sideカミト
グレイワースに呼び出され、執務室に向かっている。
「入るぞ」
ドアを開けるとーーーーー
「遅いな、この私を何秒待たせるつもりだ」
グレイワースから冷たい一言が放たれる。
その本人は誰かを探すような目をしていた。
「ライナは来てないぞ」
「そうか・・・・・」
グレイワースは残念そうな顔をした。
「俺を呼んだ用ってなんだよ」
「おまえに紹介したい娘がいるーーーーーいいぞ、入りたまえ」
「はい」
奥のドアが開け、黒いドレスのような制服に身を包んだ少女だった。
「あなたがカゼハヤ・カミト君ね」
「ああ、そうだけどーーーーー」
俺の記憶の中にこの少女と会ったような記憶がある。
「ごめんなさい。男の精霊使いを初めて見たものですから!それで、もう一人は?」
「ああ、ライナなら・・・・・今ごろ昼寝でもしてるだろうな」
「お昼寝?」
少女は怪訝な顔をした。
「あいつは昼寝が大好きだからな。いわく昼寝王なんだそうだぜ」
「昼寝王・・・・・こ、個性的ね」
少女は苦笑いする。
「それで、君の名前は?」
「やっぱり、覚えてないのね・・・・・まあ、いいけど」
「彼女は、おまえらとおなじレイヴン教室に入ることになった編入生だ」
「編入生?・・・・・それより、おまえらって俺の他に・・・・・」
いいかけると、後ろから袖を引っ張られた。
「カミト、私もいる」
「クレア?」
気配はしてたが、クレアだったのか。
「そろそろ、いいか?」
「ああ」
「彼女はオルデシア帝国第二王女、フィアナ・レイ・オルデシア姫殿下だ」
「・・・・オルデシア?って、まさか・・・・・!」
俺とクレアの顔は驚いた顔だろう。
貴族どこか本物のお姫様が出てきたのだ。
「ご無礼をお許しください、姫殿下」
俺はとりあえず膝をついて頭を下げる。
「そういうのはいいわ、ここでは同じ学院生なんだし。それに、第二王女といってよ私は喪失の精霊姫、すでにいなかったことにされている身分だもの」
「喪失の精霊姫?」
クレアは暗い顔をした。
それを見て、俺も気づいた。
クレアの姉が起こした大事件。
「彼女の言う通りだ。この学院の門をくぐった以上、どのような身分の姫巫女であろうと特別扱いはしない。たとえ王女であろうと、男の精霊使いであろうと、災禍の精霊姫の妹であろうと、昼寝王であろうとだ」
それを義理とはいえ、親が認めていいのか?
「そんなわけで、元王女だけどよろしくね。カゼハヤ・カミト君」
フィアナは微笑むと、指先でスカートの端をつまんで優雅に一礼した。
「ダメよ!!」
クレアがフィアナのスカートを抑える。
「なにがダメ・・・・・きゃっ!」
フィアナも気づいたようだ。
スカートが短いため、下着が見えてしまうことに。
「ありがとう、クレア」
「どういたしまして」
二人は仲良くなっている。
いいことだな。だが
「あんたが俺を呼んだのはどういうことだ?」
グレイワースが編入生を紹介するためだけに俺をわざわざ呼ぶはずがない。
そんな暇があるならライナを呼んで談笑している。
「おまえ、なにか失礼なことを考えたな。せっかくおまえのために特別任務を用意してやったというのに」
「特別任務だと?」
「そうだ。ちょうど彼女に任せたい任務があってならその護衛に、おまえたちのチームを同行させたい」
そんなのライナに・・・・・めんどくさいからパスとか言いそうだな。
「ちなみに、この任務の難易度はSランクだ」
「Sランク?」
「やるやる!!」
クレアが元気よく手を上げる。
「おまえのリーダーはこう言ってるが?」
「はぁー、それで、任務の内容は?」
リーダーが了承するなら、受けるしかない。
なので俺は内容を聞くことにした。
「鉱山都市ガドを知っているか?」
「ガド?まあ、名前くらいはな。数十年前に廃鉱になった都市だろ」
そこは第二次ランバール戦争のときに精霊鉱石を堀尽くし、廃鉱になったとか。
「その鉱山で、最近、奇妙な地震が頻発しているそうだ。その調査に向かって欲しい」
「地震の調査?」
クレアが首を傾げる。
ただの地震調査がSランクの任務になるはずがない。
なにか裏があるはずだ。
「詳しく」
「私がなにかを隠していると?」
「だったらこんな任務がSランクなわけないだろ」
グレイワースは観念したように肩をすくめた。
「どうにも鉱山に、旧オルデシア騎士団の封印した戦略級軍用精霊が眠っているらしい」
「せ、戦略級軍用精霊!?」
クレアは俺が驚く前に驚き、大声を出した。
「なんでライナに任せないんだ?」
ライナなら儀式なんてしなくても簡単に封印できるだろうに。
「ライナには他の任務を頼んでいる」
「なるほどな」
ライナが動く任務となると戦略級軍用精霊の討伐(本当はただ結界を張る仕事でもうすぐ終わります)か。
「まあ、可能性だ。封印が解けかかっているのが判明した場合ーーーーー」
「私が<儀式神楽>で再封印の儀式を行うのですね」
「そうだ。元精霊姫候補の君なら、この任務にうってつけだからな
精霊姫なら、ライナじゃなくても<儀式神楽>で精霊を封印できる。
「任務を受けるなら、ここにサインしろ」
「それで、どうする?」
「受ける。いいでしょ」
俺は頷く。
俺とクレア、それにフィアナは任務要項が書かれた書類にサインする。
「確かに」
グレイワースは書類を机のなかにしまう。
今回はカミト視点でお送りしました。