にじさんじ甲子園2024   作:詞連

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ガンバレにじさんじ高校!


にじさんじ高校1年目秋

 9月。夏の頃の熱気が幻だったかのように、グラウンドは涼しく、閑散として、そして寂しげだ。

 そこに、モコモコとしたシルエットが二つ。

 

「負けちゃったな」

「そうですね」

 

 でびでびでびると、黒井しばだ。

 思い出すのは先日の秋大会の第一回戦だった。

 

 

 総力戦だった。

 3年が抜けて、ポジションもギリギリのにじさんじ高校野球部は、格上の秋田高校と戦った。

 春から正捕手として活躍していた社はもちろん、コウとでびはスタメン。コトカも抑えとして出て、しばも代打。リリムも代走を務めた。

 全員で一所懸命に戦った。だが――

 

「もうちょっとだったんだけどなあ」

「チャンスはあったんですよねえ」

 

 よく投げた。よく打った。よく守った。よく走った。けれど、届かなかった。

 

「ボク達、いつになったら勝てるんだろうなあ」

 

 しばは答えられなかった。

 しば達が入学してから、練習試合1回、夏秋と公式試合が2回。勝てていない。勝負にはなっていた。流れ次第では勝てていた。けれど勝てない。

 まるで泥沼に沈んでいるようだ。進めない。それどころかどっちが前かもわからない。

 

 このままずっと、勝てないんじゃないだろうか?

 

 どちらかともなく、そんな言葉が零れそうになった時だった。

 

「お?二人とも早いじゃぁん」

 

 独特の声音と口調。椎名監督だ。

 その手には何かが入った段ボール箱を持っている。

 

「しいなじゃん。お前こそ早くね?」

「監督って呼べよぉ。特訓の準備のためにきたんだよ」

 

 そう言って、彼女はあれこれと道具を取り出し、並べていく。

 その横顔に、悲壮も絶望もない。試合の時は声がかすかすになるまで叫びまくり、負けた時は誰よりも悲鳴を上げていた彼女だ。現状に思うところがないはずがない。

 

「あの、監督は……」

 

 何を言うべきかわからないまま、しばは口を開き、言葉を探し、けれど何も言えない。

 不意に生まれた沈黙。それを破ったのは、椎名だった。

 

「うちら、まだ負けてないから」

「いや、負けたじゃん」

「負けてねえよ!まだ勝ててないだけだぁ!」

 

 やや呆れたようなでびの言葉に、椎名が大声で言い返す。

 

「勝ててないだけであきらめてない!あきらめてないから負けじゃない!」

 

 それは強がりだった。だがその強がりも、信じ貫くなら、それはただの強がりではない。闘志だ。

 

「今はまだでけぇバネ貯めてるだけだから!キャリーしてるだけだから!次こそ絶対勝つぞぉっ!そのための特訓だ!つかお前らも手伝えよぉ」

 

 そう言って、椎名は今日の練習の準備をしていく。その姿を前に、しばとでびは目を合わせ

 

「やるか」

「そうですね!」

 

 頷いて、立ち上がる。立ち上がらなければ、進めない。進まなければ栄冠には届かないのだ。

 にじさんじ高校野球部は、まだ勝ててはないが、負けてはない。




でびとしばのキャラメイクが上手いと思った
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