俺の個性?別に大したことねえよ   作:カバー

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揺らぐ世間

 

 

 

 

アーティカ視点

 

 

今日は耳郎ちゃんを午前中は拠点に置いて、一人でお決まりの場所へとやってきた。ヒーローを殺すほど洗脳が完全になった今なら俺の目から離しても問題ない。行く時に寂しそうに俺の袖を引っ張ったのは超可愛かった。行ってきますのキスをして、俺は黒霧のワープゲートで、昔からのセフレ女と会うためにいつもの場所へと向かった。

 

 

一ヶ月に一度のウサ子との約束の日だ。懐かしいな。あいつと初めて会ったのは、AFOが所有する、広島の裏のファイトクラブで、暇つぶしと賞金目当てに軽い気持ちで戦っていた時のことだ。

 

「お前…強いな!私と戦え!」

 

「あ?いや、ちゃんと受付してから来いよ。見ればわかるだろうが?俺今ファイト終わりなんだよ。舐めてんのか?」

 

いつも通り決勝のファイト相手のマッチョ男を顎をぶん殴って一発KOして歓声を浴びていると、一人の制服に身を包んだ女子高生がリングに乱入してきた。

小麦色の肌に、白い制服がよく映えていた。

 

金の入らないファイトなんざゴメンだと、当然俺は嫌がった。それを無視して、ウサ子は回し蹴りを俺に浴びせてきた。

 

 

…正直、あれはしんどかった。無駄に強くてタフな、金にならない相手なんざ俺は一番嫌いだ。しかもリング上なので武器も使えない。

 

「乱入者のウサ子敗れる!夏色⭐︎ダイナマイト・ギロチンの脚技も、チャンピオンには通じず!」

 

ウサ子をリング上で失神KOさせるまで、俺は左腕の骨にヒビ入ったし、全身打撲だ。

自分より歳下の同じ女子に、そこまで痛めつけられたのは初めての経験だった。

 

そこから別のファイトクラブに出入りするたびに、ウサ子は俺に付きまとう様になった。

俺のファイト終わりに乱入して大暴れするのが最早恒例行事になりつつあり、流石の俺も本気で苛ついた。

 

…だが、ウサ子のその素質に魅入られたのも事実だった。キック力を始めとした戦闘能力の高さはもちろん、容姿も素晴らしかった。見事なキックを繰り出す筋肉質の魅惑的な脚に、美しい小麦色の肌。そして鮮やかな赤い瞳に端正な顔立ち。

できればこいつをモノにしたいという欲求が俺の中に湧いた。

 

だからウサ子と決闘をして決着を付けることにした。人目につかない寂れた、広島県の山沿いの廃墟のラブホテル。

その前の開けた草原で俺たちは戦った。

 

「いいか?俺は本来、お前に付き纏われる義理はねェ。だから条件をつけるぞ。まず体が動かなくなったら負け。」

 

「今日勝った方は、負けた方に、『絶対に譲れない』もの以外服従する。そして5年後、また決闘をする。」

 

「二回目も負けたら、その『譲れないモノ』を含めて全てを相手に捧げる。逆にリベンジできたら、一回目に戻る。」

 

 

俺はそう女子高生の純白な制服のまま、獰猛に笑ってストレッチをするウサ子に条件をつけた。ウサ子は高らかに叫んだ。

 

「まどろっこしいが良いだろう。私はアンタを気に入ったんだ。アンタの強さが気に入った!良い蹴りをする!」

 

「だから負けさせて改心させてやるよ。一緒にヒーロー目指そうぜ!」

 

 

そう高らかに少女は叫んで、空を跳んだ。そして俺の頭を地面に叩きつけんと脚を凄まじい速さで振り下ろした。

 

月堕蹴(ルナフォール)!!!」

 

ウサ子の旋風脚と、俺の蹴り上げが、ぶつかり合って、激しい炸裂音を鳴らした。

…そこから半日間、ひたすらに蹴り合いの決闘が続いた。

そして日が暮れて辺りが戦闘の跡で地面は捲れボロボロになった跡、とうとう、決着がついた。

 

「…あー…!クソ!体動かねえ!ちくしょう!あー!負けたァ!」

 

そう地面に仰向けに倒れ伏したミルコは、魅力的なスポーティで筋肉的な四肢を地面に投げ出して、ヤケクソ気味に叫んだ。…俺は殺さない様に手加減していたが、ウサ子は喉やら頭やらを狙ってきたのは流石に参った。

俺はそんなウサ子を見下ろして、辛うじて立ちながらもふらつきながら呟いた。

 

「ハァ…ったく。最後の脳天蹴りは割とマジで効いたぞ!…だが、今日も俺の勝ちだな。…決闘前の約束は覚えてるよな?」

 

俺は勝ち誇って見下して笑いかけると、ウサ子は悔しそうに呻いたが、最後には認めたと言わんばかりに笑って答えた。

 

「ああ。悔しいが、私の負けだ。初めて負けた。…何だったか。『譲れないモノ』以外捧げろだっけ?」

 

「私はヒーローになりたい。それが『譲れない』ものだ。それ以外は私の全部をくれてやるよ。」

 

やっぱりな。ウサ子は気高い。この小麦肌の美しい獣は、そう簡単に堕とすことはできない。まずは外堀から埋めて、正々堂々屈服させるしかない。まあいいさ。俺だってまだ若い。この美しき獣が堕ちる姿が、今から愉しみだ。

 

「で、何すんだ?金でも貢がせるか?それともッ…!」

 

そう喋り続ける美しい獣の、筋肉質な体とは対照的に柔らかい唇を馬乗りになって無理やり奪う。

舌で女子高生の汗と褐色の肌の味を味わう。

そして制服のブレザーの隙間から手を差し込んで、柔らかな果実を弄った。ハリがあり、もちもちとして、艶やかだ。

俺はウサギの耳元で甘く囁いた。

 

「…言ったろ?俺はお前のそれ以外の全てを貰う。この柔らかな唇も…健康的な体も…その端正な顔もな。」

 

「………お前、変態女だったのか。私だって乙女だぞ?そんな目で見てたのか?」

 

そうほんのりと顔を赤くしてウサ子は照れ隠しの笑みを浮かべた。

 

「廃墟のラブホ前で集合の時点で察しろよ。…エッロイ健康的な体しやがって。ずっとそう見てたっての。」

 

 

そこから暫く間を置いて休息した後、俺たちは廃墟のラブホテルへと入って、ウサ子の学生にしては豊満で、学生らしいハリのある胸、鍛え上げられて、すらっとしたくびれ、そして筋肉質な脚。その全てを何時間もかけてじっくりと味わった。

 

廃墟から出てくる頃には、ウサ子の足腰が覚束なくなっていたのも今では良い思い出だ。

 

あのウサギは、実に美味しかった。

…それから一ヶ月に一回、ウサ子を同じ廃墟のラブホテル前で待つのが俺の日課だ。

そして美味しいウサギの魅力的な体を味わうのだ。

成長期のJKから大人の女になるウサ子は非常に魅力的だった。

縛って、舐めて、叩いて。

半分癖になってるのかもな。

俺はそう自嘲して煙草に火をつけた。煙草の煙の匂いを嗅ぐと、銃の硝煙の香りを連想して何となく落ち着く。

もう五月も末だ。爽やかに空が晴れ渡って、風が頬を柔らかく撫でた。俺の興奮に熱った体を覚ましてくれる。

 

廃墟に不良やチンピラといった連中が誰も居ないのを確認して、廃墟のラブホテルの正面入り口前で呑気に空を眺めて待っていた。すると、凄まじい勢いでウサ子…いや。現在のトップヒーローの一人、ミルコが木々の間を駆けて飛び出した。相変わらず脚の筋肉が見事だ。…妙に色っぽいんだよなァ。

 

「よォ。相変わらずせっかちだな。こんないい天気なんだからもっとのほほんとしろよ。」

 

そう俺が煙草を片手に皮肉げに声をかけると、いつもの五月蝿過ぎるほど元気な調子でミルコは答えた。

 

「嫌だね。私はいつもフルスロットルなんだよ。…にしてもお前も飽きないな。毎月毎月私のことをそんなに抱きたいのか?」

 

「言わせんなよ。」

 

そう言って俺は煙草の火を消して地面に落とすと、足で踏み潰した。…学生ファイターのウサ子であった現在はヒーローであるミルコとは、いくつかの契約を交わした。

 

まずこの密会は俺たち二人だけの秘密であること。そして互いの仕事をこの密会中は忘れること。俺の情報をヒーロー側に漏らさないこと。

ミルコは真っ直ぐな価値観で生きている。決闘で負けた以上、その条件を破ることはしないというのは付き合いの長い俺はよく分かっていた。

 

白地に紺の縁取りがされたバニー服のようなボディースーツにミルコは身を包んでいる。

相変わらずテレビでも見てたが股の食い込みがキレッキレだな。引き締まった身体にも磨きがかかっている。胸や尻もボンと出るところは出ていて、腹筋はバキバキに割れている。

 

「相変わらずエッロイ体してんなァ。」

 

「お前に言われたくねーよ。私より胸でかいじゃねェか。」

 

そう俺の胸を指さしてミルコは言った。…まあ確かにGカップはある胸は、他人から見たらそう思うのか。俺は胸を寄せてニヤリと前屈みになって笑った。

 

「何なら今日はお前がタチでやってみるか?俺はどっちでもいいぜ?」

 

谷間からお気に入りのピンクのラグジュアリーの下着も見えているのだろう。ミルコは一瞬不意を突かれたかのように顔を赤く染めたが、ニヤリと笑って俺を壁際に押しやって手で壁ドンをすると、俺の耳元で囁いた。

 

「おいおい、いいのか?春のウサギはな、発情期なんだぜ?」

 

度重なる逢瀬の中で、ミルコもすっかりその最中は乗り気になっていた。

俺はお返しにと、ミルコの張りのある尻に手を伸ばした。

そして俺は廃墟のラブホテル内の一室で、発情期のウサギちゃんのエロさをたっぷりと堪能したのだった。

5年後の二度目の決闘は、もう間も無く訪れようとしていた。

 

 

 

**********************

 

俺は軽く山沿いを目立たない様に走り抜けて密会場所から去ると、スマホをスーツパンツのポケットから取り出して黒霧に連絡した。

 

「よォ黒霧。悪いが俺の家まで移動頼むぜ。」

 

数分待つと、黒いモヤと共に黒霧が現れた。俺の携帯にはGPSが付いていて、電源のオンをすると黒霧に位置情報が伝わるようになっている。

便利なタクシー代わりというわけだ。

 

…俺は雄英襲撃の件で面が割れている。その状況で公共交通機関を使う間抜けではない。今頃警察は血眼になって雄英襲撃犯である俺達と耳郎ちゃんを探し回っているはずだ。

 

 

今も着ている俺の戦闘用コスチュームは、長袖の黒のワイシャツに、灰色のパンツスーツという地味なものだ。だから目立ちはしないが、念には念をだ。

…当然ただのシャツとパンツスーツではない。特殊な繊維と加工で動きやすく、防弾チョッキ並みに頑丈だ。

耳郎ちゃんの様な一点ものではなく、俺はその組み合わせをシンプルに大量生産して普段着としても使っている。

常在戦場。いつでも動ける様にしておかねばいざという時話にならない。

 

「レディ・アーティカ。ご自宅までで?」

 

「あァ。悪いな、頼むわ。」

 

そう軽く礼を言っていつもの黒いモヤのワープゲートに足を踏み入れる。次の瞬間には、いつもの俺の地下居住空間に居た。

すると、とてとてとこちらに走ってくる音がした。

可愛らしく駆け寄ってくるのは、耳郎ちゃんだ。イヤホンプラグをバタバタさせながら、俺に抱きついた。

 

「アーティカさん、寂しかった…。今までずっと一緒にいたから。その…できれば一人にしないでください。」

 

そう上目遣いで瞳を潤ませながら俺の顔を見上げてくる。ミルコが性欲に訴えかけてくるエロさとしたら、耳郎ちゃんはペットの様な可愛らしさだ。まあどっちも抱くんだけど。

俺は優しく耳郎ちゃんの頭を撫でて優しく言葉を紡ぐ。

 

「悪いな耳郎ちゃん。俺だって寂しかったぜ。君に会いたくて…。」

 

すると、耳郎ちゃんは俺の胸に顔を埋めていたが、やがて今度はムスッとした顔で俺を見上げて拗ねたような口調で呟いた。

 

「にしては、別の女抱いてきたんですね。」

 

…何で分かった?俺は若干冷や汗を流しながら問いかける。すると、淡々と耳郎ちゃんは答えた。

 

「…アーティカさんって、事後にハーブ系の香水胸元と手首につけますよね。その匂いがしました。」

 

…瞬間、俺は目の前の少女への感情が爆発した。可愛らしくて、俺をよく見て甲斐甲斐しく振る舞っている堕ちたヒーロー候補生。…何だ、耳郎ちゃんもとっても扇情的じゃないか!

 

俺は耳郎ちゃんの腰に手を回すと、小ぶりなお尻を摩った。そして照れて驚いた顔をした瞬間の耳郎ちゃんの唇を奪った。ミルコのそれより子供としての面が強い少女の唇を不意に奪った時ほど興奮する瞬間はない。これはもう性交渉以上の快感だっ!

暫く手と唇で耳郎ちゃんを堪能すると、ゆっくりと顔を離した。

 

「……キスで誤魔化そうとしたって無理だから。」

 

「いやいや。耳郎ちゃんが可愛かったからな。つい。」

 

そう答えると、満更でもなさそうに耳郎ちゃんはイヤホンプラグを両手で掴んでかちかちと合わせながら呟いた。

 

「…まあいいですけど。そんなにウチのこと好きなのは嬉しいし。」

 

そしてそんな可愛い耳郎ちゃん相手に二回戦目を始めた後、俺は耳郎ちゃんと遅めの昼食を取った。俺の地下住居には黒霧のバーから毎朝三食分の食事を届けてもらっている。金は払っているのでそれなりに質はいい。

 

今日はブランド牛のステーキ三段重か。ざっと5000円弱ほどの…まあそれなりの質の食事だ。

飯と酒、それと煙草には金を使いたいからな。イイ女は口説いて落とすが。

 

 

そんなそれなりの昼食を終えて、また今日も地下の訓練場で耳郎ちゃんの訓練を始める。今日はひたすらに限界まで個性を鍛える訓練だ。

耳のイヤホンジャックで鉄のサンドバッグを刺し、音の衝撃波を浴びせ続けて内部破壊を試みる訓練だ。

これが上手くいけば、硬質化などの防御系個性持ちに優位に立ち回れる。個性とは筋繊維と同じだ。使って酷使すれば鍛えられる。だが負担も大きい修行だ。筋繊維を壊すようなものだから、丁寧に無理ないようサポートしないとな。

 

そしてその後に一時間ほど休憩を取って、瞬発力と銃の訓練。素早く移動する俺を狙ってゴム弾でひたすら銃を撃ち続けさせる。集中力と持久力を維持させる訓練でもある。

 

「銃ってのは軽んじられがちだが、先制や奇襲狙い、それに生身相手には充分個性社会でも有効打だ。」

 

そう言いながら高速で室内を駆け回って俺は耳郎ちゃんの目を撹乱する。

 

「くっ…!はや…!」

 

「そら、どうした?掠りもしてねェぞ?」

 

そう俺は耳郎ちゃんを煽りながら、コンクリート造りの室内を縦横無尽に駆け回る。すると、耳郎ちゃんは意を決した様に懐に手を入れて、何かを取り出すかのようにまさぐった。

 

「…発想を柔軟に!動き回ってて当てられないなら、動きを止める!」

 

瞬間、懐に入れた腕とは反対側の腕から爆音の衝撃波が辺りに炸裂した。俺は思わず鼓膜へダメージを喰らう。

 

懐に手を入れたのは反対側の手から注意を逸らすため…!本命は個性による聴覚へのダメージで動きを止めることか!

 

「今!」

 

そして空中で停止した俺の額を狙って銃を撃ち抜いた。…いいねェ。大した成長だ。

俺は素手で向かってくるゴム弾をキャッチして、地面に降り立つと微笑んで耳郎ちゃんに言った。

 

「よし、合格!今のはかなりイイ線行ってたな。」

 

「あっさり銃弾キャッチされて言われても説得力ないんですけど…。」

 

そうジト目でこちらを見つめてくる耳郎ちゃんの頭をわしわしと撫でて、俺と耳郎ちゃんは一緒にシャワールームで汗を流した。

熱った体で居間のソファで寛いでいると、俺の膝枕で嬉しそうに寝そべっていた耳郎ちゃんは、ふと思いついたかの様に俺に聞いてきた。

 

「そういえば何となく機会がなくて聞いてなかったですけど、アーティカさんの個性って何なんですか?」

 

「あー?…まあ、そりゃアレだ。大したもんじゃねえよ。」

 

 

俺の個性。ぶっちゃけまあまあダサいからあんまり言いたくないんだが。実質あって無いようなもんだしな。

 

 

「いや。凄い身体能力とタフネスじゃないですか。そんな個性なら、相当強いですよね?」

 

 

「ちげーよ。俺の動きが常人離れしてるのは個性のせいじゃねえ。色々と説明が面倒なんだが…。AFO曰く、俺の身体は新人類と呼べる程度に人間離れしてるらしい。」

 

「俺の個性は、単に筋肉のパフォーマンスから余分にほんの少しのパワーを常時生み出すってだけのもんだ。」

 

「簡単にいやあ、相撲取りの素の力に子供一人分余分な力が付与されると思えばいい。マジで使えねえ個性だよ。」

 

…実際俺の筋肉の密度はドクターが言うに、常人のざっと55倍程度らしい。筋繊維の質も異常に高いそうだ。それを加味すると俺の筋肉は常人のそれの100倍以上のパワーを生み出す。つまり個性なしでも俺は充分超人なのだ。それに加えて鋼のような強度の骨に、毒耐性に灼熱でも耐え切る肌がある。

 

 

CALIFOLNIA SMASH (カリフォルニアスマッシュ)!!!!」

 

そんな俺にパンチ一撃で敗北を確信させたのが全盛期のオールマイトだ。今でもたまに夢に見る。

アレは最強だ。最強"だった"

文字通りの世界の主人公のような存在…だった。

今はもう違う。アレはもう、ただの強いだけの男に成り下がった。

 

 

AFOが言うには、俺の体質上新たな個性を与えることは難しらしい。何でも、身体能力が高い反動か知らないが個性の容量の上限がかなり少ない…らしい。

だから俺は個性には頼らない。

 

「俺の相棒は、個性じゃなくて銃火器に太刀に短刀…それに君さ。」

 

俺の愛銃、超高威力の反動もデカいじゃじゃ馬、S&WのM500リボルバーを更に魔改造して、鋼鉄だろうがぶち抜く、あのレディ・ナガンの狙撃にも匹敵する威力を備えた『クレイジストマグナム』

 

とある国で生まれた、良質な玉鋼を体から生成する個性を持った赤子から出たという玉鋼を名工が叩き、鍛錬し、造り込み、焼き入れをして出来上がった名刀、『朱鷺貞(ときさだ)

 

同じく『朱鷺貞(ときさだ)』と同じ玉鋼を鍛錬し、生成した短刀、『珠音(しゅおん)』と『青虎(せいこ)

その全てが値段で言えば5000万は下らないだろう逸品だ。

命を賭けるんだから、その為に金を惜しまないなど当然だ。粗雑な仕事道具では粗雑な仕事しかできない。

 

「だから、俺は耳郎ちゃんも一流の仕事仲間だと思ってるぜ。」

 

なんせ俺が鍛えてるんだからな。俺の一流の女と一流の武器があれば、敗北はない。

それが、俺の美学だ。

 

 

 

 

**********************

 

 

 

雄英高校の敵襲撃事件から二週間以上が既に経過していた。雄英高校教師陣はマスコミへの対応に警察への情報提供、そして新たな警備システムの導入といった激務に追われていた。そんな中でネズミの根津校長が決定した生徒を保護するための措置。今はその為に教師陣は奔走していた。

 

「やはり、各ご家庭がもし仮に敵連合に襲われでもしたら、付近のヒーローが駆けつける間も無く大惨事になるだろう。」

 

「…校内の警備システムも強化した。校内を定期的に外部ヒーローが教師陣に混じってパトロールしてくれる。ここ以上に生徒達が安全に過ごせる場所はない。」

 

「ならば、やはり困難だが兼ねてから考えていた案を実行に移すべきだろう。全寮制の導入を!」

 

その為には、どうしても達成しなければいけないものがある。家庭訪問による、両親からの同意。

そして、新たなシステムをマスコミ各社が嗅ぎつけないわけもなく。

数日も経たないうちに雄英の全寮制導入の模索は一大ニュースとなり、様々な反響を呼んだ。

 

そんな中、一年A組担任教師のプロヒーロー、イレイザーヘッドと、平和の象徴オールマイトは、渦中のA組の生徒の両親達との保護者面談へと臨んでいた。

 

「…やはり芳しくないですね。どうしても耳郎響香が拐われてしまったという影響は大きい。」

 

そう次の訪問先、八百万家に向かう途中の車の中で、イレイザーヘッド、相澤消太は目を揉んでため息混じりに隣に座っているオールマイトに呟いた。

 

「…済まない、相澤くん。私の力が足りなかったばかりに、君に苦労をさせて…。」

 

そう心底申し訳なさそうに呟くオールマイトに、相澤消太は深い息を吐いて、淡々と答えた。

 

「何言ってるんですか。あの場には俺も居たんですよ。力が足りなかったのは俺たち全員だ。校長にも言われたでしょうが。」

 

「それに、平和の象徴オールマイトが直接家庭訪問をしてなきゃ、もっと反発は強かったでしょう。…感謝こそすれ、謝られる謂れなんざないですよ。」

 

「相澤くん…。」

 

そうやって二人が気を取り直した瞬間、オールマイトの電話の着信音が鳴り響いた。

ワタシガキター!ワタシガキター!ワタシガ…プッ

 

「…校長からだ。はいもしもし。オールマイトです。ええ。これから八百万少女の家庭訪問を…。」

 

「え?ニュース…?いえ、見てませんが。…何ですって!?」

 

 

 

驚きに大声を上げ、オールマイトは無言で電話を切る。そして、無我夢中でスマホのホームページから速報ニュースを検索した。

 

「…どうしたんですか?オールマイトさん。」

 

「………なんてことだ。おのれ、敵め…!」

 

相澤消太もオールマイトのスマホを覗き込む。そして小さく息を呑んだ。そこには、こう書かれていた。

 

『"速報"敵組織によるマスコミ各社への動画公開。行方不明になっていた雄英高生徒の耳郎響香(15)が、クラスト事務所に所属していたプロヒーロー三名を殺害する様子が動画に残されていた。』

 

雄英を取り巻く世相が、一変する。

八百万家は、家庭訪問そのものすら、拒んだ。

 

 

 

 

 

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