にじさんじ甲子園2024   作:詞連

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2年以降の女子ホストが今から楽しみでならない。


ギラギラホスト高校1年春

 滋賀県のとあるグラウンドに、野球少年たちの声が響いていた。

 

「ノック入りましたー!」

『ヨイッショー!』

 

 体育会系、というにはどこか違う声と響き。それを球場で上げる者達は、妙にギラギラなユニフォームでいた

 ベースはムラサキ。キャップのつばはラメ加工。

 彼らはギラギラホスト高校野球部員達だ。

 

「スポドリタワー入りまーす!コールおねがいしまーす!」

『スポコウェーイ!』

 

 その光景を、少し離れたところで見る、同じユニフォーム。

 早瀬走。野球部女子1年だ。

 ランニング前のストレッチをしながら、思い出すのは数週間前。入学式の直後だ。

 

 

 ギラギラホスト高校は商業学校だ。接客業、それもホストの育成に力を入れているという異色の学校だ。

 数年前に男子校から共学となり、それに伴い商業科接客専攻――通称ホスト科と、それ以外が誕生した。現状一番生徒数が多いのがホスト科だ。

 その流れの為か、女子生徒の制服も上着はメンズ仕様。下もスカートとズボンの選択制。さらには制服については『改造義務』がある。

 『改造義務』とは文字通り制服を改造する義務だ。1年生は夏休みまでに制服の改造、あるいは着崩し方の確立を義務付けられており、違反した場合指導や補修が申し渡される。

 そんな学校を早瀬が選んだのは単純に近いから。運動は好きだし得意だがプロになる、とか、部活で活躍、とか思ってない彼女としては、自分の好きなアウトドアや他の趣味に使える時間をどれだけ確保できるか、つまりどれだけ家に近いかが最重要だった。

 

(とはいえ、ちょっと失敗したかな)

 

 入学式後、オリエンテーションで改造義務などの校則の説明を受けた早瀬は、今後の学校生活に後悔と不安を覚えていた。

 上手くやっていけるか?楽しくやっていけるか?

 そんな風に考えこみながら歩いていると

 

「やあ、お姉さん?今、暇?」

 

 顔を開けるとホストがいた。

 紫のスーツ。髪も紫系統の色数種類で染め分けた男だ。ただ、ホストと言うには頭にかぶった物が異様だった。

 野球帽だ。これまた紫で、つばにはラメ加工。帽子正面にはスパンコールで作られた、Hの文字があしらわれている。

 

「え、なにこれ?」

 

 周りを見ると、なんと同じような格好――ギラホスのムラサキベースの改造制服に、野球帽をかぶった男達が、早瀬を包囲するように立っていた。

 まさか自分はホストの集団に絡まれているのか?この間やった龍が如くみたいに片っ端から殴り倒さなければならんのか?

 そっと握りこぶしを作った早瀬に、ホストはそっと一枚の紙を差し出した。それは

 

「……入部届」

「野球部、興味ない?」

 

 そう言ってホスト――野球部監督不破湊はウィンクを一つした。

 

 

 

 それが切っ掛けで早瀬は野球部に入った。

 ホストだらけの野球部のノリは、いまだにちょっとついていけないことはあるが、しかし後悔や不安はない。

 

「KEISUKE★は今日も安定してるぅ!LUCA★POGもナイス根性!ROU★もAKI★NYANもイイネー!甲斐田ぁっ!お前はもっとがんばれぇっ!」

「なんで俺だけ!?」

 

 監督の声と、部員達の笑い声と、そして始まる練習。

 一見すればちゃらちゃらしているように見える。だが、彼らの本質はチャラチャラではない、ギラギラだ。

 真剣に勝ちたいと、本気で思っているのが伝わる。

 ギラギラの、勝利への渇望が感じられる。

 

「――さってと、私も走るか」

 

 早瀬は外野。重要なのは走力。そして、走ることは得意なつもりだ。

 早瀬もまたギラギラの闘志を胸に走り出した。

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