更新がこんなに遅れてしまうばかりか、こんなくだらない幕間で大変申し訳なく思っております。
いっかい筆が行き詰まってしまって、気分転換に他の奴を書いてもまだ筆が進まず、あれよあれよと更新が先延ばしになり…こんなにおくれてしまった次第です。
で。今回はそんな訛り切った筆をならすための幕間です。本編とは関係ない話ですね。
なんとか感覚を戻すために癖を盛りまくっていたら22000字超えていましたが、お付き合いください。
本当に、待たせてしまって申し訳ございませんでした。
これからもこの小説を読んでいただければありがたいです。
これは、今からしばらく後…いろんなゴタゴタがひと段落して、ジェーンと朱鳶の関係もクラウスに知れた後の話。
ーーーーー
時刻は夜8時。多くの人は家で思い思いの時間を過ごしているぐらいの時間帯に…クラウスはエコバッグを抱えたまま、ウンザリとした気持ちを抱いていた。
「………………………(눈_눈)」
クラウスの家、寝室。いつもはベッドとサイドテーブル、クローゼットがあるだけの殺風景な部屋のはずだ。だが、今回だけは違うようだ。
サイドテーブルにはアロマが焚かれ、エキゾチックな香りが部屋を満たしている。その他にも、何かが入った瓶やゴム製の薄い手袋などが置かれ、なんなのかわからない粘土のようなものの塊がいくつか。そして、極め付けは…
「ハロー、クロウラー…お邪魔してるわ」
一糸纏わぬ上半身はうつ伏せに、下半身を毛布で隠し、クラウスのベッドの寝そべる…ジェーン・ドゥの姿があった。彼女は蠱惑的な笑みを浮かべ、クラウスに手を振る。対してクラウスはずっと眉を顰めたままである。
「突然コンビニまでパシらせたと思ったら…今度はなぁに思いついたんです」
「フフ…ちょっとマッサージでもしてもらおうと思って」
「まっさぁじぃ…???」
クラウスは彼女の言葉を反芻した後、ハア、と息を吐く。そしてジェーンに言い放つ。
「僕のこの手でマッサージができるとでも?その綺麗な背中がズタズタになってもいいならやりますけど」
ひらひらと振られるクラウスの手は…鱗に覆われ鉤爪の生えたトカゲの手。指圧などできるはずもない、黒く艶めく美しい、しかし鋭い手だ。それを見て、ジェーンはくすくすと笑う。
「なぜカラカラ笑うんです」
「フフ…アンタ、アタイがそんな事にも気が付かないと思ってるの?きちんと対策はしてあるわ。それに…綺麗だって思ったのね、アタイの背中」
「………………(눈_눈)」
クラウスはジロ、とジェーンを睨み…大きなため息をついた。
「しかったないですねえ…!!今回だけですよ!」
「それ、何回も聞いたような気がするけれど」
「うるさい!口答えするとやめますよ!」
「くすくす、はぁ〜い」
からかうジェーンに耐えかねたのか、クラウスはベッドサイドの手袋を手に取る。
「これつければいいんですか?」
「ああ、その前に…そのカバーで爪を包んでくれる?」
「………この粘土みたいな?」
ジェーンの誘導に、続けて粘土のようなものを手に取るクラウス。人差し指の爪をそっと刺して、爪をカバーに埋めてしまった。それを全部の爪につけ、手袋をはめると…ちょっと指の長いヒトの手のような様相になった。
「で、次は?」
「その瓶の中身、オイルだから…手につけて、マッサージしてくれる?」
「えー…僕のベッド、オイルまみれになるじゃないですか」
「安心して、きちんと染み込まない防水シーツに変えてあるわ」
「いつの間に…………」
彼女の言う通りに、クラウスは瓶からオイルをとって手に馴染ませる。摩擦で起きた熱によってオイルが香る。クラウスは迷うように暫く手を動かした後…そっとジェーンの背中に手を置き、オイルを広げる。
「僕、素人なんですよ?できますかね」
「素人でも、他人にやってもらうだけで気持ちのいいものよ」
「そんなもんですか…では、いきますよ」
ジェーンの笑みを受け止めたクラウスはそう言うと、指の腹で押すように力を加え始める。まずは首筋のあたりから、肩の方へ流すように指圧する。感触は意外にも硬く、この人も疲れる事あるんだなあ…などと思ったクラウス。そのまま老廃物を流すかのように圧力を滑らせる。
「ン………あ……」
「(눈_눈)」
「ちょっと失礼じゃない?そんな顔して」「はいはい動かない」
不満を訴えるようにこちらを向こうとするジェーンの首をつかみ頭を固定するクラウス。しかし、その瞬間…
「ひッ!」
「あ………………びっくりさせてしまったようなら謝ります」
「あー、ええ…あんまりいきなり掴むのは、ね?」
謝るクラウスに、ジェーンは困ったような顔で笑いかけた。そんな様子が珍しく、クラウスは少し驚いた。施術は続く。
「う…あぁ〜ッ…結構上手ね…」
「そうです?」
「ええ…初めてにしてはだいぶ…」
手を背中に移し、肩甲骨のあたりをほぐしていく。優しく、見かけはなよやかな白い背中に香油を擦り込むように。丹念に、丹念に…クラウスは、グリルチキンを仕込む時に似ているな、などと失礼なことを考えていた。しかし、ジェーンはというと…
(なんだか…別にプロ並みというわけではないけれど…不思議と安心感が…)
背中にかかるひんやりとした圧力。ヒトや按摩用に調整された機械の感触ではなく、人によっては気持ち悪いとも取れる爬虫類の体温。しかし、ジェーンにとってはそれが心地良く感じられた。
「…そういや、ちゃぶ台の上のグラス、呑み終わったなら片付けといてくださいよ。僕は年齢的に飲めないですし、飲むこと自体は咎めませんし」
「ンッ、ええ、そうね…」
「…………ミョーに素直ですねぇ」
怪訝な顔を崩さぬクラウス。彼の体温は酒の入ったジェーンの体温より低く…それが酒精に熱った身体を冷やし、独特な心地良さを生んでいるのだろう、とジェーンは自己分析した。自らの皮膚を押し込み、筋膜で感じられるひんやりとした感触は何物にも代え難いものなのだ。だから受け答えが簡素になるのも仕方がない。そういうものだ。
「…あんまし揉み応えありませんけれど、本当にマッサージ必要なんですか?」
「ふぅ〜ッ…あ、ええ、まあ…」
「そうですか…ジェーンさん身体柔らかいでしょ。凝るとか無さそうですけどね」
「…柔軟は得意ってなんでわかるの?」
「じゃなきゃ
そんな他愛のないやり取りをしているうちに、手を動かしているからか、クラウスの体温も上昇してきたようだ。ジェーンの背中に伝わるひんやりとした心地の良い感触はヒトの体温が感じられる別の心地よさに変わり…オイルの刷り込まれた箇所が熱をもつような感覚がした。
「ん…なんか独特な香りしますね、このオイル」
「確かに、んッ、そうね…エキゾチックというか」
「何処で手に入れたんです?有名なやつですか?」
「んぁ……ふ、ぅ…○分街の、雑貨屋さんで…」
実際に双方の身体が温まってきているのか、ジェーンの背中とクラウスの掌の温度でオイルの香りが立つ。独特な、しかし不快では無い良い香りにクラウスは仕入れ場所が気になったようで、アロマオイルなんかも置いているなら行ってみようか、などと考えた。…ジェーンはその状況の中、ある異変を感じ取っていた。
(…さっきからなんだか……暑いわね…)
マッサージの影響だろうか、少し汗ばむ程には体温が高まっていた。オイルの効能だろう。生姜か、その類の体を温める何かが配合されているのか。一度冷まされたはずの熱った身体にもう一度火が入るかのようだ。そして…もう一つの異変を自覚する。
「ちょこっと下の方も行きますよ〜」
「ええ、お願い………ッ、ア、くぅ………っ」
クラウスの掌が皮膚を滑り、その指が疲れの溜まった身体を解す度に…手袋越しとはいえ、なにやらこそばゆい感覚を憶える。むずむずと触れられた箇所から背骨を伝って脳まで届くその感覚はなんとも奇妙で…声が漏れる。
「相当疲れてたんですね。ごめんなさい、嫌味言って」
「え、ええッ!、いい、の…ッ」
「………そんなに気持ちいいんです?」
何処か嬉しそうな雰囲気を声色に滲ませ、機会があればこういう仕事もいいかもな、なんて呟いているクラウス。ジェーンの反応から、彼は純粋に自分の按摩が上手いのだととったが…真実は違う。うつ伏せで枕に顔をうずめ、くぐもった声を上げるジェーン。それは、癒しに漏れる声ではなく…ある種の
(おかしい…明らかにおかしい!
「で…あとは背中の下の方もですね」
「え、待っ………ぉ゛…」
「あっ、痛かったです?」
「………いえ……大丈夫よ……………」
枕に顔を埋めたまま返答する彼女に、クラウスは細心の注意を払いながらマッサージを続けた。手つきが優しくなったことにより、逆に生殺しのような状態になったことは想像に難くない。悪意や下心のない彼の奉仕する手つきに想定外の快楽が付随し…クラウスが「そろそろ眠いんで切り上げてもいいです?」とマッサージを終わらせるまで、息をするたび枕の香りを吸い込みながら耐えることしかできないジェーンであった。
ーーーーー
少しして…彼女にとってはある意味辛かったマッサージも終わり、身体についたオイルを洗い流しているジェーンは、シャワー室内であることに気がついた。
(そういえば…先日検挙された例の薬物ばら撒き集団*1、まだ残党がいるとの情報はあったけれど…)
おそらく、今日用いたマッサージオイルもそいつらのものかもしれない。なにせ、あの効果は強すぎる。なんの下心もない手で揉みほぐされるだけであれほどの快楽を感じさせられるなど、何らかの違法な薬物の使用を疑ってもおかしくはない。それに…
(洗い流しても………拭いても、まだ、
シャワーから上がり、タオルで体を拭いてもなお…いや、マッサージされていた時よりももっと身体の内部から湧き出すように身体が熱っている。下着と部屋着を身につけ、髪を乾かして寝る支度をする最中もずっと、こんこんと奥から湧き出す熱。その火照りに悶々とする中で眠れるだろうか、と、ジェーンは…
クラウスの寝室のドアが開く。まだアロマやオイルの残り香が漂う室内に、元のシーツに変えられたベッドに、クラウスが横たわっている。まだあどけない寝顔で、可愛らしい寝息を立てている。いつものように隣に寝て、起きたらからかってやろうと、にやにや笑みを浮かべながら彼の寝ているベッドに潜り込み…異変は起きた。
(…なんだか……さらに熱くなったわね………)
尻尾を尻にしかないように横向きになって寝ているクラウスの目の前にくるようにジェーンも寝そべっている。シングルベッドに無理やり潜り込むものだから、二人の距離は嫌というほど近い。そして…ジェーンは向かい合うように体を横に向けて寝そべった。それがいけなかった。
クラウスは男性にしては小柄なほうだ。クラウスの友人であるエレン・ジョーと同程度の160センチほどで、ジェーンは170センチぐらい。ジェーンのほうが10センチ高い。だから、立って会話していると距離の空く彼が…一層近くに。彼の吐息が顔にかかって、彼の吐き出した二酸化炭素の多い吐息を吸っていることになる。それが…なぜかどうしようもなく甘露であった。
しばらく、体から湧き出る熱にうかされ、クラウスの顔を見つめていた。眠れないからと言い訳をして、隅から隅まで観察している。睫毛が綺麗だな、やはり顔が整っているな、などと心中にて陳述するにつれて、自らの息づかいが荒くなってきたことにジェーンは気づいていなかった。
(……眠れないから…少しくらいは……………いいかしら)
それなのに、そんな言い訳を心の中で呟きながら、彼女は身体の奥から湧き出る
(……ああ、これは…)
やはり、彼はトカゲのシリオンであるのだな。と、彼女はこの時ほど実感したことはなかったろう。トカゲの成分が比較的強く、鱗のない胴体の前面や顔などにしか汗をかけない彼。体温維持があまり得意でなく、リラックスした状態では一際ひんやりとしていて…彼の身体が、自らの熱った身体にひた、と密着し、熱を取り去っていくのだ。
「……………ん…」
体に感じた締め付けが寝苦しかったのか、クラウスが無意識のうちに身じろぎをした。いつもならば、気取られないようにその辺りで身体を離しただろうが…ジェーンの心中は、ある一つの考えに支配されてしまっていた。
今、私と彼の身体の間には、空気の分子ひとつも入れたくはなかった。自らの、この恵まれた、仕事に使うことも多い魅力的なのだろう肢体をめいっぱい密着させて、弾力のあってすべすべしながらぴったりと密着する肌を寝巻き越しに彼に押し付けた。
次に、ジェーンはその白魚のような脚をするりと動かした。部屋着のドルフィンパンツからしなやかに線を描くその脚を、ゆっくりと前に出す。そして…寝巻きの半ズボンに守られていないクラウスの黒曜の鱗に覆われた片脚に、そっと、しかしぴったりと絡めた。自然と腰も向かい合うように密着し、下腹部と下腹部が触れ合う。
白い蛇と黒い蛇が睦言をささやきあっていように、両脚ともしっかりとクラウスの脚に絡ませていく。露出した素肌につやつやの鱗が食い込むようで、高まった体温がそこから逃げていく。心地良い感触。二人の間には、いまは二、三枚の薄布だけであって…
次第に、その薄布すら邪魔に思えてきてしまった。
「…………ん、しょ…」
ジェーンは、一旦彼から身体を離した。名残惜しく感じるが…すぐに、それも過去のものになる。
ゆっくりと、上に着ていた薄いTシャツを脱ぐ。ナイトブラに包まれた豊満な胸部が裾に一瞬だけ引っかかり、それが外れてたゆん、と揺れた。右腕、左腕と抜いて、最後に首を抜いて背後に放り捨てる。熱った肌が外気に触れた。そして…湯だった脳みそのまま、ドルフィンパンツにまで手をかける。
(…………………)
無心、だっただろうか?わからないが、この暑さを、身体の火照りを解消したいという目的だった。脚を縮めて手を動かすと、黒いレースのショーツが顕になる。そして、脚を抜いた後のその抜け殻を、またも背後に放り捨てた。…今の彼女は、つまるところ下着姿になったのだ。そしてそのまま、先ほどと同じように密着する。
「ン?…………んぅ…」
再来した締め付けに違和感を感じたのか、少しうめきながら身じろぐ彼をやさしく押さえつけて、隙間なく身体を合わせる。胸の脂肪が形を変えるほどに押し付け、脚をまるで蛇の交尾のようにねっとりと絡め…腕を彼の脇腹に差し込み、しっかりと抱き寄せた。その瞬間…彼女の脳内に
「ふぅ、ぉ……………!」
先程言及したが……クラウスは、ジェーンよりも小さい。10センチほど背丈の差がある。そして彼は身体も華奢だ。普段やホロウでのプリミティブな動きからは想像できないほどに。まるで硝子細工のようで…容易に、体で包みこめてしまう。それがいけなかった。
ひんやりとした彼の身体を、自らの身体で覆い隠している。華奢な体躯を、ほっそりとした白枝…いや、黒枝を恣にしている。それが、ジェーンの奥底に隠されていた“本能”を剥き出しにした。
ジェーンは思い出す。こういう薬をばら撒いていた組織の連中が口々に発していた言葉を…
『あんたがたね!人間はねえ!シリオンはねえ!みんな腑抜けてるんですよ!だからねえ!野生の、原野の本能をねえ!僕らの薬でねえ!呼び覚ましてやろうってんですよ!!!』
小太りでメガネをかけた組織の男に取調室でわめかれ、特務調査班の新人くんが尻尾の毛を逆立ていたのをはっきり覚えている。そして…ジェーンの身体は、そいつらの思惑通りになっていく。
……マウンティング、という言葉を知っているだろうか。哺乳類の動物の種々、特に群れを作る動物に見られる行動のことであり、社会的な優位性を誇示する行動のことだ。
人間のマウンティングで一番有名なのは、所持している財産や能力を誇示することであろうが…野生動物においては、物理的に相手の上に乗り、動きを封じることで“お前は俺より立場が下なのだぞ”と示すのだ。
なぜ、いきなりこんな話をしたか?…ご想像は、すでについているのではなかろうか。
そう。ジェーンは身体を捻り、あろうことか、クラウスの上に覆い被さったのだ。
「ん…あれ…?」
流石にこれで目覚めないクラウスではなかった。眠い目を擦り、最初に飛び込んできた光景は、己にのしかかる居候の姿。しかし、最初は特に何も思わなかったのか…いや、恐らく彼女の目的に気が付かず、苛立ちの方が勝ったのだろう。口を尖らせ、寝起きの回らぬ口でもにょもにょ文句を言っている。
「ジェーンさぁん…いくらなんでも寝相が悪いってもんじゃ…」
己の身体の上に覆い被さるジェーンを除けようとする。仰向けの体勢では尻尾を尻に敷いてしまって寝心地が悪いのだ。肩を掴み、横に押しのけようとするが…すぐに、彼女が下着姿であることに気がつく。
「な、なんですかそんな格好…そんなに暑くもないでしょ、…!?」
暗闇の中で、クラウスはジェーンに目を合わせ…戦慄した。こういう悪戯をしてくるときは、いつも妖しく、意地悪く細められている彼女の両眼は、今回ばかりはぎらぎらと輝いていた。部屋の暗闇に反応しているのか、はたまた別の要因か…瞳孔も張り裂けんばかりに広がっている。異変を察知したクラウスが、押しのける行動から抜け出す行動へと移ろうとしたが…遅かった。
「え、お、んむっ…!!」
クラウスの視界が闇に染まる。頬に当たる柔らかな感触に、火傷しそうなほどの体温。そして、頭頂部…旋毛の辺りに感じる湿り気を帯びた熱風。クラウスは…ジェーンの胸に抱かれてしまった!!
「んーむむむーむ!んーむ!!んー!!!!」
役得といったところであろうが、クラウスはそんな事まで考えれるほどの余裕はなかった。ただ、なぜジェーンがこんな行為をはたらいたのかが分からなかった。嗅覚細胞で感じるジェーンの汗の香りが強くなっていくのが分かって、だんだん恥ずかしくなってくる。
「フゥーーッッ………スゥーーーーッッ……!!!」
「んむ、んー!んむぅ〜!!」
旋毛に顔を埋めて匂いを嗅がれている。なんでそんなことを、と叫ぶものの、彼女の豊かな双丘に阻まれたそれはくぐもった音にしかならなかった。何がなんでも抜け出さなければならない、と、クラウスは本気を出そうとするも…またもや遅かった。
「ん、んむぅ…??!!」
「ふ、ふふ…つぅか、まぁえ、た♡」
クラウスの頭上から、妖しく艶やかに笑う彼女の声がした。クラウスは身じろぎをするも、何故だか力が入らない…いや、入れられない。何故ならば…ジェーンがクラウスに脚を絡め、固めてしまったからである。
「力、入らないでしょ?こうすると…ッ、痛くないけど、いい感じに動かせないように極まるの」
「あ、あっつ…や、めろよ…ッ!!」
「あら、タメ語なんて。新鮮でいいかも…♡」
「いきなり、なんですかこんなこと…!!!」
解放された口で抗議し、なんとか身体を捩ることで抜け出す足掛かりを作ろうとするが、拘束されたのはなにも脚だけではない。腕すらジェーンの両腕でベッドシーツにそれぞれ押さえつけられ、縫い止められたかのように動かない。…単純な膂力はクラウスの方が上であるはずなのに。暗闇の中で三日月のようにつり上がるジェーンの口が愉快そうに開いた。
「今からぁ…クロウラー、いやクラウス。あんたをぉ…めちゃくちゃにしたげる」
「え、あ?」
めちゃくちゃ。抽象的な表現。秩序・道理などがひどく乱れていたり統一がとれていなかったりするさま、程度が非常に大きいさまをさすが…おそらく、意味としては前者。そして、この状況の文脈から察するに、どういうふうにめちゃくちゃにされるのか…それは火を見るよりも明らかであった。
「ど…どうして…そんなこと…」
「仕方ないでしょ?あんたにマッサージされてからずーっと変でぇ…アタイおかしくなっちゃいそう。だから発散に付き合ってほしいってだ〜け♡」
「え、嫌です…やめてください、好きでもないのに…ッ!!」
「かたい子ね。安心して?すぐに良くなるから…♡」
クラウスは恐怖した。暗闇の中で爛々と輝く眼が己を射抜いている。天井に向かって持ち上げられ、ゆらゆら揺れるネズミの尾がだんだんと角度を落としていき、クラウスの尻の下からはみ出しベッドの脚側に追いやられているトカゲの尾に巻きついた。離すものかと言わんばかりに、締め付けを強くして。
「(様子がおかしい…なんだか、前にもこんなことが…あっ!!)」
ここでクラウスは気づいた。この状況は、だいぶ前にあった出来事…朱鳶が薬物とAVにあてられてそれはもう大変なことになった時と似ている。もしかすると、ジェーンも似たような薬を摂取してしまったのかもしれない。一体いつ、どこで…?
「(………あのマッサージオイル!!)」
そう。ジェーンが雑貨屋にて手に入れたというあのオイルが原因だろう。あれをマッサージに使って、あろうことか皮膚に刷り込んだからそんなことになっているのだ。とにかく…彼女は正気を失っている。それがわかって、クラウスは安心したが…それも束の間。
「ジェーンさん、貴女は薬のせいで、ッ、ひぁ………ッ!!」
ぢゅるるるるるぅぅうう…!!
「え?えっあ、あっあっああ〜ッ……」
寝室に水音が響いている。語気を強めてジェーンを宥めようとしたクラウスの声も素っ頓狂な喘ぎ声に変わり、喉から飛び出すなりへろへろと床に軟着陸した。何が起こったのか、クラウスにはわからなかったが…答えは簡単だ。
「ぶちゅううっ、ちゅる、ぢゅうるるるる…」
「お、わぁぁあああ〜っ…!?!?!?」
ジェーンはクラウスの顔の横に頭を寄せ、一心不乱に押しつけている。そして、何やらそこから響く水音。そして…クラウスは、己の耳を這う何かを感じていた。柔らかく、微細動を繰り返しながらうねり、耳の奥へ奥へと滑り込もうとする、汁気のある物体…。
平たく言えば、耳を舐められているのである。
「あーあっ、やめ、や、やめろぉおおおお!!」
「ちゅ…んぇ…れるぉ………」
「いーっ、くすぐったい!それになんか変な気分になりますから!!」
なんとか動かせる胴体のみを揺らし、首もよじってベッドを軋ませながら必死の抵抗をするクラウス。抵抗に合わせてジェーンも頭を動かし、口が離れてはむしゃぶりつき、離れてはむしゃぶりつくを繰り返す。耳の輪郭を下でなぞり、耳たぶや耳殻を喰み、外耳道へ舌を滑り込ませてほじくり返す…やりたい放題であった。そして、やりたい放題は止まらない。
「んーふふふふふ…んっ、んっ、んっ、んっ」
「あ…こんなことでデジャヴ感じたくなかった…っ!」
ぎし、ぎし、ぎし、ぎし、と、規則正しくベッドが軋む。クラウスにのしかかったジェーンが腰を揺らし始めたためだ。朱鳶が前に同じようになった時は、本能のままの拙い動きであったのだが…ジェーンは違う。朱鳶と違って“経験”があった。だから、いっそう不味かったのだ。
「ふふ…かわい…真っ赤になっちゃって…」
「う、るさい…やめてくれよ…!!」
恐ろしい程に熱を持った腰を、波打つようにぐいぐいと押し付ける。身体がピッタリと密着した状態で、異常なほど高まったジェーンの体温がしかと伝わってくる。クラウスの顔が赤く染まったのは羞恥のせいだけでなく…暑さにもあった。
「(まずい…頭がぼやっとしてきた…)」
クラウスはトカゲのシリオンである。それも、人間と同じ肌をしているのは頭と、上半身の腹側ぐらい。つまり、汗をかくことができる面積が少ないのだ。体温調節が難しい体をしているのがだめだった。
「(暑い…頭が回らない…このままじゃ…!)」
ジェーンの人肌に燗され、確実に思考力を奪われていく。脳内に熱が溜まる。身体が健気にも、体温を下げようと顔の表面や身体の前面に汗を浮かばせるが…通気の悪い寝室ではただ気持ち悪い湿気を足すだけである。完全に茹ってしまえば抵抗もままならないやもしれない。刻一刻とリミットが迫る中、できるかぎり頭を回すクラウス。その間にも、ジェーンがぎらつく眼光でクラウスを見下ろし…目線が一箇所で止まった。
「…………こうすれば、一発でその気になる?」
「…まさか!!」
ジェーンの本能に光る目が縫い止められたのは、垂れた汗を吸い込んだか、口紅とは無縁のはずであるのにしっとりと濡れつやめく…クラウスの唇。ジェーンの声に乗った意味を理解したクラウスの背筋に、まるで蜘蛛が這い回るような怖気が走る。
「う、うぉぉおお!や、やめろこの、バカ、ぼけなす、おたんちん!」
「…………♡」
フゥーッ、とジェーンの鼻息が強く聞こえた。クラウスの茹った頭での必死の罵倒・抵抗も意味を成さず、クラウスの腕が頭の上に集められ、ついに片手だけでクラウスの両腕が拘束されてしまった。万歳をするかのように枕の上に両手を縫い止め、ジェーンの空いた左手がクラウスの顎を掴む。
「も、うぁ…!」
「フゥー…ッ!フゥー…ッ!」
左手が強く握られ、強制的に口を開かされる。頭を固定され顔を背けることもままならない。ジェーンの興奮にはやる吐息がゆっくりと近づいてくる。極度の興奮に限界まで瞳孔の開いた眼には、普段の彼女のミスタリアスな雰囲気など毛ほども残っていなかった。そこに映っているのは…今からお前にむしゃぶりついてやるぞ、精魂尽き果てるまで搾り取って私のものにするぞ、という、鼠には不釣り合いの狩猟本能であった。
もはやなす術はない。クラウスは諦めたように目を閉じる。それを同意と受け取ったジェーンの形を取る獣は、勢いよくクラウスに迫り……
「
「えっ…ぎゃっ!」
呂律の回っていない台詞と共に、きっ、と見開かれたクラウスの眼。そして、クラウスの口から何かが勢いよく飛び出し…それはジェーンの爛々と開かれた片目に直撃! たまらず怯み、両手を離して片目を抑えるジェーン。その隙に腰を捻り、ジェーンをベッドから落とし、床にべしゃっと叩きつけた!
「今だ…っ!!」
急いでベッドから抜け出し、ベッドサイドに置いてあった携帯を引っ掴み、倒れたまま目を押さえているジェーンを跨いで寝室の外へ。ドアを開き、外からドアを背で押さえ、ジェーンを閉じ込めることに成功した!
「…………これほどまでに、お母さんに感謝した日はないかもしれない」
クラウスはそうひとりごちた。クラウスが何をやったのか…それは単純だ。彼は、母から譲り受けた種族的特徴…とても長い舌を
しかし…背後の部屋には依然として、クラウスを喰らわんとする獣が潜んでいる。しかし、一晩中このドアを押さえておくなど不可能…どうするか。それは簡単なことであった。クラウスは左手に掴んでいたスマホを持ち直し、電話帳を開く。
……………ほっとして気が緩んで、ドアを押さえる力が弱まってしまっていることに、クラウスは気づいていなかった。
ーーーーー
一方そのころ…クラウスの住んでいる部屋の隣室にて。
「ふう……さっぱりした」
シャワー後の髪を乾かし終わり、首にタオルをかけたままリビングのソファにゆったりと腰掛ける女性がいた。彼女は朱鳶。優秀な治安官であり、特務捜査班の班長…クラウスのよき友人でもあった。彼女はタンブラーに注いだ水をぐい、と傾けている。
彼女は今日は帰りが遅かった。それは、最近世間を騒がせている
ーーー
「あんたがたねぇ!僕らをねぇ!止めようとしても無駄なんですよ!!」
「…どういう事だ」
記憶の中の自分の部下が、低い声で問うた。椅子に拘束されている男は小太りの身体に汗を滝のように流しながら喚く。
「僕らはねぇ!どこにでも潜んでるんですよぉ!どこにでも潜んでっ!どこにだって僕らの薬をばら撒くことができるんですよぉ!!」
「なに…?どういう意味だ!」
「あんたがた人間はねぇ!シリオンはねぇ!みんな腑抜けてるんですよ!!だからねえ!野生の、原野の本能をねえ!僕らの薬でねえ!呼び覚ましてやろうってんですよ!!!」
「お、落ち着け!もうちょっと静かにできないのか!」
「うおおおお!できっこないをやらなk 「おい待てそれ以上はなんか不味い気がする!!」
ーーー
冷静でない男の行動に、尋問はそこで一旦打ち切られたが…その男の証言は貴重なものだった。
「…ありとあらゆる場所に残党が隠れている、とみて間違いはない」
その男は、とある犯罪グループのメンバーだった。事件当時、そのグループの存在が発覚した時…有り体に言えば、また変な奴らが変なことやってるのか、というのが上層部の所感であった。
それもそうだ。新エリー都は法の下に統治される
しかし、しかしだ。その犯罪グループは…治安局上層部の想定より、はるかに規模が大きく、それでいて非常に厄介であることがわかった。それに、あらゆる場所に巧妙に潜り込んでいることと…そのグループの目的は、他の薬物ブローカーのように
「あんな…あんな薬が、都市のあちこちでばら撒かれる可能性があるなんて」
朱鳶は恐怖を感じていた。治安官である彼女は勇敢であるから、犯罪組織に恐れを抱いているわけではない。ただ…彼女は脳内で、考えうる限り最悪の想定をしていた。なぜそんな事を考えたか…それは、彼女自身がその薬の影響を受けたことがあり…
朱鳶は覚えていた。瞳孔が散大して景色が明るく見える視界を。鋭敏になった感覚を。破裂してしまいそうなほどの心臓の鼓動を。そして…自らの身体を駆け巡る衝動を。
「………ッ」
思い出すだけで心が苦しくなる。あの時、朱鳶は衝動に任せて隣人の男の子を組み伏せ、治安官という立場などかなぐり捨てるように、本能のままに彼を恣にしようとした。
あの時、朱鳶の脳内は幸福に満たされていた。己の全ての感情を彼にぶつけ、快楽を得て、永遠の
正気に戻った今では、心の奥底にへばりつく罪悪感が彼女を苛んでいた。あの時、彼女の心中にあったのは…日頃から抱いていた“欲望”が、薬の作用で異常なまでに肥大化した何かだけであった。
『大丈夫ですよ、へんな薬物のせいだって説明受けましたから』
『しかし君を襲ってしまったのは事実で…!』
『もー、しつこいなあ朱鳶さんは。僕がいいって言ったらいいんですってば!』
『クラウスくん…!』
あの後、彼は私を許してくれた。彼の寛大さに涙が出そうだ。彼への愛情が更に深まっていくのが感じられた。私は誓った。彼をはじめとした、無辜の人々に害をなすこのような犯罪者は野放しにはしておけない、必ず法のもとに裁きを受けさせてやる! と、朱鳶は心の炎を燃やしていた。
そして、もう一つの理由。傍目からその薬の効果を見た、そんな体験も彼女の心中に長く留まっていた。…その薬物の摘発、および押収をした時のことである。
ーーー
「ほれ、さっさと歩けい。悪いようにはせん」
「抵抗は無駄ですよ」
「「く、くそぅ……」」
「うひゃ〜、こぉりゃ大量でありますなぁ」
『こんなに隠し持ってたんですね…早いところ運んでしまいましょう』
複数人の治安官が、現場からの押収品を記録し、車に積み込んでいた。現場にいたグループの構成員と思われる男たちを連行する青衣と朱鳶のすぐそばで、レンガ大の
「はぁ〜、本官はお腹がすいたでありまする。エーミール、これが終わったらお昼休憩を取るのはどうだろうか?」
『おはなしは後、まだ業務中ですよセルバンテさん。まあ、貴女が良ければご一緒しますけど』
「おお、ほんとであるか!」
モニター頭の機械人の治安官が彼女の言葉に仲睦まじそうに返しているのが聞こえた。彼と彼女も、青衣と朱鳶と同じようなバディなのだろう。構成員をパトカーの後部座席に押し込んでから手伝いに行こうと戻ったが、二人はくたびれながらも段ボールを運び切ったようだった。
「ふぃ〜、これで全部、っ、おわわっ!」
重たい段ボールに耐えかねて、小柄な治安官の女性はそれを些か乱暴に押収品の輸送車に積み…その衝撃で、段ボールの中から粉が少し舞い上がった。それに驚いて彼女が下がる。
「ううむ…どうやらこの袋が破れていたようである…………な………」
『…あれっ、どうしたんですか?』
彼女の身体が硬直した。彼女の相棒の機械人は怪訝な声をスピーカーから漏らす。しかし、その呼びかけに彼女は応えない。
「ぅ………ゥ………ぅぁ……え、みーる、くん…」
『…セルバンテ、震えているじゃないですか!どこか具合が?』
荷台に手をついたまま震えだした彼女を心配したのか、彼は彼女のそばへ。彼女の肩に手を置き、彼女に起きている異変を調べようとして…………
「う、うぅ…ウガァァアアアア!!!!」
『うっ、うわぁぁあ!!』
突然、彼女が獣のような叫び声を上げ、近くにいた彼に飛びかかった。突然の狂行に反応できず、重たい機械が地面に叩きつけられる音があたりに響いた。何事かと周りの治安官もそちらに目を向けると…彼女が彼を押し倒し、その首筋に齧り付いていたのだ。
「うゔゔう!ゔがうがうがうが…!!!!」
『なあっ、やっ、やめてくださいセルバンテさん!!』
機械人である彼の塗装された金属装甲に覆われた首に容赦なく犬歯を立て、思い切り齧り付く。機械人であるからよかったが、もし生身の人間であったらそのまま肉を噛みちぎらんとする勢いである。まるで獣のような唸り声を上げ、相棒であるはずの機械人に牙を突き立てている。
「と、取り押さえましょう先輩!」
「いやまて朱鳶よ!…我が一人でゆく!」
「なぜ…あ、あれは!」
青衣の制止に一瞬の疑問を抱いた朱鳶だったが、その意味をすぐに理解した。あの二人の周りには、ダンボールから舞った白い粉が未だ漂っていたのだ。肉眼には見えなくとも、青衣の高性能視覚センサーがそれを捉えていた。意図を理解した朱鳶がつんのめるのを確認して、青衣は三節棍を手に駆け出した!
「少し手荒になるが…仕方なかろうて!」
青衣は三節棍に電気を纏わせる。選択したのは対エーテリアス用の全力稼働でなく、暴徒鎮圧用の低出力。だが、人間である以上電気ショックで体は硬直するはずだ。それを狙い、地面の上で揉み合っている女性治安官の背中へ棍を押し当てた!
「うぅがががががが!……ゔゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」
「なっ、ぬ…!?」
電気ショックをしっかりと浴びたはずの彼女は苦悶の声を上げたが、理性のない瞳をぐるりと青衣に向けた。電気ショックを浴びながら、無理やりに身体を動かし青衣へと飛びかかる!
「がうがうがうがう!!!」
「ぬぅ…まるで獣よの!」
『セルバンテ、落ち着いてください!!』
三節棍を噛ませ、力比べの状態になった二人。その背後から、押し倒されていた機械人の治安官が近づき、暴走する治安官の身体を押さえ込もうとする。しかし、彼女の目は真っ赤に血走り、“自らに危害を加えた敵を殺す”という、行き過ぎた防衛本能に染まっていた。涎をダラダラと垂らす様は、もはや人でない化け物のようにも見えた。
機械人である二人の馬力でも、このまま押さえ込むのは難しいほどの膂力。豹変してしまった相棒に、機械人の治安官は動揺したのだろう。
『セルバンテおち…!落ち着いてください!!!!
落ち着け!!!!!!!!』「せるまぁっ!…せるまぁっ!…せるまぁっ!…」
ごきいっ、と、およそ人体からなってはいけない鈍い音を立てて、正気を失った治安官が吹っ飛んでいく。傍目から見ていた青衣や朱鳶、その他の治安官の目には、エコーのかかった断末魔を上げゆっくりと地面に倒れているようにも見えた。K.O.、Perfectである。
「…………やりすぎ、ではないか?」
『ああっ…す、すみません…!』
思わず出てしまった文字通りの鉄拳をさすりながら、モニター頭の治安官は意識を失った相棒に向けて意味のない謝罪をしたのだった。
ーーー
あの後、病院に運ばれた治安官セルバンテは自らの行いを悔いていた。あわや職を辞すか、とまで行ったところで、あの相棒の治安官エーミールの説得により立ち直ることができたらしい。朱鳶は青衣から言伝にそう聞いていた。
しかし、舞い上がった粉を少量吸っただけであれだ。その後の犯罪グループの構成員への取り調べで得た情報によると、あの粉はふつう3mgほどを溶媒に溶かし、何倍にも希釈することで適切な効果 ある程度の思考を残した理性の排除が起こるらしいが、希釈しないまま摂取すれば知性すら持たぬ獣へと変貌するのだとか。
「…やはり、恐ろしい薬物です」
朱鳶はリビングのテーブルの上に置かれた自らの勤務用のポーチに手を入れ、一つのシリンダーを取り出した。点鼻薬、というやつである。鼻腔に突っ込んで薬液を噴射し、鼻の粘膜から薬を体内に吸収させる、という方法をとる薬。この点鼻薬は…例の薬の拮抗薬だ。
今回の事件で、舞い上がった粉を少量吸入しただけの被害者が出た。それも、治安官の被害者はこれで二人目である。それを重く受け止め、どこからでも被害が出る可能性があるとした上層部は、幸いにも分析が済んでいたその薬物に対する拮抗薬を開発。新エリー都内の治安官全てに携帯させる計画を検討している。今朱鳶が持っているのは、実験的に朱鳶が勤務する署内の治安官全員に支給されたものである。投薬すればすぐに作用し、薬物の効果を打ち消してくれる優れ物。このような拮抗薬が開発されたのは幸いだった。
「明日から取り締まりが強化される予定だから…今日はもう寝ましょう」
一旦ソファを立ち、洗面台へと向かった。歯を磨き、寝る前の支度を色々と済ませ、スマホを手に取って寝室へと向かう…その時であった。
朱鳶の手の中にあったスマホが存在を主張した。小刻みに震え、木琴の音楽を奏で始める。まあ…着信が来たということである。
「ん?…こんな夜中に」
些か非常識な相手だが、確認しないわけにはいかない。寝室のドアの前に立ったまま、光る画面を覗き込むと…そこにはよく知る名前が。あれ、と思った朱鳶だったが…5コール目ほどで応答した。
「もしもし、朱鳶です」
『あ…朱鳶さん、こんな夜中にごめんなさい』
「ええ。もう寝るところだったのですけれど…何かあったんですか?」
電話の先から聞こえてくるのは、愛しき中性的ボイス。朱鳶の隣人、トカゲのシリオンであるクラウスからのものであった。少しモヤっとしていた朱鳶の心も晴れる。しかし、なぜまたこんな時間に電話をかけたのだろう、と、朱鳶は素直に理由を訊いた。
『あ、えーと…実は、大変なことになっちゃって…』
「えっ…今どこに?」
『普通に家です。それで、朱鳶さんに来てほしくってぇ…』
とても言いづらそうに、澱みある言葉で答える彼を、朱鳶は訝しんだ。
「その“大変なこと”というのは?」
『あ゛っ、あー…えと、そのーっ…』
「…クラウスくん、言いづらいことかもしれないけど、安心してください。私は他の人に言いふらしたりとかはしないから」
『え、いやそんなんじゃなくてですね』
もしや何か言葉にしづらいのか、と気を遣ったが。クラウスはそれを否定し、少しの間を置いて…ゆっくりと話し出す。
『いま、ウチに…ジェーンさんがいるんですけどね?』
「………お泊まりですか?」
『え、はい、先週の月曜日から…』
思わず膝から崩れ落ちた。クラウス君の家でお泊まり!?それも先週の月曜日から!?彼女は思わず壁にかかったカレンダーを確認し…今日は火曜日だったことに気がつき、さらに戦慄した。
「一週間以上…家族でもない女性を家に泊めるのはいけません」
『あの人が勝手に泊まるんですよ…追い出すわけにもいかないんで。まあちょくちょくこういうことありますよ』
「…………半同棲じゃないですか」
上半身すら支えていられなくなり、冷たいフローリングにべしゃりと頬をつけて項垂れる。外部協力員の同僚と、密かに想いを寄せる隣人の男の子が懇ろな関係になっている…*2。朱鳶の脳みその中心からぢりぢりと何かが焦げる音がしたのは…おそらく錯覚だ。
『で、でも今日のジェーンさん変なんです』
「具体的には?」
『その…たぶんですけど、前に朱鳶さんが飲んじゃったらしい、おかしくなる薬…でしたっけ。あれにどこかで曝露したのかなって』
「………なんですって!?」
衝撃のまま、朱鳶は急いで上体を起こした。
『とりあえず僕の寝室に隔離したんですけど…ひとりじゃどうともならないので、助けてくれませんか?』
「わかりました。協力しましょう」
立ち上がり、返答しながらテーブルの上のポーチを引っ掴む朱鳶。いとしの隣人の頼みである、答えないなどということはできない!
『はぁ…よかった、ありがとうございま…ギャッ(ガタッゴトッ!)』
「え、クラウス君!?」
電話越しに大きな音が聞こえた。おそらくスマホを落としたのだろうその衝撃音に、朱鳶はその先のクラウスへと呼びかける。しかし、返事はなく…その代わりに、向こうの声は聞こえてくる。
『ねえ…いいでしょ?ちょっとだけ、ねえちょっとだけ、先っちょだけだから…♡』
『はっ、離して…ど、どこ触ってんですか!!』
「…………
スタートダッシュ。ポーチだけ持って、寝るためのラフな格好のまま外へ飛び出す。部屋のドアを開け、
『へーえ…うわさで聴いてたけれど、トカゲのシリオンってほんとにこんなふうになってるんだぁ…』
『う、うるさいっ…おい触んな!』
『うふふ…じゃーあ、ベッドいこっか♡』
「…させるものですかァッ!!!」
さながら虚狩りの神速の居合のように、ポーチから取り出したのは…クラウスの家の合鍵。朱鳶はそれを貰えるほどにはクラウスの信頼を勝ち取っていた。それを鍵穴に差し込み、捻り、抜かずにノブを捻ってドアを開ける!!
「クラウスくんッ!!!…………寝室かっ!!!」
乱暴に靴を脱ぎ捨て、残像すら見える速度で部屋へと上がり込む。玄関から中を見て、ドアの開いている寝室へと身体を高速で滑り込ませ…!!
「フウッ、フウッ、フウッ、フウッ…♡」
「ひいえっ、や、やめてください、変な感じになっちゃいますからぁ!」
…………何が、起きている。
「ンフ…ウフ、ウフフフフフフ…♡」
「離れろ…ッ、足絡めるなぁ!!」
…………脳が、理解を拒んでいる。あの寝台の上で、目の前で…タオルケットに覆われた中で起きていることに。
「ねーえ、そろそろ乗り気になっていいころじゃないの…♡」
「だ、誰がッ…う、動くのやめろ!!!」
寝台が軋む音が響いている。同僚と、自分の想い人が、タオルケットに包まれながら揺れている………その事実を、朱鳶はそのもろくなった脳で受け止めてしまい………
「…………私のだぞっ!!!!」
脳が、壊れた。
「ンフ、フフ…えっ何「執行ッ!!」キャッ!!」
布団から出ていた下着姿のジェーンを引っ張り出し、ベッドから引き摺り下ろす。そのまま容赦なく首をロックする!
「ゔっ!…は、班長ちゃ……く、ぐるじ………」
「…………………」
本来ならばこんな拘束など彼女にとってはちんけなものだ。しかし、怒りにより常軌を逸したパワーを発揮する朱鳶はさすがに手に負えなかった。ジェーンが今の朱鳶の顔を見れば、飛んだ理性も戻ってくるほどに戦慄するだろう。目は血走っているが…恐ろしいほどに温度のない、能面のような顔に。今の朱鳶の脳内には、穏便に取り押さえるつもりなど毛頭なく、ただ意識を刈り取るために気道を塞ぎにかかっている。
「ゔ…は、はんちょ、ちゃ………………」
「……………終わりましたか」
ジェーンの動きが無くなった。気絶した様だ。呼吸と、瞼を開いて眼球が震えていないか確認。完全に意識を飛ばしたことを確信して、容赦なくジェーンの鼻腔に点鼻薬を突っ込み、噴霧。しっかり投与できたことを確認したら…未だベッドの上にいるクラウスのもとへ。
「え、あっ、こ、殺して…ッ!?」
「……気絶させただけです」
「あ、そうですか…よかった…」
クラウスはベッドの上で汗ばんだ頬を上気させ、タオルケットを引っ張って下半身を隠しながら、安心したのか息をついた。額の汗を掌で拭い、朱鳶に向き直って笑みを浮かべる。
「ありがとうございました。危うく、その…取り返しのつかないことになるところでした」
「………したんですか…?」
「えっ、あ、なんて…?何か…怒ってますか?」
小揺るぎもしない、据わりきった目でじっ、とこちらを見つめながらそう呟かれたクラウス。声が小さくて上手く聞き取れなかったので聴き返す…そして、その後に朱鳶が言い放った言葉を聞いて、心底後悔することになった。
「エッチなことしたんですか」
「…………は!?!?!?!?!?!?!」
読者の皆様にはなにか作為的なものが働いたせいで聞こえなかったようだが、朱鳶はその…放送禁止用語を言い放った。当然、規制無しの生音声を聴いているクラウスは、いつも生真面目で
「えあっあの…し、してません………よ?」
「エッチなことしてないんですね?……………そうですか」
クラウスの戸惑いながらの返事を噛み締めるような表情をした朱鳶。ベッドの上のクラウスの方に一歩進み、またもや口を開く。
「では…………【規制済み】は触られましたか?」
「ウワーーーーーー!!!!!!!!」
テンプレートまっすぐな叫び声がクラウスの喉から飛び出す。
「さっ、触られてませんよ!………あぶなかったけど!!」
「一歩手前まで行ったんですね?」
「………ま、あ、はい」
かあっと顔を赤らめ、恥ずかしそうに俯くクラウス。その一挙手一投足をじっと見つめる朱鳶の眼球が震え始めた。
「……見られましたか?【検閲済み】」
「あ…い、
「…………一歩手前まで行ったのに?」
「んえ!?あっ、あっその、僕はトカゲのシリオンですから…」
彼女の詰問に答えるために、クラウスがどもりながらも口を動かそうとする。しかし自分のその…デリケートな身体的特徴についてなのだから、たとえ様子がおかしかろうと朱鳶さんには言いづらいな、と、そこから先を躊躇していると…朱鳶がクラウスの方へ一気に迫り………
「えい。…………あ、こうなってるんですね」
「あ ッ!!!!!!!!」
朱鳶はそっ、と剥がしたタオルケットを元に戻す。クラウスは、かろうじてそれで隠していた、自分の………
「なるほど。確かに…
「きえてなくなりたい」
満足したように瞬きした朱鳶に対し、クラウスは消え入りそうな声色で顔を抑え、枕に顔を突っ伏してしまった。そりゃあ…近所のお姉さんに見られたら恥ずかしいだろう。理解できる。
シラフなのにどこか様子のおかしい朱鳶はたいそう満足げに頷き…クラウスのベッドに入る。
「ではクラウスくん、おやすみなさい」
「理解できぬ。」
あまりの困惑に、彼はデスマスクのような生気のない表情になってしまう。先程とは別種の、薄着の柔らかで温かな人肌が寝台の上に滑り込んできたのだから。彼のそんな言葉はお構いなしに、朱鳶はクラウスの背に手を回した。
「さあ、一緒に寝ましょう。彼女と二人きりにしておくわけにはいきませんからね…」
「……あっ、そういう…えっとぉ、別に一緒に寝る必要は…」
「うるさい。大人しくしなさい」
「ひぃん………」
据わった目で凄まれ、クラウスは怯えきってしまった。そのまま朱鳶に抱き寄せられ、互いに向かい合うような形になる。尻尾を尻にしかないので、クラウスにとっては定番の横向き寝ではあるが…目の前に隣人のお姉さんがいた。それがとてつもない違和感を生む。
「もっと近くに。ほら」
「えっ、あっせめてパンツだけ履かせて…ッ!」
背に回された手を絞められ、朱鳶のもとへ抱き寄せられた。言うまでもなく朱鳶の方がクラウスより背が高いので、これまたすっぽりクラウスを包み込んだ。
「………………」
「んも…もが、埋まって…」
朱鳶のその行為のせいで、クラウスの顔が正面から彼女の寝巻きのシャツの胸に埋まる。先程ジェーンと揉み合って締め落としたからだろうか、ほんのりと汗が香る。恥ずかしさにクラウスは泣きそうになっている。朱鳶は、それを感じ取って…クラウスの後頭部に手を置き、思い切り自分の胸へと押し込む。
「ん………!?んーっ!!!んむぐぅーーーっ!!!!」
「……………ッ♡」
ぱたぱたと暴れるクラウス。奥深いところまで顔を押し込まれ、まるい二つの脂肪の塊に口を塞がれ息を吸うことすら辛くなる。朱鳶の香りと暗闇でいっぱいになり、低酸素状態になったクラウスの脳は…
「ん!んーんっ…………………」
容易く、活動を停止した。気絶である。
「…おやすみなさい、クラウスくん」
彼が入眠()したのを見届けた朱鳶は、自らもゆっくりと目を瞑った。
そばに感じる、愛おしい温もりをゆっくりと味わいながら…。
ーーーーー
朝。朱鳶はカーテンから差し込む陽光の気配で覚醒した。彼女の正確な体内時計により成せる技、6時ピッタリに起床である。
「…………ンーッ…ハァ…」
横向きに寝たまま、タオルケットの中で足を伸ばす。寝ている間に固まっていた関節が幾らか伸びて気持ちがいい。しばらくそうしていると、ふと、なにかの温もりが近くに感じられた。はて、こんな時期に湯たんぽを抱いて眠るわけがないのだが、と、朱鳶は奇妙に思って、手でその源を探ってみた。
どうやら、それは身体の前にあるらしい。下に撫でればしっとりつやのあるつるつるした触り心地と、上になぞれば指にかかってほんの少し痛いくらいの感触。このふたつが同居した不思議な材質。しかも、湯たんぽにしてはどこかぬるい。微妙に暖の取れない温もりだ。
しょぼしょぼと乾いた目を開けるのが少し辛くて、目を閉じたまま惰性でその温もりの源を撫で回す。つやつやざらざらの感触を楽しみ…なんだか掌の収まりがいい場所を見つけたので、そこで手を止めた。そこは自分の体温よりも温度が低いらしく、じんわりと熱が向こう側へ染みていくのを寝ぼけた意識で感じていた。
しかし、朱鳶はいつまでも布団の中でグダグダしていられる身分ではない。いい加減起きるか、と、無理矢理脳みそを回して起きあがろうとした…次の瞬間。
「……朱鳶さん」
はて。どこからか、私の愛しい隣人くんの声が。アラーム音声…いや、そんな変態的なことはしていない。ならば電話か?いや、目が覚めてからスマホに一度も触っていないのにそれはありえない。
まさか、と朱鳶は心中でつぶやく。そして乾いた目を労わりながら瞼をゆっくりと開き始める。
まさか、まさかね自分の部屋にクラウスくんがいつのまにか居て私を起こしてくれているなんてそんな夢のような話あるわけないですよねまさかそんな
「………おはようございます」
「ぁ…」
寝起きの掠れた声が部屋の空気に消えていった。これは夢か、と朱鳶は錯覚しかけた。しかし、先程指にかかるような痛みを感じたことを思い出して…これが夢でないことが確信できた。
そして、それに気がついた朱鳶の脳みそが急速に熱を持ち始める。
「…あれっ!?く、ククク、クラウスくん近いです…ッ!」
「あなたが潜り込んできたくせによく言いますね」
じとりと、朱鳶を咎めるように細められたクラウスの眼と目を合わせ、どうしてこんなことになっているのかと昨晩の記憶を辿り…はた、と気がついた。
私、とんでもないことをやらかしてしまったかもしれない。
「そ、そのっ、ごめんなさいクラウスくん、私昨日は本当に…!」
「…………………謝罪は後でじっ…くり受け取る時間取ります。けど、その前にですよ」
顔を赤ながら朱鳶を睨むクラウスの表情に、朱鳶はごくりと固唾を呑み…クラウスはもったいぶって口を開いた。
「…………お尻の手どけてください」
朱鳶は思わず、ひゅ、と息を浅く吸った。限りなく近くにあるクラウスの顔が、恥ずかしそうに顔を赤らめながら眉間に皺を寄せていた。朱鳶は気づいた。あれ、じゃあ、私がさっきまさぐってたのって…………
「ひっ………まぁた、なんだって揉むんです?」
「あっ」
衝撃に耐えることができず、思わず、その…クラウスの臀部、おそらく右の方に置いていた手を少し動かしてしまう。結果的に、黒曜のつやめく鱗に覆われた、女性の柔らかくふくよかな臀部とはまた違う、しかし男の子特有の小さく、しなやかで、柔らかな…しかししっかりと筋肉のついて引き締まったちいさな臀部を揉むようになってしまったのは、不可抗力なのだろうか。…有罪:無罪=2:1といったところだろうか。
ゆら、と、クラウスがベッドから上体を起こした。その動きでクラウスの臀部で固まってしまっていた朱鳶の手も外れ、朱鳶はただクラウスの羞恥の混じった怒りの表情を見上げている。
クラウスは何も着ていなかった。もちろん、上半身も裸である。真白い胸、腹側のヒトらしい皮膚がカーテンで和らげられた光に淡く照らされていた。肌荒れひとつなく、撫ぜればさらりとした感触と、筋肉と骨との硬い感触のハーモニーが返ってくるであろう、均整のとれた、もはや芸術的な身体であったと、朱鳶はこの数刻後にそう思い返すことになる。
そして…身体の前面のヒトらしい皮膚には…上限は鎖骨の下、最上段の肋骨から体側へ流れ、下限は骨盤の浮いた骨と丹田をアーチで結ぶかのように…楕円形に、
朱鳶は隣人の、想いを寄せている男の子の…トカゲのシリオンの
「とりあえず、朱鳶さんはとっとと起きてリビングで正座して待って…え、うわうわうわうわ大丈夫ですか!?」
朱鳶の顔を見下ろしながら、不機嫌そうな声色で反省を促しかけていたクラウスが急に焦り出したと思えば、ベッドサイドにあるティッシュボックスからちり紙を何枚か急いで抜き取り、朱鳶の鼻のあたりを急いで拭う。そこでようやく、朱鳶は自らが鼻血を出してしまったのだと自覚した。
「どうしよ熱中症かな、えと、えーっと…とりあえずお水と保冷剤持ってきま「ぐえっ」ギャッ!!!」
どた、ばたん。朱鳶を心配して大急ぎで飛び出したクラウスがこけてしまったらしい。自らも遅ればせながら上体を起こし、音のした方を見た。
「ゔっ……あれ、あたいは…頭痛い、くるし…」
そこには、床に寝転がって若干苦しそうに蹲るジェーン…おそらく、気づかれず彼に腹を踏んづけられたのだろう。そして、変な段差を踏んづけたことによって、べしゃりとフローリングに叩きつけられたクラウスの尾が、力無くたらりと垂れ下がり…うつ伏せのくぐもった声のまま、大声でこう叫んだのだ。
「ふたりとも…リビングで正座ァ!!!!」
【幕間:つづく…?」
ジェーン:からかい半分でマッサージを頼んだらとんでもないことになった。朱鳶の助けがなければジェーン√直通だった。
朱鳶:おしりやわらかかったしっとりしてたあたたかかったひんやりしてた………!!!!
クラウス:好感度を上げると警戒心ゼロになるトカゲくん。無防備。
犯罪グループ:本能を増幅して理性を飛ばす薬をばら撒いてるやべえやつら。この先の幕間にも出るかも。
ーーーーー
いかがでしたか?
よければ感想、評価よろしくお願いします。
では、また次回。