異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~   作:M6A1(晴嵐)

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M6A1 晴嵐です。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

それでは本編をどうぞ。


報告

―呉 機密ドック

「これが大和型戦艦…いや、グレードアトラスターか。大きいな」

「これが46cm砲!再現レプリカとは迫力が違いますね…!」

 

グレードアトラスターが曳航されたドックに、新藤ら財団職員と国の重要人物数人とその関係者がやってきていた。

勿論理由は艦の詳細を調べる為である。

 

「そうだな。田島、戻ってきたか。照合結果はどうだった?」

 

甲板で話をしていると数名の職員を連れた田島が戻ってきた。

 

「では軽くこの場で説明します。詳細はタブレットに記載しておりますので、ご確認ください」

 

そう言うと田島は手元のタブレットを操作する。

 

「まず基本的な構造、並びに素材は同じだと思われます。一致率は95%以上と偶然にしては出来過ぎているかと」

「そんなに一致しているのか…相違点は?」

「まずはレーダーを用いた射撃管制でしょう。一部の射撃システムに差異が見られました。次に対空砲。VT信管を利用しているのは周知の事実ですが、対空砲の配置、並びに対空砲が一部違いました。正確には、127mm高角砲が連装ではなく、3連装でした。ですが、反物質誘導弾で実物は消し飛んでまして、これは捕虜の証言と設置個所から推測した結果です」

「そうだったのか。後で航空写真で確認しないとな。思い込みというのは恐ろしい…」

 

後で確認する事が増えたな、そう思いながら田島の報告を聞く。

 

「…以上が報告となります」

「分かった。それじゃあサイト-8100に戻るとしよう」

「そうですね」

 

そう言って甲板を降りると、ある人物が目に入った。

 

「ご無沙汰しております、お変わりなさそうで安心しました」

「おや新藤君じゃないか。久しぶりだな。いやもうこの年でな、色々苦労するわい」

 

彼は右手で腰を叩くふりをする。

 

「君もこの戦艦を?」

「はい。財団が所持していた大和型戦艦との差異を確認しておりました」

「そうか。ああ、そうだ。少し君たちにも手伝って欲しいと思っておるのだが、聞いてくれるか?」

「財団がお手伝い出来ることであれば。何でしょう」

「儂はね、戦艦を復活させようと思っておる。その手伝いをしてくれんかね」

「戦艦を復活!?本気ですか!」

 

新藤は驚愕する。

確かに財団は戦艦を建造する事が可能である為、建造してもいいんじゃないか、という声も一部から上がっていた。

理由は魔帝が使っていたとある兵器に対抗するためだ。

 

将来復活するであろう魔帝は、海上要塞 パルカオンというとんでも兵器を持っているらしい。

ミリシアル帝国が所持しているらしいが、機密性が高く性能はよく分かっていない。

分かっているのは誘導弾を使える事、パル・キマイラが搭載していた対空砲 アトラタテス砲を積んでいる事だけだ。

現在所持している護衛艦やSCPSでは苦戦すると予想されており、現時点では反物質誘導弾や短距離強襲ミサイル、大陸間弾道ミサイルによる撃破が最善手とされている。

 

相手が海上要塞を持ち出してくるなら、こちらも海上要塞擬きを繰り出せばいいじゃないか。

そう言いだす研究者が居ても何もおかしくないのである。

実際、対アノマリーの為に財団が戦艦を持ち出した例*1もあり、アノマリーに対抗できるなら海上要塞に対抗出来る代物だって作れるはずだ、とか言い出すしまつ。

 

しなの型空母を3隻建造を決定した後にそんな事言われても…いや、仮に建造していなくても今更大口径砲を積んだ戦艦の建造なんて無理がある。

その為新藤らは不可能だ、と切り捨てていたのだが…

 

「これまで日本は他国から過小評価されていたから、幾たびの戦争に巻き込まれた。だが、見ただけで圧倒的な軍事力がある事が分かればどうだろうか。目の前に戦艦のお手本と言うべき艦があるのだ。現代技術を結集して、ヤマト型護衛艦を建造する。日本国にヤマトあり、大きな象徴は良い牽制となるだろう」

 

(確かに財団だけだとしなの型空母の件もあり、余裕がない。だが日本国政府と連携出来れば…)

 

「分かりました。財団も可能な限りお手伝いさせて頂きます」

 

声は聞こえなかったが後ろ(有田や田島ら)から驚愕した様な雰囲気を感じ取った。

 

「それは有難い。では新藤君、また」

「はっ、失礼します」

 

新藤はお辞儀をすると歩き始めた。

ドックから出たところで後ろから大きなため息が聞こえた。

 

「はぁ…新藤管理官、戦艦の建造手伝うんですか?」

「財団だけなら大変だが、政府と共同開発であれば問題ないだろう。幸いデータはこちらが持っているからな。船体の建造か兵装の開発、どちらかで手伝おう」

「無茶言いますね、全く…」

 

軽く言い放った新藤に、やれやれと頭を振る田島だった。

 

 

―神聖ミリシアル帝国 帝都 アルビオン城

城の中にある会議室、楕円形の机が設置された部屋に国を動かす中枢幹部たちが顔を揃えていた。

内容はグラ・バルカス帝国海軍との戦闘についてだ。

 

パル・キマイラのカメラには暗視能力があり、夜間の戦闘でも(日本程では無いが)ちゃんと録画出来ていた。

 

「「「おおおおおお!!」」」

 

対艦誘導弾が巡洋艦に命中し、大きな爆発が発生する。

その爆発はミリシアル帝国の誇るミスリル級魔導戦艦の主砲よりも大きく、着弾した船はあっという間に沈む。

グラ・バルカス帝国も雨と言っても過言では無いほどの対空砲を撃ち上げており、曳光弾で埋め尽くされている。

しかし、日本国の誘導弾は次々と着弾し海を燃やす。

遅れて届く轟音も臨場感を加速させていく。

 

報告は予め文章で貰っていたが、映像は自分の想像を超える衝撃を与えてくる。

 

敵の大艦隊が何も出来ずに撤退する様は胸がすく思いを覚えながらも、日本国に対する恐怖心を宿らせた。

 

「以上がナハナート王国沖にて行われた海戦の概要です。この時、日本国が使用した対艦誘導弾の性能は、誘導性能、速度、射程、威力の全てが古の魔法帝国の誘導魔光弾を上回る性能です。以前確認した書類に記載されていた物よりも遥かに高性能だった為、スペックを下げて公開していたか、或いは新型誘導弾がつい最近実戦配備された可能性があります。また、低空を這う能力は誘導魔光弾にはありません。現在、日本国は誘導弾の更なる改良に努めているとのことです」

 

魔帝の誘導魔光弾ですら自分たちにはオーバースペックなのに、その上を行く超高性能。

そしてそれを改良しているという事実。

 

「現時点でも防げないというのに、更に改良しているだと!?一体何のために…まさか彼らも覇を唱えるつもりでは!?」

「彼らは憲法で縛られている為、覇を唱える可能性は低いでしょう。それに、彼らのいた世界では誘導弾の波状攻撃を防ぐ事が出来る国がいたようです。もしかしたら古の魔法帝国にも防がれるかもしれない。その為の改良だと思われます」

「日本国は本気で古の魔法帝国に勝つつもりなのか…」

「おや、軍務大臣は来るべき時…古の魔法帝国復活時に屈服なさるおつもりかな?」

「いや、勿論わが命を懸けて戦うつもりであるし、各国ともそのつもりで調整を行ってきた。だが伝承に伝わる彼らの技術はあまりにも高すぎる。古代兵器が発掘される度、その凄まじさに驚くほかない。技術力が違う相手には物量は意味がなさない。文明圏外国家の大物量に我が国が負けないのはそういう理由だ。我が国はこれまで世界最強を自負してきたが、対グラ・バルカス帝国では想像よりも戦果を上げる事が出来なかった。しかも空中戦艦 パル・キマイラですら撃墜された。間違いなく奴らは強かった。しかし日本国はどうだ。彼らは赤子の手をひねる様に少しの戦力で何十倍もの兵力を退けた。彼らの被害と言えば、弾薬と燃料費程度の取るに足らない金額だけだ。我が魔導艦隊では古の魔法帝国どころか、日本国にも勝てんだろう」

 

軍務大臣が一息ついた所で司会のアルネウスは本題を振った。

 

「一旦落ち着いたところで、軍務大臣殿。議案があるのでしょう?」

「あ、ああ。国防省長官!」

 

アグラが指示すると、お付きの軍幹部が迅速に資料を配った。

 

「ヒノマワリ王国奪還?これは日本国からの提案ですか。あの小さな都市国家を奪還して何にならうというのです?というか、自分の意思で下っているので奪還という言葉もおかしいですが」

「ヒノマワリ王国には、グラ・バルカス帝国最前線基地 バルクルス基地がありました。この基地が陥落した為、残りの兵力は全て首都 ハルナガ京に居座っています。日本国はレイフォル沖を攻撃する為にバルクルス周辺に基地を作りたがっている様です。ただし航空基地の為、少しでも危険性は排除しておきたい。よって、まずはヒノマワリ王国の解放が必要とのことです」

 

その後様々な問答が行われ、ミリシアル帝国は日本に対し協力すると回答、艦隊の派遣を決定した。

ほぼ全てが決定したのを確認してミリシアル8世が発言した。

 

「しかし日本国か。今までの腰の低さが判断を誤らせていた。強いと想定はしていたのだが、それ以上だ。日本国の軍事力は凄まじいが、更に質を上げようとしているとは。戦力比において、軍務大臣の予想は正しいだろう。日本国とは友好関係を更に深め、少しでも日本国の技術を吸収、昇華させて戦力拡充を行え。間違っても誤解を与える発言は慎むように。外務大臣、分かったな」

「はっ!」

「アルネウスよ。貴様の見立てでは日本国の軍事力は古の魔法帝国に対してどれほど通用すると思う」

「はっ!発掘兵器から予想される古の魔法帝国の兵器群に対し、日本国の兵器はある程度通用すると思われますが、如何せん数が少ない。規模で押し負けるかもしれません。発掘兵器には光翼人の持つ膨大な魔力を必要とする物が多く、まだ分かっていない部分も多くあります。つまり上限が読めません。そして日本国の兵器群もまだ理解出来ておりません。こちらも上限が読めないです」

「そうか。今後も情報収集に励むように」

「はっ!」

 

 

―神聖ミリシアル帝国 情報局

アルネウスはアルビオン城から戻ると、自室に戻りソファーに身を任せる。

実は誰にも報告出来ていない事が一つだけあった。

パル・キマイラからの映像とレーダー情報は全て情報局にも回ってきていた。

その解析中に一つ疑問が浮かんだ。

 

それが回転率の高さ。

確かにナハナート王国付近には多くの基地があった、とはいえそれにしても航空機の回転率がおかしい。

日本の保有していた戦闘機は確か200機程、哨戒機込みでも400機。うち対艦誘導弾が搭載出来るのは300機。

だが攻撃頻度は300機がフルで稼働していたとしても、あまりにもペースが速すぎる。

弾薬補給、攻撃、帰投、これに1時間程は掛かるはずだが、それよりも圧倒的に短い。

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(日本国は空母を持っていないはずだ。だが持っていなければこれに説明が付かない…)

 

「…考えすぎか」

 

そうぼやくアルネウスだった。

*1
SCP-2846 大イカと船乗り

今後のパーパルディアは?

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