異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

69 / 76
M6A1 晴嵐です。

遂にUAが70000を超えました!(パチパチ)
思ったより多くの方に見て貰えているんだなぁ…

では本編をどうぞ。

追記)一部数値を変更致しました。


対面

―グラ・バルカス帝国海軍 グレードアトラスター

巨大空母は本艦から1km程の距離で停止した。

空母にずっと注意が行っていて気づかなかったが、いつの間にかこちらを囲うように日本の巡洋艦が展開している。

と、空母から小さい影が浮かび上がった。

 

「巨大空母から何か飛んできます!」

 

それは機体上部にプロペラをつけた見た事の無い飛行機械で、ブロロロロ!という爆音を発生させながら飛んできた。

進行方向から鑑みるに、後方甲板に向かっているようだ。

普段であれば水上機や発進させるカタパルト、回収するクレーンが設置されているのだが、敵の攻撃で全て跡形もなく吹き飛んでおり、ただの広場となっていた。

 

だが飛行機を着艦させるほどのスペースは無いがどうするつもりだろうか、そう思っていると相手の飛行機械は空中で停止し、垂直着艦を始めた。

高度を下げる程どんどん周囲に強い風が発生する。

(!?垂直着艦が出来るというのか…もしかしたら垂直発艦も可能かもしれない。それならこの甲板でも十分運用出来るだろうな)

 

そうカイザルが推察している間にその飛行機械は風を起こしながら着艦すると、扉が開いて2人の男が出てきた。

2人とも青い迷彩柄の様な服を着ており、1人はメガホンを持って、もう1人は後ろで銃を下ろしてはいるが、周囲を警戒しながら睨みを利かせている。

 

「こちらは日本国海上自衛隊です。カイザル司令はいらっしゃいますか!」

 

相手はメガホンの様な物を口につけて話しているが、どうもメガホンよりも声を大きくする事が可能なようだ。

 

「私がグラ・バルカス帝国海軍東部方面司令長官 カイザルだ」

 

一歩前に出てそう男に告げる。

彼は自分に一礼をすると、「こちらへ」と飛行機械の元に案内する。

 

「護衛も連れていきますか?」

「いや、私一人で良い」

 

案内役の質問にカイザルはそう答えた。

そちらの方が相手としては誠意を感じるだろう、そう考えたからだ。

 

「司令長官程の立場の方に護衛無しは…1人でも構いませんので」

 

案内役の言葉にカイザルはそれもそうか、と思い周囲を見渡す。

 

「君、私の護衛として来なさい」

「えっ、私で良いんですか!?」

「構わん構わん。この船の乗組員は全員家族だからな。信頼している」

「はっ。ありがとうございます。不束者ですが、よろしくお願いいたします」

 

彼はカイザルに対しピシッと洗練された敬礼を行った。

 

「お連れの方は隣の席にどうぞ」

 

2人と案内役、見張り役が乗り込むと飛行機械はふわっという感覚と共にゆっくりと浮いた。

巨大空母に向かう道中、同じ機体と何度もすれ違った。

振り返り見てみると、グレードアトラスターや重巡に着艦しているようだ(流石に駆逐には無理そうだ)。

 

「あの機体は何をしに?まさか残敵掃討ではなかろうな」

 

カイザルは目の前の人物に尋ねる。

 

「我々は降伏した相手を攻撃するほど野蛮ではありません。我が日本国は捕虜の扱いもちゃんと国際法と基本的人権に乗っ取って定められておりますので、ご安心を」

 

彼の顔は誠実そのもの、その言葉には噓偽り無いのだろう。

国際法はこの世界には無いはずだが、おそらく転移前の国際法を遵守しているのだろう。

いつからだろうか、本国が国際法を転移を理由として形骸化させたのは…

 

「もし手を出したら許さんからな」

「ええ。もちろんです。間もなく着きますよ。着艦の衝撃で舌を嚙まないように気を付けて下さい」

 

その言葉で外を見て気づいた、既に空母に着艦しようとしているではないか。

(あっという間に着いたな…)

飛行甲板に降りると、黒い服を着た人物が歩み寄ってくる。

恰好から見るに位の高い者に違いない。

 

「ようこそカイザル司令、空母 しなの へ。私はこの船の艦長を務めております河野と申します。よろしくお願いします」

「ああ、宜しく頼む」

 

河野は自分に対し深々とお辞儀をする。その行動にカイザルは少し面食らった。

(敗将に対しても礼儀よく接するとは…)

 

「ではこちらへ」

 

少し出遅れたカイザルだったが、すぐに気を取り直し河野の案内に続く。

後ろでは護衛役(後に名前を聞くと『オカノール』と名乗った)がせわしなく周囲をキョロキョロしていた。

 

「こちらの部屋にどうぞ」

 

そう言われ入った部屋は机や椅子が綺麗に並べられており、まるで小さな食堂の様な雰囲気を放っている。

そして奥には河野と同じ服を着た男が立っていた。

 

「初めまして、カイザル司令。私はこの機動部隊を指揮している阿部です」

「あなたが阿部司令か。よろしく」

 

阿部は挨拶しながら手を伸ばしてきたので、カイザルもその手を取り握手をする。

 

「ではどうぞ奥の椅子へ」

「失礼する」

 

お互いが着席すると、阿部が話し始めた。

 

「単刀直入に申し上げます。今後あの艦隊15隻は日本国が接収致しますが、宜しいですね?」

「敗将にそのような事を聞くのか?我らに拒否権等無いのだろう」

「儀礼的な確認のようなものです。そしてあなた方の処遇についてですが、日本国は『武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律』に基づきまして、身柄を拘束させて頂きます。只今より簡単な説明を行います。そしてこちら、法律についての書類です。時間がある時にお読み下さい」

 

受け取った資料は数枚の紙で構成されており、1枚目は概要、2枚目は目次、3枚目以降には詳細な説明が書かれていた。

 

「…本当にこの様な待遇なのか?信じられんな…」

 

グラ・バルカス帝国で捕虜の扱いといえば、清潔感の欠けた部屋に何人も所狭しと放り込まれ、病気になっても碌な対処もしてもらえず、反抗すれば厳しい処罰をされる。

一部からは人道的配慮をと声も上がっていたが、自国中心の上層部は聞く耳持たず、捕虜は物と同じ扱いをされていた。

カイザル自身もどうにかすべきと思いつつも、自国中心・軍拡主義の上層部を止められず困っていた。

 

一方、日本は既に法律で人道的な扱いを具体的に定めているようだ。

どうやら日本は技術以外の面でも我々を遥かに上回っているみたいだ。

 

「理解した」

「ご理解ありがとうございます。あともう一つ、お伝えしておきたい事があります」

「何だ?」

「本来であれば我々の護衛艦に皆様を移動させて日本国まで送るのですが、如何せん人数が多いので応援の艦艇が来るまでこの海域で待機となります」

「そうか」

「ここで提案なのですが、応援到着まで2、3時間程掛かります。折角ですので、この艦を見学して行きませんか?」

「「!?」」

 

本来、軍の艦艇というのは最新技術を詰め込んだ機密情報の塊だ。

それを降伏したとはいえ、他国の軍人に見せるとは…

 

「私の勘ですが、今後日本と貴国は良い関係を築ける気がするのです。その為にはこちらを知って頂く必要がありますから」

 

阿部の言葉に、日本人は自分たちが持っていない何かを持っているんじゃないかとすら思ってしまう。

 

「…折角なので、そのお誘いお受けしましょう」

「是非。まずはこの部屋ですが、幹部の食堂、談話室となっております」

「通りでカウンターがあるわけだ」

「あそこから食事を受け取りここで食べています。またテレビやソファーも設置されており、休み時間にはここで寛ぐ者も少なくありません」

「なるほどな…この天井にある変わった照明は?」

「この部屋は有事の際、緊急治療室としても使われますので、その為に」

「ふむ」

「後でご案内しますが、ちゃんとこの船にも診察室、治療室はあります。が、この部屋はバイタルパートに近いこともあり、比較的頑丈ですので」

「確かに理にかなっているな」

 

有事の際に幹部の部屋がどうやらこうやら言っている場合ではない。

 

「では次に診察室へ…と言いたいんですが、現在多くの負傷者の対応をしているようで、また今度の機会でもよろしいですか?」

「負傷者が最優先なのは当たり前だ。文句は言わん」

「ご理解ありがとうございます。では艦橋に行きましょう」

 

何回もラッタルを上り、先の見えない程長い廊下をテクテク歩く。

 

「外から見た時も思ったが、入ってみると想像以上の大きさだ。一体どれ位の大きさなんだ?」

「この しなの は、全長780m、最大速力は35kt、搭載機数は300機を軽く超える、まさに洋上の飛行場です」

「グレードアトラスターの3倍だと!?なんて大きさだ…」

 

そして速い。本国の重巡が35kt弱を出せるが、それと同速。

グレードアトラスターが30kt程しか出せない事を考えると、それより3倍でかい図体で35kt、一体どんな主機を使っているのだ…

 

久しぶりにカイザルは少年の時のような好奇心を抑えられなかった。




しなの の説明はまた次回。

あと前回の感想で知ったんですが、あの氷山空母「ハボクック」ですら、全長600mらしいですね。
しなのでかくね?

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
  • 地図から消す
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。