ジープを走らせること一時間程、ようやく宝の地図のバツ印へとたどり着く
昔の方の地図も持ってきたので見てみるとどうやら昔は小さなオアシスがあったようである
今や砂にも埋もれ、少し窪んだ程度の土地になっているが
「本当にここなんですか?」
「昔はオアシスがあったみたいだ、その中に沈めてたんだろうな」
訝しげに尋ねてくるホシノに対してトントンと地図を叩きながら言う
ホシノは俺の持っている昔の地図を見てほーんと納得したような声を漏らした
「ほらユメ、降りろ降りろ〜」
「あついよーあついよ〜…」
俺は荷台にのって未だにない風を浴びようとしているユメを引きずり下ろした
ひぃんひぃん言いながら彼女はちゃんとジープから降りてくれた
俺はついでにジープに乗せているスコップを掴みあげる
「ほら、使え」
「…ありがとうございます」
「ありがとー…」
暑そうなやつと不満気な奴だな、悪いかおい
俺は視線を気にせず地図を見て大体の位置を察する
宝の地図を見るにどうやら真ん中辺りに埋まっているようだ
「…暑いですね…良く掘れるなメシド先輩」
「…ホシノちゃん、宝物ってなんだと思う?」
位置を大体計測した後その位置に立つ
干上がったオアシスのど真ん中、見たところ宝物が頭出している訳では無いようだ
これは掘り出さなければならないようである…メンド
「…私はね……大量の水!」
「あー…砂漠であるアビドスなら確かにそうですね…」
ザクザクと掘ってみるが砂しか出ない
砂漠のバラがある訳でもない、ワンチャンコレ骨折り損か…?
もしそうだとしたら一応持ってきたガバメントを使う必要がある
悲しい思い出にはさせたくない、決してホシノに殴られたくない訳では無いのだ
「だーかーらー…じゃっじゃーんっ!!!」
「…水着?」
何度か掘ってみるが何も出てこない
…位置が悪いのか?そうなのか?
そう思って他のところも掘ってみるが何も出てこない
…むぅ、やはり奥の手を使うしか──────────
その前にあいつらにも手伝わさせねば
そう思って何やら楽しそうに話している奴らの方を見た
…目の前に楽園があった
むにっ
「めーしーどー!!」
「アウッ」
柔らかい感覚が顔面を襲った
どうやら彼女はこちらに飛びかかっていたようで共々倒れる
…俺の上にユメが倒れ込んでいる
鼻が触れ合う程の距離感、彼女と目が合う
ふふーん、と鼻を鳴らして…その息が俺の顔撫でる
備考を優しい匂いがくすぐる、同時に汗の酸っぱい匂いも
倒れ込んだ姿勢から跨る姿勢になり、ドヤァ顔で彼女は言った
「どう?凄いでしょー?」
「…あぁ、凄まじいな」
特に破壊力が
我が愚息がお前の股を突き上げる瞬間を今か今かと待っている
だが待って欲しい我が愛おしい愚息よ、そこでやってしまえば俺がホシノに殺される
後ここでやれない、圧倒破壊力に耐えろ我が愚息よ…!
と、いうわけで
「早くどいてくれ」
「やだー!」
「なんで???」
本当になんでやこのポンコツゥ!
離れるどころかグリグリと体を押し付けてきやがった
身長がほとんど同じくらいなので俺の胸板に大おもちが圧縮されている
…不味い、本当にまずい
これ以上は決壊する、みっともない獣になってしまう
言い訳させてもらうが"そういった処理"がしにくいのだ、ここは
しようにもこのバカ達は俺の家の鍵を持っているので勝手に開けて入ってくる
ユメが入ってきた時は本当に頭撃って死のうかと考えた、本当に
「…興奮しちゃった?」
「…この」
ニヤリとした顔で見てくるユメ
コノヤロウ、誘ってやがったな?
俺はそこまで耐えられるタマじゃな────────
「何してんですか!!!」
「ムギャア!?」
俺が手を出そうとした瞬間、ユメがホシノによって蹴飛ばされた
凄まじい勢いですっ飛んでいきそのままユメは水着姿のまま砂漠に頭から突き刺さった
「ありがと…お前も水着かよ…」
「そうですが、何が悪いですか?」
俺はホシノに礼を言うが、コイツも水着であることに気づいた
アビドスの校章があるちゃんとした校用水着である
…ユメとはエラいサイズが違うようであるが…なんでなんやろうな………
その要因である部分に目を向けた後取りこぼしたスコップを手に取った
そして、彼に対して一言
「…………いや」
「ぶっ殺しますよ?」
ショットガンを向けられた
「いや、…うん、お前は悪くないと思うぜ、うん」
「ぶっ殺す!!!」
「あっぶぇ!」
ホシノが振ったスコップとショットガンの弾丸を何とか避ける
早い、早いしおそらくアレは神秘がこもっている
当たったらヤバい、多分死ねる
「まだ死ぬ訳には行かんのでな…!」
「死ね!」
持っているスコップをくるりと回し、応戦する
またしても彼はショットガンの引き金を引いた
それをスコップの掘る部分で受け流しそのままスコップで殴り掛かる
ホシノには避けられたが、まだ何も終わっちゃいない
「そこだ」
「っ」
サイドアームであるV10ウルトラコンパクトを引き抜き発砲
コンパクトなカスタムのせいで弾数は少ないが気にする程でもない
咄嗟にスコップで彼は弾丸を弾いた
スライドがフルオープンになったのを見て俺はサイドアームをホシノに対して投げつけた
「なっ──────」
「遅いぞ」
投げつけられることは想像できなかったのか、彼の顔が驚愕に染まる
その隙を逃す程俺は甘い人間では無い、そこまで優しい人間では無いのだ
スコップを投げ捨て懐に潜り込み、CQCへと移行とする
スコップを持っている方の腕に掴みかかり、テコの原理でスコップを奪う
「早い…!」
彼は引こうと後ろに下がるが、ここは枯れたオアシスの跡地だ
つまるところ窪みのような地形になっていて…
「あ」
「ばーか」
彼は後ろを見てなかったせいで後ろに転んでしまう
その拍子に持っていたショットガンも取りこぼしてしまった
俺は宙に浮いていた少しの瞬間でスリングからショットガンを外し、そのまま奪った
ショットガンを向ける、形勢逆転ってやつだな
「相手がスコップ一丁だから勝てるとでも思ったか…?」
「…クソ」
ショットガンを投げ捨て、コンコンとホシノの頭をスコップで叩いた
「あうっあうっあうっ」
「CQCじゃ、俺の方が、上だっ、ての」
それほど強く叩いていないが、ホシノは頭を痛そうに撫でた
神秘も何も込めてないんだが…まぁええか
未だに体勢不利なホシノに手を伸ばした
「ほら」
「…要りませんよ」
彼は俺の手を払い、ショットガンを取った
付いた砂を綺麗に落としこちらを睨みながら立ち上がる
俺はハッと笑いながらサイドアームをリロードする
「ツレねぇ奴だな、うちの後輩君は」
「君付けしないでください、男じゃあるまいし」
「まっさかぁ」
胸もねぇ体の癖に何言ってやがるコイツ、男がよ
そう思いながら、ザクリと、スコップを地面に突き刺す
そして未だ砂漠に突き刺さるユメを指差し
「取り敢えずあのバカ引っこ抜こうや」
「賛成」
親愛なるバカを引っこ抜くことにした
これに関しては珍しく何の反論も無く彼は賛成してくれた
そういうことやぞユメ、俺の彼女やるならもっと頭良くなれ
〇
ジープが砂埃を上げながら砂漠を走る
構図は行きと似ているが、ユメが助手席に居る、ホシノは相変わらず後部座席だ
「…何も無かったな」
その後三人で掘り尽くしたものの、空っぽの宝箱しか見つからなかった
最初に見つけたのが俺だったから先にガバメントを突っ込み鍵穴を捻じ曲げ鍵が掛かっているようにした
あいつらから見れば宝箱の中にガバメントがあるように見えるだろう
「…そうだね」
ただ、ユメは違う
彼女には武器クレートを開けた時ガバメントをくすねたことを見られていたようである
なので宝箱を開けた時に俺に耳打ちしてきた
『…ごめんね』
それは彼女なりの謝罪だった
どういう意味か分からない程俺は鈍感では無い
直ぐにその時俺は問題ないと返した
「砂漠には夢も希望も無いのかもな」
「ううん、そんなことは無いよ」
彼女は後部座席を見ながらそう言った
つられて見てみると、金のエングレーブが刻まれたガバメントを幸せそうに持って寝ているホシノが見えた
時折何かの寝言を呟いているようである
「みんながいる限り、夢も希望もあるから
何とかなるよ!あんな莫大な借金だってね!」
「ハハハ…」
夢物語のような事を彼女は言った
俺達がいる限り夢も基本もある、か…確かにそうである
毎日借金に追われる生活でどこにも安息は無い
しかし、小さな幸せもある
「…それに…カッコイイ彼氏もいるし……」
「…………」
もじもじとした様子で言う彼女を横目にアクセルを踏み倒す
俺は、何も聞かなかったことにしてアビドスの砂漠を駆け抜けるのだった
はい、コイツら付き合ってます
んでやる事やってます、なんの事か?察しろ