異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

ええっと…最後に投稿したのいつだっけ…?
たいっへん、遅くなりました!言い訳はしません…

久しぶりに本編をどうぞ。


邂逅

―機動部隊 ほ-00

「敵艦隊反転、撤退を開始しました」

「ナハナート王国への攻撃は諦めたようだな」

 

ホッとした空気に包まれた艦橋、しかし報告には続きがあった。

 

「数隻進路を変えずナハナートに向かっています!数15」

「艦影識別…駆逐6、巡洋8、戦艦1です」

「グレードアトラスター、か。まだ指揮官は諦めていないようだな」

 

阿部は険しい顔をする。

 

「司令、どうしますか?」

 

艦長である河野が尋ねてくる。

 

「上からはナハナートに向かわせるな、と言われているんだ。彼らが完全に諦めるまで攻撃を続行する」

「了解しました。再度攻撃準備に入れ!」

 

河野が攻撃指示を出す。

 

「報告。空中戦艦 パル・キマイラが撤退中のグラ・バルカス帝国艦隊に攻撃を開始しました」

「ナハナートに向かう艦隊は日本に任せる、という事か…」

「誘導弾は残り100発程。全部撃ちこみますか?」

「そうしたいのは山々だが、上からちょっと言われていてな…」

「?どうしたんです?」

 

阿部は少し悩んだ末、河野に話した。

 

「実は可能であればグレードアトラスターを鹵獲するように言われていてな。どうも戦艦を再現しようと考えているらしい。グレードアトラスターは大和型戦艦と似ているから、参考にするんだと」

「何と無茶な…だから誘導弾を使えないんですね」

「そういう事だ」

 

沈めてはいけないが、降伏に追い込まなければならない。

だが、しなの にはもう1つ武器がある。

 

「取り敢えずかの艦隊の無線に割り込めるか?降伏勧告しないとな」

「艦艇用・航空用、両方解読出来ています。どちらに割り込みますか?」

「この距離ですと航空用の方が届きやすいかと」

「分かった。必要な情報をくれ」

 

 

―グラ・バルカス帝国連合艦隊 グレードアトラスター

ナハナートに向けて突き進む超戦艦、グレードアトラスター。

その艦橋でカイザルはラクスタルに声を掛けた。

 

「ラクスタル艦長、すまんな」

「構いません」

 

それぞれ一言だけ、それでも彼らはお互いに何を言いたいのか分かったのだろう。

 

「カイザル司令、報告します。第八八艦隊のみ反転せず、再三に渡る命令を無視して付いてきています」

 

第八八艦隊は戦艦1隻、巡洋艦8隻、駆逐艦6隻からなる艦隊であり、若き頃カイザルが所属していた艦隊。

今の艦隊司令や艦長は、全員当時カイザルの部下であった。

旗艦の戦艦は撃沈されてしまっていたが、通常の誘導弾による攻撃だったため退艦が間に合い、運よく艦隊司令等の幹部は生き残っていた。

 

「バカ、どもが…第88艦隊は何と言っている?」

「問い合わせも応答もありません」

「帰るよう伝え続けろ。特別攻撃は我らだけで十分だ」

 

グレードアトラスターと再三にわたる命令を無視して付いてくる第八八艦隊、計15隻は単縦陣でナハナート王国に突き進む。

 

「カイザル司令、航空用無線に日本国から通信が入っております!」

「何だと!?」

 

以前バルチスタ沖海戦にて神聖ミリシアル帝国の空中戦艦が無線に割り込んできた事があったが、今度は日本国か。

無線で位置バレする可能性のあるが、夜間の大規模攻撃の時点で既にばれているのだろう。

 

「繋げ」

「はっ!」

 

艦橋のスピーカーに無線が繋がれる。

 

『こちら日本国海上自衛隊 艦隊司令の阿部です。グラ・バルカス帝国連合艦隊に告ぐ。直ちに停船するか反転して頂きたい。応答がない場合、攻撃を再開する』

 

確かに撤退命令を出してから、日本からの攻撃は止んでいた。

カイザルは通信員から無線を受け取ると海自と通話を試みた。

 

「こちらはグラ・バルカス帝国連合艦隊司令 カイザルだ。そちらの警告等従わない」

『これが最後の警告です。停船するか、撤退して頂きたい』

「断る」

『そうですか…でしたら、グレードアトラスターの第1主砲塔と第1副砲をご覧ください』

 

その言葉を聞いたカイザル達は少し不安になり、艦橋の窓から主砲を見下ろす。

 

『3、2、1、今』

 

ガゴン!!!

 

グレードアトラスターに鈍い金属音が大きく鳴り響いた。

 

「…何が起こったんだ?」

 

ぱっと見では何の変化もないが…

 

『こちら第1主砲塔、側面装甲に破孔を確認。射撃不能!』

 

その報告に艦橋の空気が凍り付いた。更に嫌な報告は続く。

 

『こちら第1副砲塔、バーベット装甲に大穴が開きました!…!?退避!退避!』

 

ドーンともガラガラとも聞こえる音が下から響いてきた。

 

「カイザル司令、第1副砲が…崩壊しました」

 

まさか奴らは圧倒的アウトレンジ、不可視の距離から超精度で主砲を破壊したというのか!?

 

『如何ですか?第1主砲、第1副砲はもう使えないでしょう?こちらには同じ兵器をあと10、20…そちらの艦隊を沈めてもなお余るほど数はありますよ。まだ戦闘を続行しますか?』

 

再び海上自衛隊からの無線が艦橋に響き渡る。

カイザルが黙っていると、無線は更に続いた。

 

『どうやら熟考しているようですね…あと10分。10分後には攻撃を再開します。降伏する場合、こちらにその旨を伝えると同時に、白旗を上げて頂きたい。あなたが賢明な判断を下すことを期待しています。ああ、あと一つ付け加えますと、そこから200㎞西方海域に神聖ミリシアル帝国の空中戦艦 パル・キマイラが展開しています。こちらが要請すればすぐにでも戦闘に参加する手筈ですので、お気を付けを』

 

無線は終了した。

カイザルがどうしようかと決めあぐねていると、ラクスタルが近づいてきて話しかけた。

 

「司令、主砲が一つ使えなくなっただけです。まだ主砲は2つ残っていますし、第八八艦隊もいます。我々はまだ戦えます」

 

自信を持って宣言する艦長、そして周りの幹部たちもその言葉に頷く。

彼らはまだ戦う気でいるのだ。その結果が例え残酷なものだろうと。

そしてその気持ちは艦橋にいる者たちだけではない、この船の乗組員、そして第八八艦隊全員の総意であった。

(俺はいい部下達を持ったようだな…)

カイザルは暫く黙っていた、そして彼は大きな決断を下した。

(みな、すまない…)

 

『こちら日本国海上自衛隊。予定時間が経過した為、攻撃を再開…』

「こちらグラ・バルカス帝国連合艦隊旗艦 グレードアトラスター。我が艦と第八八艦隊は降伏する」

 

艦橋に居た全員に衝撃が走った。

 

「司令!?」

『こちら日本国海上自衛隊、了解した。直ちに機関を停止し、白旗を揚げよ』

「了解した。機関室、機関停止。全乗組員は甲板に集合せよ。第八八艦隊にも同じ指示を伝えろ」

 

カイザルは次々と指示を出していく。

ラクスタルはカイザルに詰め寄った。

 

「司令!何故ですか!我々はまだ戦えます!」

「ラクスタル艦長、我々は負けたのだよ」

 

カイザルは少し俯きながら答える。

 

「相手は視界の外から一方的に攻撃出来る。そしてその攻撃はとても正確だ。いくらグレードアトラスターの主砲が大きいとはいえ、せいぜい20m程。それを綺麗に、少なくとも50㎞以上先から撃ち抜くだなんてそんな芸当出来るはずがない。あの攻撃であれば艦橋を撃ち抜く事も造作もないだろう。ここで優秀な人材を失う訳にはいかんのだ」

 

カイザルは机に強く拳を叩きつけた。

 

「それにあの空中戦艦もいるようだ。空中戦艦と戦いながら、日本と闘うのは現実的ではない。この責任は私にある。これが最後の指示だ。全員甲板に集合せよ」

 

 

―機動部隊 ほ-00 しなの

「阿部司令、何故10分も待ったのですか?さっさと周りの僚艦を沈めて、グレードアトラスターの主砲を壊しちゃえば良かったのでは」

 

幹部からそう聞かれた阿部は確かにそうだろうな、と言ったうえでこう続けた。

 

「何も全て手っ取り早くした方が良いわけじゃない。理論上はそうだろうが、あれらには我々と同じ人が乗っているのだ。むやみやたらに傷つける訳にはいかない。あと弾薬も十分にあるとはいえ、かなりの数を消費してしまったからな。それに…私はあの15隻、その乗組員を失ってはいけない、そんな気がしたんだ」

「司令の勘はよく当たるから怖いですね。あとパル・キマイラって残党狩りに勤しんでませんでした?」

「相手さんは基本通信もレーダーも使えないからな。あの大艦隊から情報は入らんだろう。パル・キマイラはいい脅し…戦闘継続の意志を折るにはちょうど良かったからな。使える物は何でも使うさ」

 

 

―グラ・バルカス帝国海軍 グレードアトラスター

「カイザル司令、どんな船が来ると思いますか?」

 

甲板から遠くを眺めているとラクスタルが話しかけてきた。

 

「全く予想がつかん。あの資料の通りであれば、巡洋艦程の大きさだと思うのだが…」

「あの資料がどれ位信頼性がある物か分かりませんが、私もおそらくそう思います」

「艦長、司令。遠くに島が…」

 

突然、1人の見張りが割り込んできた。

 

「島?この周辺に島なんて無いはずだが」

「ですが、確かに島が…」

 

見張りが指さす方向に2人とも目を凝らす。うっすらと何かが見える。

双眼鏡を覗いて暫く観察していると、ようやくカイザルとラクスタルはその正体に気づいた。

 

「あれは島ではない…」

「では…?」

「あれは…船だ」

「!?」

「このグレードアトラスターよりも大きいぞ…まさか日本の船か!?」

 

そう話している間にもぐんぐん艦影は大きくなり、その全容が少しずつ見えてくる。

 

「大きい!大きすぎる!一体何mあるんだ!?」

「あのシルエット…空母か?桁違いの大きさだ」

「一体どんな機関を使っていればあんな巨大な船を動かせるんだ…」

 

甲板が喧騒に包まれる中、カイザルはようやく現実が見えた気がした。

(あれだけ大きな船を動かせる程の技術力を有しているのだ。最初から戦闘結果は決まっていたのかもしれんな…)

 

「ラクスタル艦長」

「はい」

「日本がどのように捕虜を扱うのか分からんが、私の命に代えてでも君たちを守る。それが司令としての最後の役目だ。安心してくれ。彼らを頼んだぞ」

「司令…」

 

何と声を掛けていいか分からずラクスタルは呟く事しか出来なかった。

 

 

―機動部隊 ほ-00 しなの

「相変わらず大きい船ですね。見ているだけで感動しそうですよ」

 

グレードアトラスターを見て河野がため息をつきながら話す。

 

「再現不能と言われる伝説の戦艦だ。上も惚れ込む位にはな。それにしても無傷は厳しい条件だった…」

 

弾道ミサイルを迎撃する為に使われるキネティック弾頭、それを対艦用に魔改造したSM-3(「空対艦SM-3」と呼ばれている)。

貫通力は数十mもあると言われており、WW2の駆逐はフレッチャー級や陽炎型だろうが、真正面から突入して艦尾まで貫ける程らしい。

 

SM-3って大気中では使えないんじゃないかって?そんなの魔改造した時点でどうにでもなる。

(そんなものが当たって原型をとどめているグレードアトラスターの第1主砲はどういう作りだ)

 

「司令、間もなく距離1kmです」

 

その報告に阿部は帽子を深々と被りなおした。

 

「さて相手の司令官とお話しするとしますかね。一体どういう方なのか楽しみだ」




余談)しなの に乗ってる司令官と艦長は、それぞれ実際に信濃に乗っていた艦長、副艦長の名前です。

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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