俺の個性?別に大したことねえよ   作:カバー

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敵耳郎ちゃんのゴスロリコスチューム概念くれた方
ありがとう
本当にありがとうございます


耳郎ちゃん敵育成計画

 

 

 

 

 

耳郎視点

 

 

「…おい、起きろ耳郎ちゃん。朝だぞ。」

 

ウチを呼び起こす声がして、暗闇から意識が浮き上がる感覚を覚える。ふかふかのベッドで寝ていることに気がついた。顔を挟んでいるフワフワの枕が気持ちいい。しっとりとして…柔らかくて…ウチは顔を埋めて声を掠れた喉から絞り出した。

 

「ぅん…まだ…もう少し…。」

 

「ダメだ。今日は昼から義爛…ブローカーが来るんだよ。それまでにやることがある。ほら、起きろ。」

 

そう揺り動かされて渋々と目を開けると、ウチが顔を埋めていた枕が見えた。…最初は何なのか分からなかった。肌色な二つの双丘が、ウチの顔を包んで…!?

その正体に気づいた瞬間、ウチは慌ててその双丘…ウチとの差を感じさせる発育の暴力の、アーティカさんのおっぱいから離れた。

 

「はは、なんだよ。俺が昨日散々可愛がってやったんだから、今更恥ずかしがんなよ。」

 

そう言ってアーティカさんは上半身を起こすと、前屈みにウチの顔を覗き込んだ。…胸の谷間が丸見えで、そのピンク色の扇情的という言葉がぴったりなブラジャーとパンツだけの姿を見て、ウチは思わず慌てて手で顔を隠した。…昨晩から思ってたけど、アーティカさんスタイル良すぎるだろ!出るところは出ているボンキュッボンスタイルで、腹筋は見事に割れている。

 

まさに女を抱くイケ女そのままを具現化したような姿だった。

それに比べて今も下着姿のウチは…。

八百万も数年後にはこんな感じなのかもな…

そんな今はただの"他人"の元級友を思い返していると、アーティカさんはベットから立ち上がってベッドの横に置いてあった洗濯籠から、ウチの戦闘用コスチュームを取り出して、ウチに向かって放り投げた。

 

 

「ほら、洗っといたから着ろ。今日はそれ要るからな。」

 

「…(ヴィラン)として、いよいよ出陣ってやつ?」

 

 

そうウチが不安混じり、そしてアーティカさんの役に立てると期待混じりに答えると、彼女は苦笑いして答えた。

 

「いやいや。はっきり言っちまえば、耳郎ちゃんはまだそこら辺の野良ヒーローより弱ェよ。今日から始めるのはその前段階…訓練ってやつさ。」

 

 

アーティカさんと着替えを終えて居間に向かい、作り置きされていた朝食をチンして食べた後、アーティカさんの案内で、ウチらが寝ていた地下室からさらに地下へと潜る。

 

すると、そこは一面コンクリに囲まれた空間だった。壁際には鉄製のサンドバッグと、銃の試し撃ちのためか、ドラマとかで見たことある射撃場の的が敷き詰められている。

きょろきょろと興味深くその施設を見渡しているウチに、アーティカさんは笑顔で説明を始めた。

 

 

「ここは俺が普段使ってる訓練場だ。それなりに作るのに金は掛かったがな。義爛の奴はウハウハだろうよ。」

 

「見ての通り、射撃訓練にフィジカルトレーニング、そしてこのスペースを使って実践形式の組み手…。やれることは腐るほどある。」

 

 

 

…凄い。もちろん雄英のUSJほどの広さの施設ではないが、無駄がなく敵としての戦闘訓練のための全てがこの部屋に詰まっている。

 

「…さしずめ、ここからこの場所は耳郎ちゃんの敵としての学校だ。俺の傭兵として…敵としてのイロハを叩き込んでやる。厳しいが、覚悟はできてんだろ?」

 

「覚悟も何も、ウチの居場所はもう、アーティカさんの隣にしかありませんから。」

 

 

そのウチの答えは心の底からの本心だった。ウチの手はもう殺人で汚れてしまった。あの苦悶に満ちた死体の瞳を、ウチは生涯忘れられないだろう。

そんなウチが、ヒーローになんてなれるわけがない。…なれるわけがないんだ。

それどころか、両親にも会うことはできない。殺人鬼の親になんて、あの二人になって欲しくない。

 

 

「…だったな。それじゃあまずは現状把握からだな。」

 

「耳郎ちゃんの個性は、その耳たぶのイヤホンプラグから音…おおかた、心音を衝撃波として放つってところか?」

 

 

雄英のUSJでの短い戦闘観察から、そこまで分かったのか。流石にこの人は凄いな。ウチはそう改めて尊敬しながら、アーティカさんに実際にイヤホンプラグを動かして見せながら、補足の説明をした。

 

「だいたいそんな感じですけど、ウチの耳のプラグを壁か地面に刺すことで、音で相手の動きを探知したりもできます。片方ずつだいたい6mぐらい伸ばせて、合計12m伸ばせます。」

 

「あ、でも大きすぎる音を探知中に喰らうとダメージが入っちゃう感じです。」

 

 

そう説明し切ると、アーティカさんはしばらく黙って思案していたが、ポツリと呟いた。

 

「大体わかった。…デカすぎる音に弱いのは明確な弱点だな。居るのがバレてたら対策に取られやすそうだ。」

 

「耳郎ちゃんの個性は、正面戦闘向きじゃないな。不意打ちからの速攻がベストだ。音の探知で先手を取りやすいのは悪くない。」

 

そう言い切ると、アーティカさんは壁際のロッカーを開けて、ロッカーの中に入っていたごつい箱を開けた。

 

「うわ、すご…。」

 

その箱の中にはぎっしりと短刀やナイフ類が入っていた。その中の一つである漆黒の両刃のナイフを取り出すと、アーティカさんはそのナイフをウチに手渡した。

 

「何より耳郎ちゃんの欠点は、明確な決定力不足だ。靴にプラグを挿して音の衝撃波を放つのを見たが、妨害技としては優秀でも、正直それで勝ちまで持っていくのは厳しい。」

 

アーティカさんはなおも言葉を続ける。

 

「当然、個性が伸びたりコスチュームの性能が上がればまた話は変わってくるだろうが。選択肢は多いに越したことはねェ。不意打ちにも便利だからな。」

 

ウチは不思議に思いながら持っているナイフを眺めてアーティカさんに尋ねた。

 

 

「でも、なんでナイフなんですか?」

 

「ナイフってのは、世界各地の軍隊格闘術に組み込まれてんだよ。俺もそれなりに齧ったぜ?アメリカのサイレント・キリングにロシアのシステマ…。」

 

「だが、俺は最終的に独自のナイフ格闘術を編み出した。それをお前にみっちり教え込む。」

 

だがウチにはそんな才能あるとは思えなかった。楽器ばかり触ってきて格闘術なんて縁もゆかりもなかった。ウチが不安そうにしているのを見て、アーティカさんはウチの頭を撫でながら穏やかに諭した。…ウチが身長が低いのもあると思うけど、アーティカさんは背が高い。すらっとしていて、まさに大人の女って感じだ。

 

「大丈夫だ。俺はお前の全てを肯定する。…決して見捨てない。絶対に耳郎ちゃんはできる。俺が保証する。」

 

それからアーティカさんはウチに見本を見せながら基礎の基礎を教えてくれた。

ナイフの握り方から即座に相手の急所をナイフで突く動き、そしてナイフをブラフにした足での極め技。

何度か失敗しながらも繰り返して精度を上げていく。

 

「…流石に雄英生か、筋がいいな。じゃあ最後にもう一歩進んだことを教えておくぜ。」

 

「いいか?ナイフ格闘術も確かに重要だが、一番良いのは、そもそも戦闘にならねェことだ。何が言いたいか分かるか?」

 

敵としての最適解を考える。戦闘にならずに敵を排除する。それはつまり…。

 

「………暗殺?」

 

「正解だ。俺たち敵は、ヒーローとは違う。正々堂々と、殺さずに制圧する。そんな堅苦しい連中とはな。」

 

「闇討ち、毒殺、人質…倫理観は糞食らえだ。それこそが俺たちの最大の武器。それを忘れるな。」

 

ウチはその凄みに少したじろいだ。初めて、アーティカさんの経験の厚みに触れた気がした。

 

 

 

 

**********************

 

アーティカ視点

 

午前中いっぱい訓練を終えると、耳郎ちゃんはコンクリの床に汗だくで仰向けに倒れ伏していた。

暫く俺直々に組み手してやったからな。無理もねェ。できれば銃の射撃練習もしたかったが‥。それは後日に回すか。時間はいくらでもある。

 

「ハァ…ハァ…ぜぇ…もう…無理…体…動かない。」

 

…取り敢えず暫くの間は基礎体力の増強と最低限の身のこなしを身につけさせるのが最優先だな。予想はしてたが、まだ高校生になったばかりの女の子だ。そう易々と実戦で使えるレベルに持っていけるわけではねェ。

 

(かといって雄英でヒーローとして"学びすぎた"学生を洗脳するのは難しいからな。一から仕込んでいくしかないか。)

 

俺はそう結論づけて、用意していたスポーツドリンクと汗を拭くようのタオルを耳郎ちゃんに差し出す。

にっこりとした満面の笑顔で。

 

「これをどうぞ、お嬢ちゃん。」

 

「ハァ…すんません。ありがとうございます。」

 

そう言って耳郎ちゃんは可愛らしく汗を拭くと、ペッドボトルのスポーツドリンクをぐびぐびと一気に飲み干した。

 

「少し休憩したら上でシャワー浴びようぜ。時間ねェから俺も一緒に浴びるわ。」

 

「はい…って、えェ!?」

 

耳郎ちゃんの呆気に取られてポカンとした後、恥ずかしそうにこちらを上目遣いの潤んだ三白眼で見つめる姿が可愛らしくて、思わず彼女の唇をまた奪った。

 

「ん…ぷはっ。や、やるならやるって言ってよ…。」

 

「それじゃあ驚く顔が見れないだろ?じゃあ上に行こうぜ。」

 

そして俺たちは一緒にシャワールームへと向かった。俺の隠れ家には浴室がない。ニホンでは湯船に浸かるのが一般的らしいが、海外住まいも長い俺はこっちの方が馴染む。

 

「あの、このシャワールーム、明らかにサイズ的に一人用ですよね?」

 

「そうだね。」

 

そう言いながら耳郎ちゃんの小さい背中から体の前へと手を回す。小ぶりな果実の感触を掌で味わう。お湯が汗を洗い流す感覚と相まって、非常に気分が良い。

 

「…最初っからそれ目的で一緒に入ろうっていったな!?」

 

「バレたか。」

 

「隠す気ないだろ!?」

 

そんな風に耳郎ちゃんが耳元まで赤くして叫ぶ。そんな声すら愛しく思える。そして、ボソボソとひとり呟いた。

 

「ほんっと…何が楽しいんだよ。ウチの貧相な体触ったって楽しくないだろ…。」

 

「何言ってんの。私は君の体大好きだよ。」

 

「……………あー…もう!あー…もう!」

 

そんな風に恥ずかしがる耳郎ちゃんを褒めまくりながら体を密着してシャワーを浴びる。そして服を着替えてコスチュームを洗濯機に放り込む。

耳郎ちゃんの普段着用の服は義爛経由できちんと揃えた。

あの野郎足元見てぼりやがったが、報酬額から見れば誤差みたいなもんだ。

 

ま、俺は仕事の報酬を得るのが好きなタチだから、酒と煙草と飯の贅沢以外にはあんまり金使わねェけどな。

おかげさまで、俺の得物の二刀の特殊合金で作られた短刀と、コスチュームの整備、そして隠れ家のメンテも定期的に多額の金を使ってできる。

 

それでも億単位で金は貯まってるからなァ。耳郎ちゃんのコスチュームを敵用に(俺の趣味全開で)カスタムするだけの金なんて、余裕で出せる。

 

 

居間で風呂上がりに、俺はバーボンのストレートを、耳郎ちゃんはフルーツジュースをグラスに注いで乾杯する。

 

そして、今日の来客の義爛のことを耳郎ちゃんに話す流れとなった。

 

「え、今日の来客って、ウチのコスチュームカスタムのために呼んだんですか?」

 

「ま、それとお前との顔合わせだ。義爛は裏にかなり精通したブローカーだからな。これからも世話になることもあるだろうぜ。」

 

 

…実際、俺のこの隠れ家も義爛のツテで闇業者に工事してもらったものだ。

一見はただの廃墟の点検に偽装して密かに行われた。

脱出用トンネルまで完備している。いざという時に逃げ場がないようなヘマは俺はしねェ。

 

 

 

「でも、ウチのコスチュームは雄英の契約メーカーに高い金払って作ってもらったって聞いてるけど…これ以上性能上げられるもんなんですか?」

 

「できるさ。金次第だがね。」

 

そう肩をすくめて俺が答えると、ちょうど来客を知らせるインターホンが鳴らされた。インターホンと知らないものからしたら、廃墟になぜかあるボタンにしか見えないだろう。

連続して3回鳴った。それが自分は味方だという合図だ。

 

俺は無言でテーブルの上の電子キーを取って、入り口のロックを解除する。

すると、慣れた手つきで入り口の蓋が開けられ、昇降口を降りて、相変わらず胡散臭ェ、見慣れた紫スーツのおっさんが現れた。欠けた前歯がトレンドマークの、煙草を咥えたブローカー。

それが義爛だ。

 

「よォ、毎度お馴染み、義爛だ。お得意様がお呼びって言うから、すっとんできたよ。」

 

「相変わらず胡散臭ェナリしてんなァ。煙草一本くれよ。ちょうど切らしてたんだ。」

 

そう挨拶を交わすと、義爛はニヤリと笑って煙草を箱から一本取り出し、俺に手渡した。そしてライターで俺の咥えた煙草に火をつけると、いつもの冗談を飛ばした。

 

 

「ちょうど高級なブツが入ってきたんだが。売ろうか?」

 

「俺ぁヤクはやらねェよ。そいつで身の破滅ってやつを経験した連中は腐るほど見てきたからな。」

 

これがいつものやり取りだ。そして慣れた様子で義爛は居間のカウンターにある椅子に座って、俺の正面のソファに座っている耳郎ちゃんを見て口笛を吹いた。

 

「ヒュー…これはこれは。日本で今一番ホットなJKじゃねェか。会えて光栄だよ。おじさんは義爛ってんだ。よろしく頼むよ?」

 

「あ、っと。知ってると思うけど、ウチは耳郎響香です。よろしく。」

 

そう辿々しく挨拶を返した耳郎ちゃんに義爛は愛想よく手を振ると、俺の耳に顔を近づけて感心したように囁いた。

 

「正直驚いたよ。まさかここまで上手く懐柔しちまうとはね。流石にベテランの(ヴィラン)は違うねぇ。」

 

「…別に大したことじゃねェよ。それより商談だろ?さっさと話し合うとしようぜ。」

 

そう言葉を返すと、義爛はそりゃそうだと頷き、コスチュームの図面を俺と耳郎ちゃんに広げて見せた。

 

「先にデザイン面の要望は貰ってたからそこだけもう決めてきたよ。大まかにだけど。」

 

耳郎ちゃんはそのデザイン図面を見て顔を強張らせて引き攣った顔をした。俺は要望通りのデザインに満足して頷いて言った。

 

「よし。大まかなデザイン面はこれで良いだろう。流石に義爛だな。いい仕事ぶりだ。」

 

「そりゃどうも。相変わらずあんたの趣味はぶっ飛んでるねぇ。」

 

 

 

すると、耳郎ちゃんは顔を真っ赤にして立ち上がって俺に詰め寄り、大声で叫んだ。

 

「き、聞いてない!なんでウチのコスチュームが、黒のゴスロリ風なんだよ!?」

 

俺はできうる限りキリッとした顔を心がけて、いい声で答えた。

 

「俺の趣味だ。耳郎ちゃんは可愛いから。」

 

耳郎ちゃんは口をぱくぱくと開けて絶句している様子だったが、やがて恥ずかしそうにしながらも、イヤホンジャックと両手で顔を隠して呟いた。

 

「…………馬鹿。」

 

その表情は、満更でもなさそうなのだった。

 

 

 

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