TSしたら口数少ないイケメン親友に歪んだ溺愛?されてます   作:エイジアモン

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33.オレとハル

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 夢だな、これは。

 

 空は晴れ渡り、穏やかな風が吹き、どこまでも続く緑の草原のような場所。

 

 いつの間にかオレの腕の中には一人の女神がいた。

 

 その女神はオレにとって、眩しく、暖かく、穏やかな光を放つ存在。

 

 そして、オレのモノだ。オレだけのモノだ。誰にも渡さない。

 

 やっと、やっとオレのモノになってくれた。

 

 ハル、愛してる。 

~~~~~~~~~

 

◇◆◇

 

 朝、ベッドからのそりと身体を起こす。

 昨日はちょっと張り切りすぎた。

 

 日曜は気合を入れて弁当を作り、キリの家に持っていった。

 

 当然ハンバーグがメインだ。というかこれくらいしか出来ないのだ、さぼっていたし。

 これからはレパートリーも増やしていきたいし、キリにも喜んで貰いたいし。

 もっと美味しく出来るように精進しなければ。

 

 そして食後は、まあ……アレだ。アレ。言わなくても分かるだろ。

 以前の時より強い繋がりを感じて、とても気持ち良く、大きな快感を得た。

 キリの大きな愛を感じたし、俺もそれに応えたくて色々返した。

 溶けて混ざりあって1つになりたいと、本当に、何度も思うほどだった。

 

 多分しばらくはハマっちゃうだろうな~と思う。

 

 この土日、振り返ると濃密な2日間だった。

 

 思い出すとうきうきしてきて、身体が軽くなるのを感じる。

 朝までの胸の奥のモヤモヤは嘘のようにスッキリして、なんで悩んでいたのかと思うくらいだ。

 

 俺の変な拘りさえなければもっと早くこうなれたのだろうか。と考える。

 ……でもやっぱり、今のような関係にはならないだろう。

 

 あの時のままなら、恋人からはやっぱり親友にはなれないと今なら思う。

 場合によってはいつかキリにフラレていたかも知れない。

 あの時の俺は、ただの女だった。

 

 叢雨くんに気に入られたいだけの、丁寧口調で話し、媚びる。そんな女だった。

 キリが求める、親友で恋人という形とは大きくかけ離れていた。

 

 でも今は違う。

 親友からやり直したからこそ、口調も違えば、自分の想いとキリの想いを見て、取捨選択する。そんな感じだ。

 そもそも俺とキリの親友という関係の上で恋人になりたい、という想いが綺麗に合致しているんだ。

 

 そう思うと本当に、俺とキリは奇跡だ。

 こんな出会い世界で俺たちだけなんじゃないかとすら思う。

 

 となれば、やっぱり俺たちは世界で一番の幸せ者で間違いない。

 ふふ、これからもずっと続けば最高だ。

 

◇◆◇

 

 あ、そういえば、キリが昨日迎えに来た時こんな事を言ったんだ。

 

「おばさん、オレ、ハルの婿になります!」

 

 なんと堂々のプロポーズ!? と同時に婿入り宣言!?

 その後キリは色々と、中学で引っ越してからの事を俺とお母さんに話してくれた。

 今の家に残りたくないという事でそんな事を言ったらしい。

 俺は別に構わないと思っていたんだけど、お母さんは違った。

 

「ちゃんと大人になって、その時にあらためて話し合いましょう。それでも婿に入りたいという気持ちが変わらないなら婿に迎えても良いわよ。 あ! 安心して、どちらにしてもハルちゃんとの結婚は許すからね」

 

 お母さん!? と思ったけど、まあ、どちらでも問題は無い。

 俺は一生を添い遂げるつもりなんだし、どっちでも良い。……いや婿のほうが俺の気が楽かな、なんて気はするけど。

 

 お母さんの言葉を聞いて、キリも理解を示したようだった。

 

「ではまた、その時にあらためてお話します。お義母さん」

 

 それを聞いたお母さんは始め驚いていたけど、すぐにニコニコと嬉しそうだった。

 

 しかしキリが中学の時にそんな事があったなんて……もっと早く行ってくれれば良かったのに。

 ……分かってる。俺に心配掛けたくないからだよな。

 でもこれからは、1人で抱え込まず、俺にも話して欲しいかな。

 

◇◆◇

 

「おはよう! 今日も早いな!」

 

 いつものようにキリが迎えに来て、夏服で出迎える。

 

「いやいつも同じ時間だろ。おはよう」

 

「まあ挨拶みたいなもんだから気にすんな」

 

「じゃあ行くぞ」

 

 キリが差し出した手を握る。それも恋人繋ぎだ。

 

「うん。行こう。 いってきまーす」

 

 家の中に出掛けの挨拶をして扉を閉めようとしたら、キリが割り込んで来た。

 

「行ってきます、お義母さん!」

 

 こいつ早速……いいけどさ。だけど釘を差しておかないとな。

 

「分かってると思うけど、俺のお母さんだからな」

 

「分かってるって、オレのお義母さんでもあるけどな」

 

「それはまだだろ!!まだ早い!」

 

 お父さんにも早く合わせてやろう、そうしよう。

 ちゃんとお義父さんと呼ぶだろうか、楽しみだなあ。

 まあ、うちのお父さんなら、新しい息子が出来たと喜びそうではあるけど。

 

◇◆◇

 

 2人で歩いていると、先週までと同じ道なのに、新しい景色のように感じる。 

 目に映る物がキラキラと輝いて見えて、まるで俺たちを祝福でもしているかのようだ。

 

 一見すると俺たちは前と変化が無いように見えるかも知れない。

 だけど、俺とキリの向き合い方、考え、想いが随分と変わった。主に俺がだけど。

 これからも親友として、恋人として、キリと寄り添っていきたい。

 

 それにしても今日は本当に良い天気だ、俺たちの門出を祝うような快晴だ。こうでなくっちゃね。

 俺は名前の通り、晴れ男、じゃなかった、晴れ女なんだから。

 

「キリ、俺は世界で一番幸せだよ」

 

「オレも、宇宙で一番幸せだよ、ハル」

 

 そう言って、微笑みあった。

 

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