機動戦士バイファム   作:EINGRAD

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 この話はおふざけ回です。
 出て来る登場人物は元の世界との関わりは持っていません。
 軽い気持ちでお読みください。

 何でこんな話を書いてしまったか→思いついてしまったから書いてしまいました。

 ここは宇宙世紀であってスパロボ世界ではありません。


第九話 健診

 この時代、一度宇宙に上がった民衆が地球へ降りる事は許可が必要で有り、ビジネスで一時的な滞在は認められる事はあったがほとんどは郵便とネットで行政手続きまで可能となっている事から連邦役員や政治家、そして軍人ならば兎も角、民間人が地球行きシャトルの席を取れる事はほぼ無かった。

 だが地球連邦政府から許可が取れればシャトルの席取りも容易である。

 ジェイナス号の乗組員の素性は連邦政府に報告されており、平行世界の人間の科学的知見を是非調べたいとの事で数名のメンバーが指名されていた。

 一般人代表としてクレア・バーブランド、マキ・ローウェル、そしてカチュア・ピアスンの三名である。

 この事から主目的は異星人であるカチュアが目当てであろう事は透けて見えたのだが、健康診断であるのであればとローデン大佐からお目付役兼保護者の駆逐艦レーガンの副長であるルテナン少佐が引率役を引き受けて一同は地球へと降りた。

 この時代、ニュータイプ研究所の様なニュータイプに特化した研究施設は存在して居らず、ましてや人工ニュータイプである強化人間開発施設もない訳だが、宇宙時代に足を踏み入れて百年近く経過しているので宇宙空間に於いて適切な体質の研究や宇宙に適合した人工進化研究を行っている研究施設は存在していた。

 その中でも宇宙世紀以前の旧世紀から存在する老舗の研究所が日本自治区に存在していた。

 日本自治区神奈川県箱根町仙石原にある人工進化研究所である。

 森林に囲まれた敷地の中に佇む研究所の正面玄関にタクシーで乗り付けると、玄関前で待ち受けていた白衣に身を包んだ中年男性が歓迎の挨拶をしてくる。

 

「ようこそ皆さん、この研究所の所長をしている碇です。本日はよろしくお願いします」

「初めまして、Dr.イカリ。私は彼女たちの引率をしていますルテナン少佐です。宇宙から降りてきたばかりで彼女たちも疲れていますので」

「ええ、取り合えず応接室に案内します。赤木博士頼む」

「はい碇博士、皆さんこちらへどうぞ」

 

 同じく白衣に身を包んだ金髪に黒眉の東洋美人が一行を建屋の中に案内し始めた所で正門の方からけたたましいスキール音を響かせて一台のベンツが正面玄関に乗り付ける。

 思わず顔を顰めた赤木博士だったが、中から出てきた二人の老人の顔を見て頭を抱えた。

 

「こら碇、こんなに興味深い調査に我々を呼ばないとはどう言う了見だ」

「岸田博士、天本博士も、この件は連邦政府直々の指名ですので」

「どうせキールの奴に手を回したのだろうが。こんなに面白そうなもとい興味深い実験に参加しない訳がないだろうが」

 

 『実験』の言葉を聞いた引率のルテナンは眉を顰めるが、赤木博士は努めて冷静に説明する。

 

「後で説明しますが、今回は飽くまで人間ドック的な調査だけですのでご安心下さい」

「・・・あの方達は一体」

「近くの物理化学電磁生体航空総合研究所の所長である岸田博士と医学部部長の天本博士ですわ。見ての通りマッドサイエンティストですの」

「・・・アメイジング」

 

 碇博士が二人を身体を張って牽制しているのを見て赤木博士は一同を応接室へと案内する。

 広めの室内にあるソファに四人は座り、旅の疲れにため息を吐いた。最後のドタバタ劇も疲れに拍車を掛けていたが、取り合えず落ち着いた様子で深く柔らかいソファに身を沈める。

「取り敢えずコーヒーとオレンジジュースで良いかしら」

 

 赤木博士は受話器を取ると内線でどこかへ連絡を取る。

 

「フォウ、コーヒー二つとオレンジジュースを三つ応接室にお願い。え、あぁそれが残っていたわね、直ぐに行きます。コーヒーは一つで」

 

 彼女は受話器を降ろすとルテナンへ声を掛ける。

 

「少し用事がありますのでここを離れますが、直ぐに戻ってきて説明を行います。トイレは扉を出て直ぐ右にありますので。では失礼します」

 

 赤木博士がそう言って応接室から退室するとルテナンが少女達に声を掛ける。

 

「お疲れ様、取り敢えずここが目的地だ。本日から数日身体検査や心理検査が予定されているが、何かあったら直ぐに報告、連絡をお願いするよ」

「分かったわ」

「はーい。でもさ、何かあったらって何があるって云うのさ」

 

 金髪のボーイッシュな少女、マキ・ローウェルが聞き返す。

 

「用心の為、かな。何しろ彼らにとっては異なる世界の人間は情報の塊だ、ましてやカチュアは異星人の血を引いている。検査以上の危険な行為が行われては大変だからね」

「私、そうですね。自覚は無いですけど」

「この世界は私たちの世界とは違う歴史を歩んできた別の地球だ。用心に用心を重ねても仕方が無いと思うよ」

「あ~ぁ、ピリピリしちゃって好きじゃ無いなぁ」

「まったくだね」

 

 雑談をしているとコンコンコンと扉をノックする音が聞こえてくる。

 

「失礼します。お茶をお持ちしました」

 

 扉を開けて入ってきたのは翠の髪の少女が一人、トレイにホットコーヒーとオレンジジュースを載せてやって来た。その後ろに一人の女性職員が着いて入ってくる。

 辿々しい様子で慎重に机の上に並べる姿をハラハラして見ている女子職員、大体10歳位の女の子と成人した位の女性の姿があった。

 奇妙な二人組の姿に呆気にとられるが、何とか無事にテーブルに並べ終える。

 ふぅ、と息を吐く少女に向けてカチュアが声を掛ける。

 

「あの・・・、ありがとうございます」

「どうぞお茶です。お召し上がり下さい」

「きゃーっ、良くやったわ完璧よキョウちゃん」

「あの、貴女の名前は。私はカチュア、カチュア・ピアスンです」

「私は、フォースチルドレン」

 

 少女はそこまで答えると少し考えて言い直す。

 

「今の名前は。フォウ・ムラサメと言います」

「えー、キョウ・ムラサメで良いのに」

「義母さんは黙ってて」「はい」

「えっと・・・こちらの方は」

 

 ツッコミを入れられて黙ってしまった女性が気になったカチュアはフォウと名乗る少女に訊いて見るが、フォウが答える前に当の女性が右手を振り上げて名乗りを上げてしまう。

 

「はいはーい! 私は人工進化研究所の庶務を務める村雨ユミでーす。ヨロシクね」

「あ、えっと、はい」

 

 随分と高いテンションに押され気味のカチュアに代わり、年長の少女クレアが質問する。

 

「この研究所にこの子も所属しているんですか?」

「ええ、キョウちゃんは」「義母さんは黙ってて」「ハイ」

「私は・・・」

 

 そう云って彼女は左腕の長袖を捲り、包帯が巻かれた二の腕を抱く様に呟く。

 

「人工進化研究所で製造された四番目の子供、フォースチルドレン。人工的に進化され、闇が封印されたこの左腕が今宵も疼くよ」

 

 不穏当な言葉を聞いてクレアが顔を青くして村雨女史に聞き返す。

 

「こんなこと言ってますけど、ここって」

「ごめんなさい。この子ちょっとチューニ病に掛かっていて。地下にジオフロントがあるだの、リリスの眷属の人型決戦兵器があるだの、友達の事を1stチルドレン、2ndチルドレン、3rdチルドレンとか呼んで研究所で秘密基地ごっこしたり、激しい妄想をしていて」

「しぃっ、天使達に気付かれたらこんな基地なんて直ぐに滅ぼされてしまう。秘密事項でしょ」

「はいはい。ちょっと心配なのよねー」

「あら、随分仲良くなったのね」

 

 扉を開けてズカズカ入ってきた赤木博士が中の様子を見て軽くそんな事を云うが、フォウは直ぐに村雨の背中に隠れてしまう。

 

「あらあら、嫌われたわね」

「出たなラスボス」

「私なんて、本物のラスボスは碇所長の奥さんでしょうに」

「確かに、3rdチルドレンのママはキレイだけど怖い」

「それは置いておいて。えへん、皆さんの検査スケジュールが決まりました。問題が無ければ同意書にサインをお願いします」

 

 同意書には大体3日のスケジュールで磁気共鳴検査やレントゲン検査、血液検査などの検査項目と検査結果の秘密契約と情報機関に報告書を提出する旨が書かれていた。

 特に問題は無かった為、保護者のルテナン少佐も同意した後にサインを記入した。

 翌日から始まった検査では物理化学電磁生体航空総合研究所の所長である岸田博士と医学部部長の天本博士が乱入して来たりハプニングがあったが「何じゃつまらん。異世界の宇宙人だと云うから期待していたのにこの世界の地球人とDNAレベルでほとんど違いが無いでは無いか」と、骨格の一部に変化が見られたくらいで異世界異星人のカチュアと異世界地球人のクレアとマキ、そしてこの世界の地球人の顕著な際は見つけられなかった。

 特に異常が無いと云う成果を得た4人は診断書を受け取り説明を受けた後、現地のマッドサイエンティストを失望させて帰途に就く。

 数日後、日本観光を行ってサイド7に戻ろうと宇宙港へ向かった4人はそこで足止めを喰らう事になった。

 敵ククトニアンの侵攻軍の根源地である小惑星改造前線基地が地球圏に姿を見せていた為だ。

 サイド3近縁宙域に突然姿を現した敵小惑星基地の存在によりジオン軍には緊張が走った。

 大質量の要塞に対して執れる手段は限られているからだ。

 艦船及び機動兵器による攻略戦は要塞側の強力なトーチカ砲力と分厚い岩盤に阻まれて交戦の長期化と戦力の消耗が激しくなる傾向にある。

 なので軍部の戦略を担当する参謀本部では対抗策の策定に苦慮していた。

 だがそこにジオン自治区総帥たるギレンから指示が下った。

 予想外の攻撃方法と云うか「それが出来たら苦労はしない」と言った代物だが政治サイドからの許諾が無ければ許されない方法だったので、粛々とその対要塞攻撃作戦を中心に敵艦船と機動兵器の対応策を立てていった。

 

 ◇ ◆ ◇ ◆

 

 ギレンは総帥執務室で笑いを浮かべながら自信を持って秘書に言葉を掛けた。

 

「くっくっく、偉大な先例に倣うべきなのだよ。既に過去に解決策が提示されているのだからな。我々の手でアストロゲーターにトドメを刺し、軍事的政治的なリードを得なければならないのだ。これはその一歩なのだよ」

 

 そう言うギレンの手には一冊の本が握られていた。

 それは宇宙世紀以前の旧世紀に日本で発行された紙の書籍、表紙には『銀河英雄伝説』と書かれている。

 




 エヴァもエリアルも出てきません。
 大変申し訳ない。
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