意思表明で精一杯か」
ダラスがバカにする。
だがヌーカウルだけは違った。
(これがパーパルディアを衰退させた一言、「遺憾の意を表明する」か…)
「もう良いだろう。グラ・バルカス帝国は捕虜の返還に応じる気はない。そして我ら…世界の代表者である我々に自国の植民地になれと求めている。これが明確に判明した、事務レベルではっきりとな。シエリア殿、これで間違いないな?」
「ああ、間違いない」
シワルフの問いにシエリアが答える。
「では最後に、あなた方グラ・バルカス帝国の民の為に発言しよう。神聖ミリシアル帝国の保有艦隊数は、貴国が戦った艦船の数を遥かに上回る。我が国の魔導工学に基づく工業力も他国を遥かに凌駕している。早めの降伏をおすすめする。貴女が戦火に巻き込まれ死なないことを祈っておこう」
「そうか、ではこちらも交渉窓口だけは開けておこう。自国民の為を思うなら、一刻でも早めの降伏を薦めよう」
会議は終了し、シエリアが退室する。
各国の外交官が続けて退室しようとした時、ダラスが彼らに向く。
「お前たちは国民へは非公式としているようだが、実質的な国同士の会議は終わった。少し個人的なお前たちの感想を述べよう。弱者連合が、烏合の衆がいくら集まっても我が国には勝てん。帝国は今後、全ての国を配下に治めることになるだろう。貴様らもこの世界の連合としてプライドがあるのだろうが、帝国に降るか、弱者連合で亡国になるまで戦うか…本気で考えるんだな。まぁ、お前ら蛮族に考える頭があると思えんが」
各国の外交官らの顔が曇る。
朝田がダラスに対し発言する。
「では、こちらも個人的な感想を言わせてもらう。あなた方、グラ・バルカス帝国は現実が見えていない。今回の文明国とは到底思えない国際会議への武力介入、そして我が国への宣戦布告。我が国、日本国政府が参戦を閣議決定した時、グラ・バルカス帝国の終わりの始まりとなるだろう。貴国は、第3文明圏のパーパルディア皇国が我が国にしたこと、そしてその後どうなったかを少しお勉強した方がいいでしょう。外交窓口は開いておきます。早めに降伏するなら、ムー国にお願いして入国し、日本国大使館へいらっしゃってください」
捕虜の返還交渉は失敗に終わり、各国連合の会議は終了した。
今回は長く、いやだいぶ長くなってしまいました。
国同士の応酬は読んでて面白いですね。
なんとUAが3万を超えました!(どうも先週時点でも突破していたみたいです、気付かなかった)
ちょっと前に「2万超したぞ、わーい」と言っていた気がします。
今後も今作品をよろしくお願いします!
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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