13話 稽古
「ーーーよーし、そろそろ終わるね~!……あ、そうだった…僕、 東京ブレイドの舞台化に風輝役で呼ばれて稽古で忙しくなるから配信あんまりできないけど、そこんとこよろしく~!おつはや~!」
:え!?嘘でしょ!!
:どゆことぉ!?
:自分の役やんの!?
:激アツ展開きちゃぁー!!
:役者デビューってコトぉ!?
:あのシーンが見れるの!?
:チョットマッテネ…?急展開すぎて頭が……!
:ハヤハヤの素顔が遂に公開される…!?
: 2.5次元VTuberってことか!
コメント欄はお祭り騒ぎですが、、配信終了!
明日から稽古…。
体力面、運動面では問題ないと思うけど…演技の面ではまだまだだから、周りを見て技術を吸収していかなきゃな。
でも、周りにはトップクラスに演技ができる人が三人もいるんだ。
あかねとかなちゃん、そして姫川さんがいる。
それに、他の役者もレベルが高いらしいし、アクアもいるからね…。
この舞台は僕の出来次第みたいなところもあるし、僕の名前を宣伝する場にしてやるぞ。
稽古場にて……
皆が集まりまずは挨拶…。
この舞台で役を演じる人と、脚本家や中心となっている劇団ララライのお偉いさんなどの紹介が始まった。
「苺プロ所属でVTuberの疾風ハヤテです!素人ですが、少しでもこの舞台の質を上げられるよう努めますので、ビシバシ指導お願いします!!」
続いてどんどん自己紹介が進んでいく。
一通り自己紹介が終わったので少しの自由時間…。
「久しぶり!ハヤテくん!」
横から突然声がかけられ、そちらを向くとあかねが立っていた。
「おー、あかね!確かに久々だね…それにだいぶ髪伸びたね〜」
「どんな役が来ても良いように伸ばしてたんだ。そこに鞘姫のオファーが来たから丁度良いと思って…!」
「そーなんだ。…なんかすごい大人っぽく見える」
この間、見たときはショートだったから余計にね。
前は可愛いだったけど、今は綺麗っていう方があってるな。
「その、、どっちの方が似合ってるかな…?短いのと伸ばしてるの」
「うーん…僕は今の方が好きかな。大人っぽくて綺麗に見える」
「そ、そーかな…!!えへへ…ハヤテくんにそー言われると嬉しいな…///」
照れてるあかね見てると心があったまるわ…。
そんな2人の様子を見ていた有馬かなとアクア。
あかねの様子を見て不思議に思った有馬かなは、あかねの彼氏であるアクアの方を見てみる。
かなの視線に気づいたアクアは、何とも言えない表情で顔を背ける。
アクアが仕事上の付き合いをあかねとしていることはJIFの帰
りに聞いていた有馬かなだが…。
“まさかそんなことがあるなんてね、、罪な男だわ…”と心の中で呟くのだった。
『おーい、ハヤテくん!ちょっとこっちきてくれ!』
「あ、はい!」
僕は呼ばれたとこに向かう。
呼んだのは劇団ララライの代表である金田一敏郎さんだった。
「なんでしょうか?」
「キミがどれほどの演技ができるか見ておきたい…ので、軽く芝居をしてもらおうかと思ってな」
「なるほど…分かりました!」
急にやらされることになったけど大丈夫かな…?
「あそこにいる姫川と軽く打ち合わせをしてブレイドと風輝のやりとりを演じてみろ。台本にあるシーンでもアドリブでもいいぞ」
「了解です!」
「お前もわかったなー?姫川ー!」
「…あーい」
僕は返事をして、姫川さんのとこへ行く。
「どーも、ハヤテです…!」
「姫川大輝だ…そんな畏まんなくてもいいぞ」
「はい、で…どうします?」
「あのじいさんも嫌なことするな…。まあいい、、お前が好きに演じていいぞ」
…それ金田一さんと言ってること同じじゃない?
全部僕に丸投げ…。
「俺はブレイドだから遠慮なくきていいぞ…」
そうか…。
僕の得意なところを演じていいって事ね…。
ララライの看板役者…さすがの自信だな。
僕が何をしても対応できるって訳だ。
「…はい。なんとなく安心しました、僕は風輝になりきる練習はしてきました…。だから、その成果を見せたいと思います…!」
「分かった…。俺も役に没入するのは得意だからアドリブで演じるのもアリかもな。リスクはあるが…」
ポリポリと頬をかきながら、そう返事する姫川さん。
「一人で見えない相手と戦うのは飽きちゃったんで」
「俺が合わせるから好きに動いていいが、戦闘シーンをやるなら気持ちゆっくりで頼む…」
「了解です!」
いつも通りやれば大丈夫…。
動きは元々できてたから、風輝に入り込むことを考えていた。
風輝は、細かいところは違うけど僕がモチーフとなったキャラクター…。
簡単に言えば、パラレルワールドの僕だ。
風輝のキャラ設定を思い出す…。
そして僕は目を閉じて、、風輝の人生をゼロから辿りはじめる……。
…もう一度、目を開けたときは周りの景色が違っていた。
目の前には、髪を一つに結んだ剣士…ブレイドが立っていた。
その目は、勝負を今か今かと心に闘志を燃やし、炎を宿したようであった。
「フゥー……。愚かだな、争いからは何も生まれないというのに…」
「王になるには、それが一番手っ取り早いからな!それに、、俺の勘が言ってるんだ…お前はつえーって!」
「それではただの戦闘狂だろう?そんなやつに王になる資格など無い」
「その言葉、、このブレイド様が力で捻じ曲げてやるさっ…!!」
ハヤテの演技を見た金田一敏郎は驚いていた。
彼が目を瞑って再び開いた瞬間……。
場の雰囲気が変わってしまった。
彼だけでなく、この場所、空気……。まるで突然、東京ブレイドの世界放り出されたのではないかと錯覚してしまった。
今もなお演技を続ける2人だが、姫川もハヤテに引っ張られて、ブレイドの役に深く入り込んでいて演技がしやすそうである。
疾風ハヤテ……。
ヤツの演技は没入型……だが、演技と呼んでいいのかという程に完成度が高い。
足りていないとすれば、舞台特有の大げさな仕草や声の出し方くらい……。
ヤツはダイヤモンドの原石なのかもしれない……。
ペシッ…!
「あいたっ…」
急にアクアに頬を叩かれ咄嗟に口から声が漏れる。
「役に入り込みすぎだ馬鹿」
「あぁ、ごめん…」
僕のイメージだと、僕が風輝に入り込むっていうよりかは、風輝が僕の中に入ってくる感じなんだよな。
「えと、金田一さん、、僕の演技どうでしたか?」
金田一さんに尋ねてみる。
「うーん…まあ演技については申し分ない。どこかで役者やってたのか?」
「いえ、役者はやってませんが…ある映画監督のとこで少しだけ習いました」
五反田監督に少しだけ仕込んでもらってるから…。
「そうか、、役に入り込む深さは目を見張るものがある。それに、世界が変わったかのように錯覚させたりできる辺り、センスがあると言ってもいいだろうな…」
結構褒めてくれて嬉しい。
そんな金田一さんは「でも…」と言葉をおくと…
「お前はまだまだ素人、、舞台だとそんな仕草や声じゃ、遠くの席にいる人までは伝わらない。そこら辺の技術は日々の努力がものを言う。これからの稽古期間、そこを磨いてくことを意識しろ。ハヤテくんにとって難しいのは、キミが完璧な没入によって演技力を補っているところがあるから、さっき言ったような技術を維持したままその演技力を出せるかどうかだろう…」
「なるほど…」
確かに演技してる時は何も考えてないし、多分考えられない。
金田一さんが言うことは、要するに今は頭が100%没入しているせいで他のことに意識を向けれないから、没入の割合を90%くらいに下げて10%の余裕を持つことで他のことにも意識を向けられるようにするってことか。
「俺としてもキミに興味が湧いた。ぜひ、これからの稽古期間…周りの役者から技術を吸い取って、役者として成長していってほしい」
「…はい!」
全然甘くないな、役者って。
別に舐めてたわけじゃないけど、アクアたちはすごい人たちなんだと実感させられた。
ここでは僕なんて下の下だし。
ひたすら稽古頑張るしかないな…。
今のままだと、他のことに意識向けた途端に没入の割合が0%になりかねない。
演技って悪く言えば、どれだけ見てる人を騙す(錯覚させる)ことができるかだからな〜。
僕に純粋な演技力はないんだろうな。
稽古頑張るしかないかー。
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