愛が空から落ちてきて~空から未来のお嫁さんが落ちてきたので一緒に生活を始めます。ワケアリっぽいけどお互い様だし可愛いし一緒にいて幸せなので問題なし~   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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 現代ラブコメ(のつもり)に初挑戦してみました
 お読み頂いた方が少しでも楽しんで頂ければ幸いです
 よしなに٩( 'ω' )و



1.愛で空が落ちてくるコトはないけれど、美少女が空から落ちてくるコトはあるっぽい

 

 

 彼がその日、朝の八時半に目が覚めたことになんの意味もなかった。

 

《それでは本日の占いです》

 

 何となく付けたテレビから流れてくる占いにも、さして興味があるわけではない。

 

《本日の恋愛運の第一位は天秤座のあなた!》

 

 起床後のルーティーンのような身支度の間、何となく付けた番組を垂れ流す――それそのものがルーティーンの一種だ。

 

《そして本日の――》

 

 テレビから流れてくる占いの結果にぼんやりと耳を傾けながら、着替えて、髪をセットする。

 

 洗面台の鏡に映るその姿は、中肉中背よりやや細め。しかしながらやや筋肉がある。

 本人は、ふつうだと思っているどちらかといえばイケメンな顔。

 かつて入院してた頃、学年で三番目くらい辺りの顔の良さだよね――と、誰かに言われた記憶があるが、いまいち実感はない。

 あと、それが褒め言葉なのかどうかもイマイチ分からない。どうでもいいことではあるのだが。

 

「こんなもんかな」

 

 セットといっても大げさなものではなく、寝癖を整える程度だ。

 元々黒ながら、メッシュのように灰色が入った髪をいじりつつ、テレビに耳を傾ける。

 

 ちなみに髪は染めているワケではなく、大怪我をして入院して以降、こうなってしまった後天的な天然である。

 

《最後に、本日のピンポイント占いです》

 

「なんだろう? ピンポイント占いって?」

 

 普段見てない番組だったからか、耳なじみのない言葉が流れてくる。

 

《最近、地味に人気が出てきているんですよ。ピンポイント占い》

《本当ですかー? 嬉しいです!》

 

 どうやら、この番組独自の人気ミニコーナーのようだ。

 

 アナウンサーの言葉に占い師の女性が喜んで見せ、そしてピンポイント占いとやらが始まる。

 

《今日のピンポイントターゲットは天秤座。それも天秤の支柱になりそうなど真ん中! 10/8が誕生日の人です!》

 

 テレビから聞こえてきた言葉に、身だしなみを整えていた手が止まった。

 

「マジでピンポイントだ」

 

 それは自分の誕生日だった。

 とはいえ、世間には同じ誕生日の人などいくらでもいるだろうが。

 

《さらにターゲットを絞ります! 男性で、一人暮らしで、彼女がいない人!》

 

 絞り方がエグい。

 

《もっと絞って、二十歳前後のフリーター!》

 

 思わず、テレビの方を見た。

 

「いやいやいやいや。それでもまだまだいるから」

 

 そもそも占いなんて非科学的だ。

 それを信じる人をバカにする気はないが、自分はそこまで信用しようとは思わない。

 

 ……が、ここまでピンポイントにされるとさすがにドキっとしてしまう。

 

《さらにさらに絞って、名字のイニシャルはK。名前のイニシャルがRの人です!!》

 

「僕じゃん!」

 

 思わず大きな声が出た。

 久慈福(クジフク) 理人(リヒト)。それが彼の名前である。

 

「ピンポイントもここまでくると……」

 

 絞り込みがすごい――と思いつつ、テレビを見てしまう。

 完全に番組と占い師の術中にハマってる気がするが、ここまで絞り込まれて気にならない該当者がいるだろうか。

 

《トドメに築年数十年以上の二階建てアパート二階の角部屋に家賃五万以下で住んでいるあなた! それこそが今日のピンポイントターゲット!!》

 

 ドヤ顔キメポーズの占い師に、理人は思わず目を見開く。

 

「完全に僕じゃん! 狙われてる? 僕、占い師に狙われてる!?」

 

 自分でも何に戦慄(せんりつ)しているのか分からないのだが、ワナワナと震えつつ占いに耳を傾ける。

 

《恋愛運最高の今日! 天秤座でもあるキミの元には――》

 

 もったいつけるように、占い師のお姉さんはそこで言葉を止め、ややしてキッパリと告げた。

 

《空から未来のお嫁さんが落ちてくるコトでしょう》

 

「ないよ!!」

 

 理人はテレビにキッパリとツッコミを入れて、残りの準備を手早く終えるのだった。

 

《しっかり捕まえて、逃がしちゃダメだぞ☆》

 

 占い師がそんなことを言ったタイミングでテレビの電源を切り、理人は愛用しているスポーティなデザインのショルダーバックを肩に掛ける。

 

「とりあえず、朝コスモしにいこう」

 

 この時間なら、ハンバーガーチェーンのコスモバーガーで、朝限定のコスモグリドルバーガーが食べれるはずだ。

 

 蜂蜜の含んだパンケーキのような甘いパンズに挟まれた塩気のあるジャーマンソーセージと目玉焼きのコンビネーションを思い出しながら、理人は自宅をあとにするのだった。

 

 

 

 平日の朝、九時ちょっと過ぎ。

 最寄り駅前の通勤・通学ラッシュは八時過ぎくらいには落ち着くので、駅前とはいえ人もまばらになりはじめる時間帯。

 

 理人はやや足早に歩道を歩いていた。

 

(なんか軽い気持ちで出てきたはずなのに――)

 

 何となく程度に欲求だったハンバーガー欲が、歩いているうちに異常に高まってしまったのだ。

 

(――今、とてつもなくコスモバーガーを食べたくて仕方ない!)

 

 今は、かの邪知暴虐の王をセレヌンティウスごとぶちのめしてでも、コスモバーガーへ突き進むくらいには朝コスモがしたい。

 

 そう。コスモバーガーに行きたいのだ。

 特に理由なんて無いのだが人間の欲求なんてそんなものである。

 

(走れ理人、メロスのように!)

 

 胸中でロンリーウェイと叫び自分を鼓舞しつつ、足早に進む。走るのは疲れるのだ。別に時間的に朝コスモには十分間に合うので足早だ。

 

 そんな時に、ふと雑居と雑居ビルの隙間にある細い路地が目に入る。

 

(……裏道、ここ昼間でも薄暗いんだよな……)

 

 一応、ここも公道なのだが店舗の裏口なんかが軒を連ねていることもあって、普段はあまり通ろうという気にならない道なのだが――

 

(でも、駅前までかなりショートカットできるのは確か)

 

 別に使わなくても朝コスモ終了前にコスモバーガーにたどり着けるにも関わらず、欲求が肥大化していた理人は、ちょっと悩んだ挙げ句、そこへと足を踏み入れた。

 

 それは、朝コスモしたい欲求肥大化による気まぐれの選択。

 いくら走れメロスと叫んだところで別に地球が狙われているワケでもないし、いつの間にかインストールされていた怪しいナビアプリによって、イセカイに案内されたワケでもない。

 

 本当にただ、理人の気まぐれによって、この道に踏み込んだ。

 それ以上でもそれ以下でもない。虫の知らせや、ピピピ電波を受信したとかそういうモノでもない。

 

 そもそも、この時点で理人は、ピンポイント占いのことなど忘れていた。

 元々占いなどさして信じないタイプだったし、ましてやテレビでやっていた占いコーナー程度の話だ。

 

「うわわわわわわあああぁぁぁぁ――……!!」

「声? 上から?」

 

 だとしたら、この出会いは何なのだろうか。

 

「え? えええッ!? お、女の子ぉぉッ!?」

 

 まさか本当に――

 

 占いの通りに――

 

 空から女の子が落ちてくるなんて――……ッ!?

 

 




準備が出来次第もう1話いきます!
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