『こういった書き物をすることがあまりないから、簡素に書くぜ
最初に……悪かった、2人とも
勝手にお前らを残してこの校舎を去ってしまうことを謝罪する
その、訳は言えないんだが俺はちょっと問題を抱えていてな
それを終わらせる為にこの学校を去るんだ
決して戻ってこない訳じゃない、だから…その、俺の席は残しといてくれ
野暮用が終わったらスグ帰る、じゃあな
ps.もし俺が帰らなければ、梔子ユメ、お前が後を頼む』
簡素な文だった
市販であるような手紙と書類が机の上に置かれていたのである
読んでみればこの学校を居なくなることに対しての謝罪、その理由だった
「……ふざけないでよ…!」
「ッ……」
ユメは壁を殴りつけた、ゴスリと大きな音がなって大穴が空く
ユメの激情する姿はあまり見たことがなかったからか、ビクリとホシノは体を震わした
「何がちょっとした問題だよ…皆で解決すれば良いのに…!」
その上必ず帰ってくるというのに彼はいつも着ているコートとヘッドセット、帽子を置いていた
椅子にかけているのである…その意図はもう察しできるものであった
彼に、帰ってくる気は無い
「メシド先輩…!この馬鹿……」
ホシノは手紙をくしゃりと握りしめ、投げ捨てる
そして自分のショットガンを背中に回し生徒会室から飛び出した
それを見てユメは慌てて自分も用意する
「……メシド君」
どうして君は……
「わからずや」
盾とハンドガンを構え、生徒会室を出た
〇
通常の学生姿というのも懐かしいものである
暑苦しい上重いコートを脱いだおかげで軽い気がする
ちなみに今の装備はSRT時代の物だ
COBRA小隊、小隊長の物
プレートアーマーはスナイパーの攻撃に二発耐えれる物
ヘルメットにはナイトビジョンを搭載している
首元にアイツらのドッグタグももちろん身につけている
ある意味、弔い合戦かもな…
砂漠のど真ん中に佇みながら、そんなことを思っていた
その、時だった
腹に響くような、重厚な音
俺はそれに聞き覚えがある
見えてきたそれに俺はハッと笑う
「戦車大隊か」
『ご無沙汰してます、大尉さん』
連邦生徒会長のホログラムが現れる
その後ろには連邦生徒会のエンブレムが刻印された戦車が大量に見える
どういうことだろうか、見覚えのないそのどれもが俺の記憶にある戦車と一致しない
というかデカすぎんだろアレ
砲口が全部こっちに向いてて怖い(小並感)
「連邦生徒会は誰かと戦争する気か?」
『えぇもちろん、この為だけに外から10式の設計図をハックしました』
どうやらあの化け物共の名前は10式戦車と言うらしい
外の世界の技術によって作られているならばあのデカさも納得だ
大人たちの世界である外の世界はこことは比べ物にならない……特に軍事力は
「そうか、だが……」
『……ッ!?』
イオンライフルを放つ
それは軽々と10式の装甲を貫いた
貫かれた戦車は火を吹いて爆発した
「ま、この程度だわな」
『…流石と言ったところです』
装甲は多分キヴォトスの対戦車火器は通用しないんじゃなぇかな?
そうでもしないとここに持ってくる訳無いもんなぁ
さてさて
「お前自身もここに来ているようだし、手間が省ける
態々連邦生徒会を襲う必要が無くて助かるよ」
『……その前にお前は死ぬ、そして忘れ去られる』
連邦生徒会長がひらりと手を振る
その瞬間戦車達から砲弾が放たれた
それを掻い潜り1台目を叩き潰す
砲塔がへしゃげ、中に居た奴に対して爆弾を放り込む
中でそれは気爆しガラスが砕け散るような心地の良い音がする
ヘイロー破壊爆弾…黒服の奴から対価として分けてもらった
ちなみにまだまだある、地獄を見せてやろう
戦車の随伴歩兵、そして主要戦力達がズイズイ現れる
見覚えのある奴、無いやつ様々だ
面白くなりそうだな?HAHAHA!
イオンライフルのマガジンをリロード、チャージングハンドルを思い切り引き切る
「しゃあっ!直近に自殺の予定がある奴だけかかってこい!!!」
そして、先頭に向けて引き金を引いたのだった
〇
「…」
体が動かない、動かしたくない
未だに意識は明瞭にならないしクラクラする
何よりも頭の中でアイツらの声がずっと響き渡っている
「……」
病院から退院出来た、あぁ確かに出来たさ
しかしあの任務で負った心の傷までは癒えることは無かったんだ
SRTの大尉に殺された奴らの声がいつまでも聞こえてきやがる
死にたくないって、お前のせいだって今も糾弾してくる
体の一部を無くして血の涙を流して私を攻めてきやがる
「ッうっせぇ!!!」
殴る、殴りつける
しかし私の放った拳はそいつらに当たることは無い
代わりに近くにあった机や椅子がバキバキにへこむ
そいつらは幻影だ、ゴーストだ…幻覚、なんだ
『お前のせいで、死んだ』
「ちがっ…あれは守りきれなかった、仕方ないことだって…」
アイツらは責めてくる
『お前があの時不用意に人質を殴ったから死んだ』
『前から嫌いだった、お前の癇癪玉のような動きが』
「ッ…!」
違う、これはアイツらじゃない
彼女達がこうした暴言を私にぶつけるものか
それだったら彼女達は私にあれだけ世話を焼くものか
幻覚だ、幻影だ…そうだというのにそいつらは晴れない
「あぁくっそ…」
そうして、今日もまた幻影に悩ませる……と、思っていた
「こんにちは、美甘ネルさん」
「……アンタは」
入口に、長い独特な髪をした女が立っていた
その人物は連邦生徒会長だった
「…その、話についてけねぇ」
「分かりますよぉそのお気持ち、ですが事実なんです、受け止めて頂きたい」
勝手に他人の家にズケズケ上がってきた奴に出すお茶は無いのだが、仕方なく出すことにした
これでもメイドだ、お茶の作り方くらいは知っている
とはいえ、お茶を出してまで聞いた話はとても信じられない物だった
「私を"大尉"殺害作戦に抜擢?その……口悪ぃが頭が悪いんじゃねぇのか?」
「そう思われるのは仕方ないことでしょう、しかしこれは貴女方にしか頼めないことなのです」
最初聞いた時は、思わずポカンとしてしまった
そして言い方は悪いが連邦生徒会長の事を悪く言うくらいには思っていた
「…悪いが降りるぜ、あたしゃ無理だ……帰んな」
私たちにしか頼めない事
しかし私にとってはもはやどうでもいい
……出来ればほっといて欲しかった
「そうですか、……そのままだと、彼女達は報われませんよ
ただの無駄な犠牲に成り下がる訳です」
「……ッこのなんて言いやがったテメェ!!!」
机をひっくり返し、連邦生徒会長の首をつかみあげて壁に押し付ける
掴みあげてと言ったが身長差のせいでただ首を掴んで押し付けているだけだ
「お前に何が分かる!任務を共にすらしてないお前が……!」
「……だったら、貴女は報いなければならないでしょう」
「…言うのは、簡単だよな」
連邦生徒会長の首根っこを掴みながら言う
あぁ確かに簡単だ、言うだけならば誰でも出来る
でもな
「だからって実際にできる訳じゃない」
「…っ」
突き放すように手を離し、背を向けた
「…今日も、昨日もアイツらの夢を見た
そしてあの日からずっとアイツらとアイツの"子"に責められてる…!
もう散々なんだよ畜生ッ!!!クソが…!どうしてこうなった…!?」
頭を抱えながらネルは涙を零した
今迄でこんな経験は1度もしていない
いや、する訳が無いのである……死など無縁の存在であるのだから
「クソが…クソがクソが……!」
「…その怒りを、ぶつけてみませんか?」
「…あぁ?」
連邦生徒会長の言葉に思わず声が出る
「この怒りをぶつける?誰に?」
「無論、原因である彼に」
「ハッ─────────」
嗤う
目の前の完璧と呼ばれる超人を嘲嗤う
なぜなら今の私にとって目の前の人物は超人などでは無い
ただの、機械だ
感情を理解できない、カスだ
「…もういい、帰れ」
「しかし」
「帰れっつってんだろうがっ!出ていけッ!!」
「ッう!?」
あまりに帰らない連邦生徒会長を掴み、出口まで連れていく
そのままドアを開けて外にぶん投げてやった
乱暴に扉を閉めて、もたれかかる
「……何やってんだ、私」
結局、何もできやしない
「俺の
「攻撃…!策はあります!安心して攻撃を!!」
「はぁ、めんどくさい…どうして私が駆り出されるの」
「分かるよ、その気持ち」
「ナイフも使えない…凡人だな」
「…悪いユメ、ダメだった」
…この物語は、優しい先輩が"大切な人を失って"切れるナイフになるまでの物語。
次回、最終話