旧ブロリーを(比較的)温厚な性格にしたい!   作:伝説のスーパー

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ピピピピ)お気に入り数が200…400…800……ば、馬鹿な!?まだ上がる!? 1200…1600………―――2400!? 
あ、ありえねぇ!!スカウターの故障に決まってる!!

たくさん応援ありがとうございます!!
さらに一晩だけでしたが日間1位にもなれました!!これも皆様のおかげです!
重ねてお礼を申し上げます!!トトカマ星に超サイヤ人が現れましたぁ!!(突然の憑依)


激しさが増していく喧嘩

 見渡す限り山と谷しかない名も無き荒野の惑星は、ある人物によってまるで流星群でも降って来たかのように凸凹にされていた。

 

 その人物とはブロリーである。

 彼は今不機嫌の極みにおり、その怒りのあまりに超サイヤ人となっている。彼の金髪は普段よりも数段逆立っており、正しく怒髪天を衝くとはこのことだと言わんばかりの状態であった。

 彼は怒りのままに気弾を創り出し、何を狙うわけでもなくがむしゃらに放り投げた。計り知れないエネルギーを秘めた気弾は遠く離れた位置にある大山へと向かい、着弾と共にその大山を消滅させた。

 その爆風によって粉塵が巻き上がり、衝撃で地が割れる。その地割れにこの星の数少ない動物たちは飲み込まれていき、尊き生命が散った。

 破壊と殺戮を好むブロリーにとって、その光景は愉快なものであるはずなのに、彼の気分は一向に晴れないでいた。

 

 「ビーナスぅ…ビーナスぅ……!!」

 

 彼は己の妹の名を忌々し気に口にする。

 その名を口にするたびに怒りが増していき、血走った眼で歯をギリつかせると、未だ幼児と形容されるような小さな体から莫大なエネルギーが溢れ出した。

 もしもビーナスがこの光景を目にしていたら、己の名前を絶えず連呼する兄に「気持ちわるっ」とドン引きしていたことだろう。

 

 しかし、ブロリーにとってそんなことは知ったことでは無い。

 1000年に1度の逸材である『伝説の超サイヤ人』として生を受けた彼は、生まれながらにして強者であった。

 赤子の時点で10000という破格の戦闘力に、戦闘をしている限り絶えず成長し続ける無敵の体質、尽きるどころか増えていく無限の気に、卓越した戦闘センスなど、彼を強者たらしめる要素はこれでもかと盛られていた。

 そして、彼はそれを持て余すことなく存分に生かし、この宇宙で絶対無敵な存在として君臨するはずであった。

 実際、彼は幼児の身でありながらすでに素の状態でフリーザ第二形態程度なら倒せてしまうほどの戦闘力を持っている。そこから超サイヤ人になれるので、第三形態までは圧倒することが可能だろう。

 これだけの戦闘力があれば、よほど運が悪くない限り負けなしの人生を送っているはずだった。

 

 だが、実際はそうはいかなかった。

 原因は先ほどからブロリーが呪詛のように呟き続けているビーナスである。

 

 赤子の頃に体験したビーナスとの宇宙空間での戦い、そして、敗北。

 最強であるはずの己が、妹なんかに負けたのだ。己の実力に絶対的な自信を持つブロリーにとって、それがどれほど屈辱的なことか。

 だからその後もビーナスを殺すために、己の最強を確固たるものにするために何度も何度も襲い掛かるも――

 

 ―――敗北、敗北、敗北、敗北、敗北……。

 

 幾度も敗北し、勝利は一度も得ていない。ブロリーのプライドはズタボロだった。

 最強であるはずなのに、常に勝者は自分であるはずなのに、何度も何度も負けを繰り返す己の不甲斐なさと、プライドを盛大に傷つけまくったビーナスに対して、憤怒と憎しみを感じなかった日は無い。

 必ずやビーナスに勝利し、殺してやると、ブロリーは己に誓った。

 

 普通であれば、敗北続きなこの状況ではプライドがぽっきり折れてしまうだろう。

 しかし、ブロリーは赤子の頃カカロットに一度泣かされただけで30年以上憎しみ続け、Z戦士たちを蹂躙出来るほどまで実力をつけた男だ。

 どんな戦績であろうとも、己が最強であると信じ続ける信念と意思は流石であった。

 

 ちなみに、ブロリーはカカロットに対し憎しみを感じていない。いや、正確に言えば、それよりもビーナスが憎すぎてカカロットに意識を傾ける余裕が無いのだ。

 もしも目の前にカカロットが現れたら一瞬で屈辱を思い出し、即座に抹殺するだろう。

 しかし、今ここにカカロットはいない。彼はここ『南の銀河』から最も遠い『北の銀河』にある地球で、孫悟飯と一緒に元気に暮らしている。彼と出会うのは数十年も先のことであろう。

 ゆえに、ブロリーの脳内は悪い意味でビーナスのことでいっぱいであった。

 

 「ビーナスぅ……どこだぁ?」

 

 ブロリーは浮遊しながら目を凝らし、早朝から姿が見えないビーナスを探した。

 何故彼女の姿が見えないのか? その原因はブロリーにある。

 ブロリーは眠りから覚め、寝床から身体を起こすと、すぐそこにビーナスがいたために反射的に殴りぬいた。その手の早さに反応できるはずがなく、ビーナスは何処かへすっ飛んでいき、それ以降帰ってきていないのである。

 普通なら死んでしまったと考えるのが妥当であるが、ブロリーはそうは思っていなかった。

 自分を幾度も負かしてきた妹が、寝起きのパンチ一発でくたばるわけがないと確信していたからだ。ブロリーは無意識的に、自らの妹であるビーナスが同じ『伝説』の名を冠するサイヤ人であることを認め、ある種の信頼を抱いていた。

 あと、ブロリーとしてはビーナスを出来る限り痛めつけてから殺したいので、そう簡単に死なれては気が済まないのである。

 

 「ちっ、かくれやがって…! クズが…!」

 

 ブロリーは一向に姿を現さないビーナスに悪態をつく。

 最近彼女はブロリーから身を隠すことが多くなった。今日のような不意打ちでなくとも、正面からの戦闘が始まった時も何かの拍子でぶっ飛んでいき、それ以降隠密に徹する戦法を彼女は取っていた。

 それにブロリーはいい加減辟易していた。ただ逃げ惑うのであれば滑稽で良いのだが、隙を見つけたとなれば不意打ちをしてきてフルボッコにしてくるのだから質が悪い。

 ビーナスがここまでチキンな戦法を取っているのは、ブロリーとビーナスとでは敗北後の末路が違うからである。

 ブロリーが敗北してもビーナスに彼を殺す意思はないのでそのまま生かされるのだが、ビーナスが敗北した場合ブロリーは容赦なく彼女の息の根を止めるだろう。

 命がかかっている分、彼女が慎重になるのは致し方ないことであった。

 もしも、この光景をサイヤ人の王子が見ていたら「サイヤ人の誇りを忘れたのか?」と彼女を罵倒したに違いない。そして彼女は「一瞬でヘタレになったやつがいうな」と反論するだろう。

 

 姿を現さないビーナスに対し、我慢できなくなったブロリーは手のひらに莫大なエネルギーを溜め始めた。

 

 「フンッ!」

 

 そしてそのエネルギーを薙ぐように放ち、遠方にあった山脈を吹き飛ばした。凄まじい衝撃に星が揺れる。

 ブロリーは音を立てて崩れていく山脈から目を離し、何処にいるのか分からないビーナスを脅迫するために咆えた。

 

 「ビーナス! おまえに戦う気がないのなら、おれはこの星をはかいしつくすだけだぁ!!」

 

 一見、ブロリーが放った台詞はこの星を人質にしてビーナスに戦いを強いているように聞こえるが、本質はそうではない。

 この星は宇宙を遊泳している時に見つけた、何の思い出もない貧相な星だ。これを人質にしたところで、正義の心を持っているわけではないビーナスに響くはずがない。それはブロリーもよく理解している。

 

 ならば何故あのようなことを言ったのか? ブロリーには足りない頭で考えた作戦があった。

 星が破壊されると、当然だが大爆発が起こる。ブロリーやビーナスならバリアを張り、星の爆発を耐えしのぐことが可能だが、彼らの父パラガスはどうだろうか。

 パラガスの戦闘力は9000程、サイヤ人としては上澄みの戦闘力を保持しているが、星の爆発に耐えうるバリアを張ることは出来ない。

 そして、ビーナスはパラガスとの関係は決して悪いものでは無い。危機が迫れば、必ず助けようとするくらいには親しかった。

 

 そう、ブロリーはパラガスを人質に取ったのだ。

 

 パラガスに対する家族間の情はある。しかし、それ以上に、ビーナスに対する憎しみの方が大きかった。

 ブロリーは再度手のひらにエネルギーを集め、今度は地面に向ける。それによって、先程の台詞は決して脅しなどでは無く、本気でやろうとしていることだとアピールしているのだ。

 

 しかし、来ない。

 ブロリーの予想ではすぐに何処かから飛んできて阻止しに来ると予想していたのだが、外れてしまった。

 ブロリーは舌打ちをし、己の手のひらにある行き場を失った気弾を適当な荒野に放った。気弾はドーム型の爆発を起こし、巨大なクレーターを創り出した。

 それによって、荒野の星に本日何度目か分からない衝撃が走る。その地震によって谷が深まり、小山が崩れ、遠方にある火山が溶岩を噴き出した。

 

 ブロリーは再度ビーナスがいないか見渡し、そして、意外なほど呆気なく見つかった。

 彼女は先ほど崩れた小山の裏にいたようで、ブロリーに見つかっていることなど考えもしないで呑気に切り刻まれた具材を鍋に入れていた。

 ブロリーはその光景を見て、プッツンと青筋を立てた。

 

 「ビーナスゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!」

 

 ブロリーは何故ビーナスが料理をしているのかなど考えようとはせず、己の憎しみのままに突撃した。

 彼にとって何故彼女が料理をしているのかなどどうでもよかった。彼女が何をしようと知ったことではない。しかし、己が目を凝らして探している間、彼女は呑気に料理をしていたということが気に食わなかった。

 「舐められている」―――そう思わずにはいられなかった。

 

 ブロリーは全速力で向かいながら握り拳にエネルギーを溜める。その拳を僅かに開くと、その合間からは緑色の光が溢れ出した。

 そしてその気弾をビーナスに向けて放とうとしたその時、彼女のすぐ隣でパラガスが具材を切っているのが見えた。

 それと同時にブロリーは思い出す、少し前、突然現れた男によって待ちに待った食事を破壊されたことを。

 

 「チッ」

 

 ブロリーは拳を握りしめ、気弾を潰す。

 そして、ダイアモンドなど比べ物にならない程硬く握られた拳を、ちょうど鍋に具材を入れ終えたビーナスの顔面に叩き込んだ。

 凄まじい衝撃が走り、鍋が吹っ飛びそうになるのを、ビーナスがキャッチする。

 見れば、彼女はいつの間にか超サイヤ人となっており、ブロリーの鉄拳を手のひらで受け止めていた。

 

 _

 

 「兄さん、TPOぐらいわきまえたらどうなんだ」

 「てぃーぴーおーってなんだ?」

 「…まぁ、そうだよね」

 

 俺はブロリーの結構純粋な疑問に苦笑いした。

 すると、その苦笑いを彼は嘲笑と受け取ったらしく、ただでさえ鬼のような形相が般若のごとく歪んだ。

 その形相を隣で見ていたパラガスはこの先に起こることを予知し、「ひ、避難だぁ」と言って何処かへ隠れて行った。

 その間にブロリーは俺の胸元へ向かって重いキックをお見舞いし、俺は何とか腕で防ぐことに成功したもののその衝撃を受け流すことが出来ずに吹っ飛ぶことになった。

 

 だが、好都合だ。あそこで戦っては折角出来かけていた料理が散ってしまう。ついでにパラガスの命も散ってしまうだろう。こうやって吹き飛ぶことで、戦場の位置を変えることが出来た。

 ただ、その代償として腕の骨に深いダメージが残った。恐らくだが、ヒビが入っているだろう。

 

 そうして腕のダメージを確認していると気弾が飛んできたので、俺は咄嗟に気弾を撃って迎撃する。

 気弾同士がぶつかり合うことで爆発が起こり、煙が巻き起こった。

 その煙から凄まじいスピードでブロリーが飛び出し、拳を突き出してくる。俺はそれをかろうじて避け、ブロリーの目に向かって指を突き立てた。俗にいう、目潰しである。

 ブロリーは防衛本能のままに目を瞑り、その隙を狙って鳩尾を突く。

 鳩尾は人体の構造上絶対に鍛えることの出来ない弱点。ブロリーは非常に頑丈な肉体をしているが、格下がやるならともかく同格の存在に鳩尾を突かれれば決して低くないダメージを負わせることは可能であった。

 ついでに金的も狙うことも考えたが、元男として流石に可哀想に思えたのでやめておいた。

 その代わりに腹部に蹴りを食らわせ、彼の身体がくの字に曲がって顔が突きでたところにアッパーカットをお見舞いし、打ち上げられたブロリーに向けて極太のビームを放った。

 

 凄まじいエネルギーがブロリーを襲う。

 普通ならこれで塵一つ残さず消し飛ぶほどの威力だが、ブロリーはダメージこそ負っているものの五体満足のまま存在している。

 そして、彼はビームの中で体勢を立て直し、あろうことか、莫大なエネルギーに焼かれながらその中を直進して勢いのまま俺の顔面を殴りぬいた。

 

 「ぐあっ!?」

 「おまえだけは絶対にゆるさんッ!!!」

 

 その拳によって俺が怯んだところを彼は逃さない。

 彼は俺の幼女にしては少しごつい腕を掴み、動けなくなったところに拳を叩き込む。骨が軋み、数kmも吹っ飛んでしまいそうなほどの衝撃は、彼が俺の腕をがっちりと抑えているために腕や肩の負担となって現れ、激痛の信号が脳へと送られる。

 そのあまりの痛みに悲鳴を出しそうになるも、そこにブロリーは追撃をしかけ、結果俺の喉から出たのは無理矢理押し出された胃液であった。

 

 身体にダメージが蓄積されていくたびに、俺の脳裏に「敗北」の文字が浮かぶ。そうなれば終わりだ。

 脱出しないとまずい!

 俺はブロリーの顔に向かって気弾を放つが、ダメージが入っているにもかかわらず彼の握る力が強くなるだけであった。血管がブチブチと潰れる音が聞こえてくる。それでも、俺は片手ながらも某王子のように気弾を連射してブロリーの頭を揺らし続けた。

 しかし、離れない。絶対に離すものかと、ブロリーは握力を高め続けていた。

 

 再度抵抗を試みようとしたところ、突然ブロリーが俺の腕を握ったまま地面に向かって急降下し始めた。

 そしてその勢いのまま俺をクッションにして地面に叩きつけ、巨大なクレーターを作り上げた。

 全身が砕けるような衝撃が俺を襲うが、だからといって、ブロリーの猛攻はまだまだ終わらない。

 

 「ここがおまえの死に場所だぁ!!」

 

 ブロリーは空いた手に気を集結させ、俺に押し当てる。

 その気は俺の身体へ浸透しきると、体内で暴れ狂った。そして、その暴走は大爆発となって現れ、俺とブロリーは破壊の荒波に飲み込まれた。

 その爆発はキノコ雲を生み出し、遠い場所まで避難していたパラガスを爆風で転がした。 

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 俺は息を切らしながら、自分が死んでいないことに安堵した。とてつもない爆発の中心にいたというのに、未だに五体満足で生存できているのは流石サイヤ人の身体だと言う他ない。服は無事では済まなかったようで、ほぼ半裸だが。

 あと、どうやらブロリーは腕を離してくれたらしい。先ほどまで掴まれていた腕を見てみれば、酷い内出血が起こっており、彼の手形に赤黒く染まっていた。軽く動かしてみると強い痛みが走ったが、脳内で分泌されたドーパミンがその痛みを中和させた。

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 危なかった。あのまま腕を掴まれていたら負けていたかもしれない。

 どうやらあの爆発でブロリーも吹っ飛んでくれて、たまらず手を離したようだ。自爆してまで俺に勝ちたかったのだろうか? 

 だが、正直、あのまま腕を掴んでいたほうが勝率が上がったと思う。やはりIQ26か。

 

 ふと、空を見上げると、先程までは晴れ模様だったのに、暗く深い雲が空を覆い、雷が絶えず迸っていた。

 この空模様を知っている。これは、星が爆発する前兆だ。

 どうやら、ブロリーが起こしたあの爆発の衝撃は星の中核まで届いたらしい。周りを見てみれば、至る所から溶岩が噴き出していた。

 

 「フゥー…フゥー…」

 

 しかし、息が中々整わない。ブロリーの猛攻は俺に大きなダメージを与えたらしい。

 おかげで体の動きが鈍く―――なることは無く、むしろ力が溢れかえっていた。まるで、バケツのそこからどんどん水が湧いてきているかのようだ。

 そうだ、この感覚は…。

 

 「気が高まる…! あふれるぅ…!」

 

 思考を遮るようにブロリーがそんな台詞を吐き、俺は共感した。

 そうだ、気が高まるのだ。自分の器の限界を無視して力が湧き続け、それに対抗して器は大きくなり続けるが、それでもなお溢れてしまうような、加減を知らない無制限の強化。自分の可能性が無限に広がり続けるのではないかと思える万能感。

 俺の中の人間の意識が薄まり、サイヤ人としての自己が色濃くなっていく。ああ! この溢れる力と万能感に突き動かされるままに好き勝手暴れてしまいたい!

 そんな衝動に駆られるが、俺は深呼吸をしてその欲望に蓋をした。湧いてくる力に吞まれてしまってはいけない。自己を平静に保たなければ。

 彼を教育し、性格をMADレベルにまで温厚にする。そのためには、俺はクレバーでなければいけないのだ。

 俺のIQは26じゃない、100だ。そう心の中で宣言し、頬を思いっきり叩いた。

 

 ブロリーを見据える。

 彼は溢れる気に呑まれ、今にも暴れたそうに身体を痙攣させている。彼の欲望が爆発するのも時間の問題だろう。

 この星もあと数時間の命だ。時間をかけている暇はない。一刻も早くパラガスを探し出し、この星から離れなければならない。

 …一応、和平を提案しておくか。

 

 「兄さん、この星はもうじき爆発する。続きはあとにして、今は脱出しよう!」

 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 「っ! だよね!」

 

 凄まじいスピードで突貫してくるブロリー。

 俺は彼と自分の間にある地面に向けて気弾を放ち、爆発させた。そして発生した爆煙をブロリーは怯むことなく突っ切るが、その先に俺の姿は無い。

 俺はすでに彼の側面へと回っており、その無防備な横顔にパンチを食らわせた。

 ブロリーは吹っ飛ぶがすぐに足を突き刺してふんばり、怒りに満ちた顔で俺を睨みつける。

 その間に彼の周りに複数の気弾を放って爆煙を発生させ、再度彼の視界を制限させた。

 俺は上空へ気弾を放ち、煙の中へ突撃する。その音を聞いたブロリーが拳を振るうが、それを避け、彼にカウンターをお見舞いした。

 それだけで終わらせず、煙の中で殴っては離れ殴っては離れのゲリラ戦法を食らわせた。ブロリーも負けじと拳を振るうが、その度に避けてカウンターを食らわした。彼の拳の風圧で煙が晴れるが、その度に地へ気弾を撃って煙を補充した。

 こうも一方的な殴り合いが成立するのは、ブロリーに気を感じ取る技術がないからである。視覚情報に頼っているため、煙があると上手く俺を捉えられないのだ。それでもしっかり俺のところに拳が飛んでくるので彼のセンスは恐ろしい。

 俺はというと、一応気を感じ取る技術を持っているのだが、最近始めたことなので近距離の気しか感じ取ることが出来ない。そのため、遠距離にいる敵の存在を感知することは出来ないのだが、今のような状況においては絶大なアドバンテージとなる。

 

 殴られて、殴られて、反撃をしようにもそれを利用されてまた殴られる。その一方的な攻防にブロリーはたまらず空へと飛び出した。

 しかし、飛び出した先には巨大な光の玉が待ち構えていた。

 それは俺が煙に突撃する前に放った気弾である。それをゲリラ戦法をしている合間にも定期的にエネルギーを送り、ブロリーに十分なダメージを与えるものに仕上げたのだ。

 それを彼も分かっているのか、即座にそれに向き合い、腕を突き出して押し返そうとした。

 

 だが、ブロリーは分かっていなかった。上空の光の玉を押し返さんと向き合うということは、俺に背を向けるということだと。

 

 俺はブロリーに飛び掛かり、彼にチョークスリーパーを仕掛けた。

 上空の光の玉に完全に気取られていたブロリーは対応が追い付かず、ぎっちりと首を絞められることになった。

 完全に決まったチョークスリーパーからは抜け出せない。それはサイヤ人であろうと同じ事である。

 ブロリーは精一杯の抵抗として己の尻尾を俺に打ち付けるが、この腕を解くつもりはない。むしろ、彼が尻尾を打ち付けるたびに、俺は腕に力を込めて彼の首を強く締め付けた。

 

 「ガッ…ア…ッ…!!」

 「ふふ、今回も私の勝ちみたいだね」

 

 耳元でささやかれた言葉を聞いて、ブロリーの目がこれでもかと見開く。

 

 ―――ビーナスが勝つ? 俺はまた負けるのか?

 これで何度目なのか。妹なんかに、何度負ければ気が済むのだ。

 ふざけるな。ふざけるな! 俺は最強だ。相手が誰であろうと負けるはずがない。俺のプライドを傷付けるような輩は、この俺が殺してやる!!

 

 もだえ苦しみながらも、ブロリーは拳を硬く握りしめた。

 

 この時、ブロリーは次の段階へ進化するための条件を達成した。それは、『激しい怒り』と『一定以上の戦闘力』である。

 前者はとうの昔に達成している。自身の妹に対し、憤死してしまいそうなほどの怒りと憎しみを抱いて来た。

 そして、今、後者の条件も達成した。ただのサイヤ人なら血反吐を吐くような修行を積み、瀕死からのパワーアップを繰り返すことによって何とか達成できるものだが、彼は『伝説』の名を背負うサイヤ人である。戦っているだけで戦闘力などぐんぐん上がっていくのだ。

 そうして、ブロリーは新たな扉を開ける『鍵』を手に入れた。その扉は、普通のサイヤ人では『鍵』を持つことすら許されないものであり、1000年に1度の逸材のみが持つことを許された道であった。

 この扉を開ければ、より強くなれる。ブロリーは本能的にそう理解し、何も躊躇うことも無く、その扉に手をかけた。

 

 突然、ブロリーの気が増大し始めた。

 

 「なっ!?」

 

 俺は驚愕した。

 これはただのパワーアップじゃない。『伝説』の冠を持つサイヤ人は戦えば戦うほど力が増すという体質を持っているが、これはその比ではない。生物として一皮剥けるような、劇的な変化が起きようとしている。

 間違いない。この男は、新たなステージへと昇ろうとしている! 宇宙が恐れた、サイヤ人の『伝説の権化』に!!

 ここで止めなければ、俺はブロリーに圧倒的なまでの差をつけられてしまう!!

 

 俺の予想通り、彼の身体に変化が起き始めていた。

 溢れんばかりの気はもちろんのこと、幼児とは思えないほどに筋肉が膨れ上がってきている。腹筋は綺麗な6パックに割れていき、胸板は大人を彷彿とさせるほどに立派な物へと成長していく。

 そして何よりも、彼の金色の髪の毛が、緑色に染まっていっているのだ。

 

 「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

 

 彼の瞳から理性の光が消え、今まさに『伝説の権化』が君臨せんとした瞬間、ブロリーと俺は恒星が如き光玉に包まれた。

 

 

 「ぜェ…ぜェ……げほっげほっ…!」

 

 俺は気絶したブロリーを引きずりながら、何とか巨大なクレーターの中から這いずり出た。

 俺の身体はボロボロだ。どこもかしこも骨が折れているし筋肉は断裂しているし内出血だらけだしで、見た目はほぼ死体と変わらない。いや、動いているからゾンビか? どうだっていい。

 ただ、どうやら、何とか俺の勝利で終わったらしい。

 

 今にも覚醒しそうだったブロリーを何としてでも倒すため、俺は上空にあった巨大な光玉を落とした。それも、確実に倒すために追加でエネルギーを足して強化したものをだ。

 自分の身も危なかったが、ブロリーを倒すためになりふり構ってはいられなかった。一応、光玉が衝突する時にブロリーが盾になってくれたおかげで、比較的ダメージは低く済んでいる。

 まったく、俺を殺すために自爆したブロリーを蔑んでいながら、結局俺もブロリーを倒すために自爆しているじゃないか。人のことを言えないな。

 

 いや、そんなことは考えている暇はない。

 もうすぐこの星が爆発しそうなのだ。それも、確実に俺の光玉のせいで爆発までの時間が縮まっている。

 はやくパラガスを見つけて、この星から脱出しないと…。

 

 「くっ…ぅ…」

 

 ダメだ。もう鼻くそほじる力も残っちゃいない。

 万全な状態ならともかく、こうも疲弊していては星の爆発に巻き込まれて死んでしまう。このまま、俺たちはこの星と共に死ぬのだろうか?

 

 意識が薄れていく。何とか自分を鼓舞しても、身体は正直なようで今すぐ休息を取るよう訴えかけてくる。このまま休憩したら、そのまま目を覚まさないというのに。

 動け、身体。そう何度も念じるが、もう身体は反応しない。

 

 「ク…ソ………が……――――え」

 

 もうほとんど開いていない瞳は、パラガスが肩パッド付きの戦闘服を着た宇宙人を引き連れて駆けつけてくる姿を目の当たりにした。

 そしてその光景を最後に、俺は耐えきれず意識を失った。

 

 

 

 




おや ? ぶろりーの ようす が ?
ビーナス「bbbbbbbbbbbb……」
ブロリー「ンン゛ん゛ん゛!!!ンンンンンンンンンンンンン”ン”ン”ン”!!!!!」

現時点でのブロリーの戦闘力は500万くらいで、超サイヤ人込みなら2億5000万。
ビーナスは490万くらいで、超サイヤ人込みなら2億4500万です。
え? 思ったより低い? まだ4歳やぞ。

肩パッド付きの戦闘服……一体何ーザ軍の兵士なんだ…。

承認欲求が高まる…!! 溢れるぅ…!!!

展開のスピードについて…

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  • 普通
  • ウスノロ…
  • さっさと映画まで行け
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