異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
先週は投稿出来ず申し訳ありません。
色々とありまして(ブツブツ…)…はい、すみませんでした。
それでは本編をどうぞ。
―サイト-8100 総合管制室
「改めて現状を報告してくれ」
「はい、まずは世界連合艦隊。300隻以上、おおよそ3分の2近くが撃沈、第2文明圏竜騎士団は約700騎が全騎撃墜されており、被害は甚大です。次に神聖ミリシアル帝国。航空機は200機近くが撃墜されているため、直掩機で精一杯。洋上艦も戦艦含め数隻が撃沈、大破しており、戦力は70%程に落ちていると思われます。そしてグラ・バルカス帝国ですが航空機は200機前後、洋上艦は78隻がパル・キマイラ2隻により葬られています。航空戦力、艦隊戦力は70%ほどと予想されます。ですが、潜水艦隊は無傷であるため、総合戦力は80%ほどかと。依然としてグラ・バルカス帝国が有利ではありますが…」
「問題はパル・キマイラか…」
「はい、これまでのデータを見るに1隻だけで打撃群1つと対等かそれ以上の戦力があります。この2隻の動きによっては、グラ・バルカスの戦力が一方的に殲滅される可能性もあります」
「そうなれば神聖ミリシアル帝国&連合艦隊の勝利か」
主任オペレーターの報告を聞きながら、新藤は前方のモニターを見る。
戦闘前は上空から視認可能な程の艦艇がひしめき合っていたが、今では6割以上が残骸と化し海上を漂っている。
連合艦隊から少し離れた海域では、グラ・バルカスの戦艦や重巡洋艦が燃え上がり、軽巡洋艦や駆逐艦が浮いていたであろう箇所には煙しか残っていない。
神聖ミリシアル帝国艦隊が通過した海域には、完全に沈黙した第1打撃群がかろうじて確認出来る。
ミリシアルの艦隊も多数の煙を引き、その傷は浅くないことが良く分かる。
(これが戦場だ…国を守るために多くの軍人が亡くなった…どちらにも守るものがあり、正義がある。一概にグラ・バルカスが悪いといえる訳ではない。日本は周辺諸国が受け入れてくれたおかげで、安全に平和に生きている。だがグラ・バルカスは周辺諸国からあしらわれ、交渉に向かった皇族を処刑され、亡国の危機に陥った。だからこそ身を守るために侵略を始めた。もし我々とグラ・バルカスの立ち位置が逆であれば…)
「グラ・バルカスの潜水艦隊、神聖ミリシアル帝国艦隊に雷撃を開始」
その報告にふと顔を上げる。
映像では確認できないが、調査艦のソナーにより魚雷も捕捉されている。
「最高管理官、何か考え事ですか?」
室長の田島が声をかけてくる。
新藤は首を横に振りながら答える。
「いや、大したことじゃない。そういえば、海域調査に向かった調査艦は?」
パル・キマイラが第1打撃群に投下した爆弾、それはキノコ雲を発生させるほどの威力であり、放射能の確認はされなかったものの、周辺海域に何か異常がないか調べるため調査艦を派遣していた。
「間もなく到着すると思われます。一応救難艦と護衛として汎用確保艦、特務確保艦を1隻ずつ派遣しました」
「そうか。何も起こらなければいいが…」
―調査艦 みずさわ(GG-8104)
「艦長、間もなく目標海域に到着します」
「計器は?」
「全計器に異常なし。放射能、他有害物質も検出されません。只今より水質検査を始めます」
普段の仕事より遥かに簡単(本来はオブジェクトや要注意団体の監視であるため、その危険度は計り知れない)だが、戦場が近いこともあり、少しだけ不安な空気が流れる。
「救難艦 わだつみより連絡。我、救助を開始する」
「まだ生きている人いますかね?」
「遭難して36時間後に助かった人だっているんだ。まだ生きてるさ」
副長の言葉にそう返す。と、
「対空レーダーに感あり。機数1、時速550。距離300」
「おや?このタイミングはあまりよろしくないな…」
「1機ということは偵察機でしょうか」
「おそらくな。妨害装置は機能しているよな?」
「はい、我々から200km以内はレーダーも無線も機能しません」
「なら最悪見つかっても安心だな。それにしても何故今頃飛んできたんだ?」
「もしかしたらミリシアルに後続部隊がないか確認しに来た、とかですかね」
「あり得なくはないな…飛行機が到着するのはいつ頃だ」
「あと30分ほどです」
「調査、並びに救助終了までは」
「あと1時間はかかります」
「これでは見つかってしまうな…最悪撃墜するか」
気乗りしなさそうに艦長は言った。
この後彼らを視認した偵察機は本隊に連絡しようとしたが無線を妨害され報告出来ず、グラ・バルカスの飛行機だと確認した特務確保艦の速射砲により撃墜された。
これが財団が初めてグラ・バルカスの飛行機を撃墜した事案となる。
―サイト-8100 総合管制室
「調査艦 みずさわ より入電。調査並びに救助終了、これより帰投する」
「そうか。ご苦労」
「グラ・バルカスの第1次攻撃隊、パル・キマイラにより全機撃墜」
「グラ・バルカス、第2次攻撃隊発艦するもよう」
パル・キマイラに飛行編隊が飛んで行く。
死にに行けと言われているようなものだ、だが彼らは覚悟を決めているのだろう。
十数分後、第2次攻撃隊も全滅した。
「間もなくパル・キマイラとグラ・バルカス本隊が会敵します」
「パル・キマイラがグラ・バルカス本隊に無線を繋ぎました。スピーカーに接続します」
オペレーターが慣れた手つきで操作した。
「グラ・バルカス帝国の諸君。私は神聖ミリシアル帝国、古代兵器 空中戦艦パル・キマイラ 2号機艦長 メテオスという。君たちに警告しよう。今すぐ尻尾を撒いて逃げ出しレイフォルからも退却したまえ。戦力差は文明圏外国家の君たちでも理解出来ただろう?私はね、相手が例え蛮族だろうと、弱きものを一方的に虐殺するほど性格はひん曲がっていないのだよ。力の差は歴然、もう分かっただろう?私からのせめてもの慈悲だよ、撤退したまえ」
沈黙が支配した、と。
「お前は馬鹿か!?」
「通信途絶しました」
「なーんかさっき聞いた気がしますね。デジャブかな?」
田島が苦笑する。
「パル・キマイラ、主砲旋回中…砲撃開始しました」
「グラ・バルカス、陣形変更。対空戦闘開始」
打ち上げられる対空砲は当たらず、パル・キマイラの一方的な攻撃によりグラ・バルカスはどんどん被害が広がっていく。
「このペースでは数時間後に本体も全滅するでしょうな…うん?」
「パル・キマイラ初号機、針路変更。艦隊中央に向かっていきます」
本隊外周から攻撃を加えていたパル・キマイラ2隻の内1隻、初号機が艦隊中央へ向かっていく。
田島が顎に手を当てる。
「ふむ。このタイミングで中央へ針路をとるとは…目標は旗艦でしょうか」
「旗艦を早期に撃沈し、指揮系統を乱す作戦だろうな。それにグレードアトラスターはたった1隻で国を滅ぼした生ける伝説。それを撃沈したとなれば、ミリシアルの評価も再び戻るだろう」
「政治が絡むと面倒ですね」
「全くだな」
政治に関わらざるを得ない新藤らは若干うんざりとした顔をしていた。
「グレードアトラスター、パル・キマイラへ主砲指向中」
前方のモニターが拡大され、グレードアトラスターが大きく表示される。
その主砲はパル・キマイラの方向を向き、よく見ると仰角を調整しているのが分かる。
「第1打撃群と同じく対空弾を撃つのでしょうか」
「普通の艦長だったらな…だが、対空弾…我々から見れば三式弾と言うべきかな?は、砲弾の破片で傷をつけて航空機を撃墜、または高熱で炎上させるようの砲弾だ。装甲のあるものには効果が薄い、いや無効化されるだろう。火災や対空砲の破損は見込めるかもしれんがね…」
新藤は目を瞑りながら発言を続ける。
「今回グレードアトラスターが撃てるのは直上に来られるまでの1回のみ。装填が間に合っても主砲の諸元修正は間に合わないからな。たった1度の機会、三式弾を撃った場合としてパル・キマイラの装甲が堅牢だったらグレードアトラスターは撃沈する。だが、徹甲弾であれば…」
「当たれば確実に効果がある、ですか?むちゃですよ!相手は時速200kmで飛行します!変換すると約108kt、大和型戦艦の3倍以上の速さですよ!当時の主砲命中率は最高でも15%ほどと言われています。実戦であれば1~3%、当てれるわけが…」
「相手は軍人ではない、役人だ。それにプライドが高い。回避行動なんてろくにとらないだろう。むちゃだろうが機会は1度のみだからな。その機会を有効に活用するなら徹甲弾しかない!」
管制室が静寂に包まれた瞬間、モニターが光った。
「グレードアトラスター撃ちました!弾種は…徹甲弾!」
グレードアトラスターの主砲、地球の歴史でもこの世界の歴史でも最大の46cm3連装砲が火を噴く。
ドォォォォォン!
少し遅れて轟音が響き渡った。
モニターは飛翔している砲弾を追尾している。
「着弾まで10、9、8、…3、2、1、今!」
その時、歴史が動いた!
グレードアトラスターの放った46㎝砲弾が1発、パル・キマイラの装甲を貫通、中央に設置された魔導エンジンに直撃したのだ。
砲弾の遅延信管が作動し爆発、エンジンの持つエネルギーが一気に解放され、パル・キマイラ内部を破壊しつくす。
魔力燃料にも引火し、破壊力が増してゆく。
パル・キマイラ初号機の船体はあちこちから炎を上げ、崩壊しながら海に落ちてゆく。
その崩壊する姿はまるで某天空の城の最後のシーンを見ているようだった。
ゴオオオオオオオ
爆音を上げながら海に落ちていくと海面と接触、大小様々な水柱を上げながらパル・キマイラ初号機は海底へと消えていった。
「おおおお…」
その映像を見た全員が驚嘆の声を上げる。
全員がモニターに釘付けになっていた。
「…パル・キマイラ初号機、撃沈しました」
報告するオペレーターの声が少し震えており、興奮しているのが分かる。
「まさか…本当に撃沈するとは…信じられない…」
田島が有り得ないと首を横に振りながら呟く。
「まさに奇跡…神業ですよ」
「勝利の女神はグラ・バルカスに微笑んだようだな…まさか本当に徹甲弾を当てるとは思わなかったが」
「パル・キマイラ2号機、針路反転。撤退するもよう」
「ミリシアル艦隊、1時間後に戦闘海域に到着します」
百戦錬磨の精鋭であるオペレーター達は昂った気持ちを落ち着けると、すぐに仕事に戻って報告を再開する。
「解析班に動画を回せ。崩壊の過程を調査すれば、全容も分かるかもしれん」
「既に解析班に回していますよ、最高管理官」
頷きながら主任オペレーターが答える。
(流石優秀だな)
改めてそう認識する新藤だった。
その後グラ・バルカスとミリシアルの艦隊決戦が行われ、戦闘開始から4時間後、弾切れにより両軍撤退したのだった。
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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