異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
前回6000文字書くといったな、あれは嘘だ。
今回は4000文字しか書けなかったですごめんなさい。
埋め合わせはするので許して!
それでは本編をどうぞ。
―ムー国 日本大使館
会議室に8人の人間が机を挟んで座っている。
片方は何度もグラ・バルカスと会談している朝田、そして補佐の御園、他職員2名。
もう片方はグラ・バルカス帝国の外務省事務次官 パルゲールや大使 ダラス、他2名。
会議室にはピリピリとした空気が張り詰めていた。
何故このような状況が出来上がったのか、時間を遡ってみよう。
今朝、ムー国大使館に朝田が出勤してパソコンを開くと一通のメールが届いていた。
内容は「グラ・バルカス帝国の皇太子 グラ・カバルを保護した。帝国から当たりがあった場合、早急に本国へ連絡する事、彼の身柄は絶対に保障するという事を伝えるように」というものであった。
そしてその日の午前中、グラ・バルカスの戦艦 グレードアトラスターが戦時外交旗を掲げムー国に向かってきている、との情報がムー国より入った。
ムー国海軍が沖合100kmで接触したところ、訪問目的は日本国外務省に対する用件であり、本件訪問は日本国に対するものであることが判明した。
そして今に至る。
「おや、今回はシエリアさんは来られないのですか?」
「シエリアは他業務がある。そのため、今回は事務次官である私パルゲールと本来担当であるダラスが来た」
シエリアはグラ・カバル殿下の居所を探るため多数の官庁や他国との調整に忙しく、日本国へ通達するという大仕事に参加出来ずにいた。
だが皇太子殿下の身柄に関わる重大な事案であり、万が一にでも齟齬が生じてはいけない。
担当のダラスだけに任せる訳にいかず、本国の事務次官が出てきたのだ。
パルゲールがゆっくりと口を開いた。
「日本国は我が国のグラ・カバル皇太子殿下を捕えているな?」
「捕えている?違いますね」
「では捕えていないのか?」
「彼は非戦闘員です。バルクルス基地攻撃作戦に巻き込まれたので、身の安全を確保するため保護させて頂きました。現在は本国にいます」
「そうか。では日本国にいることは間違いないのだな?」
パルゲールは確認するように話す。
「ええ、間違いありません」
「では命ずる。すぐに皇太子殿下を安全な状態で我が国に引き渡せ!」
会議室の空気が一気に重くなる、それは殺気ともいえるものだった。
「グラ・カバル殿下はバルクルス基地が攻撃を受けた際に怪我をしており、現在治療を受けております。非戦闘員、かつ健康面の配慮もありますので、今すぐ引き渡すことは出来ません」
実際は怪我等していないのだが、財団と政府は保護の名目として怪我を負ったというカバーストーリーを組み立てていた。
「我が国の医療技術は優秀である。お前たちの治療等必要としていない。今すぐ引き渡せ。これは命令だ」
「敵国とはいえ、外交の場で命令口調ですか?」
「我が国はグラ・バルカス帝国だ。日本国も転移国家だと聞いているが、支配面積の狭い東の弱小国が我が国と対等だと思うな。確かに戦争状態だが、本国とは距離があるため戦略上の都合で貴国は後回しにされているにすぎない。皇太子殿下のためとあらば、大軍がいとも容易く動く。お前たちの国を滅ぼすことなど造作もない」
外交という場で相手を全く敬う気持ちがない、その言動に朝田は不快感を覚える。
「日本国政府としては、治療後も暫く皇太子殿下には日本にいて頂くつもりである。一定期間後、再交渉することになるでしょう」
「殿下を捕える…その重要性が分かっているのか!弱小国が…連合に参加しなければ自らの意思決定も出来ない金魚の糞のような国、敵対国を属国にすら出来ない弱小国家が殿下を捕える、その意味を知れ!」
「口が悪いですね。非礼の極みだ。あなた方は少し礼というものを学んだ方が良いでしょう」
「貴様、誰に口をきいていると思っているのか分かっているのか?お前は日本国の代表として、我が国の意思決定に影響を及ぼす程の人物の前にいるのだぞ。お前の回答次第では、東京はあっさりと灰燼に帰す」
「東京にレイフォルのような攻撃を行うと?」
「お前の返答次第では、大艦隊が東京沖合を埋め尽くすぞ。距離で侵攻を防げる等と思わんことだ。我が国が本気になれば、距離など大した問題ではない。圧倒的物量をもった大艦隊…貴様らが体験したことのないような大艦隊が、東京に砲弾と爆弾の雨を降らすだろう。レイフォリアが体験したような、単艦での攻撃とは訳が違う」
日本とグラ・バルカスには圧倒的な技術差があるが、弾薬は足りるだろうか?
朝田の脳裏に微かな不安が浮かんだが、今は政府の指示を帝国に伝えることに専念する。
「我が国の意思は変わらない。現時点で身柄の引き渡しは出来ない。治療後、少し時間を置き検討する。あくあまで我が国が決めることであり、貴国に決定権はない」
「殿下を人質にするというのか?」
「人質ではない。犯罪でも犯さない限り身の安全は保障する」
「言葉を変えても同じだ。引き渡さない、引き渡す時期も明確にしないならお前たちは熾烈な攻撃を受けることになる。本当にいいんだな?」
「我が国の意思は変わらない」
パルゲールは立ち上がり怒鳴る。
「貴様本気で言っとるのか!お前たちが捕えているのは、帝国の…グラ・バルカス帝国の次期皇帝陛下なのだぞ!その意味が…分かっとるのか!殿下の身に万が一のことがあれば、皇帝陛下の烈火の如き怒りを買うぞ!降伏程度では許されない、お前たちの国民全員が処刑されても致し方無いほどに重大な決断と知れ!」
「何度でも伝える。我が国の意思は変わらない」
立ち上がって怒鳴るパルゲールに対し、朝田は座ったまま冷静に返答する。
しばしの沈黙の後、パルゲールはドスの効いた声で朝田に告げた。
「そうか。自国の民の命を、貴様は今絶った。もう話すことは無い!」
交渉は決裂し、パルゲールらはグレードアトラスターへ戻っていった。
「やはり結果はこうなるか」
「先ほどの事務次官は無線で本国へ日本への攻撃要請をしたようです。既に政府と管理官には交渉結果をお伝えしています」
「分かった。我々はこのまま日本大使館周辺を警備する。スパイが居られると困るんでな」
―日本 福岡
ホテルで目を覚ましたグラ・カバルは部屋で朝食を食べた後、迎えの者と一緒に部屋から出た。
1階のロビーは金ぴか等の派手さはないが、清潔に保たれており非常に美しく見える。
外には1台の車が止まっており、彼らが近づくと勝手に扉が開いた。
「今回の移動にはこちらの車を使って頂きます」
カバルが乗り込んでみると、中は想像よりも広くゆったりとしている。
余談だが、この車は対アノマリー用の代物なのでテロに備えて要人の移動によく使われる。
「ホテルの隣にあるあのガラスが多用されているタワーは?」
「あれは福岡タワーです。高さは234mあります」
「地震や突風に弱そうだが、大丈夫なのか?」
「ご安心ください。あのタワーは震度7、風速63m/sにも耐えられます」
「な、何だと!?」
(やはり日本は建築技術において、帝国を超えているようだ)
説明を聞いた彼はそう考える。
その後キャナルシティ博多を巡り、数時間滞在後博多駅に向かった。
「これから新幹線にて大阪まで移動して頂きます」
「新幹線は、確かこの国の主要鉄道だったな。大阪までどれくらいの距離があるのだ?」
「大体550km程ですね」
「550km…5時間ほど掛かるのではないか?」
鉄道といえば一度に多く人や物を運べるものの、とにかく乗り心地が悪い。
今から5時間、硬い椅子にずっと座らなければならないと思うと、気が滅入ってきた。
「福岡から大阪までは、2時間半ほどで着きますよ」
「…何!?一体何kmで走っているんだ?」
「今から乗る山陽新幹線は最大300km/hで走り抜けます」
「さ、300km!?」
帝国の鉄道は速くても120km/h前後が最速とされている。
鉄道は速くすればするほど脱線の可能性が上がっていく。
「新幹線の脱線事故はどれくらい起こっている?」
「現時点(2025年9月)では、地震が原因で2件の脱線事故が起こっていますが、それ以外脱線事故は起こっておりません」
「し、信じられん!それほど日本の鉄道の車輪と線路は滑らかだというのか!」
「失礼ですが、脱線事故の原因は滑らかさではなく、振動ですね」
「そ、そうなのか?」
帝国でも鉄道の高速化は急務なのだが、速くすれば発生しやすくなる脱線事故に頭を抱えていた。
脱線の原因が振動だと突き止めた技術者はおらず、まさかその頭を抱えていた原因を敵国から教えてもらった事に、彼は何とも言えない気持ちになった。
新幹線に揺られること2時間半、その間驚きの連続だった。
発車時も停車時も大きく揺れることなくスムーズに動き、走行時も基本静かで机の上に置かれたコーヒーが零れることもなかった。
幾つもの都市を通り過ぎ、気づいたら大阪に着いていた。
「今夜はこちらのホテルに泊まって頂きます」
「そうか」
「夜ご飯についてですが…」
「すまん、一つだけ聞きたいことがあるのだが」
「はい。何でしょう」
「先ほどパンフレットとやらを見た時に、地下で様々な食品を取り扱っていると書いてあったのだが」
「このホテルは地下で隣のデパートと繋がっているのでその事かと」
「実際に見てみたいのだが」
職員は少し困った顔をしたが、すぐに無線を手に取った。
「…はい…はい…分かりました。殿下、折角ですので行ってみましょう」
「急なお願いですまんな」
「いえ、殿下に日本を知ってもらうのが私達の勤めですので」
デパ地下を歩くこと1時間、色々買った彼らはホテルの一室に通されていた。
「デパ地下はとても魅力的だな!色々気になるものが多かったぞ」
「本当に夜ご飯がこの様な物で良かったのですか?レストラン等もありましたのに…」
「本国では庶民的な物は食べさせてもらえなかったのでな。気になったのだ」
その夜、美味い!を連呼しながらパクパク食べる殿下と、あの量をマジか…と慄く職員の姿があった。
因みに予約していたレストランでは、席を巡ったじゃんけんに勝った財団職員がウキウキで食事をしていた。
「経費で食べるご馳走うまぁ!」
福岡も大阪も行った事ありますけど、いい都市ですね。
ただ、大阪はグーグルマップが無いと街の散策どころか、駅から出ることすらままならない気が…
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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