異世界に転移したのは日本だけではなかった~SCP財団日本支部召喚~ 作:M6A1(晴嵐)
もう3月も終わりですね。
学生の方々は新学期、社会人の方々は新年度のスタートも間近です。
ここでお知らせです。
自分事なのですが、これからかなり忙しくなる為、4月の間は投稿無し、5月からは1ヶ月に一度の投稿となる予定です。
毎週楽しみに待たれていた方、本当に申し訳ありません。
自分としても魔帝編まで書きたいと思っておりますので、いつになるか分かりませんが、その時まで当作品をよろしくお願いします。
それでは本編をどうぞ。
―バルクルス基地 第3会議室
机に向かって座っていたヒノマワリ王国 第3王女 フレイアは緊張していた。
王族として人前に立つのは慣れているのだが、今回の相手は列強2位のムー国と列強に並ぶ(実際には列強以上)と言われている日本国を前にしている為、仕方のないことだった。
「それでは3ヶ国協議を始めます。早速ですがフレイア殿下、お願いします」
司会に指名されたフレイアはすっと立ち上がると、深々と敬礼をしてから話し始めた。
「ヒノマワリ王国 第3王女のフレイアと申します。この様な場を設けて頂きありがとうございます。最初に我が国がグラ・バルカス帝国に降った経緯と現在の状況について簡単に説明させて頂きます。
我が国は以前はレイフォル国の属国でした。ですが、レイフォル国がグラ・バルカス帝国により滅亡し、更に彼らがバルチスタ沖海戦に勝利した事で、ムー大陸の西側に位置していた我が国にもかの国のかなりの外交圧力が掛かるようになりました。かの国が圧倒的な軍事力と技術力を持っていることは明白でした。もし降る事を拒否して全面戦争を行ったとしても勝利は絶望的、多くの民が奴隷になってしまう事が予想された為、私の父…国王は王政を捨ててでも民の命を優先する事が大事だと判断しました。
但し、降るには一つ条件を提示しました。それが食料だけは絶対に取り上げない、民を飢えさせない、というものでした。これは何度か行われた外交の場だけでなく、文章による調印でも確認しました。
やがて王城の近くに統制府が設置され、多くの職員と軍隊が派遣されてきました。彼らは多くの屈辱的な仕打ちを行いました。土地や資産は全て帝国の物とされ、現地民とバカにされました。特に目立ったのは軍人の行為でした。家に土足で上がっては金品は奪っていき、ストレスのはけ口として女性が襲われることもあったと聞いています。中には統制府に連れていかれた者もいると…逆らえばすぐに殺されるため、誰も何も出来ませんでした。ただただ耐える事だけしか…
ですが、かの帝国は遂に食料流通を押さえ始めました。国内では飢える者が増え、餓死者も出始めてしまったのです。その為私は統制府に赴き、軍の備蓄の解放をお願いしました。が、帝国はそれを断り、更に暗殺されかけた為にムー国に亡命させて頂く事になったのです。私からは以上です」
最後の方は目元に微かに涙を滲ませながらフレイアは説明した。
聞いていた者たちはその悲痛な姿に心を痛めずにはいられなかった。
バサッバサッバサッ
「ん?何の音だ?」
窓ガラスに何かがぶつかる音がする。音のする方に全員の目がいった。
「え?鳩?」
そう、窓に何度も体当たりしていたのは鳩だった。しかし何故?
フレイアの隣に座っていた女性が何かに気づいたようで、立ち上がりながら鳩の胸部分を指さす。
「姫様、胸に王家の紋章が入っています!」
よく見ると足に何か紙の様な物が結び付けられている。
「もしや、伝書鳩ですか!?」
大内田は驚きの声を上げた。
日本でも伝書鳩を飼っている人は少なくなく、鳩レースも行われてはいる。
ただ、生で伝書鳩を見た事がある人は少ないため、その反応は当たり前であった。
「会議に重要な影響を与えるかもしれませんので、確認して頂いて構いません」
ムー国統括軍現場指揮官のミックが手紙を読むことを促す。
フレイアは鳩の足から手紙を外すと、開いて読み始めた。
読み進めるうちに、堪えられなくなったのかフレイアの頬を涙がつたう。
「フレイア王女、大丈夫ですか?」
フレイアの様子にその場に居た全員が、手紙の内容がただ事ではないと察する。
「国王と王子が幽閉され、お姉さま…王女たちは全員殺されてしまったようです…」
「え!?それはどういう…」
「失礼しました。ヒノマワリ王国の諜報部、とでも言いましょうか。情報収集に長けている貴族からの手紙です。私がグラ・バルカス帝国に食料を融通するよう、交渉に行った事は先ほどお話しした通りですが、帝国の実働部隊は私の顔は知っていますが、姉妹の見分けが出来ません。外交部門から暗殺指示を受けた部隊は私だけではなく、お姉さま達まで…」
ここまで堪えてきたフレイアの感情が溢れ出す。
外交の場で泣き出してしまうなど、あってはならない事だと心では理解している。
しかし、優しいお姉さま達は殺されてしまった。
もうあの笑顔も、あの楽しい日々も決して戻ってこない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
人目もはばからず泣くフレイア、その背中に誰も声を掛けられず、室内にはフレイアの声だけが響く。
暫くするとフレイアは立ち上がった。その目には強い決意が漲っていた。
「ヒノマワリ王国の王家は幽閉され、実質的に国内の権限を失いました。現在国内の王家の機能は停止している為、非常時国家保護法が適用されます。現時点を持って、ヒノマワリ王国の実質的権限は全てこのフレイアに移行致しました。法に基づき、ヒノマワリ王国内法は全て一時的にこのフレイアの意思により決定されます」
フレイアはここまで言い切ると、ムーと日本に対し深々と頭を下げた。
「ヒノマワリ王国として、対グラ・バルカス第2文明圏連合国家及び日本国へ正式に、王国内において国民を苦しめているグラ・バルカス帝国の排除する為の協力を要請します」
―数日後 ムー国 エヌビア基地
その日は満月、地平線から月が顔を出して2時間程経った頃、日本用に建設された滑走路で対地爆装をしたF-2戦闘機が離陸する為に準備していた。
連合国の者達はその様子を一目見ようと、安全な場所から眺めていた。
夜間とはいえ月明かりが周囲を照らしているし、色とりどりの飛行場灯火によって視認性は悪くない。
「おいデルカー、見えるか?あれが日本の飛竜、いや戦闘機か。初めて見たが大きいな」
「噂通り、ムーのマリンと違ってプロペラが無いようですね。しかしあれが本当に強くいんでしょうか?我がワイバーンロードの方が強く見えます」
そう話しているのはニグラート連合の飛竜隊のメンバー達だった。
その中でもデルカーは飛竜の訓練課程を主席で卒業したという凄腕で、自分の腕も愛騎も絶対の自信を持っていた。
そんな彼らが何故F-2を見ているのかというと、日本の戦闘機はとても強い、と噂としては聞いたことがあっても、日本の戦闘機を見た事があるのは上層部、幹部等の一握りであるため、無機質なF-2は注目を集めていた。
「日本は強い、それは間違いない。お前の気持ちはどうあれ、グラ・バルカス帝国との戦闘結果がそれを物語っている。俺もあの戦闘機が離陸する姿は見た事無いが、あれが飛ぶ姿を見た後にお前が勝てると思うか、もう1度聞きたいな」
やがて3機の戦闘機がゆっくりと滑走路に侵入した。
1機が少しずつ速度を上げていく。
キュイイイイイイイン!
高音を周囲に響かせながら、後ろに炎が伸びていく。
ゴオオオオオオオオオ!
直後轟音を発しながら、彼らの常識を超えるものすごい加速でF-2は空に飛び立っていった。
他の2機も1機目に続くように加速すると、あっという間に夜空へ消えていった。
「……」
「おいデルカー、勝てそうか?」
「…いえ、失礼しました。飛竜の方が上だと思い込んでいた自分を恥ずかしく思います。速度が違う。次元が違います。我が飛竜では、あの速さは捉えられないでしょう。私の言葉が他国の兵に聞かれていなくて良かった。本当に恥ずかしいです」
「確かにあれは凄いな。俺の想像も超えた。あれにはグラ・バルカス帝国も勝てないわけだ」
デルカー達が話している間にもF-2は何機も離陸していく。
ヒノマワリ王国に本物の日の光を差し込ます為に。
今後のパーパルディアは?
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原作通りに敗北
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更に大敗北を喫す
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