異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

梅雨に入り蒸し暑くなってきました。除湿しないと家の中でもじとじとします。
それと少し前に今年初の台風が発生したようで、梅雨前線を刺激するとかしないとか…

それでは本編をどうぞ。


国境の町 アルー

ムーとレイフォル…いや、今ではグラ・バルカス帝国レイフォル領との国境付近の町 アルー、そこはかつて外敵から身を守るために元々は城塞都市だったのだが、今では時代遅れの物として城壁は放置され朽ちつつある。

 

その町の一角に真新しい建物が2棟ある。

片方は木造で作られており、歴史や鉄道に詳しい人が見れば国鉄の駅舎を想起するだろう。

その駅舎の隣には、近代的なつくりをした3階建ての小さなビルが建っている。

ビルの入り口には「ムー国鉄 南部鉄道 アルー支部」と書かれた木版が貼り付けられている。

ムー国はキールセキを中心に全国へ鉄道網を広げている途中であり、現在はムー北部の海岸線を東西に走る北部鉄道、北部鉄道と首都 オタハイト~港湾都市 マイカルを繋ぐ東部鉄道、ムー国を東西南北繋ぐ中央鉄道、レイフォル国境~ソナル王国間を繋ぐ大陸鉄道、そしてマイカル~ソナル王国~キールセキを繋ぐ南部鉄道の5つで構成されている。

更にキールセキからアルーへの交通の便をよくするため、鉄道を敷く計画が実行されている。

そのために、アルーに簡単な駅舎と事務所を設置し工事を開始している。

 

そう表向きは。

 

「皆、今日も工事お疲れさま。ほい給料」

「あざっす!さて明日は休みだから飲み明かすぞ!」

「いいなお前は、自由に使えてよ。帰ったら嫁に全額渡さないと…トホホ」

「でも帰ったらご飯があるんだろ?全く羨ましいぜ…俺は家に帰ってもシーンとして暗いんだぞ」

「なら今日は俺んちで飲まないか?つまみも買ってさ」

「「さんせー!」」

 

今回の鉄道工事の作業員は全員がアルーの住民であり、週休二日制、日給手渡しとなっている。

毎日重労働をしている彼らにとって、給料を受け取る時が1番楽しみなのだ。

 

「支部長、少し宜しいでしょうか。今後の計画についてご相談が」

「おう分かった。じゃあ皆、お疲れさま!ゆっくり休めよー!」

 

作業員らに軽く挨拶すると、副長と一緒にロビーから最上階の部屋まで戻る。

イスに座ると、机の前にアルー周辺数十kmを描いた地図が広げられた。

 

「さて状況は?」

「偵察ドローンを用いて調べたところ、戦車や装甲車、自動車等の地上部隊、並びに爆装中の爆撃機と戦闘機を確認しました。もうまもなく侵攻してくるかと」

「遂にか…」

 

そう、このムー国鉄 アルー支部は財団がムー国と交渉した結果、財団が鉄道建設の援助とアルー防衛を行う代わりに、土地代や建設に掛かった費用はムー国が負担するという、ムー国からしたら多少の費用を支払うだけでグラ・バルカスからの脅威を防げるという、ムー国からしたらありがたい話し合いの元設立されたのだ。

 

もちろん財団にもメリットがあるのだが、それはまた後で。

 

「じゅんように報告は?」

「本部にも既に報告済みです。現在早期警戒機がローテーションで警戒中です」

「諜報員からは?」

「今夜~早朝にかけて動く可能性ありとのこと」

「そうか。迎撃態勢は?」

「アルー防衛隊に旧世代の武器を渡してはいますが、如何せん絶対数が少ないので…」

「実質頼れるのはじゅんようだけか…今のうちに必要な物品は全てシェルターに運んでおくか。最悪脱出も視野に入れる」

「了解」

 

 

―ムー国 アルー最寄りの海域 空母 じゅんよう

諜報部から今夜グラ・バルカスが動く可能性あり、との情報を受け取った第1空母打撃群はマイカル港から出撃、17護衛隊をマイカル港に残し、アルー防衛の為展開していた。

 

「まもなく日付が変わります…6/2、0:00です」

「迎撃作戦用意!F-056用意は?」

AA(Anti-Air)部隊、対空ミサイル搭載完了。並びにAS( Air-to-Surface)部隊、対地誘導爆弾積載完了!いつでも行けます』

『こちらヘリコプター地上援護部隊。対戦車ミサイル等全兵装問題なし』

「了解、CDCより指示を待て」

 

緊張した空気が場を支配する。午前5時を上回った時だった。

 

「報告!敵地上部隊に動きあり!」

「了解。ヘリ地上援護部隊発進!F-056AA部隊、援護せよ」

 

早朝の静かな空気を切り裂くようにヘリコプター部隊が飛び立ち、その後を追うようにF-056が15機程アフターバーナーで急加速しながら追随していく。

やがて明るくなりつつある空へ消えていった。

 

 

―グラ・バルカス帝国陸軍 第8軍団

「相手はこの世界で2番目に強いそうだが、どれも50年も前の旧式ばかりだ。誰も我らを止められない!」

「そうですな。噂によると日本国という我らと同じ転移国家が参戦する可能性があるそうですが、カルトアルパスを襲撃した際、奴らは尻尾を撒いて逃げ出していたそうなので、敵にならんでしょう」

 

カルトアルパス攻防戦では巡視船 しきしまが財団の援護により襲撃前に脱出した為、一部では日本は臆病な国だと陰口を言われていた。

巡視船は海上保安庁所属の船であり、護衛艦のような戦闘艦ではないため脱出は正しい判断なのだが、しきしまはこんごう型護衛艦に匹敵する大きさであるため、周辺諸国から戦闘艦と間違われても仕方がない。

 

この「日本は戦わずして逃げた」という話はグラ・バルカスの軍部では有名な話であり、碌に調べもせず脅威にならないと判断してしまっている。

そして日本を侮ったそのツケを今、支払う事となる。その全てを持って。

 

「もう1時間で日の出、そしたら第9航空団が上空援護に着く。ムーにも航空機はあるが、夜間に行動は出来るまい」

「アルーを占領したら何してもいいんですよね。グヘヘ・・・」

 

前世界には戦時法があり非人道的行為は禁止されていたのだが、こっちの世界にそんな法律は存在しない。

占領した暁には住民たちに何をしても良いと第8軍団長 ガオグゲルは伝えており、これは士気を上げるのに一定の効果を持っていた。

一部の軍人たちが絶対に勝てるという油断から、気を抜いて邪な妄想をし始めた…その時だった。

 

前方が光ったと認識する前に、猛烈な炎と爆風が彼らを襲った。

 

「うわああああああああ!」

「な、何だ!?事故か!?」

 

しかしその爆発は止まらない。あちこちから立て続けに大爆発が発生する。

 

「違う、これは攻撃だ!」

「どこからだ!どこから攻撃が…ガッッ」

 

装甲車や自動車だけでなく、この世界でどんな攻撃も受け付けず一方的に蹂躙してきた最強のはずの戦車までもが容赦なく爆発に巻き込まれていく。

 

「どこから攻撃されてるんだ!」

「!?あれは!?」

 

双眼鏡で前方を覗くと、上で何かが回転している航空機が目に入る。

本国でも全く見たことない未知の航空機、それから何か高速の物体が飛んでくる。

 

「前方、距離不明!何か航空機g……」

「こっちに飛んでくる!かいh……」

 

あっという間に味方が爆炎に消えてゆく。

一部の者たちは機関砲を撃ちあげているが全く当たる様子はない。

 

「くそっ、第9航空団に応援要請!」

「り、了解!…あれ?」

 

軍団長 ガオグゲルが司令を出し通信士が連絡を試みる、が…

 

「どうした通信士?」

「それが…基地と全く連絡がつきません!」

「何だと!貸せ!」

 

通信士から無線を受け取り呼びかける。

 

「こちら陸軍第8軍団、こちら陸軍第8軍団、バルクルス基地応答せよ!応答せよ!…くっ、何故だ!?」

 

無線機からはずっとザァーザァーと砂嵐のような音が聞こえてくる。

 

「!?あのマークは…団長!あの航空機は日本のもののようです!」

 

無線を渡した後、手持ち無沙汰になった通信士が双眼鏡を覗きながらそう報告してくる。

双眼鏡を受け取り覗いてみると、暗い上に正面を向かれて見えにくいが白い四角の中心に赤い丸が描かれたマークが微かに見える。

 

「あ、あんな兵器を日本如きが持っているはずが…!うわっ!」

 

目の前の戦車に敵の攻撃が命中する。

少し照準がずれていたら自分が死んでいたかもしれない、そう思いぞっとする。

暫く爆炎が辺りを包んでいたが、煙が晴れるともう何も残っていなかった。

 

「い、一方的ではないか…状況を報告せよ」

 

早朝に行われた攻撃によりたった十数分で陸軍は1/3が沈黙、隊を整えたり、負傷者の手当等で侵攻速度にかなりの遅延が発生することとなる。

 

だがこれが序章に過ぎないことをまだ彼らは知らない。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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