曇らせタグ、と言うよりは曇らせが晴れないって補足タグですかね?
個人的な終わり方的に晴れないんですよ、ぇぇ
ごめんな友人、大人しくぶっ殺すわ
…そろそろ、どっちが死ぬかくらい分かってるよな?
「…この先だ、護送する物は」
夜の砂漠という寒さに体を震わせながら例の場所にたどり着く
コートを着ているおかげで寒さはマシだが、芯に来るものがある
横に居るユメは学生服にスカートという見るだけで寒い服装だ…大丈夫か?
見てるだけで俺は寒くなるが
「リョーかいっ…くしゅん」
「大丈夫か?」
そう思った直後にくしゃみを始めたユメを見て内心呆れながら心配する
ふと、空を見上げてみれば綺麗な星々と月が見える
砂漠なのもあってくっきりと見えるのものである
鼻すすった後、俺につられて彼女は空を見上げる
「綺麗な空だねぇー…今日はここに来れてよかったぁ!」
「…今から仕事なんだが」
空を見上げて開口一番にそう言った彼女を見てため息をつく
そうだ、コイツはそういう奴だった…
今から恐らく戦闘があるというのにこの能天気さ、もうどうしようもない
…まぁ、そこが好きなところでもあるが
そう思いながら歩いていると目的の建物が見え始めた
廃墟だ、昔にあった建物のようである
「…ふむ、隠すにはうってつけだな」
少し崩れた元はマンションだったようである
中心から折れていて割と低い建物になっているようだ
そのまわりに崩れた上部の建物が囲むように落ちている
俺は砂漠のうねりに匍匐し、双眼鏡を覗き込む
冷たそうな建物に人影は見えない
明かりは無いし何処にも護送対象らしき姿は無い
隠れている理由も無い、ここにそういった敵が来ることは殆ど無いのだからな
寒いとかそういう理由があるなら別であるが基本的に相手はオートマタである
とどのつまり
「罠ってこった」
「やっぱり危険な依頼じゃん!」
バカ!と叫びながらユメは俺の背中を叩く
傍からすれば多分肩叩きみたいな微笑ましい光景だ、多分
HAHAHAと笑う俺を彼女は更に強く背中を叩きながら叫ぶ
「危ない仕事はしないでって言ったじゃん!ねぇー!」
「分かった分かった…危険だからお前は待機しといてくれ」
「あ、ちょっとぉおお!?」
FALを構え、進んでいく
後ろからユメの抗議するような声が聞こえるが気にすることでは無い
チャージングハンドルを引き、初弾を確認する
黄金色の実包を確認出来たので元の位置にチャージングハンドルを戻す
グングン進み、既に廃墟は目の前に佇んでいる距離まで来た
「さて…」
瓦礫の近くに目を潜め、クリアリングを開始していく
今回の依頼主はどのような手を使ってくるか?
今までは不意打ちや迫撃砲とか威力がかなりあるものだった
あまりに殺せないものだから戦車大隊を投入してきた時には笑ったものだ
全部ぶっ壊して会社も潰したけど
あれは楽しかった、身元がバレたくないからヴァルキューレの装備で行ったけど
なんでもあの後ヴァルキューレが大変なことになったとか…
「おっと、意識が逸れたな」
FALを構え直して進む
見ている感じ、どうにも敵の反応は無い
本来居るはずの護送対象も居ない
誘い込まれたか?
「…ん?」
その時、視界に何かが写った
そちらに顔を向けてみると廃墟の屋上に何かが輝いている
輝いている、というより光を放っているような…
「あれは…端末か」
あそこに来い、というわけだろう
わざわざあそこまで行かせて「騙して悪いが仕事なんでな」とかいうくだりをする予定か?
んだったらなんとも面倒くさい相手である、あの依頼主ホンマ…
ブツブツと文句を呟きながらマンションの側面を跳躍していく
それほどマンションが高い訳でもないので直ぐについた
元は誰かの部屋だったのだろう、ベッド等の家具が置かれている
今や無惨な姿であるが人が住んでいたことを実感させられる
こんなビルが大量にある…いや、信じられたものでは無いな
「…で、あれか」
ボロボロのテーブルの上に新品のPC端末が置いてある
背面にガイザーのエンブレムがあるので間違いなく依頼主の物だろう
今すぐぶっ壊してしまおうとそれに近寄る
『やぁやぁ傭兵君、ここまでご苦労だったな』
俺がその端末に触れそうになった瞬間、ボイスが流れた
再生マークが見えるあたりこれは録画なのだろう
恐らく俺は始末されるから…とか、そういう理由か
『残念だが護送対象なんて最初からない
仕事なんでな、死んでもらおう』
「…そうかよ」
もう、聞きなれたセリフ
こう言ったテンプレがカイザーで流行っているのか教育されているのか勘ぐってしまうくらいに同じセリフだ
毎度毎度思うが少しは手腕を変えろよ、変わるの戦力くらいやぞおい
コキコキの首の骨を鳴らしながらFALを構える
「さーて、今回はなにか────────」
いい切る前に、俺は強い衝撃を頭部に感じたのだった
〇
「こちら04、対象に命中した」
『了解、こちら03確認に向かう』
銃口から煙がもうもうと上がる
重々しくチャージングハンドルを引き、空薬莢を排出する
息を吐きながら元の位置にチャージングハンドルを戻した
存外、簡単ものだったな
「護送対象を襲おうとして傭兵がいる、護送対象が来る前に倒してほしい」という依頼。
相手はブラックマーケットでそれなりに名が知れた傭兵…"ハンク・J・ウィンブルドン"
その腕は確かだと聞く…が、それ程勘は鋭くないようである
狙撃に気付けないとは…やはり"それなり"に知られた程度だったという訳だろう
後は奴を依頼主に突き出すだけだ
そう思ってライフルを下げる
『04!どういうことだ敵は沈黙してな───────』
「!?」
無線から悲鳴と鈍い音が響く
その後数回鈍い音が響いたかと思えば、無線は途切れた
一体何があった?そう思いスコープを覗き込む
そこには信じ難い光景があった
「…何故立っている!?」
ターゲットはクラシックメイド服を着た03の頭を掴み、立っていた
不敵な笑みを浮かべた後彼はマンションの上から彼女を放り投げた
糸の切れた操り人形のように彼女は落ちていく
無線からハキハキとした元気のいい声が響く
『こちら01!00と共に奴を叩きに行きます!』
『野郎ぶっ潰してやる!』
「了解援護す────────」
する、といい切る前に私の意識は強い衝撃によって消え失せてしまった
〇
「うむ、弾の落下が無いというのは気分がいい」
銃口から煙を上げるイオンライフルを背中に仕舞い、FALに持ち替える
その後敵らしきメイドから奪っておいた無線を同期する 勿論こちらからの声が聞こえないようにしてだ
すると、敵の無線が俺の耳に聞こえてくる
『敵は移動してない!行きますよ00!!』
『分かった!』
それを聞いて俺はニヤリと笑う
情報は戦いの鍵だ、常に俺が頭に叩き込んできたことである
敵の無線が筒抜けならば利用できるし作戦が分かったなら逆手に取ればいい
相手が子供(自分もだが)である為、こういった所までは気にされない
あまりに露骨な動きをすればバレるだろうが…その頃には終わっている
さて
「相手はC&Cか」
先程落ちてったクラシックメイドの姿を見ながら俺はポツリと呟く
メイド服姿で敵を片付ける奴なんてそんなのミレミアムのC&Cくらいだろう
アソコは元の所属でも有名だった、メイド服でよう戦えるなという話題が上がるくらいに
…そういや一年に勝利の女神だったか神だったか……そんな噂のある奴が来たとか……
まぁ、関係ない話だ
そう思いながら、ポイポイとC4を投げる
適当に投げてる訳じゃない…相手が来るだろう未来位置を無線から予想し、設置する
投げた方が効率がいいので投げているだけだ
敵は学園ごときの特殊部隊モドキ
こっちは元SRTだ、勝てるもんか
『敵見えた!』
『アイツの分も喰らわしてやるぜ!』
「おーおー、00さんはかなり好戦的だな」
徐々に近付いてきている敵を視認して、思わず呟く
背丈はかなり低く、顔の悪さもあってチンピラのガキみたいな奴だ
スカジャンを着ているのもそれを助長させる…あのスカジャン子供用か?背丈的に
まぁ、関係ない
「来いよ」
やることを、やるだけだ