異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

これで今年最後の回となります。1年間ありがとうございました!

それでは本編をどうぞ。


救難艦

―時は少し遡り、グラ·バルカス帝国海軍先遣隊が壊滅した後

第2先遣隊が居た海域を数隻の船が航行する。

低速で移動しながら、周囲をサーチライトで照らし、まるで何かを探しているかのようだ。

 

「要救助者を右舷に確認!」

「こちらにも要救助者です!」

「可能な限り助けろ!誰一人として死なせるな!」

 

彼らは財団の救難艦とそれを護衛している艦隊。

勿論彼らの目的はグラ・バルカス帝国海軍先遣隊の生き残りを助ける為である。

 

「救急タグが赤の者は全員救難艦 わだつみに収容しろ!護衛艦の医務室は黄色タグを、他は甲板で処置しながら毛布とスープで様子見だ。急げ!」

 

わだつみから発進したゴムボートが元気の無い者を、各艦艇から発艦したヘリコプターが上空から救出する。

サーチライトで物足りなければ照明弾が撃ちあがり、周辺の海域を昼の様に照らした。

 

「後続の救難艦 ゆらひめ、海域に到着!」

「よし、ゆらひめにも赤タグを送れ!」

 

 

「…うーん?」

なんだか頭が重い。どうやら気を失っていたようだ。

周りは昼の様に明るく、ドタバタと走り回る音と怒声が聞こえる。

(自分は何をしていたんだっけ…そうだ、甲板を走り回っていたら突然爆風と光が襲ってきて…)

 

「目を覚まされましたか?」

 

その声に顔を上げると、心配そうにのぞき込んでくる女性が居た。

 

「あ、あなた、は…?」

「意識が戻られたんですね。すぐに先生をお呼びします!」

 

そう言うとこちらの質問に答える前に彼女はすっ飛んで行った。

少しすると白衣を着た男性を連れて帰ってきた。

 

こちらに名前や生年月日等を質問しながら検査されていく。

嘘を言ってもしょうがないので、正直に答えていく。

 

「あなた方は、誰ですか?」

「我々は日本の組織です。あなた方を救助する為に派遣されました」

 

日本は現在、我が帝国と敵対関係、戦争をしている真っ只中のはず、何故敵の兵を助けるのか…

もしかしたら、本国へ連れ帰って見せしめの為に処刑されるか、はたまた強制収容所で豚の様に働かされるかもしれない。

だが、今はそんな不安より生きているだけで安心出来た。

 

「私は…これからどうなるのでしょうか」

「詳しくは分かりませんが、必要最低限の生活が出来る事は保障出来ますよ」

「そうですか…」

「こちら毛布とスープです。スープのお代わりはあちらの受付か、動けなければ呼んで下さればいつでも対応しますので」

 

スープを飲まなくても、冷たい身体が少しあったかくなった気がした。

 

 

―グラ・バルカス帝国海軍 第1先遣隊

「ハァ…ハァ…」

 

帝国3将の1人、ミレケネスは船の残骸に捕まって海面を漂っていた。

洋上に漂い始めてどれくらいだっただろう…近くに浮いていた残骸のお陰で溺れずに済んでいるが、それも時間の問題。

手足はかじかみ、息をするたびに胸部が痛む。

 

周りには駆逐艦も巡洋艦も戦艦も、何も浮いておらず見えるのは漆黒のみ。

最初はあちこちから何人もの声が聞こえていたが、次第にそれも止んでいった。

 

実は海で漂流している時に恐ろしいのは、低体温症ではなく脱水症状である。

(ああ…このまま私は死ぬのだろうか…海軍に務めて数十年、これまでか…)

そう暗闇の中考えていた。

 

「おい、あれを見ろ!船じゃないか!?」

 

ふと何処からか声が聞こえた。

はっとして周囲を見渡すと遠くに光が見える。

(上手く気づかせられれば助かるかもしれない!)

 

「誰か!明かりを持っていないか!?」

 

胸部の痛みを堪え、ありったけの声で叫ぶ。

 

「その声は…ミレケネス様!ご無事でしたか!」

「ああ、私は大丈夫だ!それより明かりは!」

「残念ながら…いえ、もしかしたら…」

 

少しして、十数m先の海面が青色に輝きだした。

 

「海面が光っている…!もしやそれはウミホタルか!」

「はい。まだ研究中のウミホタル照明弾、その個人携帯用(試作品)です。生憎、今使った1つしか持っていませんでしたが…」

「頼む。気づいてくれ!」

 

少しの希望を持って遠く離れた光を見守る。

(くそっ、気づかないか…!?)

 

ブロロロロ…

聞き覚えの無い音が聞こえる。アンタレス型戦闘機のプロペラに音は似ているが、それより大きい。

 

ピカッ!

 

不意に上から光が照らされたので一瞬顔を背けたが、手を目の上に当て見上げた。

 

「こちらブラックホーク-1、要救助者を目視で確認!只今より救助を開始する!」

 

プロペラの音に負けない大声が響くと上から人が降下してきた。

 

「大丈夫ですか!?」

「ああ、大丈夫だ」

「今から体を固定して機体まで上げます。もう少しの辛抱です!」

 

そう男は言うと慣れた手つきで準備を終え、自分に繋がっているロープをくいくいっ、と2回引っ張った。

すると、2人の体はふわっと浮かび上がる。

 

ザザザザザ!

 

水をかき分けながら小型船が目下にやって来て、周囲の者達を船上に引っ張り上げている。

どうやら他の漂流している者を助けているみたいだ。

 

「もう大丈夫ですよ。よし、船に戻れ!」

 

「軽度の脱水症状と低体温症ですね。温かくして水分補給をこまめにしておけば、じきに体調は戻るでしょう。そしてこちら、レントゲン検査の結果なんですが、肋骨が1本折れてますね。鎮痛剤を処方しておきましょう。少しは楽になるでしょう」

 

そう医者に言われた後、個室に案内された。

 

「事情聴取は体力が戻った後に行います。何かあれば壁のボタンを押して下さい」

 

備え付けのベッドに横になりながらミレケネスは考える。

日本による対艦誘導弾を用いた攻撃。

その威力は駆逐艦、巡洋艦を1発でスクラップに変え、そしてその攻撃は必ず当たる。

これまで圧倒的だった帝国の防空網は何の役にも立たなかった。

 

対艦誘導弾は私の乗っていたバルサーの艦首に当たり、光と爆音を発しながら艦橋の一部を破壊した。

運良く生き残ったものの、あともう少し上にずれて艦橋に直撃していたら間違いなく死んでいただろう。

思い出しただけでも背中が寒くなる。

 

一度深呼吸をして、「あいてて」。落ち着けないじゃないか。

だが気を紛らわす事は出来た。

取り敢えず先ほど貰った鎮痛剤を飲んで横になった。

 

後に彼女はカイザルと再会、グラ・バルカス帝国の再建を目指していく事となる。




本当はもっと回想で先遣隊視点を書きたかったんですが、今はこれが精一杯。
時間があったらもう少し掘り下げても良いかも…?

さて前書きでも書きましたが、これが今年最後の投稿。
1年前は丁度パーパルディア戦が終わった回でしたね。
今年は11月に1度も投稿しなかったり、Taleで少し世界観を自分なりに掘り下げてみたりと色々ありましたね。

私事ですが、今日推しがまた一人明るい未来に向けて旅立っていきました。
達者でな!また会える日を願って…

それではよいお年をお過ごしください!(。・ω・)ノ゙ バイナラ~

今後のパーパルディアは?

  • 原作通りに敗北
  • 更に大敗北を喫す
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