異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
今回少し会話が多すぎて読みにくいかもですが、ご了承ください。
それでは本編をどうぞ。
画面には無機質な部屋の中で一人、ソワソワしている男が映っている。
椅子に座っているものの、何か悩んでいるようで体勢を頻繁に変えている。
やがて迎えに来た2人の男と共に部屋を出ると、少し廊下を歩き会議室へ入っていった。
机を挟んで3人の男が椅子に座る。
「単刀直入にお聞きしますが、グラ・カバル殿下、今回はどのようなご用件でしょうか」
「我が国と貴国は不幸な行き違いから戦争状態にある。率直に伝えるが和平を結ばないか?」
この言葉に2人組は少しだけ反応した。
「和平ですか…具体的にはどのような条件で?」
「我が国は全世界へ宣戦布告している。その対象から日本国だけは外すようにしよう。これで貴国は滅びの恐怖から解放され、我が国との交易によって繁栄が約束されるだろう!」
「…ムー大陸からの撤退の意思はおありですか?」
「ムー大陸のレイフォル領については既に入植が開始されている為、国民の権利が著しく制限される行為は難しいだろう。日本国を攻めないだけでは不満か?貴国も転移国家だから分かるだろうが、ここの原住民は文明レベルが低い。原住民を配下に置き、共に星を分割統治すれば良いではないか。本来ならば一極統治こそ究極の平和をもたらせられるのだが、二極体制でも同盟関係にある2国ならば、世界の戦争は激減するだろう。平和を目指すなら武力で統治すべきだ。文明レベルの高い者によって統治される事により、その国家の国民もより高文明に触れる事が出来、幸せに暮らせるのだ。日本国はパーパルディアへの政策を見るに、国家統治のノウハウが無いと見える。帝国であれば日本にノウハウを教える事も可能だ。我ら2国が手を組めば敵は居ない」
そこで男はガタリと椅子から立ち上がり、手を広げた。
「共に世界を!世界を手に入れようではないか!」
一方、2人組の方は若干冷めた目で彼を見つめる。
「…カバル殿下、一つ伺っておきたいのですが、失礼ながら殿下に国家の意思決定に関わる権利をお持ちですか?仮に我が国が乗ったとしても、日本国に無理矢理言わせられていると捉えられませんか?」
「私が国に帰れば良い。日本国の強制力の及ばない領域であれば説得は可能だ。私は次期皇帝、私の言は重い」
「そうですか…日本は覇権国家ではありません。今までこちらからの忠告を聞き入れず、何度も武力行使を止めるように語りかけても無視して侵攻を続けたグラ・バルカス帝国を信用出来るはずがないでしょう。二極体制等夢物語だと思って頂きたい」
その言葉に男は驚いた顔をした。
「何故国益を無視する?二極体制で世界中の富が集まるのだぞ。日本国とグラ・バルカス帝国では、規模の上では我が国の方が遥かに大きい。今は貴国に技術的優位性があるかもしれないが、その差もいずれ縮小していく。これほど国力に差がある上位の2国が世界を統治しようと申し出ているのに何故だ?貴方も国家の国民の為に仕事をしているのだろう?統治領から入る富は、最初は大赤字だが安定して黒字化すると凄まじいぞ。国民全員がお金持ちになり、国力増大に繋がる提案を、政府に確認することなく蹴ろうとする?」
「勿論殿下とのやり取りは政府に報告致します。ただ我が国は法治国家であり、他国との融和も大切にに致します。今まで築いてきた友好関係を打ち切っていきなり侵略側に回るなど、あり得ない事です」
男は少し焦った様子で尋ねる。
「な、ならば我が国との不可侵条約はどうだ?」
「具体的な内容を精査したいところです。我が国が転移直後ならば先程言われた不可侵条約も飲んだかもしれませんが、今我が国は各国との国交があります。現時点で他にも宣戦布告を受けている各国の意向を無視するわけにはいきません。不可侵条約については、具体的な内容がありましたら提示して頂きたい。不可侵条約の具体案がまとまり、締結されるまでは戦闘は止まりませんのでお気を付け下さい」
2人の男が席を立とうとするのを、机を挟んで座っていた男が慌てて引き留める。
「ま、待て!待ってくれ!」
「何でしょうか」
「和平条件については今後も継続して交渉したい。各国の事情があるのは分かった。各国と調整が出来次第、どうすれば和平が実現できるか、そちらも具体案を提示してほしい。現在帝国との太い窓口は無いだろう?私、次期皇帝たるグラ・カバルが橋渡しになると言っている。これを断る手は無いだろう?」
「…分かりました。では後日、各国と意見調整を致します。回答がいつになるのかお約束は出来ません」
「頼んだ。なるべく早くお願いしたい」
そして全員が会議室から退出し、そこで映像は終わった。
―サイト-8100
「これが先日、グラ・カバル皇太子と外務省の間で行われた和平交渉の様子です」
「和平か…各国の反応は?」
「職員の調査によると、文明圏外の全国家、並びに9割以上の第3文明圏の国家は無条件の和平に賛成とのことです。その他の第3文明圏の国家、そして第1、2文明圏は和平には賛成ですが、無条件和平については認められないとの事です」
「和平への条件は?」
「まずは賠償金。特にバルチスタ沖海戦において出た海軍への被害、これには艦艇の修理費と人的資源への賠償が含まれます。また同海戦での第2文明圏のワイバーン部隊についても同じく賠償を請求したいとの事です。更に先進11ヶ国会議に参加していた国からは、別途賠償金を請求したいと」
「なるほど」
「おそらく請求額は天文学的な数字になると予想されており、支払いきれない分は無償での技術供与、建物の建設、賠償艦の引き渡し等が主になるかと思われます」
有田は資料をぺらっと捲った。
「次に占領した土地の返却と属国の独立。特に先進11ヵ国会議でも話題がありました、イルネティア島については譲れないとムーと、ムーに亡命されている第1皇子から話しがありました」
「まぁ妥当だな。だが政府陣が壊滅している国、例えばレイフォルやパガンダ王国については?」
「レイフォルについては、ムーや神聖ミリシアル帝国が主導で復興する案が出ております。ですが、具体的な内容は決まっておらず今後の協議を待つ形ですね」
「そうか…グラ・バルカスが和平に応じるのはいつ頃になると思う?」
「はい。諜報部によりますと、未だに上層部は防衛に徹していれば現状維持は可能だと考えているようです」
「とてもじゃないが、和平に応じるとは思えんな…そう言えばヒノマワリ王国の件は?」
「神聖ミリシアル帝国はこちらの派遣要請に応じてくれるようですね。有難い話です」
「ミリシアルにとってもグラ・バルカスは面子を潰したにっくき敵だからな。さて、まずはヒノマワリ、そしてレイフォル攻略だ。忙しくなるぞ…」
と、扉がノックされ松本が入ってきた。
「管理官、先ほど防衛省より連絡がありました。海上自衛隊第1潜水艦群 第1潜水隊がイルネティア島沖に展開していたグラ・バルカス艦隊に攻撃、損害を与える事に成功したとの事です」
「イルネティア島は奴らの勢力圏内。かなり頭を抱えるだろうな」
「潜水艦を使っての攻撃は確実に相手の戦力も削れますし、精神的にもかなりキツイでしょう。ですが、決定打にはならないですね」
「そうだな。レイフォルを落として、イルネティア島解放は必須か。それでも応じないなら、しなの型空母3隻を派遣して圧力を掛けるか」
「流石にしなの型3隻派遣はやりすぎでは…1隻だけでもグラ・バルカスの残存艦隊なんて十分ですよ」
「応じないなら、な。話しに出たが、2番艦、3番艦はどうだ?」
「3番艦はまもなく試験航海、2番艦は現在最終調整中です。予想より時間は掛かりましたが、ようやく実現します。財団の3枚の切り札が」
「ああ、全艦就役したら遥かに心強いな」
ふと有田がタブレットを操作し始めた。
「管理官、政府から海底設置型固定ソナーについて、他国からの要請で設置出来るのか、と問い合わせが来ています」
「固定ソナーか。設置出来ん事も無いが…用途は?」
「グラ・バルカスの潜水艦の脅威に対抗したいからと。既にムー国含めた多くの国から尋ねられているとの事です」
「そうなのか。政府には設置可能だと答えておいてくれ。決まり次第、詳細な海底地形図で設置個所を相談してくれ」
「了解しました」
(まだまだ先は長そうだな…)
新藤は少し伸びをすると、机の上に広げられている書類とにらめっこを再開するのだった。
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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