にじさんじ甲子園2024   作:詞連

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これにてにじさんじ甲子園2024、支援小説は完結とさせていただきます。
もっとたくさん書きたかった!特に各チームの2年や3年目をもっと色濃く書きたかった!
ですが、育成期間も終わり、本戦も始まるので、ここで筆をおかせていただこうと思います。
がんばれ全チーム!


エピローグ、あるいはプロローグ

 3年目の夏の甲子園は終わった。道半ばで敗れた者、夢の舞台に至った者。

 3年間の軌跡は―――しかしまだ終わってなかった。

 全国からセンバツされた8校による野球大会、にじさんじ甲子園。

 最後の舞台が、幕を開けようとしていた。

 

 

 

 秋田、秋田駅にて。

 

「ついに来た、って感じやねぇ」

「それ二度ネタだからな」

 

 秋田駅の改札前に、にじさんじ高校野球部が集まっていた。

 それも現役の選手ばかりではない。OB達も見送りに来ていた。

 

「虎姫、リリム、がんばって来いよ」

 

 と、現三年の投手陣を激励する櫻井に

 

「おい櫻井!もう一冊威圧かアベヒの本よこせよぉ」

「お前さあ!」

 

 ダル絡みしようとする椎名の奥襟を、社が引っ張り止める。

 そうこうしている内に

 

「椎名監督、みんなそろいましたよ」

「さんきゅ、しっきー。んじゃ――勝ってくるかぁ、にじさんじ甲子園!」

 

 秋田県、にじさんじ高校。出発。

 

 

 

 

 岩手、銀河立超チャイカ高校野球部部室前にて。

 

「いいかっ!常勝無敗のチームなどありえない!ジャイアントキリングがあるのが野球だ!」

 

 気炎を吐くチャイカ監督。彼の目の前には、荷物を抱えた野球部員達がいた。

 その集団から少し離れた位置に、ヒスイは立っていた。手にはカメラが構えられている。フレーム内には、いつものチャイカ監督。

 そう、いつも通りだ。

 屈辱の夏大会初戦敗退。それも練習試合で勝っている格下相手に。

 しかしその程度でへこたれるチャイカ監督ではない。

 

「俺達銀河立超チャイカ高校が!にじさんじ甲子園を―――ぶっ壊してやる!」

 

 その宣言をカメラに収め、ヒスイは頷く。やっぱり監督は、自分達はこうでないと、と。

 

「俺たちの戦いは、これからだぁっ!」

 

 銀河立超チャイカ高校、侵略開始。

 

 

 なお、会場に向かう道中、新幹線にて椎名監督が率いるにじさんじ高校と偶然にも同席。

 両監督同士による筆舌に尽くしがたい醜い煽り合いが発生したが、それはヒスイも記事にはしなかった。

 

 

 

 大分、ローカル線にて。

 

 レインボール高校野球部員達が、旅行鞄を携えて電車に揺られていた。

 行く先は小倉。そこから新幹線に乗り継ぐ予定だ。

 小野町監督は、スマホの画面を覗き込んでいた。

 

「ふーん、向こうは気迫十分ってところか」

 

 表示されているのは銀河☆新聞。銀河立超チャイカ高校の新聞部が発行している新聞で、記者仲間のヒスイが春香に送付したPDFデータだ。

 ファイルが添付されたメールには 「負けないよ」 と一言だけ添えられていた。

 

「何をみてるですカ?監督!」

「んー、敵情視察かな」

 

 隣に座っていた2年キャッチャーのナリに、画面を見せる。

 ナリはゆっくり読み進めると、あるところでその眉毛を、ムムッと顰めて

 

「なんと!侵略とはちょこざいな!ナリが世界征服しますとも!」

 

 妙な所で対抗意識をむき出しにするナリの頭を、隣に座っていた楓が撫でながら

 

「よう言うた。勝つぞナリ、監督!」

「うぃっ!」

「もちろん。絶対勝とう!」

 

 レインボール高校、気力十分。

 

 

 

 

 滋賀、バス停留所にて。

 

「うわあ」

 

 1年マネージャー兼投手のハナ・マキアは思わず変な声をこぼしてしまった。

 理由はバスだ。

 ギラギラホスト高校はバスで会場に向かう。そのために、彼らは荷物を抱えて停留所に来たのだが、いざ乗ろうとしたバスが凄かった。

 

「すっげぇっ!ギラギラじゃん!なんか俺達も描かれてるし!」

 

 2年の渡会の言葉の通り、そのバスは特別仕様だった。

 紫をベースにした、目の痛くなるようなギラギラデコ。しかもエースピッチャーの舞元を始め、メンバーがプリントされている。

 ハナは留学生である。日本語はそこまで詳しくない。だから痛バスという言葉が実在するかどうかは知らないが、もし存在するとしたら確実にこれは痛バスと呼ばれる物体だ。

 

「甲子園の時、発注したけど間に合わなかったんだよねえ」

 

 監督の言葉にハナは唖然とする。これで甲子園に乗り込もうとしていたのか、と。

 

「ねえねえ!私達もいるよ」

 

 同じ1年の夏芽に言われてバスの後方を見ると、そこには確かに、自分達の姿もプリントされていた。

 テンションを挙げる夏芽に対して、ハナは少し引け目を感じる。

 投手として、自分はチームに貢献できていない。同じ1年のスカーレットと比べても実力的に劣っている。

 そんな自分が――

 

「えっと、いいのかなあ」

「良いにきまってるだろ?仲間なんだから」

 

 ハナの肩を監督が叩いた。

 びっくりしているハナに、不破監督は笑顔を見せてから

 

「さあ、みんな!目指すぞ、ナンバーワン!」

 

 ギラギラホスト高校。目指すは頂点。

 

 

 

 

 沖縄、那覇空港にて。

 

 灼熱の陽気の下。バスの到着ホームにふれんず学園高校野球部が集合していた

 炎天下につき薄着の私服姿。女子の比率が高い彼女達は、実に華やかだ。

 その姿を、少し離れた位置からうっとりと眺める二人、というか一人と一匹。

 

「ぼかぁ、ふれんずの野球部に入れて幸せだなあ」

「ちょまもそう思います、ハァイ」

 

 デレデレ笑顔のましろと、目をきらきらルンルンに輝かせるルンルンだ。

 

「にじさんじ甲子園のお陰で、まだ野球ができるなんてついてたなあ」

「3年の先輩方ともっと野球ができて、ちょまも嬉しいです」

 

 ルンルンが思い出すのは、夏の大会第一回戦最終打席。1点ビハインド。

 あそこでチャンスをもらい、しかし自分は打てなかった。

 だから

 

「次こそは、一匹のKKとしてフレン監督に勝利を捧げたいです」

「KK?」

「けもの高校生という意味です!ちょまは性別がわからず、DKともJKとも言えぬ身なので」

「そっか!なら僕もDKとして頑張らないとね!」

「ハァイ!」

 

 そう言って、こぶしを合わせる一人と一匹に

 

「ましろさーん!るんちょまー!おいてくよー!」

 

 フレン監督から声が掛けられた。

 集合した全員を前に、フレンが声を挙げる。

 

「楽しんだもん勝ち!そして!楽しんで勝とう!」

 

 帝国立ふれんず学園高校。その熱は冷めやらず。

 

 

 

 宮崎、船舶上にて。

 

「みんなー、具合が悪くなったらすぐ行ってねー、っとと」

「危ないよ、健屋さん」

「ありがと、とうしろー」

 

 バランスを崩しかけた健屋を弦月が支えた。

 健屋が転びかけたのは床の、というか船自体の揺れの為である。

 今、私立梨海高校の野球部員たちは船上にいる。水産科の所有する実習船で、にじさんじ甲子園の会場へと送ってもらう最中だ。

 

「助かるわぁ、宮崎からやとアクセス悪いし」

「ありがたい話ですけど、大分揺れますね」

「遊覧船みたいなわけにはいかんのやろ?普段はこれでアザラシとかクジラとか追っかけてるんやないっけ?」

 

 トレードマークのパンダパーカーを風になびかせながら言う笹木と、手すりにつかまりながらどうにか立っているミラン。

 笹木が言う通り、この船は海洋生物の研究やその実習の為に使われるもので、速度重視で小回りが利き、しかし客船のような乗り心地は期待できない。

 

「けどそれがいいじゃん?風、気持ちいいし」

 

 船首側、風を一番受けるところ立ちながら、五十嵐監督が不敵に笑う。

 

「荒波最高!向かい風上等!がんばるぞ!」

『おーっ!』

 

 風鳴りや波音を押しのける、力強い鬨の声が沸き上がった。

 

 私立梨海高校。意気軒高。

 

 

 

 

 鳥取、英雄アカデミーグラウンドにて。

 

 

 爪と牙、コウモリのような羽に強靭な四肢。そして見上げるような体躯。

 ドラゴンと言う単語から想像されるそのままの姿が、英雄アカデミーのグラウンドに鎮座していた。それも何頭も。

 その威容を前にして、ベルモンド・バンデラスは言った。

 

「これに乗ってくって本気?」

「そうみたいね」

 

 額に汗をにじませるベルに、少し顔をひきつらせたえるが答える。

 本日はにじさんじ甲子園への出発日。本来ならば地球の常識に即した移動手段で向かう予定だったのだが

 

「ABO監督が大トロ握っちゃって……。今から用意できて、会場に間に合う移動手段がこれしか……」

 

 と、頭を抱えて状況を説明するアルス。

 この状況に対して、

 

「あかり死ぬんだ……」

 

 という獅子堂のように絶望する面子がいる一方、

 

「うおおおおっ!かっけえぇっ!」

 

 とテンションを挙げる宇佐美のような者もいる。

 そんな中でただ一人、監督エクス・アルビオは泰然と立っていた。

 やがて皆の喧騒が収まると、背負っていた剣を掲げ

 

「さあ、みんな!行こう!決戦の場に!」

 

 そう宣言したのだった。

 

 

 もちろん、その勢いでどうにかできるはずもなく、後で部員達から散々つるし上げられることになる。

 なお、ドラゴンでの空の旅は結構キツく、しかしどうにか間に合った。

 

 英雄アカデミー。志、凌雲なり

 

 

 

 京都、願ヶ丘高校調理実習室。

 

『ごちそうさまでした』

「うん。では片づけをして、それから出ようか」

 

 恒例の朝の食事会。

 野球部メンバーは手慣れたもので、食器や実習室の片づけを始める。

 その様子を眺めながら、叶監督はこの3年間に想いを馳せる。

 

(立派に成長したな、みんな)

 

 すっかり手慣れた三年組を見て思うのは1年目、ゼロからのスタート。

 剣持はエースピッチャーの実力と貫禄を得た。賭けだった魁星の野手コンバートも、しっかり嵌った。

 他の3年達も、頼りになるチームの柱に育ってくれた。

 

(二年の子達も、しっかり成長してくれた)

 

 天才葛葉を代表として、ピッチャーのレオスや、ここぞという時の切り札であるチグサ。

 みんな、欠かすことのできないメンバーだ。

 

(そして、一年のみんなも少ない期間でよくここまで仕上げてきてくれた)

 

 薄い投手陣を支えてくれる春崎と、投手から一塁手にコンバートして、早速打者としての才能を開花し始めた海妹。

 他のみんなも、着実に実力をつけてきている。

 

(甲子園の栄冠は掴ませてあげられなかったけど……)

 

 だが、掴むべき栄冠はまだある。

 

「叶監督!掃除、終わりました」

「うん」

 

 マネージャー兼代走のリュ・ハリに頷き返し、叶は立ち上がる。

 いつもはこの後練習か午前の授業だが、今日はどちらでもない。

 遠征だ。行く先はにじさんじ甲子園、開催会場。

 

「みんな、バスと新幹線のチケットは持った?

 ――じゃあ、行こうか。栄冠を掴みに」

 

 叶監督の言葉にみんなは静かに頷き――

 

「それはそうと、監督。いい雰囲気出しながら、洗い物さぼったよね?」

「んー、どうだろうなあ」

 

 伏見ガクの追及に、叶監督は笑ってごまかした。

 

 

 私立願ヶ丘高校。目指すは最高の栄冠。

 

 

 

 

 そしてスタジアムに8チームが集い、主催の天開司が宣言する。

 

「野球のじかんだああああああああああああああっ!」

 

 2024年8月10日。誰も知らない最高の物語が、幕を開けた。

 

 

にじさんじ甲子園2024 完。そして開幕。

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