異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

63 / 76
M6A1 晴嵐です。

9/20に佐世保で行われたオータムフェスタに行ってきました!
百聞は一見にしかず、資料よりも実際に見た方が良いですね。

それでは本編をどうぞ。


殿下の日本見学-2

―日本 大阪

「昨日も思ったのだが、福岡よりも人が多いのだな…少し息苦しいぞ」

「直近(2025年8月*1)の調査によると、人口は3位、人口密度は2位となっており、福岡と比べると人口は倍、人口密度は4倍程の数字なので、その感覚は間違っていないかと」

「首都はもっと凄いのか?」

「はい。大阪の比ではありません」

 

人の波に揉まれながらカバルは質問を続ける。

 

「そういえば何故大阪に連れてきたのだ?新幹線であれば福岡から直接首都まで行けるのだろう?」

「すぐにお連れすることも出来たのですが、ここ大阪は日本の中で最も栄えている3大都市の1つですので、是非見て回って頂こうかと」

 

その後、大阪は1000年以上前から日本の重要な都市の1つだったこと、約400年前から急激に栄えていきいつしか「天下の台所」と呼ばれる程になったこと、昔から今まで商人の都市として発展しているということ等の説明を受けながら各地を巡った。

 

「このたこ焼きとやらは美味しいな!だが中身が必ずしもタコである必要はないな。ソーセージや肉でもいいだろう」

 

「これがビールという酒か。キンキンと冷えていて非常にいいな!それにこの串カツにもよく合う」

 

街中を一通り散策した後、ふとカバルは案内人に尋ねた。

 

「福岡もそうだったが、大阪にも路面電車は無いのだな?」

「路面電車はありませんが、その代わりに地下鉄が走っています」

「地下鉄?」

 

聞いたことのない単語にカバルは頭を傾げる。

 

「地下鉄とは都市の地下にトンネルを建設し、その中に線路を敷いた鉄道のことです。ここ大阪では10路線が運行しています」

 

帝国ではこの様な構想は思想段階であり、研究中の状態である。

完成形を帝国ではない国で見れたことにカバルは衝撃を受けた。

 

「実際に乗ってみますか?」

「良いのか?」

「もちろんです」

 

この後、地下街の人の多さや迷路のごとく複雑な路線図に目を回しながら地下鉄に乗ってみたのだった。

(路面電車より建設には時間とお金、土木技術が必要だろうが、自動車や建物を気にしなくて良い分、移動はかなり便利だな)

 

「それではそろそろ時間ですので、移動しましょう」

「次はどこに行くんだ?」

「日本の首都、東京でございます。では新大阪駅へ行きましょう」

 

新大阪駅に着いた一行は、東海道新幹線に乗って東京まで移動した。

東海道新幹線では未だに車内販売をやっているので、カバルはおススメされた「シンカンセンスゴイカタイアイス」を食べてみることに。

早速食べてみようとスプーンを突き刺したものの、全く刃が通らず暫く格闘した後、結局少し柔らかくなるまで待つことになった。*2

 

そして東京に到着した彼は、とある建物を見て1番の衝撃を受けることになった。

 

「こ、この建物は…」

「この建物は東京スカイツリー、日本で1番高い建物になります。高さは634mです」

「ろ、634mだと!?」

 

帝国で一番高いのは電波塔で約310mだったはずだ。

それよりも2倍以上高い634mとなると、もはや帝国には山しかない。

 

東京スカイツリーの展望台から見える景色からは国力の高さを感じさせる。

(日本の建造技術は、帝国のレベルを遥かに超えている…!もし、軍事技術も帝国より高ければ…)

カバルは祖国の為に、日本をもっと学ぶことを決意した。

 

―翌日

航空自衛隊の百里基地にて日本国の歴史(江戸時代~現代)の映像を見た後、日本の兵器について説明が始まった。

戦闘機が音速を超えることや、イージスシステムという200以上も同時に追尾出来るシステムというのにも驚いたが、一番衝撃を受けたのはミサイルという兵器だった。

 

ミサイルは、敵がどこに移動しようが追尾して命中するという反則クラスの兵器。

特に対艦誘導弾は、砲撃よりも遥かにアウトレンジから100発100中で当ててくるうえ、その一撃は巡洋艦を中波、大破にまで追い込む威力。

 

「こ、この情報は本当なのか…?」

「はい、勿論です」

 

(こんな物を大量に日本が持っていたらとんでもないことになってしまう…!)

カバルが内心冷や汗をかいている間も、説明は進んでいく。

 

「なお、グラ・バルカス帝国の日本国本土への攻撃意思が確認出来たので、日本国政府は各重工業に各種ミサイルの量産を指示しています。日本国の生産設備については…」

 

製造規模の数値はよく分からないが、帝国に比べても遜色ないほどの生産設備があり、ミサイルの弾切れは望めない事だけは理解出来た。

カバルは知らないが、更に財団の生産設備も加わるため、説明された数値よりも圧倒的物量を誇っている。

 

この後、実際にF-15Jの見学で圧倒的な軍事力の差を感じた彼は、祖国を救うために日本との交渉を決意した。

 

 

―リーム王国

パーパルディア皇国の北方に存在する国で、一言でいうとコウモリ国家,金魚の糞,手の平がクルクルと180°回る国。

そんな国で王前会議が行われていた。内容はグラ・バルカス帝国ついてである。

 

「ではリバルよ。お主はグラ・バルカス帝国は神聖ミリシアル帝国を降し、やがては第3文明圏にまで手を出してくると…あの日本国よりも軍事力は上だと言うのだな?」

「はっ!帝国と日本国の艦船による砲撃能力を比べた結果、グラ・バルカス帝国の方が圧倒的に上でございます。また船の防御力、量産能力、保有艦艇数等、遥かに帝国が日本国を上回っております。更に帝国は空母を多数保有していますが、日本国に空母はおりません*3。海での戦いにおいて、日本国はグラ・バルカス帝国に勝てませぬ。また、陸での戦いは数がものを言います。保有する歩兵用装備に大差はなく、戦車と呼ばれる車両も両国共に所有しています。が、数は帝国が上です」

 

王下直轄軍の大将軍 リバルが国王に報告する。

先週、グラ・バルカス帝国の使節団がリーム王国を訪れた。

内容は、内陸国のリーム王国の飛び地として唯一海に面している土地の使用権の譲渡と、内陸部にあるムーが建設した飛行場の明け渡しの2件だった。

理由は日本国を攻撃するための補給基地とするため、だと使節団は言った。

他にはムー国関係者の国外退去も含まれている。

 

この件は国政に大きく関わる。

グラ・バルカスの要求を飲めば今後もこのまま王族の統治が特例で認められるが、列強第2位のムー国と国交を断絶した上、パーパルディアを叩き潰した日本国と敵対する事になってしまう。

 

「リバルよ、その分析は正しいのだな?相手はあのパーパルディア皇国を赤子の手をひねる様に倒してしまった日本国だぞ。ムー沖合では、日本の護衛艦が帝国艦隊を撃退したと聞いておる。今後の国家に関わる情報、戦力分析が間違っていましたでは冗談にならぬ」

「陛下、間違いございません。ムーでの戦闘には、必ずムー国も関与しているに違いありません。今この要求を飲まなければ、神聖ミリシアル帝国を倒したグラ・バルカス帝国に我が国も蹂躙されてしまいます。今しか無いのです」

 

様々な方面から日本と帝国の情報を収集し、どちら側に付くか悩んでいた国王だったが、遂に運命の決断をした。

 

「グラ・バルカス帝国に港湾施設、並びに飛行場の使用を認める。またムー国関係者には国外退去を命じ、日本、ムー両国の資産を凍結する。加え、日本から問い合わせが来ても明確な回答はせず、日本に対する我が国自身の攻撃意思は無いと伝えろ。グラ・バルカス帝国が攻撃を始める時、日本が沈むことになるだろう」

 

第3文明圏 リーム王国はグラ・バルカス帝国の軍門に降った。

 

 

―サイト-8100

「リーム王国は日本を裏切ったか…」

「もしかして管理官、予想していたんじゃないですか?」

 

リームの決断は両国政府に伝わるより早く、諜報員から財団に伝わっていた。

 

「それはどうかな?そういえば確か親日派がいたよね?彼らは?」

 

パーパルディア戦後、宰相等一部の上層部は日本の国力を見抜き、絶対に敵対してはならないと何度も国王に伝えていた。

財団は親日派である彼らと秘密裏にコンタクトをとり、情報をやり取りしていた。

 

「国王を止めていたようですが、残念ながら聞く耳を持たなったようです」

「完全にグ帝の手に落ちる前に彼らを脱出させられるか?敗戦処理に優秀かつ親日派は必要だ」

「承知しました。直ちに準備を始めます」

 

1週間後、グラ・バルカス帝国の先遣部隊が到着、港湾や飛行場を確保した。

同時に面倒になるであろう反帝国派の要人の暗殺も行われた。

だが暗殺した要人のほとんどが入れ替わっていたことに気付いた者は誰一人として居なかった。

 

 

―サイト-8100 総合管制室

今日も今日とてモニターを見ながら各国の情報を集めている総合管制室。

基本静かで聞こえる音はタイピング音と空調の音、たまに椅子の軋む音や伸びの声が聞こえる程度。

ふと1人の職員がモニター内の違和感に気づいた。

何度か確認作業を行った彼は、タブレットに情報をコピーするとすぐに田島室長の元に向かった。

 

「室長、失礼します。こちらですが…」

 

タブレット画面を見た田島は顔を険しくすると、管制室全体のマイクを入れた。

 

「遂に彼らが動き始めた。各員、可能な限り情報を集めるように!」

 

 

―同サイト 管理官室

「とうとうこの時が来たか…」

 

新藤は総合管制室から上がってきた報告に緊張が走った。

手元には数枚の衛星画像、グラ・バルカス帝国本国海軍基地並びレイフォルに駐留している艦隊を映した画像だ。

だがそれらは昨日の画像、先ほど撮られた写真にこれらは全く映っていない。

 

「現在地は?」

「正確な位置は分かりませんが、中央世界南東側を東進中と思われます」

「艦艇総数は?」

「本国艦隊だけでも空母147、戦艦35、巡洋111、駆逐1242、計1535隻。これにレイフォルの艦隊まで含めますと1975隻です」

「1975!?」

 

これまでの想定は1300隻前後、その予想を遥かに上回る数に新藤は驚愕する。

 

「どうもグ帝は西部方面艦隊までも引っ張り出してきたようです」

「そ、それでそこまで数が膨れ上がったのか…まずいな…」

 

想定外の艦艇数にどうしたものかと考えていると、1本の電話が入ってきた。

 

「はい、こちら新藤です」

「ああ、新藤君!今から臨時閣議を行うだが、参加してくれないか?」

「もしかしてグラ・バルカス帝国の件ですか?」

「そうだ。是非とも君たちの力を貸してほしい!」

 

いつもの総理からは感じられない緊迫した声色に、電話越しでも緊張が伝わる。

 

「勿論参加させていただきます」

「ありがとう!急で申し訳ないが、2時間後に始めようと思う」

「すぐそちらに向かいます」

 

電話が終わり有田に指示を出していると、再び電話が鳴った。

 

「もしもし、こちら新藤です」

「ご無沙汰しています、光山です」

「防衛大臣、お久しぶりです。もしかしてグラ・バルカス帝国の件ですか?」

「そうです。こちらの予想を超える大艦隊に内閣、政府は大騒ぎです。今から臨時閣議が行われるのですが、いらっしゃいますか?」

「先ほど総理から参加して欲しいと言われました。勿論行きますよ」

「そうでしたか。閣議が終わった後で良いのですが、防衛省と作戦を共有しておきたいのですが…」

「今からでも良いのでしたら、代理の者を回しておきましょうか?」

「それでも大丈夫です。ではこちらも代理が来ると下に言っておきます」

 

電話が切れると同時に、有田も準備が終わったようだった。

 

「有田、すぐに防衛省に行って作戦を話し合ってきてくれ。このリストにある機動部隊は自由に動かしてもらって構わない」

「承知しました」

「よし、急いで向かうぞ!」

 

その時は刻一刻と近づきつつあった。

*1
作品内の時間軸とは違いますが、ご了承ください

*2
車内販売のコーヒーを少し掛けて柔らかくする方法もあるよ。試してみてね!

*3
護衛艦 いずも と かが が事実上空母に改修されましたが、今回は彼らの調べが足りなかったということで




余談ですが、日本で初めて地下鉄が動き始めたのは1917年(大正6年)、貨物のみであれば1915年とかなり昔からあるんですよね。
地球換算で1945年の技術があるはずなのに、何故地下鉄が構想段階なのか…発展が謎だあ。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
  • 地図から消す
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。