異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
もう2日で6月も終わり、7月に入ります。
自分が高校生の頃は吹奏楽部に入っていまして、この時期は7月下旬にある吹奏楽コンクールに向けて必死に練習していたことを思い出します。
自分語りは置いておきまして…それでは本編をどうぞ。
―サイト-8100
「第1次攻撃は無事に成功しました。被害の程ですが、バルクルス基地は全ての滑走路が全壊、対空陣地やレーダー施設等固定された箇所は全滅、弾薬庫や格納庫も破壊。残ったのは武装が全滅した基地と滑走路だった更地のみです」
「かなりいいダメージを与えられたようだな。アルー侵攻部隊はどうなった?」
「事前に空爆しようとしていた爆撃機や護衛戦闘機は、離陸前に地上で全て撃破したため空爆は阻止しました。地上部隊は―」
―数時間前 グラ・バルカス帝国陸軍 第8軍団
「総員回避しろ!」
ドドドドーーーーン!
無線からそう聞こえた次の瞬間、第4機甲師団を中心に爆炎が発生する。
「な、何が起こった!?攻撃か!?」
ガオグゲルは大声を出す。
先ほどの攻撃により第4機甲師団以外の戦車隊が大打撃を被ったため、一旦部隊を再編、被害が1番少なかった第4機甲師団を先行させていた。
「ボーグ師団長、応答しろ!ボーグ!」
何度も無線で呼びかけるが全く返事がない。
目視で確認しようにも、前方の煙はまだ暫く消える気配がない。
「くそっ、第10偵察部隊、前方の第4機甲師団の様子を確認―」
「!?ガオグゲル様、御戻りを!」
様子を確認するためハッチを開け身を乗り出しながら指示を出していたガオグゲルは、突然車内に引きずり込まれた。
「おい、何をす―」
上官に対する失礼な行動に怒ろうとした…その時だった。
ドガガガガーーーーン!
突然指揮車の周囲を爆炎が覆った。
「ぬおおおおおっ!?」
驚きのあまり変な声が出てしまう。
「ぎゃあああああ」
「だ、誰かたすけt…」
指揮車の外から爆発音とともに悲痛な悲鳴が聞こえてくる。
爆発は通り雨のように短時間で終わったが、指揮車の外に出てみると惨状が広がっていた。
周囲の大地は所々に小さな凸凹が出来ており、少しばかり焦げて黒くなっている。
あちこちに兵が倒れており近づいて確認してみるが、見るも無残な姿でどう見ても息はしていないだろう。
指揮車、戦車などある程度装甲のある車種は大丈夫だったようだが、自動車部隊は全て沈黙してしまっていた。
「…残った部隊は?」
「戦車54台、装甲車76台、それ以外は…」
「ガオグゲル様、第4機甲師団の様子を見てまいりました!」
第4機甲師団を偵察しに行かせていた部下が戻ってくる。
「どうだった?」
「それが…第4機甲師団は全部隊全滅していました。団長のボーグも死亡が確認されました」
「な……戦車隊もか?」
「はい、全滅です」
「……」
あまりの衝撃に言葉が出ない。
僅か数分でグラ・バルカス帝国陸軍 第8軍団は、5%程(500人弱)にまで減ってしまったのだった。
「な、なんて…ことだ…」
―サイト-8100
「地上部隊はAS部隊-αの投下したクラスター爆弾により5%以下まで人数を減らし撤退を開始しました。歩兵も自動車も全滅し、1軍団としては壊滅状態にまで追い込まれたので暫くは動けないでしょう」
「戦車や装甲車に対してクラスター爆弾は効かないはずだが…あ、もしかして」
「はい。今回使用したクラスター爆弾は通常よりも子弾が少なく制圧範囲が狭い代わりに、威力と貫徹力を上げた試作品 16式誘導クラスター爆弾改です。試作品ということで数は少なかったため、戦果が少ない(それでも戦車と装甲車を合わせた200台以上が破壊されている)ですが全て改型だった場合、全滅させられていたでしょう」
クラスター爆弾により大損害を出した第8軍団、軍団長であるガオグゲルを失わなかったのは不幸中の幸いだろう。
もし第4機甲師団らと共に行動していれば全滅していたに違いない。
「これで脅威は無くなった。後は陸自が到着するのを待つだけだな」
「はい。現在ムーを含めた第2文明圏各国とも協議中であり、まとまり次第陸自、空自と共にバルクルス基地を攻撃、これを占領します」
「バルクルス基地さえ落とせればムーだけでも防衛しきれますし、空自がレイフォル沖合まで攻撃出来るようになります。かなり重要ですね」
「ムーに派遣した機動部隊 ほ-01に弾薬等の補給部隊を送れ。並びにほ-01はバルクルス基地占領後、ムー周辺の警戒任務に当たるように」
「了解」
―グラ・バルカス帝国 帝都 ラグナ
この世界では機械文明を極めたように見え、日本人が見れば戦前の街並みを彷彿とさせる帝都 ラグナ。
その中心にある皇城の一室で、2人の男が話していた。
「父上、私は最前線基地の視察に行こうかと思います。皇族、それも皇太子である私が励ましの言葉をかけに、それも最前線に赴けば兵達の士気は大いに上がることでしょう!」
グラ・バルカス帝国の皇太子、次期国王であるグラ・カバルは父である帝王 グラ・ルークスに最前線に行くことへの許可を求めていた。
「カバル、最前線は我々の考える状況とは異なるのだ。皇族を迎え入れるとなれば準備もいる。そのための準備と、皇族にあてる警備だけでも前線の兵には負担になるだろう。それに突発的に敵が攻めてくるなど、虚をつかれる可能性すらある。安全性は確保されていない、それが最前線というものだ」
グラ・ルークスは現場も良く理解しており、不出来な皇太子に言い聞かす。
最前線等最も忙しい現場にとって、警備や御守りが必要な者の来訪は迷惑極まりない。
「父上!皇族あっての民、皇族の影響力は計り知れません!皇族が訪問するという、ただそれだけで士気は大きく上がります!新聞にもよく書いてあるではありませんか!」
カバルは物事を覚えることは得意なのだが、書いてある事を全て真実と捉え、それ以外は否定する癖があった。
つまり情報の精査が苦手であり、理想と現実との乖離がよく理解出来ていないのである。
「全く…何かあっても知らんぞ。最前線…外務省のレイフォル出張所に行ってくるがいい」
「父上、私が出向く場所はレイフォル出張所ではありません。私が行くべき場所は…ムー国との戦闘が行われている陸軍最前線基地 バルクルスです」
グラ・ルークスは、あくまでも前線でも邪魔になりにくいレイフォル出張所への訪問を指示するが、カバルはそれを拒否する。
「殿下、最前線基地は危ないです。おやめください」
「やめておけ、カバル。レイフォル出張所に…」
「父上、それならば今回は皇太子権限で行かせていただきます」
止めようとする御付きや皇帝の発言を遮り言い放った。
皇太子権限ならば皇帝の許可なく、皇帝に対する報告で済ませることが出来る。
話し合いを終え、自室に戻った彼は皇帝のことをぼやく。
「父上は何もわかっていない!グラ・バルカス帝国は…この世界を統治するために神によって導かれたのだ!この世界の野蛮人どもと、帝国の力の差は歴然。ムー国など恐れるに足らず!父亡き後は私が世界の王になる!世界の王たる器は、最前線に行くこと如き恐れてはならんのだ!」
御付きや皇帝の懸念はそれだけでないのだが、カバルは気づくことなく最前線視察の準備を進めるのだった。
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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