魔術師が最弱って言った奴ちょっと来い   作:ユウタロス

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第3話

「それで、結局四鈴さんの能力は教えてくれないんでしょうか…?」

 

 九重を寝かしつけた後、居間でお茶を啜りながらテレビを見ていたら、ヴィオがおずおずと訊ねてきた。そう言えば、結局教えて無かったな。さて、どうしたものか。これから同居人兼下僕になる訳だし、教えておいた方が良いのだろうか? 正直、まだ全然信用出来ないからなぁ……さっきまでの態度が全部フェイクじゃ無いって保証は何処にも無いし。

 

 あと、今更過ぎるけど、意識失って偶々お茶してた俺達…と言うか、俺の所に落ちて来るとか出来過ぎな気がするんだよなぁ……狙ったんじゃないかって位ピンポイントで俺達のテーブルに落ちて来たし。

 

 まあでも、疑ってばっかりじゃあ、信頼関係なんて築けないし……取り敢えず、知られてもそこまで支障の出ない、クラスだけ教えておくか。ぶっちゃけ知ってる人が見たらすぐに分かるだろうし。って言うか、第一、第二世代に対してはほぼ公然の秘密状態だし。

 

「そうだなぁ……じゃあ、特別にクラスは教えてやろう」

 

 渋々と勿体振った様に言う。性格悪いかもしれんが、ちょっとでも潜在意識に罪悪感とか引け目とか感謝の念とかを植え付けてみる。塵も積もれば何とやら、こう言う何気無い事の積み重ねって大事なんだよ?

 

「ほ、本当ですか!? ありがどうございます!」

 

 キラッキラした瞳でこっちを見てくるヴィオを見ると、なんかこう、心が痛くなってくる。自分が狡くて小さくてどうしようも無い奴に思えてきてしょうがない。何だこの純真娘、九重とか比較にならない位に澄んだ瞳をしていやがる。コレは戦争を止める眼だ。ライダーよくこんな娘殺しに掛かれたなぁ、おい。

 

 どうしよう、引け目とか植え付けるつもりだったのに、逆に罪悪感植え付けられたぞ。

 

「あぁ〜、まあ、うん……俺のクラスは魔術師(キャスター)だから。中身までは教えないぞ?」

「いえ、クラスを教えてもらえただけで十分です! キャスターと言う事は、防御力低いですよね? いざという時は私がしっかりと守りますから、安心して下さいね!」

 

 いや、ぶっちゃけ本気の出し具合で防御力はカンストするんだけど……まあ、黙っとくか。俺には邪な気持ちが一切見えない、この綺麗すぎるドヤ顔をどうこうする事は出来ない。そんな事出来る奴は…………あ、居たわ。あの危険種共について警告しとくの忘れてた。

 

「へ? 危険種、ですか?」

「そう、危険種。ランサー:ルシェ・アニス、、キャスター:紅麗玲浮(くれは れむ)とバネット・へクセ、セイバー:佐波都零怒(さばと れど)。コイツ等は本当に洒落にならない連中なんだ、頭が。見かけたら相手しないですぐにワームホール使って逃げろよ?」

「えっと…どういう事でしょうか?」

「……実は、数年前に転生者の間でとんでもない事件が起きてな」

 

 

 ―――今から5年程前の事。

 

 とある黄金の槍を持ったランサーが黒化して暴走、その時に存在した全転生者、総勢107名でもってこれを討伐すると言う、とんでも無い事件が起こったのだ。数時間に及ぶ激戦の末、件のランサーは何とか倒せたのだが、その際に64名がすり潰された。正直、俺も何度か死にそうになった。

 

 そして、先にあげた連中は暴走したランサーの操る戦奴達の群衆を引き受け、無事に生還した中でも圧倒的な撃墜数(スコア)を持つ一騎当千のバケモノ達なのである。何が恐ろしいって、自分が死ぬ事を全く恐れていないのだ、この戦闘狂共は。本当に現代の日本から転生してきたのだろうか? 

 

 因みにこの戦いの生き残りを第一世代、トップクラスの活躍をした上位十人は10刃(エスパーダ)と呼ばれている。数字は刻んでないけどね。これが『第一次暴走転生者大戦』、通称『α大戦』である。

 

「そ、そんな事が……って言うか、『第一次』って事は……」

「うん、『第二次』もあったよ。ある意味第一次よりもヤバかったよ、退場者はそんなでも無かったけど」

 

 第二次では、バーサーカー:オガ郎とバーサーカー:仮面ライダーシンが、お互いに捕食し合い、無限に成長しながら周囲を巻き込んで大暴れした悪夢の様な大惨事だ。最終的にお互いパンチ一発で山が吹っ飛ぶというドラゴンボールばりのパワーインフレになってて大変だった。第一世代が到着するより前に調子に乗って突っ込んで行ったバカ共は、みんなオガ郎に捕食されたから本当に大変だった。『リボルケイン』が奪われた時はもう駄目かと思った。

 

 あの戦いを経験した連中は第二世代と呼ばれ、そこで活躍した2人を加えた12人が『黄金聖闘士』と呼ばれていたりする。

 

 因みに。転生者達の間で第三次を引き起こすのは誰かという、とんでも無く不謹慎なトトカルチョが有ったりするのだが……まあ、それは置いておこう。

 

 その他にも転生者が作った国があったり、転生者達が調子に乗って複製した『イクサベルト』を天界に流したせいで人外、特に一般人を拉致しまくってた悪魔と吸血鬼が駆逐されまくってたりとか、踏み台が原作ヒロイン狙って殺し合いしまくったりとか色々あるのだが……問題しか起こしてないな、転生者。

 まあ、それも置いておこう。こんなピュアな少女に教えるべき事じゃ無い。

 

「さて、当面の問題は襲って来たISだな。なんか心当たりは?」

「無いです…フラフラ飛んでたらいきなり襲われました……」

 

 う~ん……急に力を手に入れて調子に乗ってるのだろうか? それで偶々見付けた弱ってるヴィオを襲ったとか。

 

「相手の顔は見た?」

「え〜っと……ブサイク、でした。それに、なんか親の仇でも見るような顔で睨み付けられました」

 

 あ、分かった嫉妬だ。大方、ちゃんと話を聞かないで『紅椿を寄越しなさい! 勿論、IS操縦適正S+よ!』とか言ったのだろう。篠乃野箒の容姿になると思ったら生前のままの容姿で逆ギレ、偶々見付けたヴィオが金色の闇の姿だったから八当たりに襲いかかった―――考えられるとしたら、こんなモノだろうか? 断定は出来ないけど、そんなに的外れな事は言ってないと思う。

 

「えぇ……私、そんな理由で襲われたんですか…?」「いやまあ、予想だけどね? 恨まれる様な事してないんでしょ?」 

「はい……いやでも顔って……え〜……」

 

 ヴィオの表情は歪みに歪んでいるが、まあ、気持ちは分かる。逆恨みの八当りで殺されかけたんだもん、そりゃ納得いかんわな。そんな事を思っている内にボーン、ボーンと柱時計が午前虹ぐらいをお知らせしてきた。いい加減寝るとしよう。

 

「お休み〜」

「あ、ハイ、お休みなさい」

 

 着替え、歯磨きを済ませてから寝室に向かうと、何故か膨らんでる俺の布団が。抜き足指し足で静かに枕元に立ち、ぴらっと掛け布団を捲ると、パジャマ姿の九重と目と目が合った。瞬間、好きだと気付いた。今更か。

 

「ヒロ、お布団を温めておいたぞ」

「九重の温もりに包まれて寝れるのはメチャクチャ嬉しいんだけど、こんな時間まで起きてちゃダメでしょ〜」

 

 素早く布団に潜り込み、むにぃーっと九重のほっぺたを摘む。モッチモチで柔らかい。触ってるだけで邪気が抜けまくる。感情の赴くままに、貪るように幼女のほっぺたをムニムニする俺の姿は、どう贔屓目にみても犯罪者だろう。お巡りさん呼ばれたら言い逃れが出来そうにない。クソッ! このモッチモチのほっぺたが悪いんだ!

 

「むおおお〜〜〜」

 

 九重が呻いているが構わない。この後もめちゃくちゃモチモチした。勿論、ほっぺたが腫れない様に細心の注意を払いながらだったけど。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 ―――夜明け前―――

 

「………もう寝たっぽいな……そんじゃ、ヴィオの話、調べるとしますか」

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

「四鈴さん、私、ケガ治りました!」

 

 朝、ヴィオを起こしに行ったら傷1つ無いヴィオがこんな事を言っていた。一応、服を脱がして本当にケガが残ってないのか確かめたんだけども、本当に治っていて凄い驚いた。ナノマシンってすごい(小並感。まあ、治ったのなら話が早い。早速連れて行くとしようか。

 

 パパっと朝食を作ってみんなと食べた後、九重とゴーちゃんに留守番を任せる。サッサか行くとしよう、時間は有限なのだから……そう言えば、アイツと会うのは三ヶ月ぶり位になるのかな?

 

「あの、四鈴さん。何処に向かってるんですか?」

「え? そりゃあ、ヴィオの掃除する家だよ」

「え? 四鈴さん、他にも家持ってるんですか!?」

 

 ……あれ、言って無かったっけ? 

 

「ヴィオには俺の家と俺の相棒の家の家事をやってもらうんだぞ?」

「え!? 聞いてないですよ!?」

「うん、言い忘れてた。許せ」

「ちょ…」

 

 ヴィオの文句を聞き流しながら裏町の建物――八百屋やら魚屋やら金物屋やらの場所を教えながら、目的の家に近付いていく。途中で知り合いの“野干”(狐の妖怪、雑種の妖狐)にミカンを貰ったから手土産にしていこう。

 

 15分程歩いた所で、目的地に到着した。

 

「ふぅー、着いた着いた」

「うわー…コレはまた…何て言うか、空気読めてないですね〜…」

 

 ヴィオが引き攣った顔で目的の家――オシャレなログハウスを見る。うん、全く持ってその通りだよ。常識的に考えて、この町並みにログハウスは無いだろう。まあ、周りのみんなが何も言わない上に、俺も建築手伝ったから何も言えないんだけどね。

 

 そんな事を考えながらチャイムを鳴らす。が、家主は現れず。その後も数回チャイムを鳴らすが、一向に出てくる気配は無い。

 

「えっと、まだ寝てるんでしょうか…?」

 

 いや、アイツは無駄に寝起きが良いから、まだ寝てるなんて有り得ない。ついでに言うと、あの引き篭もりがこんな朝っぱらから外出するなんてもっと有り得ない。

 

 結論:シカト

 

 ほほう、せっかくやって来たお客さんをシカトするとは、随分と嘗めてくれる。良いだろう、そっちがその気なら……

 

「あれ!? ちょ、ちょ、何してるんですか四鈴さん!?」

 

 はい、右脚を後ろに大きく上げて〜〜〜〜……

 

「ダイナミックお邪魔します」

 

 玄関のドアをシュウウゥゥゥーーッッ!! 俺の蹴りが炸裂したドアが弾け飛ぶッ! 超! エキサイティンッ!!

 

 ヴィオが後ろで呆然としてるけど気にしない様にしよう。ドアはどうせ勝手に直るんだし。外道? 知った事か!

 

 

 




転生者NO.1:四鈴 仁郎
クラス:キャスター NEW!!
真名:???
特典:???

転生者NO.3:ルシェ・アニス
クラス:ランサー
真名:???
特典:???

転生者NO.4:紅麗 玲浮
クラス:キャスター
真名:???
特典:???

転生者NO.5:バネット・へクセ
クラス:キャスター
真名:???
特典:???

転生者NO.6:佐波都 玲怒
クラス:セイバー
真名:???
特典:???

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