異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

最近は暑くなったり、寒くなったり気温差が激しいですね。
風邪を引かないように気をつけないと…

それでは本編をどうぞ。

追記)一部加筆修正しました。


海戦を終えて

―サイト-8100

バルチスタ沖海戦の翌日、会議室で様々な報告が行われていた。

 

「まずは連合艦隊側から。お手元の資料をご覧ください。世界連合艦隊―ミリシアルの地方隊も含む―は488隻中320隻以上が撃沈、実に2/3、66%が撃沈されており、定義上全滅と言っても間違いではないでしょう。また航空戦力だった第2文明圏竜騎士団ですが、約700騎全て撃墜されており、こちらは文字通り全滅です。そして神聖ミリシアル帝国、108隻中50隻以上に大破、撃沈判定が出ており、こちらも全滅と言ってもいいでしょう。その上ミリシアルは空中戦艦 パル・キマイラを1隻失っています。これが再現可能かどうか、あと何隻動かせるのかは不明ですが、仮に再現不可能な場合、かなりの大損害と言わざるを得ないでしょう」

 

田島が書類をめくる。

 

「一方グラ・バルカスですが、233隻中約100隻が大破、並びに撃沈。潜水艦を除いた場合、169隻のうち100隻の撃沈とこちらも60%近くの被害が出ています。航空機も軽く300機以上が撃墜されており、これは正規空母5隻分の搭載数に匹敵します。投入した空母は9隻だったので、今回の戦闘で半数近くが撃墜されたと推測されます。総合管制室からは以上です」

 

田島が席に着くと、軍事部門長 松本が手を挙げて報告を始めた。

 

「軍事部門からです。今海戦はお互い損耗率が60%超と()()()()()痛み分けという結果に終わりました」

 

松本がわざと強調する。

 

「戦術的には、か」

「はい。戦略的には制海権を守り抜いたグラ・バルカスの辛勝と言っていいでしょう」

「参加国の復旧にはどれくらいかかりそうだ?」

「まずミリシアルですが、戦艦が数隻、航空兵力は壊滅的被害を受けている為、練度をある程度まで戻すのであれば、少なくとも2年弱は掛かると思われます。次にグラ・バルカスですが、あの国はかなりの戦争国ですので、再編成や予備役等の徴兵システムが出来上がっていると思われます。そのためミリシアルよりかは早く立て直すと推測されます。またこちらに転移してきてからは、駆逐の開発、建造に力を入れているようで艦艇数も直ぐに補えるかと」

「戦艦、空母ではなく駆逐艦を?」

「はい、この世界では駆逐艦でも対処できる船が多いですから」

 

松本が苦笑しながら答える。

皆の頭の中には、木造艦や戦列艦が駆逐艦により次々と沈められるビジョンが浮かぶ。

 

「確かに駆逐艦に力を入れてもおかしくはないな…」

「問題は航空機ですね。パイロットになるには厳しい身体審査が求められます。そのため十分な人材をそろえるにはさすがに時間が掛かるかと…」

「なるほど」

「パイロット育成には時間がかかりますからね…暫くは陸上の航空機に気を付ければいいでしょう」

 

有田もそう付け足す。

 

「次は私から宜しいでしょうか」

「向井外交長どうぞ」

 

向井が席を立ち発言する。

 

「ムー国より日本政府へ救援要請です。ムーとレイフォル、正確にはグラ・バルカス帝国レイフォル領ですね、その国境から20kmの位置にアルーという町があります。そのアルーに向けてグラ・バルカスが進攻する為準備中との情報が入りました。現在政府は住民を避難させたり、戦力を集めているようですが、自分らではグラ・バルカスを抑えられないと判断した為救援を要請した、ということです」

「諜報部からの情報でもあったな*1…日本政府の動きは?」

「概ね自衛隊を派遣するべきという意見が占めていますが、早急に派遣すべき派と、慎重に派遣する派で分かれていますね。早急派は経済産業省、慎重派は防衛省ですね」

 

転移前の日本であれば信じられない判断、この世界が、特にパーパルディアが良くも悪くも変えたのだろう。

 

「グラ・バルカスが進攻を始めるのはいつ頃の予定だ」

「現在の状態を見るに、早くても1か月後と思われます」

「1ヶ月…とてもじゃないがそのペースで来られては、自衛隊の派遣は間に合わないな」

「それについてですが、外務省がレイフォル出張所に向かい、技術格差を見せつけて揺さぶることで時間稼ぎを行うと」

「そうなのか。上手くいけばいいのだが」

 

少し不安そうな表情を浮かべる新藤、そんな彼に向井が自信のある顔を向けた。

 

「大丈夫ですよ、管理官。今回向かうのはパーパルディアでも一定の成果を上げた外交官ですし、念のためにエージェントも同行させています。心配ありません」

「だったら大丈夫だな。で、少し話を戻すがグラ・バルカスが進攻した場合、ムーの軍事力ではどのくらい耐えられる?」

 

その質問に松本が手を挙げて答える。

 

「グラ・バルカスの軍事力はWW2、対してムーは性能面ではWW1、正直耐えられないかと。例えば火砲ですが、ムーは105mm、グラ・バルカスは重カノン砲を使っています。それにグラ・バルカスの使っている戦車は、22式105mmイレール砲以外には有効打がありません。1日持てばいい方かと」

「私もそう思います。彼らの技術格差は地球換算で10年です。これは全体的な計算が10年というだけで、飛行機関連、例をあげるならムーの戦闘機 マリンと零戦は5年ほどしか技術格差がありません。逆に海軍は30年ほど差があります。30年と言うとピンとこないかもしれませんが、例えば今から30年前、1995年は携帯はPHSやポケベルが主流、パソコンの性能は現在の1000分の1と、技術の発達は目覚ましいです。陸軍もほぼ30年前後ですね。とてもではありませんが、防げないかと」

 

松本の意見に田島も肯定する。

 

「予想される被害は?」

「アルーだけでも数千人、もしムー全土に広がれば数万の人的被害、数千万もしくは数兆円もの経済損失が発生します」

 

会議室にいる全員の顔が悪くなる。

 

「…そうか。ならば早めにグラ・バルカスには対処せねばならんか」

「他国同士の戦争に介入とは、日本が宣戦布告を受けているとはいえ、今更かもしれませんが財団の倫理に反してるのでは」

「グラ・バルカスは放っておけばそのうち日本にも軍隊を派遣してくるだろう。その時財団の日本支部は無くなるかもしれない。彼らが適切にアノマリーを管理出来るとは思わないし、収容施設を破壊する可能性だってある。そうなればこの世界はおしまいだ。財団の敗北とはそういう意味がある。だからこそ我々は対応しなければならないのだよ。この世界を守るためにね」

 

新藤は真剣な顔で答える。と、口角を少し上げた。

 

「それに財団が防衛権を発動しなければならない理由があればいいのだろう?」

「だからあそこに…」

 

一般部門長 天ヶ崎が何か納得したような表情をする。

 

「さて他に何か連絡がある者は…」

「会議中失礼します!緊急連絡です」

 

会議室の扉を開けて、総合管制室の主任オペレーターが入ってくる。

 

「藤崎、どうした?」

「先ほどムーの首都 オタハイト、並びにマイカルに向けて進軍している艦隊を捕捉しました。構成は戦艦 1、空母 2、重巡 3、軽巡 3、駆逐 12、補給艦 3、計 24隻です」

「やはり諜報部の情報は正しかったな」

 

およそ3ヶ月前、諜報部から「バルチスタ沖海戦に合わせてムー国本土を攻撃する可能性がある」と情報が入り、今年1月には地方艦隊(後の調査で第52地方艦隊 イシュタムと判明)がグラ・バルカスの帝都 ラグナの港から出港したのを確認した。

その頃丁度ラ・カサミをムーまで送り届けるため護衛隊群の派遣を検討していた政府に、財団が情報を共有、協力を申し出た。

その結果、オタハイトには第4護衛隊群、マイカルには17護衛隊が派遣されることになった。

 

「現在マイカルの17護衛隊は出港準備中、第4護衛隊群はオタハイト防衛隊と連携し準備しています」

「そろそろ動くだろうと思っていましたが、予想通りですね」

「そうだな。17護衛隊に連絡、攻撃の意思が確認でき次第、全力でおもてなしをしてさしあげなさい。もちろん勧告はするように」

「了解しました」

「松本、来月までに17護衛隊に弾薬の補給と空母その他増援を送れ。天ヶ崎、()()の建設は間に合うか?」

「…ギリギリ間に合うかと。外務省が時間稼ぎに成功すれば、余裕をもって大丈夫です」

「資材と資金は幾ら使っても構わん。あと1ヶ月で間に合わせろ」

「了解しました」

「では各部門、準備を始めろ。調子に乗っている愚かな帝国に、身の程を思い知らせてあげなさい」

*1
43話「大戦に向けて」を参照

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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