優しい先輩が切れるナイフになるまで   作:回忌

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平行世界・A1

大元の物語、俗に言う「本家」

ここから様々な可能性によって新たな世界を生み出していくようである
大きなイベントだったり、些細なイベントだったりとそれは多数である

言えるのは、ここが全ての大元であるということだ


あまねく可能性の世界線
後日談 「A1」


 

 

書類を片付ける

これは少しイタズラをしている不良たちの処分の紙、あれは食費の紙だ

それなりに人が居る連邦生徒会では食事もちゃんと支給される為それの紙だ

 

 

 

その中にあの時の作戦の始末書は無い

あれは歴史にかかれるべきでは無い汚物のような物だからだ

 

汚いものは拭いて捨てろ、存在してはいけないのだから

 

 

あの作戦……メシド殺害作戦は途中現れたビナーによって妨害された

彼はビナーによって運ばれたもののその先で脱水症状を患い苦しみながら死んだと思われる

 

 

なぜならアビドス高等学校に彼の姿が戻ることなく、彼の恋人らしき人物が彼の格好をしていたからである

 

 

先輩を奪うということをしてしまったので、詫びとして借金を半分支払った

勿論連邦生徒会と名乗らない、匿名の誰かを装ってだ

彼の恋人ならば恐らくそれなりに勘はあるだろう、気付いてサンクトゥムタワーが銃撃される

 

 

 

 

 

しかしまぁ、感謝して欲しいものである

 

 

 

 

世界が亡びる原因を事前に対処したのだ

逆に褒め称えられてもおかしくない事だ

キヴォトスが滅びるのと人一人死んで助かるなら誰だった後者を選ぶ

 

そう、私の選択は間違っていないのである

 

 

私は最良の選択をした、それはおかしい事では無い

 

 

 

 

 

 

さて、今日の仕事に取り組もう

 

 

 

「結論から言いますと、空崎さんの目はもう戻りません」

「……そう、ですか」

 

小綺麗な部屋、汚れのない真っ白な部屋

そこに所狭しと様々な機器がぶち込まれている

そしてそんなところで向かい合う二人の人物がいた

 

医者と、ゲヘナ情報部である空崎ヒナだ

 

医者は残念そうな声で続ける

 

「キヴォトスの医療レベルでも治療できません

 目玉が刺し抜かれていますからね……どちらかと言うより脳に達していなくて良かった」

 

トントン、とレントゲン写真や色写真を人差し指で叩く

見てみればなるほど右目にだけ凄まじい傷跡がある

 

大尉に、刺し貫かれた傷

 

「……」

 

自身の右目を撫でる

今は白い医療用の眼帯で覆っているがそのうち革製のしっかりした物になるだろう

そこはちゃんと医師と話し合っている

 

医師にはミレミアムで目玉を作れるから、作ってもらないな、と言われた

 

しかしヒナ自身この傷跡を無くしてまで視力を取り戻そうとは思わなかった

 

 

なぜだか、誇らしい気持ちだからである

 

 

 

彼と戦って……ほぼ蹂躙みたいなものだったけど、何かを理解できた

ゲヘナに居て無くしたものを取り戻せたようなそんな感覚

 

彼の、何かを守るような心と絶対に負けることは無いと確信した信念

 

 

 

空崎ヒナは彼に……敬意を抱いていた

 

 

「……ですが数週間は絶対安静ですからね、空崎さん……空崎さん?」

「え、あぁ、はい」

 

 

医師からの言葉を適当に返しながら、心に宿る気持ちを……ヒナはヒシヒシと感じていたのだった

 

 

「こうして、現場に出てみると言うのも悪くねぇな」

「最近はずっと篭っていたんですからそりゃそうでしょうね」

 

ボコボコに凹んだ地面、目を回す不良達

ソイツらの顔面をベシベシ蹴り上げながらネルは言った

それに当たり前だろうと言った様子で01が言う

 

ふと、ネルが空を見上げながら呟く

 

「……大尉が、死んだってさ」

「…あの人が」

 

信じられないと言った様子で01は言った

そりゃそうだよな、自分の仲間を皆殺しにしたやつが殺されたなんて信じれない

なんなら私だって信じられなかった、あの大尉が死ぬなんて

 

教えてくれたのはゲヘナのダウナー野郎だった

 

ただ……

 

「死んだっていうか、行方不明みたいな……」

「砂漠でですか?死んだようなものじゃないですか」

「……まぁ、そうなるんだろうけどよ」

 

駆けつける救急車を見ながら、呟く

 

 

胸に宿る、この気持ちに苛立ちながら

 

 

「どうせなら、篭ってないで……全力をぶつけりゃ良かった」

 

 

 

胸焼けするような、感覚

 

 

 

ネルの心は、全くもって自身を許していなかった

 

 

 

「好きだったよね、君は」

 

ジュポッと音を立てて火が灯る

彼が愛用していたジッポーライターだ、そして片方に持っているのはタバコ

彼の住んでいた部屋にあったものである、恐らく前まで吸っていたのだろう

 

「ん、関節キスだねぇ……」

 

少しだけ口を付けて、墓の上に添える

そして墓標に持ってきたお酒をかけてやる

 

「いっぱい飲んでね、いつでも持ってくるから」

 

そして花を添えて彼女は墓を後にした

もう少し居たかったけど、どうやら後輩ちゃんの方に問題があったようである

 

言ってみれば、誰かと話しているようだった

 

 

女の子だ、中学生

彼女はこちらを見て少し肩を震わせた様である

それを見てホシノがこちらを向いた

 

「あ、先輩」

「よ、ホシノ……この子は誰だ?」

 

髪質は金色、匂いは素朴なものである

見たところそれなりにいい所の育ちであるようである

 

ここに来るくらいだからな

 

「その、ここに入学したく、て……」

 

歯切れ悪く彼女は言った

多分私の顔がとても恐ろしく見えているのだろう

しかしまぁ怯まず言ってくるところ嘘ではなさそうである

 

 

「ま、いいんじゃないのか?何も無いけど」

「自分から株を下げてどうするんですか先輩ィー…」

 

 

 

あれから先輩は、丸くなった

いやどちらかと言えば私だろうか?

 

そんなことはどうでもいい

 

 

 

なんというか、それぞれが後をおっているようにしか思えない

 

 

ユメ先輩は死んだメシド先輩の影を

 

 

私は死んだ優しいユメ先輩の影を

 

 

 

 

……ミイラ取りがミイラにならなければ、いいのだけれど




短め、ごめんちゃい

居る要素に入れよ

  • 晴らせコラ!
  • 色彩の先導者
  • アビドス編
  • 色彩「コイツやだ!小生やだ!」
  • 全部書いて♡かけ(豹変)
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