機動戦士バイファム   作:EINGRAD

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第一話 接触

 宇宙世紀0078年、サイド3に存在するザビ家は地球連邦政府に対し宣戦を布告すべく戦争準備を進めていた。

 この時代、地球上に暮らす人類の数よりもスペースコロニーで暮らす人類の数が勝っているにも関わらず、連邦政府は地球上から宇宙を支配し経済規模で勝るスペースコロニー群を武力と経済で縛っていた。

 低迷するスペースノイドの経済圏と倦怠感が地球連邦政府に対する不信感として蔓延していた。

 人類は生き残る手段として月軌道上に存在する人工の大地、スペースコロニー群を建造し宇宙の広さ、天文規模では狭い月軌道周辺に留まっている地球圏に人口爆発によって増えた百億人もの人類が存在している。

 それ以上の発展が頭打ちになっている現代地球は独立した国々の垣根を越えた地球連邦を組織して人類の文明を存続させているが、その先行きは未来への展望が見えない物となっていたのだ。

 天才的な頭脳を持つサイド3のギレン総帥は国民の生命の展望を考えたが、どう思考しても地球圏全体の発展が破滅に向かっている事は明白だったのだ。

 よって彼はサイド3とその住民を神聖化し、より良く宇宙に適した進化した存在(ニュータイプ)であると定義し、人類の数を減らす事で地球圏再発展の余地を作り出そうとしていた。

 そもそも宇宙にスペースコロニーと云う人工の大地を創り出し宇宙移民を始めたのは地球環境の極端な悪化により人類の滅亡が目に見えていた事と、母なる大地の再生を願いエコロジー思想が共通認識となっていた宇宙世紀以前の人類が善意によって地球から離れる事で地球環境の再生を推し進める一大事業であったのだ。

 だが宇宙世紀も80年を数える頃には連邦政府の崇高な意志も腐敗による特権階級の台頭によりその前提が崩れてしまった。

 勿論、ジオニストであるギレンも相応の野望を抱いており、人類の行く末を管理しザビ家の支配の確立を目指しているのだが、その思想の根幹は善意による宇宙移民を始めとした地球環境の回復であり、地球上から人類を追い出す事を最終目標としていたのだ。

 人類はギレンほどの天才の頭脳を以てしても対策を立てられない程、ギリギリまで追い詰められていた。

 転機が訪れたのは開戦を翌年に控えた宇宙世紀0078年9月、開戦劈頭の主戦力として用意された巨大な人型の機動兵器モビルスーツ・ザクⅡの量産が進み、パイロットの養成と配備訓練も秘密裏に行われた。

 だが、その状況が一変する出来事が発生した。

 この時代、地球圏を支えるエネルギーであるヘリウム3の採取に木星圏への進出が始まっていたが、それ以遠の太陽系は未開発でありその予定も無かった。

 なので、外太陽系から惑星間航行速度で地球圏へと複数の未確認物体が編隊を組んで近付いてくる事が天体観測所から報告された時、連邦政府は対応を決め兼ねた。

 その当時の各惑星の位置からして、木星は太陽を挟んで正反対の場所に位置していたし、直接接触出来る位置に人類の宇宙船は存在していなかった。

 よって帰還途中の木星船団の護衛に就いていた連邦宇宙軍のマゼラン級戦艦ゲイバッハに燃料タンクを増設した上でサラミス級巡洋艦2隻をブースター代わりに接舷させた上で初期加速を得、地球→金星→火星とフライバイさせ重力カタパルトを用いて予想軌道上で待ち受けて追い抜かれる時間に接触を図る計画を立てた。

 勿論大加速したマゼラン級戦艦ゲイバッハは小惑星帯までぶっ飛んでいった挙げ句、帰還に1年以上掛かる惑星間軌道を取る事になるが推定異星人とのファーストコンタクトを取る為にこの任務に就いた。

 初期加速から耐用Gギリギリのストレスを受けたが、頑丈な戦艦の艦体はこれに耐えて三つの惑星を用いて加速を続けて火星と地球の中間宙域で、尚自分たちよりも速度の速い未確認飛行物体の編隊と接触する事に成功したのだった。

 マゼラン級戦艦の余裕のある艦橋には緊張感が漂っている、過去から想像上では数多くの宇宙人=異星人の姿があったが漸く本物の姿が拝めるのだ。

 接触方法であるが、連邦政府麾下の研究組織では異星文明に於いても電波による交信方法は確立されている可能性は高く、第一にアナログ通信波を用いた電波通信を試み、ダメならば第二に光を用いてと言われていたがモールス信号を理解出来るのだろうかと。

 通信士が艦長に声を掛ける。

 

「艦長、そろそろ通信可能距離に入りますが」

「うむ、通信を入れてくれたまえ」

 

 そう言うと艦長は自席のマイクのスイッチを入れ、通信士は地球文明での標準的な通信波長を中心に幾つかの波長のアナログ通信電波を発する様に通信装置を設定した。

 

『こちら地球連邦宇宙軍所属艦ゲイバッハである、地球圏へと接近しつつある貴艦の所属と名称を答えられたし。繰り返す、』

 

 厳粛な声でそう誰何を続ける艦長であったが『君の宇宙語は分かりづらい』等と返って来ないか心配しつつも返信には期待していなかった。

 しかし、スピーカーからは予想外の音が聞こえてきた。

 

『あれ? なんか通信が入ってる、スコットさ~ん、ローデン大佐じゃない所から音声通信が入ってきてるんだけど』

 

 まるで変声期に入ったばかりの様な少年の英語がスピーカーから流れてきた。

 予想外の反応に思わず絶句してしまった艦長だが、呼びかけを続ける事とした。

 

『こちら地球連邦軍所属艦のゲイバッハだ。返答を乞う』

『やっぱりだ、スコットさーん』

『どうしたんだフレッド、ローデン大佐からの通信じゃ無いのか?』

『これ軍用通信じゃ無くて一般艦船用の周波数です。地球に近付いてきたから色々電波を拾っていたらこちらに呼びかけているのが聞こえてきたんですよ。しかもデジタル通信じゃ無くてアナログ通信みたい』

『ふーん。まあ基本的な通信方法だし。アマチュア無線と混信したとか』

『一応連邦軍って名乗って通信してきているから。返信どうします?』

『うーん、音声だけじゃなあ、映像通信に切り替えられないか確認してくれないか』

『了解です。こちら地球連邦所属艦ジェイナス号です』

 

 通信の先から聞こえてきた『地球連邦所属』の言葉に驚いたゲイバッハの艦長だったが、兎に角も接触する事が必要な為に返答を返す。

 

『こちら地球連邦宇宙軍所属のゲイバッハだ。映像の件は了解した。これより映像信号を流すので切り替えて欲しい』

『あ、いけない聞こえちゃってた、ジェイナス号了解です』

 

 ゲイバッハの艦長が通信長に合図するとVHF周波数帯に艦橋内の映像を流し始めた。

 地球連邦の艦は無重量状態でも身動きが取りやすい様に床や壁にマグネット吸着用の素材が使われていて、天井まで2.5メートル位の高さしかない。

 太陽から地球までの距離では太陽から吹き付ける放射線の量も膨大であり、基本的に宇宙船内でも宇宙服を着る事が推奨されている。

 まだノーマルスーツと云う名称は無いが、分厚い船内服を着用した艦橋内のスタッフは無重量状態でフワフワと浮き上がる身体をシートに押さえつけながら天井近くに設置されたモニターへと視線を向ける。

 

「さて、外宇宙から来た訪問者達の姿形は如何なものだか。予想の斜め上になりそうだ」

 

 艦長が期待に胸を膨らませて待っていると艦橋内のメインモニターにカラーパターンが表示され、画像表示器で自動調光された画像が浮かび上がる。

 高さが3メートルを超えるブリッジの中央に統制官用の座席があり、両脇に階段が数段ほどあり、奥が通路になっていた。

 手前は低くなっていて各種オペレーター用のコンソールが数席左右に広がっていた。

 中央の席にはハイティーンの少年が、手前のコンソールにはよく見てもミドルティーンの少年少女達の姿があった。

 どういう事かと見守っていると奥の通路から幼児2人が歓声を上げて廊下を走って現れ、直ぐにタオルを抱えた少女が2人の後を追って走ってきた。

 

『こらっ! マルロ、ルチーナ、髪の毛をちゃんと拭かないと風邪引いちゃうわよ』

『えーメンドくさいよぅ』

『あー、クレア、今から地球の艦長さんと通話するから、ふたりをカメラに入らない所に連れて行って貰えないかな』

『あら、いけない。マルロ、ルチーナ、こっちに行きましょう』

 

 ハイスクールに入ったばかり位の少女が2人の幼児に声を掛けるが、船長席に座った少年の言葉に反応したのかカメラの方に振り返り大きく手を振り始める。

 

『あ、ホントだ。ちきゅーのおふねのかんちょーさんだ。マルロはねーマルロ・ジュニア・ボナーって云うんだよ』

『アタシはルチーナ・ブレシェット。5しゃい』

 

「私たちは地球のホームビデオかSF映像でも見せられているのか?」

「子供が床を走ってますね。宇宙で」

 

『あのー、あの子達がすいませんでした。地球の宇宙軍のお迎えで良いんですよね?』

 

「しかも即応してるぞ? CGのグラフィックじゃないのか?」

「いえ、アナログ映像ですし、ありえません」

「だが、遠心力を用いた疑似重力ではないし、本物の重力制御が可能になったなんて話は聞いた事が無い。やはり外宇宙の文明なのか」

「可能性は否定出来ません、が、今は接触を開始しなければ」

「うむ、そうだな」

 

 無重量状態の宇宙船の中で床に立って走る事などマグネットブーツを履いていても出来る事では無いのだ。

 しかも風呂上がりで薄着と云うおまけ付き、幼児が無重量状態でシャワーなど浴びれば警戒してても窒息案件だと云うのに。

 この後、彼の少年こそがこの外宇宙練習艦ジェイナス号の艦長職を勤め上げ、『異星人(アストロゲイター)』からの侵攻からの避難に成功した人物だと知り驚いたり、同行している地球連邦宇宙軍(ゲイバッハの所属する連邦軍とは別組織だった!)の外宇宙駆逐艦レーガンの艦長ローデン大佐と接触し、政治的にキナ臭い地球圏で最も辺境であり連邦政府の手が伸びているサイドセブンへの寄港を促したりした。

 もっとも宇宙戦艦ゲイバッハは重力制御機構を有しない為に惑星間航行速度からの減速に適した惑星位置に無かった為時間を掛けて減速しつつ小惑星帯の太陽辺縁まで行かねばならなかったので、ここで彼らとの接触は終了した。

 接触自体は非公開であったが、事は遮る物の無い宇宙空間での事である、現代よりもクリアーな観測状況を有するアマチュアの天文観測家達によって光学的に補足されていて朧気ながらも写真に撮られて国際天文機関やインターネット上のサイトで公開され、外宇宙からの訪問者がサイド7へと訪問した事はニュースとして報じられていた。

 サイド3による宇宙戦争を企図していたギレン・ザビは異常なまでにこの事に関心を示した。

 ザビ家どころかサイド3守備隊改めジオン軍としての意識を固めていた彼らに対して、最優先事項として戦争スケジュールの即時停止がギレン・ザビ直々に総帥命令で通達された程である。

 これはジオン軍兵士達に於ける士気の低下と政治的に無視出来ない混乱とを齎した。

 勿論これには彼の妹弟であるキシリア・ザビ、ドズル・ザビも血相を変えてジオン公国(予定)総帥府に詰めていたギレンに面会を申し入れずに押し掛けた程である。

 

「どういう事ですか総帥。今更怖じけついたとでも云うのですか。我々ザビ家は地球連邦政府を打倒して新しい世界を支配する義務があるのです。地球人類の統制を図ると云った貴方の理想はあんなデマに踊らされるほど小さい物だったのですか!」

「そうだぞ兄貴。地球圏はもう保たない、百億もの人類は地球圏には重すぎる、と云っていたのは兄貴じゃないか」

 

 叱責にも似た口調の2人の言葉にギレンは重々しく呟いた。

 

「ああ、そうだ。百億、地球圏を衆愚の最たる連邦政府が百億もの人間を支えて行くのは不可能だと私は判断した。いや、連邦以外の力を以てしても、どう言う算段を以てしても地球圏には百億人もの生存は許されないと判断した。そう判断せざるを得なかったのだ。ならば健全たる文明国家の運営を未来永劫続けるにはその数を減らす以外の道は無いじゃ無いか。だから私、ギレン・ザビは決意したのだ。衆愚政治の連邦政府は民主主義の基本的人権の順守以外の道は取れない、それが偽善であると分かっていても最後まで、地球が人類の重さで潰れる迄その道をとり続けるだろう。ならば私が決断し、無駄な人口を粛清し、その罪を背負っても構わないと覚悟を決めたのだ」

「ならば兄上、もしやあのデマ、地球外生命体との接触に成功したという与太話を信じるとでも」

「私が入手したのは重力制御と恒星間航行技術を有するSI単位系に立脚した技術体系を元にした文明との接触に成功した、と云う事実だ」

「それは・・・誠ですか」

 

 キシリアは怪訝な顔を浮かべる、過去に存在した文明は基本的に長さや重さの単位はそれぞれが千差万別に設定されていた。

 連邦制を敷くまでのアメリカ合衆国は最後まで独自の単位を守り貫いていたし、寧ろ違う文明で共通した単位系が存在するのはグローバル化が進んだ国際社会だけであり、その結晶たるSI単位系を持っていると云うのは地球の文明であると云う証拠になるのだ。

 

「ああ。しかも笑える事に人型の機動兵器まで持ち込んだと云うじゃないか。既に連邦軍もモビルスーツ有用性に気付いたと云う事だよ。我々よりも進んだ技術を持つ存在が我々が持つ冗談の様な作業機械の軍事的価値に気付いている。今までは我々のモビルスーツの存在を笑って無視してきた連邦軍も本腰を入れて対抗手段を取っている、そんな情報が入っている。レビル将軍が中心になっている様だな。その人型兵器、ラウンドバーニアン・トゥランファムの量産計画の前座として、現地球技術による人型兵器開発計画・V計画が発動されたらしいな」

「ですが、ミノフスキー粒子の持つ戦略的価値までは理解が及んでいない可能性はあります。今ならば連邦に一泡吹かせる事が」

 

 キシリアはジオンの技術が通用しなくなる前に電撃的な作戦によって地球圏の支配を実行すべきと強硬論を叫ぶ。

 しかし、ギレンはそれを肯定しつつも、新たな視点を以て今後の新たな指針を指し示す。

 

「出来るだろうな。しかし、恒星間航行が可能になれば、百億人と云う数は別の意味を持つ。分かるかキシリア」

「いえ、分かり兼ねますが」

「恒星間航行が可能になったとして、スペースオペラの様に物資の行き来が可能になるのは数百年後の事だろう。本来ならば恒星間航行は亜光速を以て他の星系へ移動し、そこの資材を用いてスペースコロニーを中心とした拠点を設け、次の恒星系へと羽ばたいて行く。ラリー・ニーヴンのノウンスペース・シリーズの様な世界観だな。だが、超光速航行の技術が齎された結果に於いては一つの星系に中継基地を築けば次の星系へと探索が可能なのだ。本来ならば近場に人類が生存可能な惑星の存在があるとも限らない以上テラフォーミングが済むまでは惑星軌道上にスペースコロニーを築き、星系国家を維持する事になる筈だった。それを超光速航法が打ち破ったのだ、人類の足は飛躍的に伸びたのだ。そして数百光年の彼方であろうとも原子は原子、物質としての資源は太陽系と変わらない以上小惑星帯があればコロニーの建造は容易でそのノウハウも確立している。宇宙開発は可能なのだ。だが一つの星系を中継基地として開発するには最低でも一億人は必要だと考えられる。そして残念ながら百の星系を開発したとしても成功率は良くて三十%が良い所だろう。つまり、現在の地球圏に住む人口の百億人では開発資源としての数が足りないのだ。今から千年後の人類の生存の維持にはな」

 

 天才の口から語られる壮大な構想は、現実主義のキシリアには多少胡散臭くも感じられた様だが、大凡の方針は理解した。

 ひとつ息を吐くと、渋々とであるが頷いてギレンに同意する。

 

「机上の空論、捕らぬ狸の何とやらと云う感じもしますが。そうですか、連邦が。して、連邦のモビルスーツの性能は如何ほどの物で」

 

 キシリアがまだ開戦の可能性にすがり問うと、ギレンは報告書をペロリと捲り確認を取る。

「ラウンドバーニアン、略称はRVと云うらしい。エネルギー源こそ燃料電池だが、機動性も性能も我が軍のザクⅡに匹敵か凌駕する物を持っているらしい。我が軍のモビルスーツがアンバックで軌道変更用の燃料を涙ぐましい努力で節約しているのに、機体各所に設けられた可動式バーニアを用いてアンバックは補助として用いられている、らしいな。そして主機である燃料電池ならば、今の技術でも宇宙ポッドに使用されている物がある。リバースエンジニアリングが容易であるし、連邦の技術力があれば開発は容易だな」

「ふぅむ、我が軍のモビルスーツの主機はイヨネスコ・ミノフスキー式の核融合炉です、出力は我が軍が有利の筈。ならば国力の差がある連邦の機先を有するのは今しか無いではありませんか。再考なされる気はございませんのか」

「クドいなキシリアよ。そして、再考する気は無い。むしろ率先して外宇宙開発のイニシチアブを取るべきだ。モビルスーツの技術は外宇宙開発に確実に役立つ。我らが率先して星系開発に取り組めば、宇宙に広まった人類の数百年後の社会はザビ家の影響を受けた勢力が大半となる。この社会事業に我々は積極的に働きかける価値が存在するのだ」

 

 詰まる所、彼はザビ家としての野望を捨てた訳では無いのだ。

 地球圏の支配者は連邦政府に任せ、自らは外宇宙開発に邁進して影響力を行使し、数百年後の覇権を狙っていたのだ。

 この大幅な計画変更はザビ家の兄弟で大きな影響力を持つギレン、キシリア、ドズルの間で共有されたのだが、今まで地球連邦政府に向けた政治的影響はトップが方針変更したとしても容易に変わる訳では無い。

 寧ろ手綱を離れて連邦に歯向かう勢力をこそ警戒すべき状況ではあった。

 なので、暴力装置である軍隊の指揮を執るドズルは面倒な状況に頭を捻りながらもギレンに宣言する。

 

「俺は兄貴がそう決めたのならそれに従うまでだ。宇宙攻撃軍の手綱は任せてくれ」

「私は・・・悪いが兄上の話を鵜呑みには出来ませぬ。連邦がこちらのモビルスーツの実力を知り、それに伴う軍事計画に気付いていると云うのであれば、連邦対する警戒態勢は続けておきますぞ」

「ああ、だが、こちらから連邦に仕掛けるのは無しにして貰おう。全てのモビルスーツはサイド3の宙域中に留めて置くのだ。少し、考慮が必要な案件がある」

「それは」

「今は何とも言えぬ、が、『彼ら』は敵との交戦から逃れてきた避難民と云う情報もあるのだ」

「敵、ですか。敵対する社会勢力が」

「・・・もしも異星人だったら、とは考えられないかな」

「バカバカしい。SF物語ではあるまいし、現実味がありませぬ」

「そうだな。我々の常識ではそう考えるのが正しい」

 

 ギレンはそう漏らすと頷いた。

 

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