俺の個性?別に大したことねえよ   作:カバー

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成果物

 

 

 

アーティカ視点

 

 

 

…暫くガキ共三人の動きを観察して個性を把握する。なるほど。雄英生なだけあってそれなりに"使える"個性を持っているな。羨ましい話だ。

 

まず金髪のチャラそうな男のガキは電気を放出する個性。ただし、無差別放出で方向性の制御はまだできないか。でなければ自分の体がチンピラに触れた時だけでなく、もっと派手に放出しているだろう。

大方、仲間二人がいるから巻き添えにできなくて、ろくに個性を使えないってところだな。

まだ一年生とはいえ、コスチュームでその辺の工夫もしてねェのか。

 

そう思っていると電気のガキは大声で仲間のガキ二人に予想そのままの自分の個性の説明をし始めた。俺が居るのに自分の個性晒すなよ。バカか。

 

 

そして、声とわずかな胸の膨らみからして女だろうパンクなコスチュームのガキは、耳から生えているイヤホンで音を放出する個性か。

コスチュームでそれなりに工夫している様だ。特殊な靴にイヤホンを差して、そこから方向性を持たせて音の衝撃波を放っている。

 

…コスチュームで工夫している分、電気のガキよりは賢そうだ。

 

そして最も目を引くのが際どいコスチュームを着たナイスバディのいい女の黒髪のガキ。

体から鉄パイプのような武器を"生成"して仲間に渡しやがった。

…創造か。これは誇張でもなく、トップクラスに"良い"個性だ。応用の幅が広く、即座の判断力次第で万能になり得る。

 

…だが三人ともまだトーシロだな。チンピラ共の数相手に手こずっている。それに緊張感がねェ。平和ボケしてるのが丸わかりだ。

 

「人間スタンガン!」

 

そう言ってギャーギャー騒いでいる雷のガキをパンクなガキがチンピラに向かって蹴り飛ばした。咄嗟に雷のガキは自身の周りに電気を放出する。

 

「マジかおま…!お?いけるわ!俺強え!よし!二人とも俺を頼れ!」

 

…それをまともに喰らうチンピラもチンピラだ。流石に見ていられなくなってきた。

イイ女のガキは網を放って敵を雁字搦めにすると、その人間スタンガンと化したガキに叩きつけた。

 

…へえ。やっぱりこいつ筋がいいな。

 

 

とはいえチンピラの数が数だ。それだけで対処できるわけもない。

…追い詰められて雷のガキがやけになって無差別に雷の放出をする可能性もあるな。

そう思案して、先に警告しておくかと隣の骸骨頭を見ると、既に地面に潜り始めて、避難しようとしていた。

 

「俺はここで一応隠れとく。雷のガキが無差別放出でもしたら洒落にならん。一応念には念をだ。」

 

…流石にプロだな。通信妨害をした後は絶対に倒されないという、自分の役割をよく理解している。

 

 

「あァ。そうしておいてくれ。」

 

「あんたは良いのか?」

 

「俺は問題ねェよ。お前は自分の身だけ守っておけ。」

 

 

 

そう言い切ると、骸骨頭はあっさりと地面の下に潜っていった。ステルス用の技術は獲得している様だ。戦闘員以上にこういう人材は貴重だからな。

すると、ガキ共とチンピラ共の戦闘に動きがあった。

イイ女のガキのコスチュームの背中が膨らんだかと思うと、コスチュームを突き破って白い巨大な布のようなシートが生成された。

 

「なるほど…それなりの質量の物質は時間をかけないと生成できない感じね。」

 

俺はそう小声で呟いた。あれは恐らく…

 

「厚さ100mmの絶縁体シートですわ。上鳴さん!」

 

だろうな。

 

「成程…これなら俺は…クソ強え!!!!」

 

そう叫ぶと、上鳴と呼ばれたガキは両手に電気を迸らせて、地面へと叩きつけた。雷の奔流が一帯を包む。俺は電撃を浴びながらも少し身震いした。…130万Vといったところか。少し強めのスタンガンってところだな。

 

 

「さて、他の方々が心配…合流をッ…!?」

 

 

勝ちを確信した様子でイイ女のガキはそう言いかけたが、ピンピンして立っている俺を見て絶句した。

…おお、コスチュームが破けてイイ感じに露出してるな。やっぱりあの肌のきめ細やかさとダイナマイトボディは魅力的だ。

…決まりだ。

駒用に"攫う"ならまずイイ女のガキだな。他の二人も悪くないが、個性の万能性とスタイルの良さであのガキは頭一つ抜けている。

 

「よお、ガキ共。なかなか筋が良いじゃねェか。少し驚いたぜ。」

 

「…嘘だろ?あの電気の一撃をモロに喰らってピンピンしてる…!おい、上鳴!もう一回だ!…上鳴!?」

 

「ウェ?ウェイ?」

 

「あ?」

 

 

上鳴と呼ばれたガキは!なぜか凄まじいアホ面を晒してウェイウェイ言って鼻血を流しながらイイねポーズをしている。

 

 

「あァ…許容限界があるタイプか。ならもう電流はねえな。ついでに攫ってくか。」

 

俺はそう言うと、即座にそのアホ面のガキの正面まで移動し、膝蹴りをみぞおちに叩き込んだ。

 

 

「ヴェッ…!!?」

 

そんな無様な一言を発して、上鳴と呼ばれたガキは気絶した。

彼を無言で腕で抱き抱えて、後方の骸骨頭に叫んだ。

 

 

「おい!こいつ攫ってくわ!お前こいつ一応人質に持っとけ!」

 

すると、地面から手が生えてきて、そこから骸骨頭がのそのそと這い出てきた。

そして呆れたように呟いた。

 

 

「攫う?殺すんじゃなくてか?何の為に?」

 

「殺すのなんていつでもできるだろ?攫っておけば交渉材料にもできる。人質にもなる。洗脳して駒にするのも悪くねェ。」

 

 

その言葉に、女のガキ二人は息を呑んだ。震えてこちらを恐怖の目で見つめている。

…ようやく敵を目の前にしている実感が湧いてきたようだ。まあチンピラと一緒にされても困るが。

 

骸骨頭は納得したようで、上鳴の襟首を掴んで、骸骨頭の個性である電流を掌に集中させて、二人のガキを脅しつけた。

 

 

「よし。てめェら動くんじゃねえぞ。お前らは殺す。動いたらこいつを殺す。」

 

確かに人質が一人いれば他は要らないという思考もわかるが、俺は強欲な方だ。でき得る限り報酬は多い方がいい。

 

 

「待てよ。こいつらも人質になる。連れて行こう。」

 

「…三人も要るか?連れて行くのに邪魔だろうが。」

 

 

俺はため息をついて骸骨頭に答えた。

「おいおい。こいつらはヒーローの卵だ。言わば才能の原石だぜ?使い道はいくらでもある。」

 

俺がそう諭すと、骸骨頭は納得していないようだが、渋々頷いた。すると、パンクな女のガキが急に話し始めた。

 

 

「才能の原石って言えばさ。あんたら二人とも強個性だよね。…上鳴もそうだけど、電気系の個性ってだけで当たりだし…。」

 

「耳郎さん!?何を…。」

 

そう喋りながら、そのガキが密かにイヤホンを攻撃用の標準を定める靴へと伸ばしているのが見えた。

…バレバレすぎる。所詮ガキだな。

 

「あんただって、その電気に平然と耐えるんだから…ッ!?」

 

 

俺はパンクな耳郎と呼ばれたガキの目の前に即座に移動する。

そして驚きに目を開くそのガキの艶やかな唇を、俺の唇で塞いだ。

 

「ーーーーーーッ!?ッ!!!?」

 

舌を口の中に差し込み、ゆっくりと耳郎の口の中を舐る。

舌を絡ませ、唾液を味わう。

耳郎と呼ばれたガキは顔を真っ赤にして何か叫ぼうとしていたが、舌で黙らせる。暫くそうすると、私は口を離した。

 

「ッ…ぷはっ…ハァ…ハァ…な…何すんだよ!?」

 

「動くなって命令を破った罰だ。見え見えなんだよ。」

 

 

俺はそう言って靴に届きかけていた耳郎のイヤホンを思いっきり引っ張った。

 

「ッぐっ…。」

 

 

痛みと恐怖と興奮と混乱で耳郎の顔が歪む。…ふうん。いいねえ。虐めがいがある。

こいつも可愛い顔するじゃないか。

すると、骸骨頭は呆れた様子で呟いた。

 

「この色ボケが。どうでもいいが、連れてくならさっさと気絶させたらどうだ。」

 

「…あァ。そうだな。んじゃ、よっと!」

 

俺はそう答えると、耳郎のみぞおちに蹴りを入れた。そして、創造のイイ女のガキの首を絞めて意識を落とした。

 

「がッ…く…うぅ…。」

 

 

「へぇ。手慣れてるな。」

 

そう感心した様子の骸骨頭が呟いた。

そして俺が上機嫌で二人の女のガキを両手で持ち上げた時、連絡用の無線イヤホンから苛立った様子の死柄木の坊主の声が聞こえた。

 

「おい、聞いてるかアーティカ。帰るぞ。」

 

「あ?」

 

「黒霧がやらかした!ガキが一人外に逃げた!ゲームオーバーだ…あーあ…ゲームオーバーだ!」

 

 

…その一言で俺は状況を理解した。

 

「…ったく。了解。気絶させたガキ共を連れていく。攫えば成果にはなるだろ。」

 

 

そして淡々と返事を返すと、深いため息を吐いて振り返って俺の後方の、上鳴とかいうガキを担いでいる骸骨頭に言った。

 

 

「正面入り口前の死柄木と合流するぞ。撤退だ。ガキが一人逃げた。」

 

「…ったく。何やってんだか。とんだ計画だぜ。」

 

 

骸骨頭も苛立った俺に無言で頷いた。そしてガキ共を見て俺に言った。

「だが無駄でもなかったな。戦利品は手に入れた。」

 

「だな。さっさと…ッ⁉︎」

 

次の瞬間、凄まじい迫力と怒気を感じて俺は正面入り口の方を見た。俺の視力ならここからでも見える。間違いない。あの見るからに画風の違う男は…

 

「もう大丈夫…私が来た。」

 

 

…オールマイト。そして、その表情には隠しきれない、生徒を傷つけられた怒りが滲んでいた。

そして、死柄木の坊主から無線でまた連絡が来た。

 

「あー…コンティニューだ。そのガキ連れてこっちに来い。」

 

俺はニヤリと笑って了解と返すと、骸骨頭に鼻歌混じりに言った。

 

「どうやらもう人質の使い道ができたらしいぜ。」

 

骸骨頭にも意図は伝わったらしい。

俺達は上機嫌で気絶したガキ三人を連れ、平和の象徴を打ち砕く為に、スキップしながら死柄木の坊主の元へと向かった。

 

 

**********************

 

 

 

 

…そして死柄木の坊主の元に近づくにつれ、凄まじい打撃の応酬の音が聞こえてきた。

間違いねェ。オールマイトと脳無の戦闘音だ。

不味ったな。少し遅れたか?

そう思いながらも開けた入り口前の空間に出た途端、凄まじいパンチの炸裂音と、オールマイトの叫びが聞こえてきた。

 

 

「さらに向こうへ!Plus!ultra!!!!」

 

 

瞬間、脳無が凄まじい勢いでドームの天井へと殴り飛ばされ、空の彼方へと飛んでいくのが見えた。

…本当に弱ってんのか?オールマイト…。

 

 

だが、オールマイトの姿が土埃越しに見えた途端、俺は確信した。口から血を流し、身体中ボロボロのその姿。

…全盛期のオールマイトなら、まずあんな姿にはならねェ。

俺は笑みを浮かべながら、その場に颯爽と現れた。ガキ二人を抱き抱えて。背後には骸骨頭もいる。

その瞬間、場の空気は一変した。

 

 

「…ッ!?八百万少女に耳郎少女、そして…上鳴少年!?」

 

オールマイトが驚愕に顔を強張らせ、そばに控えている四人のガキ共も戦慄した顔を向ける。

対照的に、脳無を失って怒りに震えていた死柄木の坊主は、相変わらずの憎悪に満ちた笑みを浮かべた。

 

 

「これはこれは。形勢逆転だなァ?オールマイト…。」

 

「…SHIT!!」

 

 

 

オールマイトは怒りに震えているが動こうとしない。…恐らく俺より速く動く自信がないのだろう。もし少しでも俺の動きに遅れればガキ共は死ぬ。それを理解しているのだ。

 

俺も笑みを浮かべて叫んだ。

 

 

「動くなよ、オールマイトォ!じゃねえと…分かるよな?」

 

「…ぐっ…卑劣な…!君達、こんなことをして、本当に取り返しがつかんぞ!」

 

 

死柄木の坊主が笑みを浮かべてオールマイトへと歩み寄る。その忠告にもまるで耳を傾けない。当然だ。死柄木の坊主の怒りはその程度で止まるものではない。

「崩壊」を齎す破壊の手が目前に迫っても、オールマイトは動けない。

 

「バイバイ…平和の象徴!!」

 

 

死柄木の坊主がそう叫んで手をオールマイトの顔面へと当てようとした瞬間、ドームの正面扉が爆発と共に吹き飛ばされた。そして、大声が辺りに響いた。

 

 

「1-Aクラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!!」

 

そして、玄関口にひしめくヒーローの群れ。その先頭に居るのは、小柄なネズミ男だった。ホームページで見たことがある。あれは雄英の校長だ。そして背後に居るのは教師のプロヒーロー達だろう。時間切れか!

 

 

そして、連続して4回乾いた音が響く。俺が警告する前に、カウボーイ風のヒーローが、拳銃を連射した音だ。…あの距離から拳銃で狙撃か!?

 

「ぐぅッ…!?」

「死柄木弔!」

 

死柄木の坊主の掌に狙撃の銃弾が突き刺さった。その痛みでたまらず死柄木の坊主は地面に転がる。黒霧が咄嗟にガードに入った。

そして残りの三発のうち二発が、俺の扉側の左肩にぶち当たる。

 

「…ッ!ちいっ…!」

 

俺は左腕で掴んでいた八百万と呼ばれたイイ女のガキを思わず痛みで地面に落としてしまった。この程度では傷にはならないが、痛覚自体は俺にもある。そして最後の一発は、骸骨頭の肩を貫いた。

 

「いッ…ぐッ…!クソが!」

 

上鳴と呼ばれた電気のガキも取りこぼす。次の瞬間、俺は右腕で掴んでいた耳郎を盾にして、大声で叫んだ。

 

 

「ヒーロー共!誰一人これ以上攻撃するんじゃねェ。じゃねェとこのガキを殺す。」

 

 

瞬間、場が静まり返った。その場の全員の目が俺に集まる。俺は出方を増援に来たヒーロー達が探っている間に、黒霧に叫んだ。

 

 

「黒霧!ゲート開け!死柄木の坊主を!」

 

「ッ!直ちに!」

 

 

黒霧は即座にのたうち回っている死柄木の坊主を回収して、ワープで本拠のバーへと帰還させた。

その様子を見て、ネズミのような小男の校長は、状況をいち早く理解したのか、朗らかな声で尋ねてきた。

 

 

「…やあ!私は鼠なのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は…そう校長さ!その子をできれば離して欲しい。要求があれば聞こう。」

 

「…なら簡単な話だ。俺達が帰るまで黙ってそこで待ってろ。黒霧!今のうちに骸骨頭回収しろ!チンピラ共はどうだっていい!」

 

 

ハナから骸骨頭と俺と黒霧、そして脳無以外は使い捨てだ。骸骨頭も最悪切り捨てて良いが、このレベルの使い勝手のいい人材をできれば失いたくない。

そして骸骨頭を回収したのを確認すると、俺は挑発するように笑って言った。

 

「じゃあなヒーロー。このガキは返さねえよ。」

 

 

そして俺も黒霧のワープゲートに包まれていく。が、それを邪魔する存在がいた。

ワープゲートの機能を果たすモヤが、掃除機に吸い込まれるかのように吸い込まれていく。

 

そちらを見ると、宇宙服のようなコスチュームのヒーローが、指先からモヤを吸い込んでいた。

 

「渡さないぞ‥!大事な生徒を!」

 

だが辛うじてワープゲートを維持することには成功した様で、視界は次第に閉じていく。最後の景色は、オールマイトが必死の形相でこちらに手を伸ばしている姿だった。

 

 

 

「じゃあな平和の象徴。そのうち、このガキで面白いもの見せてやるよ。」

 

そして、気がつけば俺は、耳郎というガキを掴んだまま、見慣れたバーに居た。隣では死柄木の坊主と骸骨頭が、撃たれた部位を手で抑えてのたうち回っている。

 

 

 

「いってェ…掌撃ち抜かれた。完敗だ。脳無もやられた!手下どもは瞬殺だ!子供も強かった…!平和の象徴は健在だった!」

 

「話が違うぞ先生!!!」

 

そう死柄木の坊主はAFOに繋がっているテレビに向かって叫んだ。

が、AFOはくつくつと笑って答えた。

 

「違わないよ。」

 

「舐めすぎたな。敵連合なんちゅうチープな団体名で良かったわい。」

 

 

そうAFOの治療を行っているドクターも皮肉をこぼした。だが、完敗ではない。俺は話に加わることにした。

 

「だが何も得られなかったわけじゃない。ガキを一人拉致した。」

 

 

すると、死柄木の坊主がこちらを見た。そして忌々しそうに呟いた。

 

 

「だから何だ!平和の象徴を消せなかったなら、そんなもの…!」

 

すると、AFOが感心した様に、そして死柄木の坊主に諭す様に言った。

 

「いや、それはかなり価値のある戦利品だよ。あの雄英とオールマイトが、生徒の誘拐を許した!…使い様によっては深刻なダメージを与えることもできる。」

 

死柄木の坊主はしばらく黙って思案していたが、黒霧が諭す様に言葉を続けた。

 

「そうです死柄木弔。脳無は失いましたが、決して無駄ではなかった。成果はありました。」

 

 

「せっかくオールマイト並みのパワーにした脳無が…。」

ドクターにとっては脳無を失ったことの方が痛手らしい。まあ実際それなりに高性能だったのだろう。俺ほどではないにしても。

 

「まあ仕方ないさ。…考えるんだ、死柄木弔!この成果を使って、どう君という悪意を世界に知らしめるのかを!」

 

 

AFOの問いかけに、死柄木の坊主は小さく呟いた。それは私に向けての問いかけだった。

 

「お前、そいつを駒にするとか言ってたな。」

 

「ああ。上手く敵堕ちさせりゃあいい駒になる。社会への影響も期待できるしな。」

 

 

死柄木の坊主は黒霧の肩を借りて立ち上がると、俺に向かって命令した。

 

「ならそうしろ。猶予は一ヶ月だ。それを過ぎたらそのガキを殺して、死体を晒す。」

 

「妥当だな。分かった。」

 

死柄木の坊主は不機嫌ながらも、次を見据えながらその場を去った。あれはもっと成長するな。その時が楽しみだ。

俺は骸骨頭に手を貸して立ち上がらせた。すると、骸骨頭は呻きながら俺に疑問を問いかけた。

 

「…何故だ?何故俺を助けた?見捨てたって良かったはずだ。あのチンピラ共のように。」

 

「お前は使える。優秀な仕事仲間ってのはなかなか得られなくてね。俺とこれからも働く気はねェか?」

 

骸骨頭は俺の誘いに無言で頷いて、俺と握手を交わした。

…この襲撃で失ったもの、脳無とチンピラ共。

得たもの、耳郎とかいうガキ。

 

さて、どうじっくり料理してやろうか。

俺はボーイッシュなパンクのガキである耳郎を背負って、自室へと向かうのだった。

戦争経験者の追い詰め方ってやつを、見せてやろう。

そう、舌舐めずりをしながら。

 

 

 

 

 

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