にじさんじ甲子園2024   作:詞連

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にじさんじ高校の3年目の夏は、本当に夢を見させてもらった。
他にもいろいろ書きたいチームはあれど、とりあえずはここで一区切り。
あとは、育成期間のエピローグと言うか、本戦のプロローグ的なのを1本書いておしまいの予定。


にじさんじ高校3年目夏

 7月2日早朝。にじさんじ高校のグラウンドに二人。社築と椎名唯華だ。

 野球キャップをかぶったユニフォーム姿の社と、キャップもかぶってない椎名が、ベンチから誰もいない朝のグラウンドを眺めていた。

 今日は、夏の県大会の第一回戦。3年目、最後の夏だ。

 

「ついに来た、って感じやねぇ」

「だな」

 

 思い出すのは、泥だらけの、公式戦未勝の3年間だ。

 

「先輩達には世話になりっぱなしだったな」

「技術書まぁじで助かった~」

「新入生も、こんな一勝もしてないような部活に良く入ってくれたよな」

「今年はほぼ留学生でマジびびったよねぇ」

「だからってマネージャーしてた四季凪を『お前が新入生だぁ』はねえよ」

「だって眼鏡かけてるし英語いけそうやったし」

「眼鏡にどんな信頼してんだ。まあ、結果的に才能が腐るほどあって、薄かった投手陣が補強されたのは良かったけど」

「名将の慧眼って奴よぉ」

「三下監督が何言ってんだ」

 

 社の軽口に、椎名の言葉が帰ってこなかった。

 社が隣に目を向ける。椎名の表情は見えない。長い前髪が、俯き加減の彼女の顔を隠している。

 

「ごめん、なんか、公式戦勝たせてあげられなくて」

 

 次の瞬間、社が何かを言おうとしたのを遮るように、

 

「明日で最後だから、最後まで付き合ってよ」

 

 彼女が笑って言う。

 見知った彼女の、この三年間見たことないような、綺麗な笑顔。作られた笑顔。

 その顔に――

 

「何言ってんだお前」

「わっぷ」

 

 ――社は、自分がかぶっていたキャップを被せた。

 

「それに明日で最後、じゃねーだろ。明日が始まりじゃねえか」

「……」

「あー、それと!謝るんじゃねえ!らしくないっていうか、お前の個性が無くなるだろうが!」

「……」

「というか、何だその、そういうの!もっといつもらしく……」

「……くっさ」

「……あ?」

「ナニコレくっさ。加齢臭?」

「かえせぇっ!」

 

 ブチ切れながらキャップを引っぺがす社。

 キャップの下から現れたのは、

 

「やしきずの対応に愛を感じたね。やっぱ真実の愛はやししぃにあるんだよぉ」

 

 いつもの、ムカつく笑顔。

 

「やししぃはないです」

 

 それに対して勤めて社は冷たい声音で返す。

 いつものやり取り。いつものパターン。いつもこうやって戦ってきた。公式試合は逃したが勝利も得てきた。

 そして、仲間も得てきた。

 

「あ、やししぃだ」

「まとめて呼ばないで欲しいんですけどぉ!?」

 

 背後からかけられた声に、キレ気味に社が振り向いた。

 そこにいたのはマネージャーの先斗寧と、野球部のメンバー達だった。

 

「なんだ、おめぇら早えじゃん」

 

 そういうのは、2年のレンに抱えられたでびでびでびるだ。

 社は肩を竦めて

 

「一応キャプテンと監督だからな。遅刻したらまずいから、こいつを迎えに行って早めにつれて来てたんだよ」

「やっぱりヤシシィでしょ、コレ?」

 

 でびを抱えたレンゾットのコメントに対し、顔を引きつらつつ社は沈黙する。何を言っても泥沼だと思ったからだ。

 ギャーギャーと、全くバラバラで癖の強いにじさんじ高校野球部メンバー。

 これが3年間の成果、ではない。ついに必要なカードが集まったのだ。ここからなのだ。

 バスが来る。行先は市立球場。天気は晴れ。今日は野球日和だ。

 さあ、楽しもう。椎名は叫んだ。

 

「ぃぃ野球の時間だぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

 こうして、にじさんじ高校の快進撃は始まった。




実は筆者の地元が秋田だったので超応援してた
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