異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

久しぶりに時間通りに投稿出来ました。(*´▽`*)
今回結構書いちゃったな…バルチスタ沖海戦どうなることか。

それでは本編をどうぞ。


大戦前日

―神聖ミリシアル帝国 帝都 ルーンポリス

神聖ミリシアル帝国の首都 ルーンポリス、その中心部に皇帝の住む城があった。

連合艦隊が出撃した1週間後、その城に皇帝陛下から直々に呼び出されたのは、対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部部長 ヒルカネ・アルペ、彼はとても緊張していた。

1省庁の1部長を皇帝陛下が呼び出すなど、異例中の異例である。

 

従者に案内された部屋には、テーブルとイスが2脚設置してあり、片方には世界の王たるミリシアル8世が座っていた。

 

「よくぞ来た。座るがよい、茶でも飲みながら話そう」

 

テーブルの上では帝国の名産である紅茶が微かな湯気を立てている。

 

「緊張しているのか?茶でも飲んで落ち着きなさい」

 

彼はお茶を一口飲んだ、緊張で全く味は分からなかったが。

 

「陛下、此度はどのようなご用件でしょうか」

 

対魔帝対策省古代兵器分析戦術運用部は、帝国の各地で発見される古の魔法帝国の超兵器、これらを分析し自国の国力増強に用いるのは勿論、稀に見つかる使用可能な状態の兵器を補修、分析、運用も担当している部署。

来るべき古の魔法帝国との戦いの際に最も必要とされる部署のトップが呼ばれたという事は…。

 

「余が君を呼んだ理由、想像がついているであろう?」

「魔帝復活の兆候を掴んだのでしょうか?」

「いや、グラ・バルカス帝国の件だ」

 

ヒルカネはたかが1文明圏外国家の為に呼び出された理由が分からず、軽く首をかしげる。

 

「先進11ヶ国会議が行われていたカルトアルパスを急襲した野蛮な国ですか。アグラ国防長官が主力艦隊を3つ派遣、更に世界連合がレイフォル沖の艦隊を滅するために出撃したと聞いております」

 

静かに聞いていた皇帝がゆっくりと話し始めた。

 

「余は念には念を入れる主義でな…本大戦に古代兵器を投入しようと思っている。グラ・バルカス帝国の艦隊を殲滅するために、空中戦艦 パル・キマイラをそうだな…2隻派遣せよ」

「なっ!?」

 

空中戦艦 パル・キマイラ…国内で7隻が発掘され、運用可能なのはたった5隻しかない古代兵器。この超戦力を2隻も投入、しかも相手は文明圏外国家ということに彼は耳を疑った。

 

「失礼ながら陛下、パル・キマイラは未だに構造が解析出来ていない箇所がただあります。万が一にも撃沈されたら代わりはございません。新たに建造することが出来ないのです。ご再考を!」

「作れない事も、代わりが効かない事も分かっておる。だが私は嫌な予感がするのだ」

「と言いますと?」

「国防長官のアグラは3艦隊もあれば十分敵を撃滅出来ると試算を出した。しかし我が帝国は来るべき全種族の…種としての存亡をかけた戦いを少しでも有利に進めるために、発掘された遺跡群から古の魔法帝国の力を推測し、世界史上最大の帝国を仮想敵国として発展してきたため、他国と大きな力の差がついている。差がつきすぎて、他国に対し全ての面で勝ちすぎてしまったのだ」

「それは良いことなのではありませんか?」

 

ヒルカネは皇帝に尋ねる。

 

「国家としては極めて良いこと、最高と言ってもよく、解析や技術、軍も良くやってくれていると思う。しかし連戦連勝は仮に気を付けていても目をくらませる場合がある。国防長官アグラは優秀だ。決してグラ・バルカス帝国を侮っていないだろう。だが、心の奥底に僅かな油断があるように感じるのだ。科学文明国家…侮ってはいけない国だ」

「かしこまりました、陛下。仰せのままに。古代兵器、空中戦艦パル・キマイラを2隻、グラ・バルカス帝国征伐のために派遣いたします」

 

ヒルカネは胸に手を当て、頭を下げた。

 

「頼んだぞ。軍部の方には余から話を通しておこう。万が一、1隻でも落とされることがあれば即座に撤退せよ」

「古代兵器が損傷、ないし撃沈するようなことは考えられませんが、承知いたしました」

 

その後、多少やり取りしてヒルカネは退室した。

皇帝は彼を座ったまま見届けると、窓の外に目を移す。

そこには夜空の星のように輝く、繁栄を極めし帝都が見える。

 

「これで負けることはあるまいが…傲慢なる異界の帝国は殲滅せねばな…」

 

神聖ミリシアル帝国はグラ・バルカス帝国を滅するため、空中戦艦 パル・キマイラ2隻の派遣を決定した。

 

この2隻がどのような結末をもたらすのか、まだ誰も知らない…

 

 

―グラ・バルカス帝国 レイフォル沖

神聖ミリシアル帝国を中心とした連合艦隊がレイフォルへ向かっていることを探知したグラ・バルカス帝国は、空母機動部隊による航空攻撃と戦艦を中心とした艦隊決戦を行うべく、レイフォル沖西方に展開していた。

帝国監査軍旗艦であり、帝国最強の戦艦と言われる『グレードアトラスター』、その艦橋で艦長 ラクスタルは前方の海を眺める。

 

「…圧巻だな」

 

海を覆いつくさんとするほどの艦隊、帝国監査軍と帝国海軍東方艦隊の連合軍が展開している。

巨大戦艦や空母が多数集結し、更に巡洋艦、駆逐艦が展開している様子は、見る者を圧倒し、決して負けぬと信じさせる力強さがある。

上空ではアンタレス型戦闘機が編隊飛行しており、一糸乱れぬ様は練度の高さをうかがわせる。

 

戦艦10隻、空母9隻、重巡洋艦18隻、軽巡洋艦20隻、駆逐艦112隻…別働隊として、潜水艦64隻が参加する。

戦闘艦だけで233隻、補給艦等の補助艦艇を含めればその数は4、500以上まで膨れ上がるだろう。

 

「帝国監査軍に東方艦隊…異世界の主力と言える連合軍を撃破するにしても、過剰戦力の気がしますね」

 

グレードアトラスターの副長が話しかけてくる。

 

「この戦いは我が国がいかに強大なのかをこの世界に真に知らしめることになるだろう。本国の人間はもっと出したかったのではないのかな?」

「とはいえ、西方艦隊も本土防衛隊も必要ですからね。本土を完全防衛していることを踏まえると、今回の派遣は相当な戦力を捻出したと思います。まぁあり得ない事ですが、全ての艦艇が派遣されたら、補助艦艇を覗いた戦闘艦だけでも790隻にも及びますから、どんな国でも滅んでしまうでしょうが」

「フッ、そうだな。では、帝国に刃向かった愚か者たちを殲滅しに行くとしようか」

 

グラ・バルカスの帝国監査軍及び東方艦隊は、バルチスタ沖に向かって進軍を始めた。

 

 

―神聖ミリシアル帝国 秘密基地 エリア48

広大な敷地に巨大な物体が整然と並んでいる。

その中の2つ…いや、2隻の古代兵器が出撃しようとしていた。

 

空中戦艦『パル・キマイラ』はベンツのマークを横にした形をしており、中央部に円形構造物の上に城の様な艦橋がある。

 

皇帝陛下より出撃命令を受けたパル・キマイラ2隻は、徐々に高度を上げていく。

その様子をヒルカネらは基地から見守る。

 

「ヒルカネ様、無礼を働いた異界の軍を相手に世界連合のみならず、対魔帝の要となる古代兵器まで投入するとは…皇帝陛下のやり方に文句を言うつもりはございませんが、少しやりすぎの気がします」

「確かにオーバーだろうな。もしかしたら、陛下は魔法文明の有益性をこの戦いで証明したいのかもしれないな。新たに出現した科学文明国家である日本国がこのところ、文明圏外国家や第3文明圏からの求心力を高めていると聞く。グラ・バルカス帝国に対しても絶対勝利の必要性を感じておられるようだ」

 

それにしても…、と彼は空を見上げる。

空中戦艦の名にふさわしく、空気力学以外の方法で空中を飛ぶその姿は見る者を圧倒させる。

軍部、いや情報局の者でも噂に聞いても見たことがある者はほとんどいないだろう。

対空魔光弾に対する装甲を持ち、時速200km/hもの速度で移動するため対艦用砲撃は当たらない。

半径130m、直径260m(戦艦 大和が263mである)もある巨大物体が、2隻も連続して出撃、実戦に向かうさまは、見慣れているヒルカネですら感嘆するほどに力強く、そして美しかった。

 

レイフォルやパーパルディア程度であれば、この2隻の出撃だけで勝敗が決まるだろう。

この2隻は先行している連合艦隊に追いつき、時間的に戦闘が始まる頃に戦場に到着し、その圧倒的な力、戦術をもって敵を殲滅し、他国を震撼させるだろう。

 

古の魔法帝国、ラヴァーナル帝国の超兵器、空中戦艦『パル・キマイラ』2隻は、レイフォル沖に展開するグラ・バルカス帝国海軍を滅するため、暁の空に向かって飛び去って行った。

 

 

―サイト・8100 総合管制室

「おい、これは本当か…?」

「はい室長、間違いありません」

 

総合管制室長 田島は数枚の写真を受け取ると、それらを注意深く観察する。

 

「これらの物体は全長260mで高度約100mを時速200kmで移動しています。方向的にレイフォルに向かっているかと」

「ふむ、空気力学で飛んでいるわけではなさそうだな…()()に情報を送っておけ。それとあっちの方は?」

「無事に目的地へ到着したとのことです」

「そうか。分かった」

 

財団はどこの国にも知られることなく、海戦を記録するため動き出す。

 

 

―グラ・バルカス帝国 旗艦 グレードアトラスター

グラ・バルカス帝国の誇る最強最大の戦艦 グレードアトラスター、その艦橋で艦長 ラクスタルは海を睨む。

なんだか…かつてないほど嫌な予感を感じる。

 

「副長気を引き締めろ…本戦いは今までのように一筋縄ではいかぬ気がする」

「戦いに油断は禁物であります。もちろん、心して掛かりますが…しかし艦長、我が国の優位性は揺るがないと思います。何か気になることが?」

「…勘だ。長年の勘がそう告げている」

「怖いな。艦長の勘はよく当たりますし」

 

2人が話していると、通信兵から報告が入る。

 

「報告します。最前列艦前方1時の方向、250km先の海域に敵の大艦隊を発見、第1次攻撃隊が発艦準備を始めました」

「遂に戦闘だな…総員第1種戦闘配置!」

 

ラクスタルの眼光が鋭く光る。

とうとうグラ・バルカス帝国はバルチスタ沖にて連合艦隊を捕捉、後に壮絶な戦いと記録される『バルチスタ沖海戦』が幕を開ける。




金曜日に保存と間違えて一瞬だけ投稿しちゃいました。
どなたも読んでいないと思いますが、念のため報告しておきます。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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