にじさんじ甲子園2024   作:詞連

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見直したら小西がヒーローすぎる件。あと、チャイカさんのセリフは、ほぼほぼ配信中のご本人の発言そのままです。


銀河立超チャイカ高校1年目秋

 銀河立超チャイカ高校の監督は、言動が不審だ。でかいマッチョのオネエってだけでも大分個性派だというのに

 

「ウチの生徒はみんな内部データ大谷さんだから!」

 

 とか急に強気になったり

 

「今まで私ツイてた時なんてなかった!この可愛さだけでやってきた!」

 

 とメンヘラスイッチ入ったり

 

「129球も投げてる!誰ですかこんなひどいことしたの!救急車呼んで!」

 

 と、練習試合で自分が指示して出してたはずのリゼを後退させる時に叫びまくって審判に注意されたり

 

「落ちろ蚊トンボ!」

 

 って叫んで威圧することで、相手野手のエラーを誘発して審判に注意されたり

 

「今からここを銀河立超チャイカ高校のバッティングセンターとするぅっ!」

 

 という発言があまりに挑発的で礼儀を失するとして審判から退場勧告を受けたり。

 まあ話題に事欠かない人物が野球部監督花畑チャイカだ。

 時に選手に対する暴言やらセンシティブ発言やらがポンポン飛び出す監督だが、意外と生徒達からの評価は悪くなく、何なら好かれてすらいる。

 新聞部兼任1年ピッチャーの北小路ヒスイも、割と嫌いじゃない勢の一人だ。

 

 

 

 

「行け、ヒスイ!お前ならやれるはずだ!」

 

 8回表、2番手として、ヒスイはマウンドに立った。

 散々人を『軽い球、軽い女だなあ』とか言ってた数分後にこれである。

 調子がいいのだが、何も考えずに脊髄反射でしゃべっているのか、あるいはその両方か。

 

「どっちにせよ、ここは勝たないとねっ」

 

 ヒスイは気合を入れ直した。

 

 

 

 チャイカ監督が率いる銀河立超チャイカ高校野球部は、現在成績不振だ。

 春の練習試合は圧勝したものの、夏秋ともに地方大会にて初戦敗退。しかも相手は自分達とそう変わらない前評判だった。

 1回戦で敗れ3年の先輩達と早くも別れることとなった夏の敗退もショックだったが、秋はそれ以上の心理的ダメージとなった。

 確かに秋の初戦で当たった相手は、自分達より一回り格上だったかもしれない。だが、自分達とて夏の合宿を経て強くなっていたはずだ。それが5-7での敗北。

 自信が揺らぐ。部の雰囲気もどことなく沈む。

 一関学院高校からの練習試合申し込みが来たのは、そんな雰囲気の11月。日程は明日という急な物だった。どうやら予定していた学校の都合が悪くなったらしい。

 明日試合を受けると、来週の予定がずれ込んで、予定していた特訓がキャンセルになるが

 

「特訓より試合!なんだあ!?俺は特訓で青特獲るのは上手いけど試合は勝てないから、試合をしないで特訓受けろって言いたいのかよ!?

 ―――言ってない言ってない。チャイカさん言ってません。―――な、なんか冷たくなってる加賀美が」

 

 とチャイカ監督が決断。練習試合が行われることとなった。

 なお、1年捕手の加賀美は、本当に何も言っていない。

 

 

 ところが、試合当日

 

「兄上ぇ、風邪ひいたぁ」

 

 と、1年の控えピッチャー、リゼが絶不調。2年の小林と1年のヒスイ、ピッチャー2枚で試合に臨むこととなった。

 試合は後攻の超チャイカ高校優勢。6回終えて0-7。このままいけば7回コールド成立となっていたが、7回表、一関の松岡が意地のソロホームラン。1-7としてコールド回避。

 さらに8回表、投球数80を超えたところで小林がつかまる気配を見せた。1番打者を出しノーアウト1塁。

 長いタイムの間、チャイカ監督があーだこーだと悩んだ結果、北小路ヒスイの登板となった。

 

 

「クソカスがぁっ!弱小高校の分際でぇ!」

 

 3点を返され、ベンチでチャイカが吠えた。

 ノーアウト1塁か引き継いで3番打者から単打を貰うものの、2番4番は三振で討ち取り、2アウト1,2塁。

 ここまでは良かったが、ここから捕まった。

 守備の隙間を縫う様な安打の雨に晒されて、あれよあれよというまに5失点。

 先頭打者に戻ったところで、ようやく内野フライで3アウト。

 

 

 まずい。その言葉でヒスイの頭は埋め尽くされていた。

 8回1点差。このリードを守り切れるのか?散々打たれた自分が?

 

 頭が真っ白になっていた、そんな時だった。

 

「任せろ、何とかする」

 

 ヒスイが顔をあげると、小西がいた。ヒスイと目を合わせた後、フィールドに出る。

 小西がバッターボックスに入った。ノーアウト1塁。

 ストライクが2本、どちらも見逃し。

 

「小坂ぁ、小坂っ!おまえ――」

 

 とチャイカ監督が叫んだ瞬間だった。

 快音。打球はセンター方向に大アーチ。悠々とフェンスを越えて2ランホームラン。

 

「それそれそれ!ありがとうございます!」

 

 テンションを挙げるチャイカ監督。小西はダイヤモンドを回ってからベンチに戻り

 

「貯金は作った。頼むぞ、北小路」

 

 そう言って座った。

 

 

 その後、ヒスイも打って塁に出るものの得点につながらず9-6で8回裏終了。

 9回表も苦しい展開だった。

 アウトを取れず3点返され、ノーアウト1、2塁

 

「大丈夫ですか、ヒスイさん」

 

 加賀美に声を掛けられ、どうにか落ち着きを取り戻し、ヒスイは改めてマウンドに立つ。

 負けたくないと思う。

 そしてそれ以上に勝ちたい、いや、勝たせてやりたいと思う。

 ベンチを見れば、また何やら騒がしくしている。

 練習試合だというのに、まるで甲子園の決勝であるかのように、大声で、全力で。

 

 そう、チャイカ監督はいつも全力なのだ。

 全力で野球を遊んで、楽しんでいる。

 言動不審で、時に選手に対する暴言やらセンシティブ発言やらがポンポン飛び出す問題児監督。そんなチャイカをヒスイ達野球部員が慕うのは、チャイカが誰よりも野球を全力で楽しんでいるからだ。

 誰よりも野球を楽しんでいる監督に、勝って喜んでもらいたい。

 そのためにも

 

「っし!やるかぁっ!」

 

 ヒスイは構えた。

 

 

 結果、9回表は内野フライと併殺で3アウト、チェンジ

 同点で迎えた9回裏、2アウト3塁で小西がサヨナラのフェンス直撃の長打を放ち、勝利。

 弱小校相手とは言え、練習試合とはいえ、久しぶりの勝利である。

 

「侵・略・完・了!遠野の河童、討ち取ったり!」

 

 これが、銀河立超チャイカ高校野球部の、快進撃の嚆矢となる―――かは分からないが、とりあえずは上機嫌に宣言するチャイカを見て、野球部員達は苦笑しながら肩をすくめたのだった。

 

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