異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

先週、鹿児島まで護衛艦 ゆうぎりを見に行って参りました。
あれがミッドウェーでA-6艦攻を撃墜した護衛艦か~。
シースパローとアスロックの発射機構が見れるなんて感動でした。

それでは本編をどうぞ。

追記)一部加筆修正しました。


信濃の本気

―機動部隊 ほ-00

「初撃は新型弾頭の対艦誘導弾による攻撃とする。目標は敵戦艦、但しグレードアトラスター以外の戦艦だ」

「了解。現在捕捉中…ロックしました」

「全機、発射せよ!」

 

F-073 10機から計20発の誘導弾が切り離されると、固体燃料に灯がともり加速を開始する。

十分な速度になった後、固体燃料を切り離しあっという間に超音速で飛翔を始めた。

 

「ミサイル、時速1000、2000、3000、4000…」

「まだ速くなるのか。新型とはいえ凄いな」

「ミサイル、時速12000で巡航状態に入りました」

「大体マッハ10か…50km地点で目視出来たとしても、着弾まで20秒も無いのか」

「相手からしたら正に不可視の一撃だな」

 

司令と艦長が話している間にもぐんぐんとミサイルは距離を詰めていく。

 

「着弾まで10、9、8、……3、2、1、今」

 

モニター内でミサイルの光点と敵艦隊の光点が重なった。

 

 

―グラ・バルカス帝国連合艦隊 グレードアトラスター

「静かだな…」

 

艦橋で指揮を執っていたカイザルはそう呟いた。

ナハナート王国に向かうまでに間違いなく日本は攻撃を仕掛けてくるだろうが、果たしてどのような攻撃なのか。

このペースで行けば朝方にはナハナート王国に到着、攻撃出来るだろうから、今夜日本は死に物狂いの攻撃をすることを予想していた。

だが、実際には全く攻撃の予兆は無い。

艦橋の空気も少しだけ緩み始めていた。

 

「流石の日本もこの大艦隊を前に何もできない。そう思いたいですな…」

 

艦長のラクスタルは少し不安気な声でそう言った。

 

「だが間違いなく彼らはやってくる。警戒は怠るな」

 

カイザルが活を入れなおした、その時であった。

 

「どうした?よく聞こえないぞ、繰り返せ」

 

通信員が何度も聞き直している。

 

「何があった?」

 

その反応が気になったラクスタルは通信員に尋ねた。

 

「いえ、先ほどから無線が聞き取りにくいんです」

「故障か?」

「現在確認させています」

「か、艦長!」

 

突然レーダー員が声を上げた。

 

「大変です!レーダーが映らなくなりました!」

 

彼がモニターを覗いてみると、モニターが真っ白になっていた。

自身の発する軌跡すら映っていない。

ラクスタルは軍の報告書を思い出す。

 

「敵の攻撃が予想される。目視確認を厳となせ!」

 

急いで指示を出したが、既に時は遅かった。

 

艦橋がレーダーが映らないと騒いでいた頃、見張り員が東の方向に小さな光を見つけた気がした。

(?何だ?)

彼は双眼鏡を覗いてみたものの、全く見当たらない。

暫く見渡して気のせいか、と双眼鏡から目を離した瞬間であった。

目の前(と言っても数百メートル離れているが)の戦艦が突然光り輝き、爆発した。

 

ドオオオオオオオオオン!

 

周囲に凄まじい爆風が吹き荒れる。

だが、爆発したのは1隻では無かった。

ほぼ同時に他の戦艦19隻も同じ状態になっていた。

 

「ぐわああああああああああ!」

 

20か所から吹き荒れる猛烈な爆風と衝撃波は巨大なグレードアトラスターの船体すら軋ませる。

どれほどの時間が経っただろう、気づいた時には爆風が収まっており、艦橋を軽く見渡すと全ての窓ガラスが割れ、あちこちに破片が散らばっていた。

 

「被害を報告せよ!」

 

カイザルは頬についた浅い切り傷を拭いつつ、よろけながら立ち上がった。

 

「両舷の対空砲、全滅!」

「後部甲板のカタパルト、クレーン使用不能!」

「水上レーダーに一部不具合発生。現在修理中」

「レーダーがやられたか…」

 

水上レーダーは敵艦探知だけでなく、主砲射撃の際にも使われる。

測距儀があるため砲撃は可能だが間違いなくその精度は落ちる。

とはいえ初手からかなり痛いダメージを貰ってしまった、そうラクスタルは考える。

 

「た、大変です!戦艦が、戦艦が!」

 

突然扉が開いたかと思うと、見張り員が頭から血を流しながら入ってきた。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

咄嗟に誰かが声を掛けるが、彼は大丈夫だ、と答えると報告を始めた。

 

「先ほど、右舷を航行していた僚艦が爆発しました!」

 

 

―機動部隊 ほ-00

「ミサイル全段目標に命中、被害は現在確認中」

「被害確認後、通常弾による攻撃を続行する。攻撃隊、発艦せよ!」

 

カタパルトから次々と攻撃隊が飛び出していく。

攻撃目標が割り振られた頃、ようやく被害の集計が出来た。

 

「戦果は、戦艦20隻轟沈、他は小破。更に駆逐89隻、巡洋艦56隻を撃沈しました」

 

その報告に艦橋はざわめいた。

 

「たった20発でそれほどの被害を出したのか…新型弾頭、凄まじいな」

「戦艦を1撃で大破、轟沈させる為に作られた反物質搭載型。想像以上だ」

 

グラ・バルカスの戦艦は非常に重装甲で、これまでの誘導弾では撃沈までに時間が掛かってしまう。

財団の対アノマリー用誘導弾ですら、1発で撃沈させることすら厳しい。

そこで財団が目を付けたのが反物質であった。

 

反物質とは、通常の物質の素粒子と電荷などの性質が反対の素粒子で構成されている物質のこと。

そして反物質は、周囲の物質と対消滅を起こすことで自身の質量の200%のエネルギーに変換される。

理論上は反物質1gで、スペースシャトルの外部燃料タンク23個分、広島に落とされた原爆(ウラン235 63.5kg)の1.5倍のエネルギーを発生させる。

 

幸い反物質で構成されたり、反物質を発生させるアノマリーから反物質の扱い方は分かっていたため、応用するのは簡単だった。

そして試行錯誤した結果、完成したのが反物質搭載型対艦誘導弾である。

(余談だが、1人の研究者が実射試験の際、『破滅ミサイル発射!』と叫んだらしいが『作品が違う!』と上司からげんこつを喰らったとか)

 

更に魔帝対策の為に建造されていた空母に反物質を用いた新型機関を搭載することを決定した。

そして搭載されたのが、そう、この空母 しなの である。

原子力空母よりも更に長期間の航行と作戦持続力を誇り、この新型機関が生み出す膨大な電力を使ったスーパーコンピューターまで搭載。

従来の空母の数倍の性能を持つ、超最新空母である。

 

但し反物質は大量生産が難しくコスパが高いため、2番艦以降は従来の核融合炉のみになったうえ、スーパーコンピューターの搭載は見送られている。

 

話しを戻すが、そんな莫大なエネルギーを放出するミサイルが直撃した戦艦は1撃で轟沈、というか消滅。

そして周囲1km程に展開していた装甲の薄い駆逐や軽巡はその爆風や熱で消し飛び、装甲のある戦艦でも対空砲が一瞬で蒸発してしまう。

その為、20発当たっただけでも100隻以上が大破、撃沈という大損害を叩き出した。

 

「攻撃機、配置につきました」

「通常の対艦誘導弾だよな?」

「はい。新型弾頭は先ほどの20発で全てですので」

「分かった。攻撃開始。発射後は直ちに爆装、再攻撃の準備に入れ」

 

F-073 20機から4発ずつ、計80発の誘導弾が発射される。

 

 

―グラ・バルカス帝国連合艦隊

「駆逐艦 ウンブリエル撃沈!巡洋艦 ミランダ、チタニア、オベロン大破!」

「空母は!?空母は無事か!?」

「情報が錯綜しており分かりません!」

 

グレードアトラスターの艦橋は次々と入ってくる情報により混乱していた。

何処からともなく飛んでくる敵の攻撃は、雨の様に次々と飛んできては僚艦に吸い寄せられる様に命中し、一撃で大破させる。

艦隊は対空砲を撃ち上げるが、文明圏外国家のワイバーンも列強のワイバーンロードも、ムーの飛行機も撃ち落としてきたはずの強力な対空網すら突破される。

敵の攻撃で艦艇が燃え上がる様は兵たちに恐怖を植え付け、精神をすり減らしていく。

 

「敵はこれほどか…」

 

誰にも聞こえない声でカイザルは呟く。

1度の攻撃で艦隊が全滅しないのは、敵の絶対数が少ないからだろうが、敵はあとどれ程の弾薬を持っているのだろうか…

絶望を表に出さないようにしつつ、仁王立ちで漆黒の海を睨むのだった。

 

 

―機動部隊 ほ-00

「敵艦隊残り1000隻を切りました」

「やはり数が多いか…」

 

新型弾頭20発、更に誘導弾を数百発近く叩き込んだが以前として敵は進み続けており、こちらの在庫は50%程となった。

このペースでは取り逃がす可能性もある。自衛隊に任せても良いが、彼らの攻撃開始は自分たちが撤退した後になってしまい、状況が悪化しかねない。

阿部がどうしようかと考えている時だった。

 

「司令、作戦司令本部から通信です。航空援護を向かわせるとのこと」

「航空援護が来るのか。助かるな」

 

そう話していると、レーダー員が話に入ってきた。

 

「後方500km、高度20000の上空に飛行物体を探知。数10。IFFに反応あり、財団機です。速度…マッハ12!」

「マッハ12!?は、速すぎないか!?」

 

その報告に艦橋はざわめいた。

 

 

―ロデニウス大陸南方海域 上空

「こちらコマンド1、目標を捕捉した。指示を乞う」

「攻撃を許可する」

 

指示を受けたパイロットは普段通りにボタンを押した。

カコン、という音が微かにしたかと思うと、あっという間にミサイルが飛んで行く。

 

「こちらコマンド1、基地に帰投する」

「作戦司令本部、了解」

 

 

―サイト-8100 総合管制室

「新型ミサイル38発、問題なく飛翔中」

「F-076、問題なく運用出来そうですね」

 

松本が新藤に話しかける。

 

F-076…対空、対艦攻撃が出来る様に設計された最新戦闘機。空自でいうF-2と似た役割。同時に開発されていたF-073も対空、対艦攻撃が可能だが、F-073は主に艦載用のため性能や扱い方はかなり違う。詳細は設定集にて。

 

「内部と外部を隔てるベクトル制御システムは大丈夫そうだな」

「パイロットに負担を掛けなくて済むのは有難いですね」

 

高速で飛行する戦闘機では強いGが掛かり、パイロットに大きな負担をかけてしまう。

その為どれだけ速く飛べるようになっても限界がある。

そこで開発されたのが、機体の外部と内部の力の掛かり方を操作する、VCS(ベクトル制御システム:Vector control system)である。

これにより機体内部を一定に保つことが可能になり、超音速での有人飛行が可能となった。

 

「無人飛行の方も問題無さそうだな。だがやはりまだ気になる点はあるかな」

 

F-076は有人飛行だけでなく、AIを用いた無人自立飛行も出来るように設計されている。

財団も様々なAIを導入、運用しているが、飛行機を操作するAIはまだ開発段階であり、実験と称して(無理やり)新藤が今回の作戦にねじ込んだ。

因みに先ほどの航空攻撃は、有人機が1機(誘導弾2発)、他9機(誘導弾4発ずつ)は無人機である。

 

「ミサイル間もなく命中します」

「念のために西部方面の各航空サイト*1に対し、航空攻撃の準備を行うよう通達しろ」

 

財団は次のプランを準備していく。

 

 

―グラ・バルカス帝国連合艦隊 グレードアトラスター

無限とも思える夜が明け、艦隊の被害状況が目視でも確認出来るようになってきた。

残る艦艇は約500隻、他1000隻は夜の間に沈んでいった。

戦艦は本艦以外沈み、空母は全滅した。

敵の勢力圏で制空権を失うのは非常に厳しい状況だ。

だが、ここで下がるわけにもいかない。

 

艦橋が絶望の空気に包まれている中、カイザルは一つの判断を下した。

 

「これよりグレードアトラスターはナハナート王国に突入し、これを砲撃する。旗艦以外は直ちに転進、ニューランド島で補給を行い本国へ帰投せよ!」

 

多くの犠牲を払った大海戦の終幕が始まる。

*1
空港があり、F-056等の攻撃機を所持しているサイトの事。主にアノマリーが収容違反した際に空爆を行う




ずっとここのシーン書きたかったんですよね。
ようやく書くことが出来て満足です(*^ω^*)

そしてもう一つ、F-076が遂に登場です!
魔帝対策の切り札が全部揃いました!パチパチ 

大海戦も間もなく終わり、果たしてどうなることか…

途中で書いて思った、VCSってとある科学に似たような超能力があったな…って。見た事無いから忘れてましたw

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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